寄りみち(VOL.85, 2000年9月号)

いよいよ味覚の秋

とぶ虫

 まだまだ暑さがきびしいですが、お元気ですか?
 夏の間、私たちに涼を感じさせてくれた風鈴の音も9月に入ると移る季節の忘れ物の様で急に寂しさを感じます。不思議ですね。暑さはまだあまり変わりないのにね。

 さていよいよ待望の味覚の秋を迎えます。おいしい食べもの、そして、おいしい日本酒の季節が近づいています。秋の酒「ひやおろし」なども続々と入荷します。体調を万全にして、おいしい季節を迎えたいですね。
 夏の疲れは少し涼しくなった頃にドッと出てくるそうです。体には十分に気をつけましょう。

お米の話− 酒造好適米について

 収穫の秋です。
 早い地方ではもう「新米」の声が聞こえます。米と水で造られる日本酒にとってお米はとても重要です。さて、日本酒はどんなお米を使って造られるのでしょうか?

 お米の品種はたくさんあって、私たちがよく目にするのは”ごはん”として食べておいしい、コシヒカリ、ササニシキ、ひとめぼれ・・・などですね。
 これとは別に酒造りに適したお米があります。酒造好適米といいます。酒造好適米とは大粒で脂肪やタンパク質が少なく米粒の中心部分にでんぷん質を多く含む心白があり、軟質のものが良いとされています。

 代表的なものとして、山田錦、雄町米、五百万石、たかね錦、八反錦、美山錦、玉栄などがあります。特に吟醸造りに適した酒米の横綱として山田錦、雄町米がよくあげられます。
 晩生種(おくて)の山田錦、雄町米の出穂する8月も末になると農家や酒造関係者は台風がとっても心配だといいます。これらのお米は大粒で背丈が高いためにとても倒れやすいのです。
 また、山田錦や雄町米などは朝夜の温度の差が大きい場所、山間部などが栽培に適しているので、機械化が難しく、農薬に弱かったりと栽培もむずかしい。その為に現在、生産者も少なく生産量も少ない、故に価格も高くなってしまいます。

 酒蔵が良い酒米を入手するのはとても大変なことなのです。良い酒米を手に入れる為に農家との契約栽培や、酒造りは米作りからと自らが米作りに携わったり、忘れられた酒米を復活させての酒造り、これはマンガ「夏子の酒」でみな様もご存知なのでは? また、健康志向などから有機栽培や無農薬の酒米を使った酒造りをされている酒蔵もあります。
 もちろん、酒造好適米だけでは全ての酒造りはまかなえません。精米歩合を高くして一般の食用の自主流通米も多く使われます。しかし、品質に自信を持ち、個性ある自己の酒を醸している酒蔵は酒米にも大きなこだわりをもっています。

 いろいろな苦労をして酒蔵はおいしい日本酒を私たち日本酒ファンのもとに届けてくれるのですね。次に日本酒を買われて手に取られる時には、ぜひそのお酒がどんなお米を使って醸されているか確かめてみられてはいかがでしょう。

 それぞれの酒造好適米の個性的な味わいは日本酒を飲む楽しみをまた一つ増してくれることうけあいです。

お知らせ(1)
『浜千鳥』酒造り体験学習プログラム 稲刈り体験会!

 釜石酒造商会では毎年、酒造り体験学習プログラムを実施しています。今回のプログラムは5月に小原杜氏の水田(石鳥谷町)に植えた酒米「美山錦」の収穫です。
 そこで、私たちと一緒に稲刈りをして下さる方を募集しています。
 このプログラムに参加して酒造りの楽しさを体験してみませんか。

開催日: 平成12年9月10日(日)
参加料: 2,000円(お昼代、etc)
お申込・お問い合わせ: (株)釜石酒造商会 稲刈り体験会係まで
  TEL 0193(23)5613

次回は平成13年2,3月に収穫した美山錦での新酒のしぼり体験だそうです。

お知らせ(2)
幻の日本酒を飲む会・本部 第326回例会 吟醸寄席

幻の日本酒を飲む会ニュース9月号を見てね。

お知らせ(3)
酒一筋トレビアンを楽しむ会

 トレビアン(純米大吟醸)を1990年〜99年まで10年間分を全て楽しもうと言う特別企画。
 ヴィンテージがこれだけ一同に揃うのは、今回が最初で最後かも?
 料理はトレビアンに合う物を酒井シェフにチョイスして頂いております。酒一筋と酒井シェフの競演!
 あなたの思い出の年の酒に出会えるかも・・・。

主催: 利守酒造(株)
日時: 平成12年9月22日(金) 19時開宴
場所: ビストロ・パラザ
  千代田区永田町2-14-2 山王グランドビル1F
参加費: 10,000円
定員: 40名
申し込み先と問い合わせ: 石澤酒店まで

今月の酒・味だより

府中誉・太平海びん囲い吟醸(生)

 1800mlのみ・・・3,000円
 とてもフルーティーな香りとやさしい口当たりの中口タイプ。すっきりと楽しめます。

富久長ひやおろし純米吟造(ぎんぞう)

 1800mlのみ・・・2,650円
 やわらかくフルーティーな香り、ふくらみもあり力強く引きしまった辛口の酒。
 吟醸ではなく「吟造」、広島杜氏の古くからの言葉で今も古い杜氏さんは吟醸と言わずに「吟造」、「吟造酒」と言うそうです。なんだか美味しい酒を造りたいという情熱のこもったいい言葉ですね。

満寿泉・酒仙一献純米吟醸

 720ml・・・1,750円、1800ml・・・3,250円
 満寿泉の季節のお酒です。
 クリーミィな香り、お米の旨みがしっかりとそしてやわらかく口中に広がってスッと消えてゆきます。
 秋の味覚、旨いものとピッタリです。キンキンに冷えているよりも、少し瓶が汗をかいたくらいから始めてやって下さい。
 つい、もう一杯と手ののびるお酒。

酒一筋吟醸  この夏の新商品

 1800mlのみ・・・2,500円
 やや軽めでバランスの良い辛口の酒。食中にぴったりのお酒です。つい盃がすすんでしまう酒。ぬる間もいいです。
 コストパフォーマンスのいい酒です。

諏訪泉・滴翠特別純米ひやおろし

 720ml・・・1,250円、1800ml・・・2,500円
 こうばしさを感じる香り、口中に広がった旨みを、ここちよい酸でスパッと切ってくれます。
 さすが秋の酒”ひやおろし”、やわらかく食中にぴったりです。

とっておき情報

○ もうじき21世紀を迎えます。
 古酒のパイオニア東力士さんが大吟醸古酒ヴィンテージ10年分を180ml瓶で少しづつ楽しめる様に発売する予定です。
 個人的にワクワクしています。詳しい事がわかりしだいまたお伝えします。

○ 富久長さんでは11月に昭和60年より瓶囲いで冷蔵庫に眠っているとっておきの雫大吟古酒を発売する予定です。


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