昭和19年の夏に書かれた戦前最後の作である『不律』以外は、全て敗戦後1年間に書かれています。この1年間は100年にも200年にも相当するような経験でしたが、その苦しい時代の作者のこころの日誌のような短編集となっています。掲載された9作の全てのモチーフに愛情があったために、タイトルを『愛情』としました。
また、巻中の作家持岡は『戯に恋はすまじ』の主人公でもありますが、後者は持岡自身が主人公なのに対し、こちらは持岡の末弟茂が多く主人公となっています。
全254頁
1946年12月20日 発行
定価 35円
文化書院
絶版
【 掲載作品 】
不律 鳩 若い人達 母の愛情 家 真珠
空腹の詩 あの日この日 八重垣姫