日本で開催された世界ペンの大会について、当時会長だった芹沢氏がインタビューに答えています。

「巴里に死す」出版予告
理解する機会

この1ヶ月で東京と京都で開催される世界ペンクラブ大会は、間違いなく日本文学に関するヨーロッパ人およびアメリカ人の理解を深くする好機を提示するでしょう。1951年にスイスのローザンヌで開かれた世界ペンクラブ大会に参加した時にも、日本に現代小説が存在するのを知って驚いたと告白したあるヨーロッパの作家がいました。この事は、和歌や俳句をのぞいた日本文学がいかに外国に伝わっていないかを雄弁にもの語っています。それには言葉の壁が大きな理由になっているでしょう。この会議が諸外国に、日本の近代文学を知ってもらうきっかけとなることを期待しています。日本の文壇は、このつながりでの躊躇を感じる必要がありません。彼らは、日本文学が外国人に理解されない多くの要素を持っているという誤った考えを振りはらうべきです。私は、外国文学の進歩に貢献できる何かが日本文学にあると確信しています。

(中略)

世界ペンクラブ大会の真義は、準備された協議事項に関する形式上の議論にはありません。もっとも重要なことは何か、それは参加する作家たちが他国の文学に触れることだと思うのです。毎年の世界ペンクラブ大会は、世界の文学リーダーたちの心の交流の場を提供します。私たちが人類の将来が脅かされると思わざるをえないこの時に、 平和および核爆弾のような人を動かさずにはおかない問題をそれぞれの文筆活動に反映する方法についての議論が促進されたと次回の参加者が感じるようにしなければなりません。