/// 七草粥と東林院、小豆粥の会  ///  (02/01/03)

 一月七日は人日の節句。五節句の内で同じ数字が並ぶ唯一の
例外が人日の節句です。

1月7日、人日(じんじつ)の節句
3月3日、上巳(じょうみ・じょうし)の節句−ひなまつり
5月5日、端午(たんご)の節句−子供の日
7月7日、七夕(たなばた)の節句−七夕
9月9日、重陽(ちょうよう)の節句

 節句は元々、中国から伝わった伝説を元にしていたり、宮中や
幕府の行事として伝わるものが、姿、形を変えて庶民へと広まり
その地域の風土にかなう形で伝承されてきたものです。

明治期になり一般には祝日が制定されたので五節句という形では
廃れてゆきますが、ひなまつり、子供の日、七夕は一般に今に
伝わる行事となっています。

 人日とは「人の日」、中国は前漢の時代、一月七日に人を
もって吉凶を占ったと云います。ここから人の日には邪気を
祓うために、七草の入った粥を食べ、一年の無事を祈ったのだ
とも云われています。

このように中国より伝わった七草粥ですが、当初は七種粥と書き、
七種(ななくさ)の穀物で作られたという話もあります。
米、粟、きび、ひえ、みの、胡麻、小豆がそれで、今に伝わる、
せり、なずな、ごきょう、はこべら、仏の座、すずな、すずしろ、
が使われるようになったのは鎌倉時代になってからだと
云われています。 

京都では七草粥を作る六日の晩には、まな板の上に火箸、すりこぎ、
おろし金、杓子、割薪菜箸、火吹竹を並べ、七草を刻みながら
「七草ばやし」を歌うことが伝わっています。

右手に包丁、左手に火箸とすりこぎを握り、「七草ナズナ、唐土
(とんど)の鳥と日本の鳥と渡らぬ先に、七草ナズナ」と
囃(はや)し、一種ついて七回、都合四十九回、まな板の七草を
叩き、これを粥に入れて七草粥とし食するとあります。
これが京都にだけ伝わる風習なのかどうかは判りませんが…

唐土の鳥というのは、鬼車鳥などと呼ばれ、疫病を運ぶ鳥とされて
いました。この害鳥を追い払って、その年の豊作を願う思いが
七草粥の行事と結びついたのかも知れません。 

ちなみに今に伝わる七草には次のような意味が込められて
いるそうです。
セリ      :競り勝つ  ナズナ    :撫でて汚れを除く
ゴギョウ(御形):仏体    ハコベ    :繁栄が蔓延る。
ホトケノザ   :仏の安座  スズナ(カブ):神を呼ぶ鈴
スズシロ(大根):汚れのない清白を表す。

また東林院では「小豆粥の会」が催されます。
こちらは古来の七種粥を今に伝えているのでしょうか、新暦に
生きる私達では春の七草を摘む時期ではないですが、旧暦で考えて
みると、若芽も出る頃なのかなと思います。

季節感が失われがちな現代社会ですが、ふと季節の風に思いを
めぐらせてみるのもよいかも知れません。

▼ 妙心寺東林院の小豆粥の会(2002年)

項目:小豆粥の会
日時:平成14年1月8日(火)〜27日(日)、11:00〜15:00 
場所:妙心寺東林院、075-463-1334
交通:JR京都駅より市バス26系統、妙心寺北門前下車、徒歩5分。
   JR京都駅より嵯峨野山陰線、花園駅下車徒歩10分の方が
   早いと思います。
備考:梅湯茶礼、小豆粥、精進料理、他に大般若札と人数に限りが
   ありますが、東林院のセンリョウの種が贈られます。
   一名3,500円。

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