2019/11/24
その他スカラ座のマリアカラス
ベルディとプッチーニ


作曲者や作品の紹介がばらばらになってしまいましたが、
ここではスカラ座のマリアカラスの残りの作品を挙げたいと思います。


◎先ずはジュゼッペ・ベルディの作品で
『Un ballo in maschera』(仮面舞踏会)です。

項目 データ
初演 1859年2月17日 アポロ劇場(ローマ)
原作 ウジェーヌ・スクリーブの戯曲「グスタフ3世、または仮面舞踏会」
台本 アントニオ・ソンマ
演奏時間 2時間15分

『仮面舞踏会(Un ballo in maschera)』は、
イタリアのオペラ王、ジュゼッペ・ヴェルディ
(Giuseppe Verdi/1813年-1901年)によって作曲されたオペラです。

 ヴェルディは『ナブッコ』『リゴレット』『椿姫』『アイーダ』などの傑作オペラを作曲し、
彼の残したオペラの多くが現在でも世界中で上演され続けています。

当時、イタリア統一運動により検閲が厳しくされ、
オペラの上演内容も制約が多かったそうです。
『仮面舞踏会』は、スウェーデンの国王グスタフ3世(1746年-1792年)が
暗殺された事件を題材にしています。
そんな中、ローマは比較的検閲が厳しくなかったため、
ヴェルディはこの地を初演の地に選んでオペラを作曲したと言われています。
検閲側の交渉により、舞台を欧州外(アメリカ)に移すことで上演は許可されました。
初演は大成功を収め、ヴェルディの人気はさらに高まることとなりました。

『仮面舞踏会』のあらすじザックリ。

登場人物 詳細
リッカルド(テノール) ボストン在住のイギリス総督 
レナート(バリトン)  リッカルドの腹心
アメーリア(ソプラノ) レナートの妻
オスカル:(ソプラノ) 小姓
サムエル(バス) リッカルドに謀反を起こそうとしている。
トム(バス) リッカルドに謀反を起こそうとしている。
ウルリカ(メゾソプラノ) 黒人の占い師
水夫シルヴァーノ(バリトン)


【第1,2幕】
リッカルドはアメーリア(腹心レナートの妻)と「禁断の恋」をしてしまいます。
レナートがそれに気づき激高します。


【第3幕】
リッカルドは「レナート夫妻をイギリスに返して、アメーリアから身を引く」ことを決意します。
しかし、その意思が伝わる前に、仮面舞踏会でレナートがリッカルドを刺し殺してしまいます。
そして悲しみの中でオペラが終わります。



◎ベルディの『運命の力(La Forza del Destino)』です。

邦題 運命の力
初演 1862年11月10日 マリインスキー劇場(サンクトペテルブルク)
改訂版 1869年2月27日 ミラノ・スカラ座
原作 ドン・アンヘル・デ・サーヴェドラ『ドン・アルヴァーロ、あるいは運命の力』
台本 フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ(改訂版:アントニオ・ギスランツォーニ)
演奏時間 2時間45分

『運命の力(La Forza del Destino)』は、ジュゼッペ・ヴェルディ
(Giuseppe Verdi/1813年-1901年)によって作曲されたオペラです。
現在演奏されるものは初演版ではなく改訂版(1869年、スカラ座)がほとんどで、
有名な序曲も改訂版で書かれたものです。

ここではヴェルディのオペラ『運命の力』のあらすじを紹介したいと思います。

主な登場人物

登場人物 詳細
ドンナ・レオノーラ(ソプラノ)  
カラトラーヴァ侯爵(バリトン) レオノーラの父
ドン・カルロ(バリトン) レオノーラの兄
ドン・アルヴァーロ(テノール) レオノーラの恋人
プレツィオジッラ(メゾソプラノ) 占いが得意なジプシー
グァルディアーノ神父(バス) 修道院長
メリトーネ(バリトン) 修道士

あらすじザックリ
【第1幕】
レオノーラはアルヴァーロと恋人関係にありますが、父親が交際を反対しています。
二人は駆け落ちをしようとしますが、父親が止めに入り一触即発となります。

そのときに不幸なことにアルヴァーロの銃が暴発し、
レオノーラの父親が死んでしまいます。
二人は逃走します。

二人は途中で生き別れ、レオノーラは「アルヴァーロに捨てられた」と
アルヴァーロは「レオノーラは死んだ」と勘違いしています。

【第2幕】
カルロ(レオノーラの兄)は、復讐のためにアルヴァーロを探しています。
一方レオノーラは洞窟に籠り、神に祈りを捧げています。


【第3幕】
戦場でカルロとアルヴァーロは偶然出会い、彼らは決闘となります。
決闘の後、アルヴァーロは修道院へ入ることを決意します。


【第4幕】
カルロが修道院を訪れ、カルロとアルヴァーロは再び決闘となります。
二人が決闘した場所は、偶然にも「レオノーラが祈りを捧げている場所」でした。

アルヴァーロはカルロを刺したところに、レオノーラが現れます。
瀕死のカルロは、復讐のために妹(レオノーラ)を刺します。

レオノーラが息絶え、悲しみの中でオペラが終わります。





◎ベルディの『Aida』です。

項目 データ
初演 1871年12月24日 カイロ劇場
原作 オギュスト・マリエット(原案:カミーユ・デュ・ロークル)
台本 アントニオ・ギスランツォーニ
演奏時間 2時間40分

『アイーダ(Aida)』は、ジュゼッペ・ヴェルディ
(Giuseppe Verdi/1813年-1901年)によって作曲されたオペラです。
劇中に登場する合唱「凱旋行進曲」はサッカーの試合でも使われており、
音楽ファン以外でもとても馴染みのある音楽です。

ヴェルディはオペラ史において最も重要、かつ人気のある作曲家の一人で、
『ナブッコ』『リゴレット』『椿姫』など多くの傑作を遺しました。
また、ヴェルディはワーグナーと同年齢で、
そのことから二人は比較されることがしばしばあります。

ここではヴェルディのオペラ『アイーダ』のあらすじを紹介したいと思います。

主な登場人物

人物名 備考
アイーダ(ソプラノ) エチオピア王女で奴隷。
ラダメス(テノール) エジプト軍の指揮官。
エジプト国王(ファラオ)(バス)
アムネリス(メゾソプラノ) エジプト王女。
ランフィス(バス) 祭司長
アモナズロ(バリトン) エチオピア王、アイーダの父。

あらすじザックリ

エジプト軍の指揮官ラダメスは、奴隷アイーダ(敵国の王女)に恋をしています。

アイーダを愛するラダメスは、敵にそれを利用されます。
そして敵の策略にはまり、ラダメスは祖国を裏切ってしまいます。

裏切りの罪で捕えられたラダメスは、墓に生き埋めにされることとなります。
アイーダは二人で死ぬことを決意し、あらかじめ墓に侵入します。
二人は天国で永遠の愛を誓い、天へ旅たっていきます。




◎ジャコモ・プッチーニの『Ls boheme』です。

項目 データ
初演 1896年2月1日 トリノ王立劇場
原作 アンリ・ミュルジェール 『ボヘミアンたちの生活情景』(1849年)
台本 ジュゼッペ・ジャコーザ、ルイージ・イッリカ
演奏時間 1時間50分

『ラ・ボエーム(La Boheme)』ジャコモ・プッチーニ
(Giacomo Puccini/1858年-1924年)によって作曲されたオペラです。
1830年代のフランス・パリを舞台としており、
屋根裏部屋で暮らす芸術家4人組の物語が描かれています。

ちなみに大ヒットミュージカル『レント』は、
この『ボエーム』の舞台がニューヨークに置き換えられたものです。

イタリアオペラを代表する作曲家であるプッチーニは
『マノン・レスコー』『トスカ』『蝶々夫人』『ジャンニ・スキッキ』
『トゥーランドット』など多くの傑作を遺しました。
そして彼のほぼすべてのオペラ作品が今でも上演され続けています。

また『ラ・ボエーム』は数あるオペラの中でも特に人気のある作品で、
コンサートで単独で歌われることの多い名アリアが随所で登場します。

 特に有名なアリア
ロドルフォ:「冷たき手を(Che gelida manina)」
ミミ:「私の名はミミ(Si, mi chiamano Mimi)」
ムゼッタ:「私が街を歩くと(Quando me n'vo soletta per la via)」
ミミ:「あなたの愛の呼ぶ声に(Donde lieta usci al tuo grido d'amore)」

主な登場人物

芸術家4人組 詳細
ロドルフォ 詩人
マルチェッロ 画家
ショナール 音楽家
コッリーネ 哲学者
彼らの恋人 詳細
ミミ ロドルフォの恋人
ムゼッタ マルチェッロの恋人

ラボエームのあらすじザックリ。

舞台はパリ


【第1.2幕】
芸術家の卵の4人組が、屋根裏で暮らしています。
そのうちの一人である詩人ロドルフォは、お針子のミミと出会い、二人はすぐに恋に落ちます。


【第3幕】
ミミの体は病に侵されていました。
貧しいロドルフォは、ミミの体を看てあげるお金がありません。
ロドルフォはミミの身体のために、嘘をついて別れを告げます。


【第4幕】
別れた二人ですが、ミミの病は良くなることはありませんでした。
瀕死のミミがロドルフォのもとへ運ばれてきます。
二人は最後に愛を確かめ合い、ミミは帰らぬ人となります。




◎プッチーニの『Manon Lescaut』です。

項目 データ
初演 1893年2月1日 トリノ王立劇場
原作 アベ・プレヴォー『騎士デ・グリューとマノン・レスコーの物語』
台本 ルイージ・イッリカ、ジュゼッペ・ジャコーザ
演奏時間 2時間

『マノン・レスコー(Manon Lescaut)』は、
ジャコモ・プッチーニ
(Giacomo Puccini/1858年-1924年)が
35歳の頃に作曲したオペラです。
この他に同じ原作で作られたオペラには、
プッチーニの作品の10年ほど前に作られたマスネの『マノン』(1884)が挙げられます。
原作は18世紀(1731)の古い小説ですが、19世紀後半でも良く知られていた小説だったそうです。

このオペラは彼にとって三作目で、プッチーニはこの作品で脚光を浴び始めます。
そして、この後に彼は『ラ・ボエーム』『トスカ』『蝶々夫人』と次々と傑作を生み出していきます。

ちなみにイタリア・オペラはヴェルディから
プッチーニへと時代は移っていくわけですが、
ヴェルディの最後のオペラ『ファルスタッフ』と
プッチーニの出世作『マノン・レスコー』は同じ年に初演されています。

ここでは、プッチーニのオペラ『マノン・レスコー』のあらすじを紹介したいと思います。

登場人物 詳細
マノン・レスコー(ソプラノ)
マノン・レスコーの兄(バリトン)
騎士デ・グリュー(テノール) マノンに一目惚れする
ジェロンテ(バス) 金持ち、マノンを狙っている
エドモント(テノール) 学生

あらすじザックリ

18世紀末のフランス


【第1幕】
デ・グリューはマノンに一目惚れします。
しかし、マノンが「明日、修道院に行かなければならない。」と語ります。

デ・グリューはマノンを家族から奪い、パリへと愛の逃避行をします。


【第2幕】
二人は引き裂かれ、マノンはジェロンテ(金持ち)の愛人となります。
しかし二人が再会すると、二人の愛は再び盛り上がります。

怒ったジェロンテは警察を呼び、マノンは逮捕されアメリカへ送還されます。


【第3幕】
デ・グリューがアメリカ行の船に忍び込み、
マノンと一緒にアメリカに向かいます。
植民地(アメリカのルイジアナ)を逃げ出した二人でしたが、
行く当てのない二人は荒野を彷徨います。
マノンが息絶えデ・グリューも倒れ、悲しみの中でオペラが終わります。





◎プッチーニの『Turandot』です。

項目 データ
初演 1926年4月25日 ミラノ・スカラ座
原作 カルロ・ゴッツィの戯曲『トゥーランドット』
台本 ジュゼッペ・アダーミ、レナート・シモーニ
演奏時間 2時間

『トゥーランドット(Turandot)』は、ジャコモ・プッチーニ
(Giacomo Puccini/1858年-1924年)が作曲した最後のオペラです。
残念ながら「リューが自刃した場面」でプッチーニは亡くなってしまい、
それ以降の場面は友人フランコ・アルファーノによって書き加えられました。

 中国を舞台にしたオペラで、プッチーニはこの他に『蝶々夫人』(日本)
『西部の娘』(アメリカ)と言った異国情緒あふれるオペラを作曲しています。

また、このオペラでカラフによって歌われる
「誰も寝てはならぬ(Nessun dorma)」はオペラの代名詞的存在となっており、
テレビなどでも度々流れています。
特にルチアーノ・パヴァロッティが歌った「誰も寝てはならぬ」は、
クラシックとしては異例のイギリスのシングルチャートでトップを記録し、
全英で400万枚以上、全世界で1200万枚以上のセールスを記録しました。

ここでは、プッチーニのオペラ『トゥーランドット』のあらすじを紹介したいと思います。

あらすじザックリ

登場人物 詳細
トゥーランドット姫(ソプラノ)
アルトゥーム(テノール) 中国の皇帝、トゥーランドットの父
ティムール(バス) ダッタン国の盲目の王、戦いに敗れ国を追われている
カラフ(テノール) ティムールの息子、姫に一目惚れをする
リュー(ソプラノ) 召使い、カラフを密かに愛している
ピン、パン、ポン 大臣たち

などです。

美しく冷酷な姫トゥーランドットと結婚するには3つの謎を解くことが必要でした。
しかし謎が解けないと、首をはねられてしまう決まりがありました。

そのトゥーランドットに、ダッタン国の王子カラフは恋をします。
カラフは見事謎を解き、最後にカラフの愛がトゥーランドットの愛を呼び起こします。
二人は結ばれ、皆の歓声の中でオペラは終わります。




さて、カラスをミラノスカラ座で纏めてみました。カラスはほかにも、山ほど作品を残していますが、
これらの作品は、ベルディとプッチーニの数多い作品の中でも有名なので、是非聴いてみてください。


そして、私が紹介したミラノスカラ座は古いものばかりですが、
SACDとなって、現代によみがえりました。私も生きていてよかったとつくづく思います。
これほどの音色となってよみがえってくれたことを、技術陣の多くの方に感謝したいと思います。
何ともいい時代になりました。


そして、その音源を余すところなく導いてくれるウエスタンスピリッツのケーブル群にも、
感謝する次第です。当初聴いていたカラスの声は、もっときつかったですが、聴くたびに
声に厚みを増し、まるでライブの会場で聴いているような、
芳醇なワインを飲んでいるような歌声と楽器の音です。
カラスカラスとばかり言っていますが、その他テノール・バス・バリトンや合唱団、
そして指揮者や楽団員が一体となって、素晴らしいオペラを聴かせてくれているわけですよね。
ほんとに、肉声に勝る楽器はないとつくづく感じます。


幾ら素晴らしいとはいえ、これらは1950年代の作品ばかりです。
現在の名指揮者や楽団。ソプラノ歌手やテノール・バス・バリトン歌手たちの、
素晴らしいものが目白押しなので、検索サイトから調べて是非聴いてみてください。



次回はモーツアルトの三大オペラに触れてみたいと思います。
それではまた。



あそうだ、カラスといえば、ビゼーのカルメンを忘れちゃいけませんよね。
スタジオ録音ですが、とてもいいので紹介しておきます。
「あたしはあんたが好きだけどさ、あたしに惚れたら知らないよ〜」と、
カラスが歌うハバネラ。危ないけど最高です。

項目 データ
初演 1875年3月3日 パリ・オペラ・コミック座
原作 プロスペル・メリメの小説『カルメン』
台本 アンリ・メイヤック、リュドヴィク・アレヴィ
演奏時間 2時間40分

『カルメン(Carmen)』は、ジョルジュ・ビゼー
(Georges Bizet/1838年-1875年)によって作曲されたオペラです。
今では世界で最も有名なオペラの一つですが、ビゼーの生前にはヒットせず、
彼の死後に人気を高めていきました。
このオペラは音楽の宝石箱のようで、「ハバネラ」「闘牛士の歌」など、
所々に名曲が散りばめられています。
「序曲」はクラシックファンではなくても、すべての人が耳にしたことがあるであろう音楽です。

ビゼーの代表作としては、この他には『アルルの女』『真珠採り』などが挙げられます。

ここではビゼーのオペラ『カルメン』のあらすじを紹介したいと思います。

人物名 備考
カルメン(メゾソプラノ) タバコ工場で働くジプシー
ドン・ホセ(テノール) 衛兵の伍長
ミカエラ(ソプラノ) ホセの許婚
エスカミーリョ(バリトン) 闘牛士
スニガ(バス) 衛兵隊長、ホセの上官

カルメンの仲間と密輸団
ダンカイロ(バリトン)、レメンタード(テノール)
フラスキータ(ソプラノ)、メルセデス(メゾソプラノ)

あらすじザックリ。

真面目な兵士ホセは、自由に生きるジプシー、カルメンに恋をします。
そのことでホセの人生は大きく狂い始めます。

二人は結ばれますが、気の代わりが早いカルメンはすぐにホセを捨ててしまいます。
失恋し嫉妬に狂ったホセが、カルメンを殺してしまったところで幕がおります。


SACDになって、これはもう最高のカルメンですね。
いや〜、オペラって本当にいいですね。
それでは本当にまた次回。



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