今年も事故が多いです。ぜひ慎重なダイビングと注意を


 ことし8月22日まで、全国で起きた事故のうち、何からの形で報道された事故を集計してみました。

■事故発生件数 17件

■事故遭遇者数 22人

■死者 13人

■死者の年齢層

 15−19歳・・・1人
 29−24歳
 25−29歳・・・1人
 30−34歳・・・1人
 35−39歳
 40−44歳・・・1人(女性)
 45−49歳
 50−54歳・・・3人
 55−59歳・・・2人
 60−64歳・・・2人(内1人女性)
 65−69歳・・・2人

■都道府県別事故発生状況
  ※例年沖縄県は年の前半に事故発生が偏っているため、ここまでの沖縄県の事故件数が多いことは季節的要因もあるものと考えられます。

 都道府県  事故発生件数 内死亡事故数 事故者総数 内死亡者数
   沖縄       6件        3件      11人      3人
   静岡       3件        3件       3人       3人
   和歌山     2件        1件       2人       1人
   北海道     1件        1件       1人       1人
   三重       1件        1件       1人       1人
   千葉       1件        1件       1人       1人
   鹿児島     1件        1件       1人       1人
   長崎       1件        1件       1人       1人
   福井       1件        1件       1人       1人  

□コメント

 このデータを見ても、40歳以上の中高年の方々の死亡者が13人中10人を占め、大変な高率です。また今年は女性の死者は2人と、男性に比べて圧倒的に少ないですが、それでも40歳以上です。

 ダイビングのリスクは、体調の問題もあります。しかもその装備は陸上では重く、ウェットスーツで全身が絞められますし、水中ではさらに水圧や他のストレスも生じます。それは体調の問題をさらに大きくすることもあると考えられます。
 また今期の事故では、必ずしもインストラクターの同行するダイビングばかりでなく、自己ダイビング中の事故も少なくないようです。

 ダイビングを行う皆さん。くれぐれも慎重な準備で安全なダイビングを行ってください。またプロの側の方も、中高年のさまざまなリスクを考慮した安全管理や指導をお願いします。

 8月の休みはさらに今月末にあります。そしてこれまでの統計で、事故時に最も死亡・行方不明者発生率が大きな9月には、今年は大型連休があります。
 上で示した今年8月22日までの死者数(最終的な行方不明者はいなかった)のグラフをもう一度見てください。次のグラフのパターンと同じであることに気づくと思います。


(拙著「商品スポーツ事故の法的責任」信山社から)

 以上のデータを見ても、今年もダイビングの事故が多いことについて、そして例年9月は特に深刻な注意を要する月であり、今年の傾向もこれが続く可能性は否定できず、高い確率で、どこかで誰かが命を落とすことにかもしれないということです。しかし過去の事故の状況を見ると、人為的な要因で最悪の事態となっている事故が多くあります。まず、体験・講習・ガイドダイビング時のインストラクターの常時注意義務の履行の程度、トラブル時の全体の安全のための行動を優先したリーダーシップ、ボートを空にせずに見張りを置くこと、参加ダイバーのバディシステムの厳格な管理、ボート上への救急用酸素の常備、漂流事故用のレーダー反応型フロートの全員への装備、通信手段の確保(一般の携帯が通じない所なら船舶無線か衛星携帯電話の装備、そしてダイバーそれぞれには、体調の管理、見栄の放棄、安全を楽しみより優先する勇気、バディシステムの厳守、冒険(風)ダイビングの自粛、事前の安全情報の収集などです。
 これらの注意事項の公開を通じた注意の喚起は、一般社会や関係業界で、事故の予防のために積極的にキャンペーンなどを通じて行うべきことと思いますが、そういったことはなかなか行われないようで、そんなことを言う者が楽しいムードを壊すと排斥されるような傾向もまだなくなってはいないようです。。
 ダイバーの皆さん、どうかくれぐれも油断せず、楽しみの前に慎重な準備を行って、良き思い出ができるダイビングをしてください。


平成21年8月23日
        24日一部改訂

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