バディの条件を考える


これまで身近にいるはずのバディに見失われて死亡しているダイバーは、本当にたくさんいます。そしてそのような事故の後には、事故に遭った側の方が「いつのまにかいなくなった。」「気づいたらいなかった。」などと言われます。これは全てに当てはまる事例なのでしょうか?
バディとなった者同士は「単に潜水から浮上までに限られるものではなく、潜水器具の準備、計画の立案から潜水後の上陸まで行動を共にし、その間相手のバディに危険が生じたときは必要な救護、援助措置をとることが義務づけられている」ことを忘れてはいけません。

いろんな特徴を考える 

少しだけ、思いつくままに書いてみました。もちろんこれがすべてではありませんし、これがいつも正しいとは限らないでしょう。あくまでも一つの参考として見てください。

1.何でも前向き一辺倒の考えの人や楽観主義者の人がこんな考え方をもし押しつけてきたら・・・効果的な危険の予見やその対策は、行きすぎた前向きや楽観主義的な考え方からは基本的に生まれてこないのではと考えられるかもしれません。

2.きまぐれな人・・・バディとしてやるべきことを、あるとき、「まあいいや」と考えてしまうかもしれません。

3.「海が好きだ」だけの人。あるいはそう思わせる人・・・ダイビングでは、海を「好き」より「敬服した畏れ」の感情を持った人の方がリスクを減らせそうな気がします。

4.「だって」が口癖の人・・・だって、、、

5.安全に関する話題を無視、軽視、話題のすり替え、などを行って、これを気にする人をのけ者にしようとしたり、ちゃかして笑おうとしたり、安全のための配慮や行動の準備を「めんどうだし」「いいじゃない」などと言って自分だけでなく周りに対してもチャラチャラした気分を蔓延させてします人・・・こうされると、安全に配慮しながら楽しむ(安全を優先する気持ち)心がくじけてしまいそうな気がします。もっとも、くじけさせることを楽しんでいるのかもしれませんが。

6.自分のダイビングだけに夢中な人・・・当人が魚の観察や写真・ビデオの撮影に夢中になったときに、バディへの注意をおろそかにすることを躊躇しなかったり、いろいろと「しかたがないじゃない」と言われてしまったり。

7.ダイビングビジネスと「指導団体」に宗教的情熱を持ちすぎている人・・・ダイビングは宗教ではないと思います。「指導団体」のポリシー(そこに事業者としての安全に関する責任意識を明確に宣言していますか?あればいいのですが。またなくては困るのですが。)の信奉者をナントカ教と言われる昔話があったような。宗教的熱狂には、他者の巻き込み願望や自己正当化のための絶対化や、いろいろありますが、もっと冷静になってダイビングを大好きになるというのはどうでしょうか。

8.自分の潜水技量を過信している人・・・二重遭難となったり、大切な時に逃げたり、恐れが強すぎて思考停止になったりということがあるかも。

9.ダイビングで優越感を感じたい人・・・無害な優越感ならだれもが楽しめる感覚なのですが。

10.あなたに依存しすぎる人・・・自立と相互の助け合いがバディのあるべき姿かと思うのですが。

11.手抜きの講習を受けてきた人。またさらに悪いことはそれを自覚していない人・・・いろんな意味で怖いです。

12.相手に感謝ができない人。「ありがとう」が自然に言えない人・・・バディとして相手に配慮しても素直な感謝すらないと、それによってギクシャクして溝ができることもありがちで、大切なバディシステムが十分に機能しなくなるかも。

13.ダイビングの場で、その能力や個性の如何にかかわらず、「リーダー」になりたがり過ぎる人。またリーダーシップの発揮を自己表現や実現の手段としている人・・・ダイビングの場でいつもと違った自分になってリーダーとしてふるまうのが自己実現と思っていられると、周りが大変だと感じることもあるそうです。

14.ガンガンダイビングが誰に対しても善であるべき思っている人。・・・水圧やその変化への耐性には個々のダイバーそれぞれに大きな個体差があります。これを無視してガンガンダイビングを普遍的価値としての善、あるいは誰にでも「正しい価値」であるべきとしている人や人々は、もしかしたらその”あるべき論”が優越しすぎて他人が危険に遭遇することに配慮が足りなくなってしまう価値観を持っていると言えるのかもしれません。

15.ダイビングマスコミの情報を全部本当だと思っている人。・・・本当のこともあり、そうでない場合もあり、曲解だったり、本来の情報に加工やなにがしかの調整、あるいは何らかの配慮がなされている場合もあります。

16.自分に対しての保険や対人賠償責任保険に入っていない人・・・保険は自分のためだけでなく他人のためでもあるとして準備できていることが大人の対応ではないでしょうか。

17.やさぐれている人・・・うーん。

18.何でも触ってみたがる人・・・好奇心の誘惑に負けて、ウツボの穴に手を突っ込んでかまれたり、毒のある生物に触れたりされると面倒です。自らの無鉄砲さからくる好奇心から、積極的に事故に遭った人のしりぬぐいをさせられるのは大変です。自分のバカでバディに余計な面倒をかけないようなくらいの配慮ができる人がいいですね。

19.これらの本やその内容を嫌がる人・・・どんな信念をもっている方でも、事故が起きている事実から目をそむけてはその信念に陰りが見えるのではないでしょうか。
「忘れてはいけない ダイビング セーフティ ブック」 
「商品スポーツ事故の法的責任」
「ダイビングの事故・法的責任と問題」
「ダイビング事故とリスクマネジメント」
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勝手な考えで言いすぎたところはごめんなさい。お詫びします。


良いバディは、良いインストラクターやガイドと同じかそれ以上に大切な存在です。
自分自身もそうなるように心がけましょう。

これからの今シーズン、どのダイバーもバディから見失われて死なないように、またどのダイバーもバディを見失って死なせないようにと、本当に心から祈ります。


平成21年5月27日
             5月29日一部訂正

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