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サラウンドデコーダの製作 小高@練馬
1.ステアリングロジックをオンオフし、その効果を確認しました。
2.オリジナルのディスクリート4chとそれをエンコード/デコードしたマトリクス4chの比較をしました。
これにより今回、大きな収穫が得られました。
それは、その中で、ディスクリート4chと山水QSマトリクス4chをブラインド比較して、
“マトリクス4chは音質やセパレーションが悪いと気付くのか?”
という実験を行った時でした。
そこで何と、マトリクス4chの方が悪いと判断しなかった方が約半数もおられ、予想もしない驚きの結果を得られたのです。
特に、今回のマトリクスデコーダはオペアンプを1チャネル当たり十何段も経由するので、最初から諦めていたこともあり、その驚きは尚更でした。
この理由としては、
自作エンコーダ/デコーダの性能が良かったから?
マトリクス方式は音場が滑らかに繋がるので、不自然さ/違和感が少なくなったから?
偶々比較した曲がマトリクス方式に向いていたから?
ディスクリート音源のミックスが下手だったから?
部屋やSP等、環境に影響されたから?
マトリクス方式の欠点を余り伝えず(先入観なし)に実験したから?
ノイズ(ディザ)で細かい音まで聞こえたから?
人間は、鳴り出した瞬間丈で方向を判別/決定してしまうから?
等々、色々と考えられますが…。
結論
マトリクス方式が、(時には、オリジナルのディスクリート4chをも凌駕する)多チャネル音源を伝送できる1方式として実用上問題が少ないことが確認できました。
マトリクス伝送方式以外の多チャネル伝送方式は、ハンドリングが大変悪い(事実上できない)ので、2chと全く同じに扱えるマトリクス伝送方式は、メリットが大きく、標準方式として十分通用すると思われます。
終わりに
マトリクス方式は、方式に依っては、当時、簡易再生機材を提供しただけで撤退したことが災いし、正しく評価されず、技術史から事実上抹消された状況に於いて、改めてその実力が見直されるべきではないでしょうか。
人類の歴史遺産である音楽音源もマトリクスエンコードされたものが多く、それらを正しく再生し、正しく作品を評価し、正しく後世に伝える為にも…。
参考
・山水QS4ch方式のエンコード式
L = 0.924 * LF + 0.383 * RF + 0.924 * LR * i +
0.383 * RR * i
R = 0.383 * LF + 0.924 * RF - 0.383 * LR * i -
0.924 * RR * i
・山水QS4ch方式のデコード式
LF =
L + 0.414 * R
RF =
R + 0.414 * L
LR =
(L - 0.414 * R) * (-i)
RR =
(R - 0.414 * L) * ( i)
山水QS4ch定位改善方式(後方±60゚シフト方式)
LF =
L + 0.414 * R
RF =
R + 0.414 * L
LR = ( L – 0.414 * R ) * (0.5 - 0.866 * i )
RR = ( R – 0.414 * L ) * (0.5 + 0.866 * i )
・ソニーSQ4ch方式のエンコード式
L = LF -0.707 * LR * i + 0.707 * RR
R = RF -0.707 * LR + 0.707 * RR * I
・ソニーSQ4ch方式のデコード式
LF = L
RF = R
LR =
0.707 * L * i - 0.707 * R
RR =
0.707 * L
- 0.707 * R * i
参考資料
今回製作したオーディオ帯域3分割型QS/SQ4chデコーダの正面、内部、ブロック図、回路図です。
補足
配布したレベルメータ用対数変換基板の回路図、部品表、実体図です。