前回: http://www.hi-ho.ne.jp/odaka/quad/sando16.html

次回: http://www.hi-ho.ne.jp/odaka/quad/sando18.html

 

サラウンドデコーダの製作     小高@練馬

 

1.ステアリングロジックをオンオフし、その効果を確認しました。

 

2.オリジナルのディスクリート4chとそれをエンコード/デコードしたマトリクス4chの比較をしました。

 

これにより今回、大きな収穫が得られました。

それは、その中で、ディスクリート4chと山水QSマトリクス4chをブラインド比較して、

“マトリクス4chは音質やセパレーションが悪いと気付くのか?”

という実験を行った時でした。

そこで何と、マトリクス4chの方が悪いと判断しなかった方が約半数もおられ、予想もしない驚きの結果を得られたのです。

特に、今回のマトリクスデコーダはオペアンプを1チャネル当たり十何段も経由するので、最初から諦めていたこともあり、その驚きは尚更でした。

 

この理由としては、

自作エンコーダ/デコーダの性能が良かったから?

マトリクス方式は音場が滑らかに繋がるので、不自然さ/違和感が少なくなったから?

偶々比較した曲がマトリクス方式に向いていたから?

ディスクリート音源のミックスが下手だったから?

部屋やSP等、環境に影響されたから?

マトリクス方式の欠点を余り伝えず(先入観なし)に実験したから?

ノイズ(ディザ)で細かい音まで聞こえたから?

人間は、鳴り出した瞬間丈で方向を判別/決定してしまうから?

等々、色々と考えられますが…。

 

 

結論

マトリクス方式が、(時には、オリジナルのディスクリート4chをも凌駕する)多チャネル音源を伝送できる1方式として実用上問題が少ないことが確認できました。

マトリクス伝送方式以外の多チャネル伝送方式は、ハンドリングが大変悪い(事実上できない)ので、2chと全く同じに扱えるマトリクス伝送方式は、メリットが大きく、標準方式として十分通用すると思われます。

 

終わりに

マトリクス方式は、方式に依っては、当時、簡易再生機材を提供しただけで撤退したことが災いし、正しく評価されず、技術史から事実上抹消された状況に於いて、改めてその実力が見直されるべきではないでしょうか。

 人類の歴史遺産である音楽音源もマトリクスエンコードされたものが多く、それらを正しく再生し、正しく作品を評価し、正しく後世に伝える為にも…。

 

参考

・山水QS4ch方式のエンコード式

L = 0.924 * LF + 0.383 * RF + 0.924 * LR * i + 0.383 * RR * i

R = 0.383 * LF + 0.924 * RF - 0.383 * LR * i - 0.924 * RR * i

 

・山水QS4ch方式のデコード式

LF =   L  + 0.414 * R

RF =   R  + 0.414 * L

LR =  (L  - 0.414 * R) * (-i)

RR =  (R  - 0.414 * L) * ( i)

 

 

山水QS4ch定位改善方式(後方±60゚シフト方式)

LF =   L + 0.414 * R

RF =   R + 0.414 * L

LR = ( L – 0.414 * R ) * (0.5 - 0.866 * i )

RR = ( R – 0.414 * L ) * (0.5 + 0.866 * i )

 

・ソニーSQ4ch方式のエンコード式

L = LF -0.707 * LR * i + 0.707 * RR

R = RF -0.707 * LR     + 0.707 * RR * I

 

・ソニーSQ4ch方式のデコード式

LF =          L

RF =          R

LR =  0.707 * L * i - 0.707 * R

RR =  0.707 * L     - 0.707 * R * i

 

参考資料

今回製作したオーディオ帯域3分割型QS/SQ4chデコーダの正面内部ブロック図回路図です。

 

補足

 配布したレベルメータ用対数変換基板の回路図部品表実体図です。

 

QSデコード動作

SQデコード動作