グランディスオオクワガタ (Dorcus grandis grandis) 2006.9.10改訂

グランディスとは「雄大な」「壮大な」という意味です。「雄大」という名のオオクワガタ・それが、「グランディスオオクワガタ」です。オオクワガタの中では最も大きくなる種類のひとつとして有名です。近年、インドから90mmを超える個体が報告され、話題になりました。しかし、飼育下ではなかなか大きな成虫にならず、生息環境も含め、まだまだ謎の多いクワガタです。
産地は「ラオス」、「インド」、「ミャンマー」などが有名です。産地により明確な特徴があります。ラオス産は前胸背板のサイドのラインの前部が直線的です(写真左下)。インド産、ミャンマー産はS字を描いています(写真右下)。何だか台湾オオクワガタの「Gタイプ」と「Cタイプ」みたいですね!台湾オオクワガタも含め、この特徴の理由は未だ解明されておりません。
また、個人的意見ですが、インド産はラオス産よりも光沢が強いように感じます。

共通の特徴は「大きくなる」ことです。80mmオーバーの大型個体がコンスタントに入荷します。そして、大型個体でも内歯が中歯型であるということも特徴です(国産オオクワガタは大型になると大歯へと変化する)。写真の個体は78.5mmとまずまずの大型ですが、完全な中歯型です。

メスは国産オオクワガタと酷似しますが、上翅の点刻がやや薄めです。結果、光沢がやや強いように感じます。しかし、明確に分類する特徴が無い事から、飼育管理には十分な注意が必要です。国産オオクワガタとは近縁種ですので、交雑の危険性があります。飼育者は慎重に管理してください。
性格はやや温厚で、飼育ケースの中でも大人しくしている事が多いようです。そのせいか、寿命も、大型のオスで、3年前後と長生きします。

飼育は、やや暑さに弱いようです。採集される場所は標高1000m-1500mだと聞きます。気温が30℃を超えないように管理できると安心です。最適飼育温度は15℃から26℃の間だと思います。しかし寒さには意外と強いようで、冬季は休眠します。ただし、極端な低温は避けたほうが無難です(12度以上を推奨)。稀に、「我が家では35℃でも平気でした。」というお話を聞きますが、「アンタエウスオオクワガタ」程でないにしろ、生息地の気温から推察すると、日本(東京)の夏はグランディスには暑過ぎるようです。「限界飼育」より、「適切飼育」での管理をお勧めします。また、国産オオクワガタよりも多湿を好みますので、乾燥には特に注意しましょう。

ブリードは近縁のタイワンオオクワガタのように容易ではありません。大型のオスは交尾時、気性が荒くなり、ペアリングが難しい方だと思います。また、メスのコンディションが良くないと、なかなか産卵しません。産卵数も決して多くはありません。産まないときは、水分調節をやり直すか、材を交換して再セットしてみましょう。産卵セットには、太く柔らかい上質材と水分やや多目のマットを使いましょう!私もブリードに苦戦いたしました。

産地によって変わる、前胸背板のサイドラインの比較写真です。左はラオスグランディス、右がインドグランディスです。ラオス産は直線的、インド産は緩やかなS字を描いていますね!

2002年ー2006年は飼育日記はこちら!

2010年の飼育日記はこちら!

2011年 飼育日記
1月13日

昨年末に報告したグランディス夫婦は、なんとか年を越しました。しかし、まさに「虫の息」といった感じです。
オスの元気もありませんが、メスはさらに深刻です。既に爪で脚場を掴む事もままならず、どうにか触覚を動かす事で生命を確認できる状態です。
そして、そんなメスをメイトガードし、寄り添うオスの姿はほほえましいと思います。ただでさえ、メス殺しが頻発するクワガタ飼育の世界ですから・・。しかし、現実はオスも元気が無いという事でしょうか・・・?

2月8日

ラオス産グランディスオオクワガタのメス幼虫が蛹室を作り始めたみたいです。このメス幼虫は前回の菌糸ビン交換時にオスと間違え??1400ccの菌糸ビンに投入した幼虫でした(写真・現在既に蛹化)。
幼虫の体重は18グラムでした。メスとしては大型の個体でした。より大型のメスを目指し、1400ccの菌糸ビンを奢ったつもりです。是非50mmを超えて欲しいものですね!早期羽化のオスも、そろそろ蛹化するかもしれません。
2月22日

ラオスグランディスオオクワガタのオス幼虫(33.5グラム)が蛹室を作った様子です。私の計算からはちょっと早めです。幼虫が採れたのは昨年の7−8月でしたので、もう少し先送りしたかったのですが仕方ありません。
ただ、大きい蛹室を作ってくれましたので少しだけ期待しようと思います。多分今月中に蛹化し・・4月上旬には羽化しそうです。
3月27日

ラオス産グランディスオオクワガタのメスが羽化しました。
体重が18グラムもあるメス幼虫でしたので、思わず1400ccの菌糸ビンで飼育していた個体です。18グラムといえば、国産オオクワガタでしたら、オスの体重です。サイズを正確には測定しませんでしたが、ざっとノギスを当てたところ50mmはありそうです。体幅も広くがっちりとしています。上翅にやや皺はあるものの無事に羽化して何よりです。
体重33.5グラムのオス幼虫も既に蛹化しています。4月中にはオスの羽化も報告できそうです。
5月4日

ラオスグランディスの生育状況は順調です。オス幼虫は1頭を除き無事蛹化しています。本日は蛹室を作らないオス幼虫の菌糸ビンを交換しました。前回の交換時23グラムでしたが今回の計測では33グラムまで上昇しました。メーターは33と33.5の間で迷っていましたので、間違いなく33グラムオーバーですね!期待の幼虫が1頭増えました。
ところで、3月27日の報告で幼虫の羽化予想を4月下旬としましたが、未だに羽化していません。温室の加温中断の影響もあったかもしれません。ただ、蛹は色づいてきましたので、そろそろという感じです。
昨年末から報告しているラオスグランディスの老?夫婦ですが、驚いた事に少し体力が回復したようです。正月の状態は最悪で、メスは今にも息絶えそうでした。しかし本日の様子はやや上向きで、脚どりは鈍いですが、何とか動きまわっています。不思議な感じです。
5月14日

ラオス産グランディス・オオクワガタのオスが羽化しました。
実際にノギスでサイズを測定すると79mm弱といったところでしょうか。80mmに届かなかったのは残念ですが、幼虫時の体重を見ると23グラムしかありませんでした。
必然33.5グラムの幼虫に期待が高まりますね。実は既に羽化しています。プラボトルの外から見る限り羽化不全ではなさそうですので、割り出しが楽しみです。明日15日に割り出し予定です。お楽しみに。
ところで、この血統のメスの多くが羽化を始めています。大型が多く、52mmを筆頭に既に50mm台が4頭出ました。メスの大型化は血統の大型化とリンクしますので重要な要素です。
5月15日

で・で・でたー!!85mmオーバー!
ラオス・グランディスオオクワガタの蛹室を割ると中から巨大な黒い塊が出てきました。「うお!でかい」思わずノギスを当てると85mmを超えています。まだ赤いので正確な測定は次回に持ち越しですが、昨日掘り出した78.5mmと比べても二回りは違う感じです(写真)。
種親は83mmでしたので、親超え達成です。しかし、クワカブで見た叔父さん(種親の兄弟)は87mmもありましたので改めて血統の大切さを認識させられました。
とりあえずはグランディスの自己記録大幅更新(今までは80mm)という事です。
5月29日

前回報告した85mmオーバーと思われるラオスグランディス・オオクワガタの体長を再測定してみました。
測定する前の印象は、正直なところ、掘り出した瞬間の大きさのイメージは無く、何だか縮んだ感じです。果たして本当に種親(83mm)を超えているのでしょうか?ノギスを当てると・・・。
何とか85mmはありました。良かった。ホッとしました。大げさに85mmオーバーを報告しておいて、間違いでは済まされませんよね!でも、羽化後間もない赤い時には87mmくらいありそうでしたよ・・・。
写真は両親との対面です。両親はどうやらボケでいるみたいです。特にメスは臨終と勘違いさせるポーズ・天を仰いだまま固まっています。刺激を与えると元気を取り戻し、動き回りますが明らかにボケ老虫状態です。オスも反応が鈍く老衰を感じさせます。体重も軽くなりました。どこまで頑張れるのでしょうか?

6月25日

残念な報告です。5月4日にレポートした33グラムオーバーのグランディス幼虫は蛹化後、原因不明の死を遂げました。
本日・定時の見回りで、蛹室の底面に張り付いて動かない蛹に危機感を抱き、掘り出しました。予想通り蛹は変色し、ピクリとも動きませんでした。
このご時世ながら、温度管理はエアコンで行い、菌糸ビンは多少は劣化はしていたものの、最悪の状況ではありませんでした。しかし結果は敗北です。結果論ですが、蛹室の状況から思うに、人工蛹室もありだったかもしれません。
これで今年のグランディスは終了です。無事羽化したオスは3頭で、85mmを筆頭に81mm、78mmという結果でした。
メスは順調で50mmオーバーが5頭程出てきました。

8月9日

昨年から報告している、ラオス・グランディス夫婦は現在も「よぼよぼ」ながら生きています。
写真の通り、ひっくり返り、「死に体」に見せていますが、餌を交換するとムックリと起き上がり餌を食べ始めます。
オス、メスともに2009年春の羽化ですが昨年夏頃からへろへろ状態でここまでやってきました。しかし、そろそろお迎えが来そうな気配です。
9月22日

ご好評につき、「へろへろグランディス」の報告をさせていただきます。「へろへろグランディス夫婦」は夏を乗り切ったようです。飼育者を嘲笑うかのように、夫婦でゾンビのポーズを見せて驚かせます(写真)。動作はスローなのですが、餌をよく食べ、一応元気です。
これらの症状は何かの病気なのでしょうか?2009年羽化の夫婦が1年後にへろへろになり、私は羽化日詐称と思いました。しかし、その後1年半も生きているという現実。「へろへろ病」に感染したと解釈するのが最も解りやすいですね。でもへろへろ病のせいか、夫婦は円満です!

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