● Part4 4/2(7日目)〜4/3(8日目)
4/2(水)晴れ
5時45分頃に目覚めるが、しばらくシュラフの中でボーッとする。今朝も、谷あいに山寺の鐘の音が鳴り響いている。今日は、四国に渡るぞっ!
九州〜四国間で最も安いフェリーに乗るため、佐賀関に向けて走り出す。大分の市街に入る頃にちょうど朝の通勤ラッシュ時になってしまった。田舎道ばかり走っていたので、久々の車だらけの道路を、こわごわ・よたよた走る。
9時半頃、フェリー乗り場に到着。出航が11時だから、たっぷり時間がある。早めではあるけど、10時頃、昼めしにする。やたらめったら腹が減るのは、身体がツーリングになじんできた証拠だっ、とうれしくなる。道ばたに座りこんで、ラーメンを作る。あたたかい日差しの中で食うめしはうまい!そして、今回のツーリング中で一番旨いコーヒーをたてることができた。ブラジルの苦みが心地よい。やっぱりオフローダーはブラジルだぜ!!
フェリーに乗り込み、出航だ。船内ではヒッチハイクしながら旅行をしている外人の兄ちゃんと話をする。(もちろん、日本語で)
さぁ、四国上陸だ。港から「TECH
E.R. 九州ミーティング」に、とうとう現れなかった安立先輩の家に電話してみる。なんと安立先輩本人が電話に出た。
「先輩、どーして来なかったんですか?」
「おっ・・おう、金の都合がつかなくて、バイトしとるんだてぇ・・・」
「ん〜? なんか歯切れが悪いですねぇ」
(しばらくの沈黙の後、消え入るような声で・・・)
「・・・おっ、おれよぉ〜、出発する気力がなくなっちゃったんだよぉ。直前に彼女と別れて・・・」
「えーっ!」
こちらもなんて言って良いやら・・・。失恋の心の痛みなら、つい先日味わっただけに・・・。
「とっ、とにかく途中で事故ったんじゃないと分かって安心しました。まっ、また電話しますね。」
こちらもなんか焦ってしまった。それにしても、先輩のあの声、かなりのダメージのようだ。
気を取り直し、どこを走ろうかと地図を眺める。「おっ!」宇和島からスーパー林道がのびているのを見つけて、そこを目指して走る。黒尊スーパー林道。ダート区間は約25km。景色・路面状況とも変化に富んでいて楽しい道だ。フル装備だけど、気持ちよく攻める。途中、林道から宇和島湾を望むことができ、これがまた美しかった。林道から海を見る機会は少ないだけに、逆光気味の入り組んだ湾の景色は心にしみた。
林道の途中で、「林業作業中」の看板とスピーカが置いてあるところにでくわす。看板には、「この先で林業作業中のため、通行できない場合があります。通行する場合には横のスピーカに向かって『とおっていいかね?』とたずねて下さい」と書いてある。「とおっていいですか?」じゃだめなのか?とか思いながらも、ここは素直に「とおっていいかねぇ〜?」とスピーカに向かって大声を出してみた。「・・・・・・(しぃ〜ん)」「なんだよ、うそつき!」山の中だけど、誰かに見られなかったか、まわりを見渡してしまった。
林道を走り終え、四万十川沿いに中村市に出る。市内を流れる川の河原にテントを張る。地元のガキんちょが4人よってきた。俺のことを「おんちゃ」とかいって、まとわりついてくる。まぁ、こっちもヒマなので色々と話につきあっていたら、すっかり日が暮れてしまった。
晩めしは、肉入り野菜炒め。肉が炒めすぎで固くなってしまった。あ〜、失敗だ、貴重な肉なのに!
4/3(木)くもり
6時頃、目が覚める。遠くでお寺の鐘の音が聞こえる。「あ〜、まだ寝たい!」と、また寝てしまい、結局シュラフから出たのは7時頃。空は曇っている。と言っても今すぐに降り出しそうなほどでもない。天気予報によれば、今日の後半から明日にかけて天気が良くないらしいので、橋の下でも探してのんびりしようと思っている。
8時半頃、出発。まず中村駅へ行く。駅の洗面所で久しぶりに歯を磨き、サッパリする。
「竜馬に会うんだ!」とばかりに、桂浜目指してR56に入る。信号がほとんどないので、ハイペースで気持ちよく距離が伸びる。色々道に迷ったりもしたが、とにかく桂浜に到着。立ち並ぶおみやげやさんには、ありとあらゆる竜馬グッズが並んでいる。「竜馬がゆく」を読んだ自分としては、「幕末の志士」のもっと素朴な扱いを勝手に期待していたので、このおみやげやさんの風景には、何とも言えない抵抗を感じてしまう。
実は今回のツーリングには、「桂浜にある竜馬の銅像の脇で野宿をするんだ!」という壮大?な計画が盛り込まれていたのだが、現地に行ってみると「ここで野宿をするのは、無謀というかひんしゅくものだな〜」と思い、あっさりとあきらめたのであった。
桂浜の砂浜で昼飯にする。波の音を聞きながら食うめしは、たとえ品粗なものでもうまい。観光客がいっぱい通って行くが、もう自分の世界に完全に浸りきっているもんね。
若い女の子が二人、浜で遊んでいる。「そーいえば、ふられたあの子に、ここ桂浜で撮ったっていう写真をもらったことがあったなぁ」なんて思い出して、一人苦笑い。でも、野宿を重ねるうちに、いつの間にかあの出発時の心の痛みがなくなってしまったんだよね。バイクがあって、海や山があって、晴れの日や雨の日があって、それでいいんじゃない。
ボーッと海を眺めていたら、「こんにちは!」 振り返るとスッゲー荷物を背負ったバックパッカーが立っていた。やたら愛想のいいヤツで、楽しく時を過ごす。「旅先であった人との話を録音してるんです」とか言って、俺との話も録音していた。こんな他愛のない話でも、思い出になるのかなぁ〜。コーヒーをたてて上げたら、「もうすぐ僕の旅も終わりですから・・・」とラーメンやウイスキーをくれた。
ゆっくりと野宿できるところを求めて、R55を走る。高知を抜け安芸への途中、海辺のサイクリングロードの休憩所によってみる。こじんまりとした公園のような作りで、水場・トイレもある。静かなところだ。「ここにき〜めた!」ここなら、明日天気が悪くても、のんびり連泊できるぞ。連泊の友として、土佐の銘酒「司牡丹」もちゃ〜んと買ってあったりする。
今日もまた地元のガキんちょがやってきた。土佐弁がかっこいいぞぉ。「竜馬と話をしてるみたいだ」と喜ぶ俺は、単純だぁ〜。
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