● Part4 3/6(7日目)〜3/7(8日目)
3/6(金)雪 風がとても強いことも… 7日目
「平和な夜だぁ〜」とウトウトしていたのに、「ハッ」と気づいたときにはテントは強風に揺さぶられていた。かつて体験したことない強風が続く。あまりのすさまじさに全然眠ることができない。心細さをこらえながら、シュラフにくるまってじっとしていると、顔に何か冷たい粒が当たりはじめた。「何だよぉ、おっかしいなぁ?」と思ってライトをつけてテントの中を確認すると、ベンチレータの隙間から雪が入り込んで、シュラフの腰から下あたりに雪が積もっているではないか!「こりゃあ、まいったな」とかぶつぶつ言いながら、ベンチレータの隙間がないようにひもで縛り上げる。
強風は全然おさまりそうもない。テントのポールがこの強風に耐えられるのか、とても心配だ。「しっかりと食っているし、こーしてシュラフに入っていれば死ぬことはないさ!」と加藤文太郎(←新田次郎著「孤高の人」より)の気分を実は楽しんでみたりする。
いっこうにおさまらない強風に不安感とかも麻痺してしまい、いつの間にか気持ちよく寝てしまった。目覚めたのは6時頃。相変わらず強風は続いている。外をのぞいてみると、バイクがひっくり返っている。あわてて外に出て、バイクをおこし、各部を点検。異常はないみたいだ、よかったぁ。テントとフライシートの間に入れておいたヘルメットも、転がって雪に埋もれていた。
強風で飛ばされた物の捜索活動と、雪まみれになった物の掃除を終え、やっと落ち着いたのは7時半頃。ラジオによれば、枝幸あたりのR238は吹雪のため、積雪120cm(え〜、ホントかぁ?)、視界はほとんどゼロ、列車も浜頓別−鬼志別間で不通になっているとのこと。仕方がありません、今日はこの強風の中、ここクッチャロ湖で連泊です。
のんびりと…といっても激しく揺れるテントの中では今ひとつ落ち着かないんだけど…ラジオを聞きながら「孤高の人」を読んだり、手持ちのお菓子を食べたりして、暇つぶし。この状況でラジオから、キョンキョンの「木枯らしに抱かれて」や吉幾蔵の「北国」が流れてくると、メチャクチャ胸にしみるんだよね。
17時頃、めしも食ってしまったので「ちょっと散歩してくるべ〜」と外に出てみると、テントを張っているところから道路までの間もしっかりと雪が積もっている。まだまだ雪は降り続くみたいだし、「明日はここを脱出できるんかぁ?」とまたまた不安な夜を過ごすことになってしまった。今晩は風が吹き荒れないことを祈るばかりである(…と書きつつも次第に風が強くなってきたような気が…)
3/7(土)はれだぁー! 8日目
6時半目覚める。風がそれほど強くならなかったおかげで、よく眠れた。雪のことが気にかかっていたので、すぐに外に出てみる。雪もそれほど降らなかったみたいだ、よかったぁ〜。カップラーメンを食った後、早々に出発準備に取りかかる。
4回に分けて荷物を除雪されているところまで歩いて運ぶ。少しでもバイクがスタックしにくいよう、行き来する度にしっかりと雪を踏み固める。さぁ、いよいよ次はバイクの番だ!
一生懸命踏み固めたつもりだったのに、いきなり深みにはまって、押しても引いても、倒して引っ張っても、全然動かない。「くっそぉー!!」と全身雪まみれになって押す。少しずつだけど、バイクは進む。息が切れて苦しくても、押すのをやめると、その間に雪に沈んでいくので休まず押し続ける。「ぐぁ〜、気合いだぁ!」やっとの事で除雪された道まで脱出できた。う〜〜、ゲロ、吐きそ…。
9時半、息を整えて出発。とりあえず紋別を目指して走る。真っ白の路面、時には雪が降ったり、地吹雪で前が見えなくなったり。路面には何本ものたて溝が走っていて、時々そこにはまって「おわぁっ」とばかりに振られたりして快適な走行とは言えないが、それでもなかなかのペースで進む。
雄武町のバス停や興部公園前のバス停とかはとても立派で、「ここに泊まっていたら、吹雪であんな恐ろしい目には遭わなかったのになぁ」と思う自分と、「まぁ、あれはあれで貴重な体験なんだからよかったんじゃない?」と思う自分がいたりする。
紋別着。スーパで色々買い込み、紋別駅待合室でのんびりと昼めしにする。なんかボーッとして、1時間半も待合室に入りびたってしまった。
真っ白で真っ平らなサロマ湖を越え、網走方面に向かう。今日もまた風が強い。「テントを張るのは厳しいなぁ」とちょっと腰は引け気味…。常呂を抜けたあたりで海の方に目をやると、遠くだけど「ど〜ん」と流氷がある。「おぉぉ、ついに流氷だぁ!」気分が一気に盛り上がったところで、またまた真っ白で真っ平らな能取湖があらわれる。
「ちらっ!」とだけど、道の奥に駅のようなものが目に入り、一旦は行きすぎたものの気になって引き返す。そこには居心地の良さそうな無人駅「能取駅」があったのでした。やったね!今夜のねぐらはあっけなく決定!!
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