| Part4へ | 戻る |


「地吹雪、流氷、そして札幌の夜」雪の北海道 野宿ツーリング

Part5 3/8(9日目)〜3/9(10日目)

Part5の行程


「2台のバイクを並べて、流氷の彼方に沈む夕陽を見送る」

3/8(日)はれだぁー! 9日目

 6時ちょっと前に目覚める。昨晩は何となく寒気がしたので、シュラフを2枚重ねにしてみたものの、暑苦しくなって夜中に何度も目覚めてしまった。

 目覚めてからもシュラフにくるまってウダウダしていると、近所のじっちゃんが入ってきた。「おはようございます」なんて挨拶をすると、「駅にバイクの兄ちゃんが泊まっている」と聞いて、わざわざストーブをつけに来たんだそうだ。感謝!俺は知らなかったんだけど、この駅がある湧網線はまもなく廃線になるそうで、「もう、ここも終わりだでな…」としみじみと語るじっちゃんの姿は寂しそうだった。

 天気予報によれば晴天のはずなんだけれど、外はくもっている。雪もちらつきはじめた。「まぁ、ストーブもついていることだし…」と何日か使い続けて湿ってきたシュラフを駅舎の中で広げ、乾燥させる。これで今夜は気持ちよく眠れる。

 7時頃、鉄道少年(小6)がやってきた。もうすぐ廃線になるので色々写真を撮っているとのことだ。なんかおもしれーヤツでつい話し込んでしまう。9時1分の列車で中湧別に向かうということなので、それまで2人でコーヒーをたてたりしてのんびりと過ごす。

能取駅前で鉄道少年たちと

 9時半頃、出発。網走を抜け、斜里に向かう。斜里岳や知床連山は雪雲に隠れてしまい、全然見えない。ウトロに近づくと雪が降り出してきた。

 夏のウトロとは違い、この時期のウトロはえらく静かだ。バス発着場にバイクを止めて、あちこちうろついていると、スノーモービルの全日本大会をやっていると聞き、会場まで歩いて向かう。初めて見るスノーモービルのレースはド迫力で、手に汗握るものがあった。

 バイクのところに戻ると、メータバイザのところに紙切れのようなものが置いてある。「なんだぁ〜?」と思ってみると、同じXL200Rに乗っているヤツからのメッセージだった。

”同じXL200Rで冬季北海道を野宿ツーリング中!今夜は一緒に野宿しないか?知床横断道路ゲート前で待ってるぜ!!”「お〜!なんか熱いヤツがいるぞぉ〜!!」と早速、指定の場所に走り出す。

 あっという間に意気投合し、ゲート横にテントを並べる。

 夕方、2台のXL200Rはゲートをくぐって、深い圧雪の知床横断道路を攻める。いつもの荷物満載のバイクと違い、空荷のバイクは自由自在に乗りこなせてメチャクチャ楽しい。コーナだって「コケたってへっちゃらさぁ!」ってなもんで、思いっきり攻めまくる。道の雪はどんどん深くなり、知床五湖と峠の分岐あたりで、ついに前に進めなくなり、引き返すことにする。

 流氷の彼方に沈む夕陽をプユニ岬から望む。「なんてきれいなんだ…」夏とは違い、小さな夕陽が静かに水平線に消えゆくといった感じだ。ほんのりと紫に染まる流氷。寒かったけど、雪道が怖かったこともあったけど、来てよかったぁ〜。

プユニ岬から望む流氷と夕陽

 二人で一緒に晩めしを作り、テントの中で大騒ぎで終わった夜、満ち足りた気持ちでシュラフにもぐり込む。


「冬季ツーリングというわけでもないのに、熊ノ湯で野宿する後藤」

3/9(月)くもり 時々 雪 10日目

 6時ちょっと前に目覚める。夜中のうちに少し雪が降ったみたいで、空は雲でいっぱいだ。そのおかげで冷え込みは緩く助かった。近辺を歩き回ってみるが、残念ながら山は全然見えない。大好きな知床連山は昨日ちらっと見えたきりだもんな〜。

 朝めしの後、またもや2台のXL200Rで乙女の涙方面へ走り出す。曇り空に雪もちらつき、路面も路肩も空も区別がつかず、メチャメチャ走りにくい。でも、2台で走ると、つい熱くなってしまい、アクセルをガンガン開けてしまう。ゲートが閉まっている道なので、車は来ないのだぁ!!

 ウトロの街でXL200Rと別れ、斜里へ向かう。斜里からは根北峠越えのR244に入る。夏、羅臼の仲間と走り回った斜里岳・富士林道を走れないかなぁ〜と探しながら走ったが、路肩の雪がものすごく深くて、どこが林道の入り口なのか全然わからないまま通り過ぎてしまった。残念…。

 平坦な道ばかり走っていたので、峠付近、特に下りの圧雪路を走るときには、緊張で肩につい力が入ってしまう。こんな固い走りでは転倒の可能性が高くなってしまうと頭では分かっていても、やっぱり力が入ってしまう。冷や汗をかきながらも根北峠を無事クリア!

雪に埋もれる知床横断道路

 昨年の夏、バイトをした根室標津の漁協によってみる。何人か知り合いの人に挨拶をしたが「野宿しながらバイクで走り回っているよ」と言ったら、「あんたらバイクに乗ってる人のやることは、わからんね〜」としみじみと言われてしまった。

 「羅臼に行くぞぉ!!」と気合いも新たに走り出すが、今日は気温が暖かいこともあり、道は泥水でびしょびしょになってきた。この泥水がたちが悪くて、いくら左手でゴーグルを拭いても、すぐに前が見えなくなってしまう。今までとは違った怖さを感じての走行だ。

 羅臼の街を抜け、熊ノ湯の方へ上がっていくと、民家の前でXTをいじっているヤツがいる。「おっ!バイク野郎か?」と近づいていくと、後藤ではないかっ!夏以来の再会を互いに喜ぶ。事情があって真冬にバイトを追い出され、熊ノ湯でテントを張って暮らしているという。キャンプ場に着いて後藤のテントを見に行くと、場内にでっかい穴を掘ってその中にテントを張っていた。その根性には大感動!「後藤っ、すっげぇ〜よ、お前!!」

 晩めしの後、後藤と一緒に熊ノ湯に入ってサッパリする。風呂上がり、テントに戻るとき、まだ濡れたタオルをビンッと引っ張ってまっすぐにすると、そのままの形ですぐに凍ってしまった。面白がって、今度は髪の毛を引っ張ってみると、そのまま凍ってツノになってしまった。「後藤、おめぇ〜、すげぇとこで暮らしてるなぁ」

 俺のテントに後藤をお招きし、クッキーを食いながら、ヤツの苦労話を聞き、今夜は終わった。


| Part6へ | 戻る | トップページへ |

「ソロツーリング」

 

[an error occurred while processing this directive]