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●ペーパーバック向け電子辞書とは?
■ ペーパーバック読み電子辞書の条件

 電子辞書はペーパーバック読みの必需品です。しかし、英語の先生や専門家が勧める高機能な機種は、小説読み用としては使いにくいことが多いのです。
 経験上、中高年のペーパーバック読書に適した電子辞書の条件をまとめてみました。

  1. 画面を開いたとき、ペーパーバックの1ページ片面に載る大きさであること。
  2. 画面を開いたとき、180度フラット状態で安定すること。
  3. 拡大表示ができること。
  4. 例文や解説を省略して、意味だけを表示できること。
  5. できれば、百科事典が搭載されていること。

 小ささとフラットな形状は、ペーパーバックに密着させ視線の移動を最小限にするために必須です。電子辞書が大型だと机に置くしかありませんが、近視+老眼の人はわずかな距離の差でメガネの掛け外しが必要になり、読んでいた場所が分からなくなってしまいます (^ ^;)。
 文字の大きさは、老眼が進んでくると重要です。盲点は入力画面の文字の大きさです。入力文字だけは大きさを変更できないことが多いので、必ず店頭で確認しましょう。
 百科事典があると、小説に出てくる実在の人物や物事の確認に重宝します。

■ ペーパーバックに最適の機種は?

 さて、2013年現在入手できる電子辞書の中で探してみると、これらの条件に最も近いのが、シャープのPW-AC20キャノンのA512などの電卓型辞書です。いずれも、使うとき蓋を開く必要がなく、男性の手なら片手入力も可能です。


 ■キャノン


Wordtank A512
キャノン
価格:¥ 13,137
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A512 / A511 (2013年:キャノン)

 キャノンの電卓型電子辞書シリーズの三代目です。前モデルと比べ、本体がぐっと小型化されています。
 A512は、25万5千語のジーニアス英和大辞典、オックスフォード英英を搭載したTOEIC/TOEFL対応モデルで、洋書読書用にはお勧めです。同シリーズの A511は、英和を普通版ジーニアスにダウンし、広辞苑や指さし会話を搭載した旅行・日常生活用です。
 しかし、今回のバージョンには中高年にとって残念な改変があります。本体の小型化と引き換えに、画面が2.8インチから2.4インチに縮小されたのです。搭載辞書には大きな変更がないので、老眼が進んだ方は、前機種の A501A502 を在庫があるうちに探すべきかもしれません。



Wordtank A501
キャノン
価格:¥ 5,000
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●A501 / A502 / A503 (2011年:キャノン)

 第2世代の電卓型電子辞書です。初代のSシリーズと比較すると、液晶は2.4インチから2.8インチに拡大され、老眼にやさしくなりました。難点だった操作性も大きく改善されています。ジーニアスと広辞苑のほか、8ヶ国語の会話集とスピーカーを搭載し、海外旅行の簡易通訳機としても使えるよう企画されたようです。残念ながら百科事典は搭載されませんでした。
 また、25万5千語のジーニアス英和大辞典、オックスフォード英英、TOEIC学習を搭載した A502 や、中国語辞書搭載の A503 もあります。生産中止になったようなので、2.8インチの画面が欲しい方は早めに探した方がいいでしょう。

 


Wordtank S501E
キャノン
価格:¥ 4,980
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●S501E (2009年:キャノン)

 近年の電卓型辞書ブームの口火となった機種です。ウィズダム英和(9万語)のほか、国語・生活辞書も充実しています。2013年現在でも、電卓型でマイペディア百科とスーパー大辞林を搭載しているのはこのS501Eだけです。単語帳は1000件、履歴も500件あります。画面の大きさは2013年発売の3代目S512と同じ2.4インチです。

 ただし、縦は142mmと意外に長く、片手での操作性はいまひとつです。電器店で一度触って、試してみてください。(価格.comのレビューはこちら

 まだ在庫があるようで実売5千円以下の店もあり、紙の辞書と比較しても超お買い得です。発音機能が不要で百科事典が欲しい人は1個買っておくといいかもしれません。
 同じ外見の兄弟機 S502 は、英語に特化し、25万5千語のジーニアス英和大辞典のほか、ウィズダム和英辞典、オックスフォード現代英英辞典などを搭載しています。英和の単語数や英英にこだわる方はこちらをお奨めです。


 ■シャープ


PW-AC20
シャープ
価格:¥ 6,280
Amazonで詳細確認
シャープは、2010年以来、電卓型の電子辞書を数機種販売しています。どれも大人なら片手で操作可能です。

  英和のコンテンツはどの機種もジーニアス英和で、大型英和が搭載された機種はありません。また、いずれも画面サイズは2.4インチ、単語帳は500件、履 歴100件で同じです。

 このため、ペーパーバック読み用途にはどの機種を選んでも大差ないのですが、 PW-AC20 は、オックスフォード英英辞典と広辞苑を搭載し、かなり値段も下がってきたのでお勧めでしょうか。

 なお、機種によってクリック音や検索の挙動など、微妙に使い勝手が違いいますので、店頭で触ってみたほうがいいでしょう。

 ・PW-AC10…シリーズ最初の機種。いまだにデザインは最高だと思います。

 ・PW-AC20…AC10にオックスフォード英英、発音機能を追加した英語学習機。

 ・PW-AC21…上記AC20にスピーカー、手書きを追加。

 ・PW-AC30…中国語・手書き対応。

 

●電卓型辞書のご先祖 

  余談ですが、かつて上記の機種のご先祖ともいえるもっと小さな電卓型辞書が存在しました。すでに生産中止になったソニーの DD シリーズです。液晶が白黒でドットが太く老眼にやさしいので(^ ^;)、私はいまだにメイン辞書として愛用しています。
 ※ 私的電子辞書遍歴→DD IC-50DD IC-300




■ペーパーバック向き? コンパクト機種比較

 電卓型も増えてきましたが、クラムシェル型も含め、各社コンパクト機種を比較してみました。ペーパーバックの横幅は110mmなので、幅120mm以下に絞りました。
 英英辞典、TOEIC対策、英会話、実用辞書などは、ここでは無視しています。
 使い勝手は、アマゾン、価格comのユーザー評価も参考になります。しかし、若いレビュアーや専門家は、搭載辞書や機能面にばかり関心が向き、文字の見やすさやボタンの押し心地については無頓着です。中高年は店頭で触って確認するのが一番です。

  機種
※価格は定価:クリックで、アマゾンへ
大きさ
(幅×縦)
開閉 百科 英和辞書/語数 単語帳/
履歴件数
SII SR-G7001M
(\37,800)
116.2×78.2 180゜ 大辞泉
ブリタニカ
リーダーズ(27万)、リーダーズ・プラス(+19万)、ジーニアス英和大(25.5万) 単1000
履100
SR-G6001M
(\29,800)
116.2×78.2 180゜ 大辞泉
ブリタニカ
ジーニアス英和大(25.5万) 単1000
履100
シャープ PW-AC10
(\12,800)
68.6×118.6 電卓型 広辞苑 ジーニアス(95,000) 単500
履100
PW-M800
(\36,750)
118×73.5 180゜ 広辞苑 ジーニアス(95,000) 単100
履100
キャノン A501
(\12,708)
81×131 電卓型 広辞苑 ジーニアス(95,000) 単1000
履500
S501E
(\6,100)
76.5×142 電卓型 マイペディア
大辞林
ウィズダム(90,000) 単1000
履500
S502
(\8,980)
76.5×142 電卓型 - ジーニアス英和大(25.5万) 単1000
履500
WordTank
M-600

(\45,000)
117×81 裏面段差 マイペディア
大辞林
新英和(100,000) 単1000
履50
IDF-2100VP
(\27,300)
117×72 裏面段差 広辞苑 ジーニアス(95,000) 単1000
履30
カシオ XD-SC4100
(\23,000)
107×66.1 180゜ 大辞泉 ジーニアス(95,000) 単1800
履1000
XD-P600
(\37,800)
122×88 180゜ 大辞林 ジーニアス(95,000) 単1500
履1000
(参考)

ソニー
DD-IC550
(生産中止)
82.9×114.6 電卓型 マイペディア プログレッシブ(115,000) 単100
履50
DD-IC50
(生産中止)
69.3×107.2 電卓型 - ニューアンカー(51,000)  -

 

■クイックショナリーU

 上記の国産製品とは全く違うアプローチで、読書専用に徹しているのが、イスラエル製のクイックショナリーUです。

 数年前まで、メイン辞書として使っていましたが、覚えた単語が少ない段階では、非常に助けられました。読書用に限定すれば、現存する最強の機種だと思います。
 ペンのように持ち、先端で文字をなぞると液晶に訳が表示されます。本を持ったまま片手だけで操作でき、目線が紙面からほとんど離れません。このため、近視+老眼の人間にも優しく、読んでいた場所も忘れないので、一般の電子辞書とは別次元のストレスの少ない読書が可能です。
 搭載辞書はジーニアス英和で、語数的には、SFや専門書に対してはもう一歩ですが、一般の書籍で困ることはありません。ボタンを押すだけで、合成音声で発音も聞けます。
 検索履歴機能もあり、単語学習も可能です。後でチェックしたい単語があったとき、とりあえずなぞって記録するなど、他の電子辞書には真似の出来ない使い方ができます。
 ただし、以下の点には注意を。本機はまだ発展途上です。

  1. 表示画面が3行しかなく、語学学習用には全く使えない。
  2. 読み取りにはかなり慣れが必要。直角から15度ほど倒し、前後の単語も含めてやや早めになぞると認識率が高くなる。
  3. 経験的には、3〜4回に一度は読み取り失敗する。(ただし、目線と指の移動が少ないので再読み取りはあまり苦にならない。)
  4. 2行にまたがった単語(ハイフネーション)は、あきらめたほうがよい。
  5. 見かけより軽いが、本といっしょに長時間持ったままだと、疲れる。
  6. 単4電池2本(エネループでも使えています)で、毎日2時間使用で2週間ほどしかもたない。

注)2011年現在販売されているのは、デイリーコンサイス英和搭載のQT2Jで、発音機能はありません。海外では、表示行数が5行に増えた新型が発売されているようですが、国内では、販売予定はないみたいで残念です。





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