CCDのサイズについて 

[デジタル機器のお話し Vol.04, 2000年03月10日UP]

 え〜、おやじはデジタルカメラのCCDには「画素数」だけでなく「サイズが大きい」ことを重要視してると前に書きました。 前回の「デジカメでカラープリント」の補足でこのことに触れようとしたんですが、 あまりにも長くなったので別のテーマに分けることにしました。

 ちなみに、どうも内容が難しくて面白くないと思った人は読まないほうがいいと思います。 知ったからといって写真がうまくなる話じゃないですし、知らなくても写真は撮れます。(^_^) 次の話はもっと楽な話にするつもりです。


(1)CCDが大きいと感度で有利になる

まず、銀塩フィルムとCCDの構造の違いから説明します。 CCDやフィルムの共通点は、光の「強弱」を感じることで情報を記録することですが、 「色の情報」を記録しないとカラー画像にならないんですね。

・フィルムの場合
銀塩フィルムから説明しますが、通常のカラーフィルムには「乳剤」という光に感光する薬品が塗られています。

現在では十何層もの違う薬品が重ねて塗られているんですが、大まかに分けると青い光に感光する「青感光層」、緑だけに感光する「緑感光層」、 赤だけの「赤感光層」の3つに分かれます。(ほんとはイエローフィルターなんかもあるんですけどね..)
そして、フィルムに届く画像(光)の色別の「情報」を、それぞれの感光層が順番に読み取っていくわけです。

(通常の太陽光は白く見えますが、これは「光の三原色」と呼ばれる「赤」「青」「緑」の3つの色に分けることが出来ます。 プリズムを使えば「7色」に分けられることは「虹」の話で皆さんご存知と思いますが、カラー画像の記録をするには3色で十分です)

最初に青の光が感光層に記録され、青の光以外が次に進みます(この青の光をカットするのがイエローフィルターです)。 そして、それぞれの色の情報を受けた各層が現像することで色の画像になり、3つが重なってることでカラー画像に見えます。


・CCDの場合
一方のCCDは「光の強弱」を感じるだけで「色の違い」を感じることはできません。 そのため赤と青と緑の「フィルター」をかけることで色の情報を光から取り出します。

(なお、これは原色系のCCDの場合です。他には感度に有利といわれる補色系というのがあります。 補色系の色はY,M,C,Grの4色をワンセットにします)

右の図はイメージとして画素を3つだけ並べて書いてありますが、実際のCCDは何万個も四角の中に敷き詰められているわけです。 そして、細かい3色の四角パターンが印刷されたフィルターを重ねることで、カラー画像を記録できるCCDになります。

このフィルターというのは、テレビのブラウン管をルーペで覗いたら見えるようなあんなイメージですが、 色の配置のパターンはいろいろあるようです。 (ほとんどの場合、各色を市松模様のように散らばしているわけですが、各メーカーによって違うようです)

各フィルターで取り出された画像の「情報」は、色ごとに「データ」として集められ演算処理されカラーの写真画像になります。 データの合成方法や、その後の圧縮のやり方などで「画質」の良し悪しも大きく変わるようですが、 このあたりは公開されてなかったり、メーカーの特許になってたりするようです。


ということで...
銀塩フィルムに使われるのハロゲン化銀の感度と、画素の感度を単純に比較するわけにはいかないんですが、 CCDの方はあまり効率がいいとは言えないですね。 もし画素1つの感度がある一定しかなかったら、それより感度を上げる方法は画素のサイズを大きくするしかないです。

(補足ですが、業務用のビデオカメラなどに「3CCD」と書かれてるのは、色別に3つのCCDを持っているわけです。 でも、プリズムで画像を3分割しますので光路が複雑でカメラが大型になり、各CCDに当たる光エネルギーも3分の1になります。)

市場に出ているデジカメのスペックをみていると、1/2インチ200万画素CCDでだいたいISO100相当というスペックが多いです。 同じ画素数でこれよりサイズが小さかったり、同じCCDサイズでさらに高画素だと、もっと低感度になるようですね。

単純に計算すると、同じ感度の画素を使ったCCDは、画素数を倍にすると対角サイズが1.4倍にならないと同じ感度にならないわけです。 でも、今回の300万画素クラスは「1/1.8インチ」のCCDが多いですね。(^_^;)ISO100相当を維持してるのかどうか..
 

ちなみにおやじが紹介したNikonのD1は1インチはあるらしいです。 おかげで276万画素を超えているのに標準で感度ISO200あります。 1600までの高感度モードもあるようで、おやじの見たところ400までは実用モードで使えそうです。

(2)使えるレンズが豊富になる

レンズの焦点距離は「レンズについて」で書いていますが、 一般的なレンズでいうと広角の24mmから望遠の200mmくらいしかありません。 これ以外のレンズは、コストも高かったり、サイズも大きくなったりして一眼レフ以外では使いづらいと思います。 まあ、普通のデジカメはズームにするとしても「28mm〜100mm」くらいが使いやすいところでしょうか。

ところが、これは標準レンズが50mmの場合です。標準レンズの焦点距離は「フィルムの対角線」が基準です。 (35mmフィルムは24mm×36mmですから、対角線が約43mmで「50mm」が選ばれています。)

じゃあ、デジカメは?。そうです。1/2インチは25.4mmの半分ですから「12.7mm」になります。 ということは「28mm〜100mm」相当のズームをデジカメで考えると、「7mm〜26mm」なんです。 これは写真に詳しい方はわかると思いますが、ズーム全域で「被写界深度(ピントの合う範囲)」が深いんですよね。

「ピントが合う範囲が広いならいい事じゃないか」とお考えの人はいると思います。 でも、実はそう喜んでもいられないんです。というのも、こういうズームは写る範囲が変わるだけで 望遠の効果「背景をきれいにぼかし、人物だけを強調する」とか、標準レンズの「自然な遠近感」などのテクニックが使えないんですね。

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※ある方のご指摘で、1/2型CCDは対角線「8mm」と表記されているそうです。インチではないと焦点距離はさらに短くなります。被写界深度はさらに深くなるので、ご注意ください(^_^;)。(2005/1/13追記)
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他にもワイドに寄りすぎていると、レンズ設計に制約が出たりしますし、 そういう意味でも、1インチ以上のCCDを採用した機種がでてほしいなぁとおやじは思います。 (もちろんカメラ自体が大きくなるのは我慢します) 1インチは極端にしても、そろそろメーカー同士の「高画素」化にストップをかけて、 別の部分の開発に注力するメーカーが出始めても言いと思うんですけどねぇ..。

皆さんがデジカメ選ぶときは「やっぱり画素数ですか?

※このコンテンツは全て2004年以前に書かれたもので、情報によっては現在と合わないこともあります。
※もし内容について確認したいことがあれば、「写真相談室」へご質問ください。

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