夜景をうまく撮るには.. 

[写真一般のお話し Vol.03, 2000年03月20日UP]

おやじは夜景を撮るのが得意です。学生時代、課題の撮影時間がなく夜景で済ませていたこともあるんですが、 夜の街にカメラを持って歩いてみると光の質が違うのか、昼間とは全く違う光景を見せてくれるんです。 いつも見てる場所が、なんか別世界と言うか幻想的と言うか..。 そういう雰囲気が好きで、良く撮ってるうちに得意になっちゃったんですね。(^_^)


ということで具体的な撮り方をお教えしましょう。まず「夜まで待つ」ことです。日が沈んでシャッターを押せば「夜景」になります(笑)。 なんて冗談はさておき、うまく写すテクニックという観点で難易度順に整理してみたいと思います。

【初級編】 …これを押さえるだけで結構撮れます(^_^)
1.手ぶれを防ぐ 何と言っても夜景ですから、スローシャッターになります。どんなに腕のいい人でも三脚がないとブレてしまうでしょう。 安くて小さいのでもいいので「必ず」三脚を使ってください。また、たとえ三脚を使ってもブレることがあります。 カメラのシャッターボタンは直接押さず、レリーズ(シャッターボタンのついた延長コードのようなものです。 最近は付けられない機種が多いのでカメラ屋さんなどで確認して入手して下さい。)を使うか、セルフタイマーで撮るといいでしょう。
2.レンズをきれいに 夜景は色々な光がレンズに入ってきます。特に点光源が多いと光の乱反射が起きやすくなります。 少しでもクリアに撮るにはレンズもきれいにしておきましょう。ただし、磨き方が悪いとかえって細かいムラや傷になり、 フレアー(もやのように霞んでしまう)の原因になります。写真用のクリーナーを使って拭きムラが残らないようにしてください。 自分でうまく拭けない方はカメラメーカーのサービスセンターに持ち込んで拭いてもらった方がいいでしょう。 そもそもレンズは汚さないのが大事で、ごしごし何度も拭いたりするものではありません。
3.周囲の光に注意 実はこれが1番重要かもしれません。周りが明るい場所で夜景を撮ると余計な光が入り込み、フィルムがカブることがあります。 カブる程じゃない状況でも乱反射でフレアーを起こしやすくなるので、暗い場所を選ぶかカメラの前に光源がない場所で撮影しましょう。 どうしても最適な場所がない時は、レンズにフード(レンズの前につける筒状のシェード)をつけて、余計な光が入らないようにカットしてください。


【中級編】 …一眼レフを使うのを前提に書いてます(^_^;)
4.カメラを選ぶ まあ持っているカメラが使えるのが1番いいんですが、夜景を撮るとなったらスローシャッターが必要です。 それも数秒から数十秒の長時間露光をする場合があります。そう考えると、安くてもいいので 一眼レフが必要だと思います。 ストロボ付きのコンパクトカメラはスローシャッターを省いているものが多いですし、おまけ程度の「夜景モード」ではちゃんとした「夜景」は写らないでしょう。 少なくとも、バルブ(シャッターを押している間はシャッターを開けたままにする機能)と絞りの操作を考えると、やっぱり一眼レフでしょうね。 この機会に一眼レフにしてみては?。
5.レンズを選ぶ 最近のレンズは性能がいいので、あまり気にすることはないかもしれません。 でも使っているレンズ枚数が多い撮影レンズを使うと、ゴースト(撮影レンズ内でレンズ表面に反射した光が写ること)が起きやすくなります。 特にズームは単焦点に比べてレンズ枚数が多いので、夜景には向いてないと思います。 また、それ以外にもズームは開放F値が暗い(以前話をした 「レンズについて」を参照)ので、 シャッタースピードの点でも不利になりますね。持ってなければしょうがないのですが、あれば単焦点レンズを使った方がいいでしょう。 もちろん、特殊ガラスを使ったF値の明るい高性能ズームであれば、気にすることはないとは思いますが..。
6.絞りを一段絞る これは絞りを自分で設定できるカメラでないと意味がない話ですが、一眼レフを前提にして話をします。 夜景を撮る場合は当然のごとく「暗い」ので、レンズの絞りを開放にして撮りがちです。でも、レンズの性能は開放だとゴーストやフレアが出やすいんですね。 三脚を使えばシャッターの時間が2秒から4秒になってもあまり大差ないので、 露出を「絞り優先AE」か「マニュアル」にしてF値を開放から一段絞ってください。


【上級編】 …ここからは上級編なので出来ない人は無理にやることはないと思います(-_-;)
7.オートは使わない 条件によればカメラのオートが使えない場合もあります。10秒以上シャッターが開くようなら要注意です。 夜景は多少経験を積めば難しくないので、オ−トに任せず自分で露出を決めた方がいい結果が出ます。 (ちなみにこの作例をご覧下さい。 オートだと明るすぎて夜景にならないですね。) 最初はカメラの露出計を基準にして、それよりもオーバーとアンダーに振って撮ってみると良くわかると思います。 また露出以上にオートフォーカスは狂うことがありますので、ご注意ください。いっそマニュアルフォーカスでやった方が早いですね。
8.光源とフィルター 夜景の発色は光源によって変わります。水銀灯と蛍光灯は緑色に偏りますし、 ナトリウムランプ(高速道路のオレンジの光源)やタングステン(裸電球のような光源)は黄色味になります。 普通に撮るとこれらを補正する方法はありません。 もし撮影時にフィルターを使って撮影しても、水銀灯とナトリウムランプはほとんど補正できないんです。 蛍光灯とタングステンなら補正することも出来ますが、 カラーネガを使うならフィルターを使わずに撮影して、プロラボでプリントの色を指示した方がいいでしょう。 リバーサルはどうしてもフィルター使わないと色が偏りますが、蛍光灯ならCCのMかRで05番くらいでしょう。 タングステン光源はフィルターの補正よりタングステンフィルムを使うことをお勧めします (タングステンのことはここを参照)。 なお、最近野球場やスタジアムで使われている「メタルハライド」という光源は、太陽光に近いので色補正の必要はほとんどありません。
9.フィルムの選択 夜景を撮るとなると結構悩むフィルム選びですが、ネガカラーであればISO400の普通のものでいいと思います。 リバーサルなら100クラスが適当でしょう。ただしモノクロならいいんですが、カラーフィルムで30秒を超えるような長時間露出をするのは避けてください。 カラーフィルムには撮影できるシャッタースピードの範囲があります。(特に敏感なリバーサルには同梱の説明書に書いてあります。) これは「相反則不規」と言って、本来の感度が低くなったり発色がおかしくなります。 これを避けるにはタングステンタイプのフィルムを使うしかありません。 まあ、そんなスローシャッターを使う場合は、よっぽど特殊な条件になりますけどね..。

 さて、夜景の写し方についてまとめてみたんですが、いかがですか?。一見難しそうですがやってみると面白いと思いますよ。 1.〜9.まで書きましたが、初級編を理解しているだけで結構違うと思います。皆さんも1度トライしてみては?(^_^)。
 ところで10番めのテクニックと言うか、「夜景」を撮るのに1番注意しなければいけないことを書いておきます。

それは... 変質者に間違われないようにする! ことです

 学生時代、夜景の街角を撮影していたおやじは警官から職務質問を受けたことが何度もありました。 別に変な場所を撮っているわけでなくても、カメラを持ってるだけで「あやしく」見えるようです。 (まあ、おやじの場合は自作した特殊フィルターを645につけてたので、余計そう見えたのかもしれませんが..) こんな素晴らしい「卒業制作」 を撮ってたのに変質者扱いはひどいですよね。(^_^;)

それにしても、最近本当に変な輩がいるからなぁ..。


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