芹沢氏が生まれ育った沼津の我入道の浜にある二つの文学碑です。
風に鳴る碑
彫刻 : 向井良吉 設計 : 大高正人
文学館と同じく岡野氏の好意で立てられました。
芹沢氏の少年の日の思い出の地である岩の上に立てられ、西風を受けてヒューイヒューイと鳴る壮観な眺めでした。
それも防波堤ができて今は廃墟のようになりましたが、読者ならば心に当時を呼んで味わって頂きたいです。
『人間の運命』の序章である『海に鳴る碑』は
この碑に感謝して付けられたタイトルです。
孤絶の碑
千本松の中に、眼下に我入道の浜を見下ろすようにどっしりと座っています。風に鳴る碑が惨めになったので、こちらに新しく造ったのでしょうか。
今では確かにこちらの方が趣があるかもしれません。
風に鳴る碑から見た千本松原の上に顔をのぞかせる富士。
幼い光治良少年が毎日見たであろう我入道海岸。
風の鳴る碑に刻まれた詩
『幼かりし日 われ 父母にわかれ 貧しく
この浜辺に立ちて 海の音 風の声をききて
はるかなる とつくにを想えり』
を思い起こさせます。
芹沢光治良生誕地碑
我入道の東町バス停そばにひっそりと立っています。
芹沢氏はこの地で富裕な網元の家の次男として生まれました。
榎の立つ庭には池があり、大きな椿が咲いていました。
やがて父が天理教に帰依して家屋敷を売り払って出て行き、芹沢氏は祖父母と草屋根の平屋に住むようになります。
いつか榎も切り落とされ、家もなくなって――