2019/11/28
リヒャルト・ワーグナー
ローエングリーン

ローエングリーンのあらすじと解説

項目 データ
初演 1850年8月28日、ワイマール宮廷劇場(指揮:フランツ・リスト)
台本 リヒャルト・ワーグナー
演奏時間 3時間40分

『ローエングリン(Lohengrin)』は、
リヒャルト・ワーグナー(Richard Wagner/1813年-1883年)によって作曲されたオペラです。

ワーグナーのパトロンであるルートヴィッヒ2世によって愛された作品でもあります。
この『ローエングリン』の様子は彼が建てたノイシュヴァンシュタイン城の内部にも描かれており、
現在も見ることが出来ます。

 ノイシュヴァンシュタイン城は、ルートヴィッヒ2世によって建てられた城です。
ディズニーランドのシンデレラ城のモデルになったとも言われています。

またこのオペラ内で演奏される『婚礼の合唱(結婚行進曲)』は結婚式などでも演奏され、
誰もが耳にしたことのある音楽です。

ここではそんなワーグナーのオペラ『ローエングリン(Lohengrin)』の
あらすじを紹介したいと思います。

主な登場人物

ローエングリン(テノール):白鳥の騎士
エルザ(ソプラノ):ブラバント公国の公女
ゴットフリート(黙役):エルザの弟でブラバント公国の世継ぎ。

フリードリヒ・フォン・テルラムント(バリトン):ブラバント公国の実権を狙っている。
オルトルート(メゾソプラノ):フリードリヒの妻、魔法使い。
ハインリヒ国王(バス)

など

『ローエングリン』のあらすじの前に

舞台はブラバント公国。
先代の王には2人の子ども(エルザ、ゴットフリート)がいました。

王はフリードリヒに
「ゴットフリートを次の王にし、お前とエルザは結婚をしなさい。」
と死ぬ前に伝えます。

そこに王の地位を狙うオルトルート(魔法使い)が登場します。
彼女はゴットフリートを白鳥に変え姿を消させます。
さらには「エルザが弟を殺した。」と嘘を流します。

その結果、フリードリヒがブラバント公国の実権を握り、オルトルートはその妻の座に座ります。
このオペラでは、そのエルザの危機を白鳥の騎士が救います。
その白鳥の騎士の名こそが「ローエングリン」です。

第1幕:『ローエングリン』のあらすじ

フリードリヒの陰謀

フリードリヒが「エルザが弟を殺した」(嘘)と報告する

ドイツ国王ハインリヒがブラバント公国を訪れて、ハンガリーとの戦いのために兵を募っている。

国王ハインリヒが「この国はなぜ混乱が起きているのか」と尋ねる。

するとフリードリヒが
「先代の王にはエルザとゴットフリート(弟)の2人の子供がいました。」
「ある日エルザが弟と森へ出かけた時、エルザは一人で帰ってきました。」
「彼女は弟を殺したのです。」
と王に訴える。

 実際はゴットフリート(弟)は死んでいない。
オルトルート(魔法使い)によって白鳥の姿に変えられている。

続いてフリードリヒは国王に
「私をこの国の領主にして欲しい。」
と訴える。

国王は法廷を開くことにし、慣例に従い決闘をおこなうことを決める。
法廷のためにエルザが呼ばれる。

裁判が開かれる。

エルザが「夢で見た騎士」を語る

エルザが登場し、国王に尋問を受ける。

エルザは夢で見た騎士の話をする。
そして「その騎士がフリードリヒと闘い、冤罪を晴らしてくれる」と語る。
(Einsam in truben Tagen)

「Einsam in truben Tagen」

審判の時となり、軍令使が登場し「戦う者は前へ出よ。」と合図する。
しかし、夢の中の騎士は現れない。

エルザは祈り続ける。
すると白鳥に曳かれた小舟に乗った騎士(ローエングリン)が遠くから現れる。

ローエングリンの登場

「白鳥の騎士」の素性を知ってはいけない

ローエングリンが登場し、
「罪を着させられた乙女を守るために使わされた」
と語る。

エルザは
「私の英雄よ、私のすべてをあなたに捧げます。」
と答える。

ローエングリンはエルザに
「あなたの夫となり、国と人々をを守る」と約束するが、
「私の名と素性を尋ねてはいけない。知ろうとしてもいけない。」
と条件を付ける。
エルザはそれを約束する。

やがて決闘がおこなわれると、ローエングリンはフリードリヒを打ち破る。

第2幕:『ローエングリン』のあらすじ

フリードリヒとオルトルートが復讐を企む

決闘で負けたフリードリヒとオルトルート(魔法使い)は追放されてしまった。
オルトルートは「エルザが【騎士の素性を問う】ように仕向けよう」と復讐を計画する。

またオルトルートは
「魔術を得たものは、身体の一部がなくなるとその効果を失う」と語り
「あの騎士の身体の一部を切り取ろう」と提案する。

エルザに疑念を擦り込む

エルザがテラスに登場し、幸せが訪れたことを喜んでいる。
(Euch Luften, die mein Klagen)

そこにオルトルートが巧みに近づく。

オルトルートは
「あなたの幸福を信じすぎないでください」
「どうしてあんな不思議なことが起こったのですか?」
「あの騎士があなたのもとを去らなければいいですが」
と語り、エルザに【白鳥の騎士への疑念】を持たせる。

そしてオルトルートは復讐の成功を祈る。(Entweihte Gotter!/汚れたる神々よ)

「Entweihte Gotter!」
オルトルートが「エルザが婚礼に向かう」のを遮る

夜が明けて人々が集まる。

伝令が、
「エルザと見知らぬ騎士(ローエングリン)の婚礼がおこなわれる」
ことを告げる。

エルザが婚礼のために皆と教会へ向かっている。
その行列にオルトルートが割って入る。

オルトルートはエルザに
「あの裁判は偽りだ。お前はあの騎士の名前も言えない!」
「あの騎士の素性と血統は確かなのか!?」
「素性が明かせないのは、ただならぬ事情があるからだ。」
と暴言を吐く。

エルザは疑念を抱きながらも、婚礼へ向かう。

フリードリヒが「騎士の素性を明かせ」と詰め寄る

国王とローエングリンの一行が現れる。
騒ぎに気付いたローエングリンは、オルトルートを退ける。

しかし、そこにフリードリヒも現れ、裁判の無効を訴える。
そして「騎士の素性を明かせ」と詰め寄る。

ローエングリンは
「私は王でさえも、素性を明かさない。」
「私は正当な行為をしているのだ。」
「ただし、エルザが尋ねるのであればそれは拒否できない。」
と語る。

王に先導され、ローエングリンとエルザは教会へ入っていく。

第3幕:『ローエングリン』のあらすじ

『婚礼の合唱(結婚行進曲)』

花嫁の部屋

『婚礼の合唱(結婚行進曲)』が歌われ、喜びに包まれている。
(Treulich gefuhrt)
やがて舞台はローエングリンとエルザの2人だけになる。

『婚礼の合唱(結婚行進曲)』

エルザが「騎士の素性」を問う

ローエングリンとエルザは愛の喜びに浸る。

しかし、エルザの疑念は次第に深まり不安に変わっていく。
そしてついに「あなたの秘密を明かしてください」と言ってしまう。

そこに、フリードリヒが手下を連れて現れる。
フリードリヒたちは剣を抜いて、ローエングリンに襲い掛かる。
ローエングリンは彼らを一撃で倒す。

ローエングリンは
「私たちの幸せは失われた」と語り
「王の前で私の素性を明かそう」とエルザに告げる。

ローエングリンが皆に素性を明かす

国王の前に皆が集まる。
フリードリヒの死体が運ばれ、青ざめた表情のエルザも現れる。

そこにローエングリンが現れ、
「昨夜フリードリヒに襲われ、私は彼を殺した。」
「エルザは私を裏切り、私に素性を尋ねた。」
と二つの事実を告白する。

そして
「私は聖杯の騎士の王パルジファルの息子ローエングリンだ。」
(In fernem Land)
と自らの素性を明かす。

ローエングリンが去り、弟が元の姿に戻る

ローエングリンは
「素性を明かしたからにはこの地にはいられない。」
と皆に別れを告げる。

するとそこに白鳥の船が現れる。
ローエングリンは白鳥を眺めながら愛するエルザに別れを告げる。
(Mein lieber Schwan)
「Mein lieber Schwan」

ローエングリンが白鳥の鎖を解くと、白鳥は水中に潜っていく。
そして代わりにゴットフリート(弟)が水中から現れる。

ローエングリンは
「彼こそがブラバント公だ!彼が軍を指揮すべき人だ!」
と語る。
ゴットフリートを見たオルトルートは、叫び声をあげ地に倒れ込む。

ローエングリンが去っていき、エルザは嘆き悲しむ。
エルザはゴットフリートの腕の中で悲しみの余り意識を失い、オペラは終わります。



ゲオルク・ショルティ指揮
ウィーン・フィル
ウィーン国立歌劇場合唱団
(合唱指揮グロール)
1985年&1986年の録音

ローエングリン:プラシド・ドミンゴ
エルザ:ジェシー・ノーマン
オルトルート:エヴァ・ランドヴァー、
テルラムント:ジークムント・ニムスゲルン
国王ハインリッヒ:ハンス・ゾーティン
軍令使:ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ

ウィーン・フィルをDECCAの録音で聴きたいという人にはこれが一番でしょう。
冒頭からオーケストラの美しい音色に耳を奪われます。ショルティの指揮も壮麗で、
鮮烈な印象を受けます。歌手では軍令使にディースカウを起用していますが、
軍令使はもっと張りのある声のほうが好きです。
ドミンゴのタイトルロールも悪くないと思います。
小粒のテノールよりドミンゴのドラマティックな歌唱のほうが好みです。
その他の歌手はノーマン(見た目よりもずっと可憐な歌)を始めとして、
いずれも立派な歌唱を聴かせてくれます。




ワーグナー:『ローエングリン』
クラウス・フローリアン・フォークト、アネッテ・ダッシュ
アンドリス・ネルソンス&バイロイト


旧来のワーグナー歌手の固定概念を覆す新時代のヒーロー、
クラウス・フローリアン・フォークトは、2008年の
『マイスタージンガー』でのバイロイト・デビューに続き、
2011年に題名役でハンス・ノイエンフェルス演出の『ローエングリン』に登場し、
鮮烈な印象を残しました。前年2010年にバイロイト・デビューを飾った、
新進気鋭のアンドリス・ネルソンスが、バイロイト祝祭管弦楽団と合唱団から、
充実した音楽を引き出しています。(輸入元情報)
これがまたとんでもなく素晴らしいです。
何方も必聴盤だと思います。
他にも、サバリッシュ・ケンペ・クーベリック・カラヤンなど、
沢山のマエストロが名盤を世に送り出していますが、
この二人を聴いて、興味がわいたら他のマエストロも聴いたらいいと思います。

【収録情報】
● ワーグナー:『ローエングリン』全曲

 ドイツ王ハインリヒ:ゲオルク・ツェッペンフェルト
 ローエングリン:クラウス・フローリアン・フォークト
 ブラバントのエルザ姫:アネッテ・ダッシュ
 フリードリヒ・フォン・テルラムント:ユッカ・ラシライネン
 オルトルート:ペトラ・ラング
 王の伝令:サミュエル・ユン
 バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団
 アンドリス・ネルソンス(指揮)

 録音時期:2011年8月14日
 録音場所:バイロイト祝祭劇場
 録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)


今、アンドリス・ネルソンスのローエングリーンを聴きながら書いてますが、
ワーグナーもこれ聴いたら喜ぶんじゃないですかね。
そして、お店のスピーカーから流れるアンドリス・ネルソンスのローエングリーンは、
まるでライブの会場で聴いているような素晴らしい録音だと思います。
実に奥が深く柔らかい音楽の流れです。
デジタルの音は、どんなにビットレートが上がろうと、本物のアナログにはかないませんが、
限りなく本物のアナログに近い音を、ウエスタンスピリッツのケーブル群が担当してくれています。
と言うよりも、本来持っているシステムの音源を余すところなく、
あくまでフラットに、そして芯のある重心が低い角の丸い音に仕上げれくれています。
まだまだ進化は止まりません。何度も言います。いや〜音楽って本当にいいですね。
今聴いているローエングリーン、たまんないです。


それではまた。次回はタンホイザーです。


タンホイザーです。
さまよえるオランダ人です。
ニュルンベルクのマイスタージンガーです。
パルジファルです。


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