事故に関与した業者の傾向

★良い業者を選ぶことが自分の安全を守ること★


事故に関与する業者が多いことが問題になっていることを知らせる新聞記事


            読売新聞(大阪) 2004年(平成16年)2月17日夕刊(*1

 この記事で取り上げている海上保安庁の文書の存在は、以前、当HPでも当時取り上げていましたが、多くのダイバーは、一般紙がこの文書の内容を大変なことだと評価したような重大な内容であることを知らなかったと思います。
 平成15年は、この文書が出ても膨大な数の事故者が出、さらに平成16年も、対15年で減ったようですが、それ以前の年と比べると相変わらず高水準であったことから、あらためて業界の問題が明確になるように、記事の内容も判読できるような形で読売新聞社の許諾の下
*1に掲載します。

海上保安庁より主要指導団体などに送付された重要文書

削除された文言の背景にある「格段の配慮」の考察

事故全体に占める業者同行比率
※平成11年から15年にかけて、事故時に業者が同行していたか否かが明確(海保・警察・消防の記録などで確認)な57件中の比率(以下同様)

 事故が多かった平成11年と15年との比較においても、業者同行時の事故発生比率が劇的に増加した。

[47.6% ⇒ 75.4%]

 これでも非常に大きな問題であるが、さらに深刻なのは次のデータである。

死亡事故に占める業者同行比率


 
平成12年に1.8%の低下があった以外は顕著な増加傾向を見せている。

 確かに、事故の結果の100%がインストラクターやガイドの責任と言えないものもあるだろうが、それは司法当局が刑事責任を問うかどうかの判断や、賠償責任の過失割合の判断の問題である。
 問題は、プロと称する人々が、お金をもらって商売として消費者のそばに一緒に
いるにもかかわらず、死亡などという重大事故が増え続けている、という事実である。

 重要なことは、これはプロと称する、あるいはプロと名乗るための理由とするための任意のインストラクター資格を買った人の商品である“能力・適性”に欠陥があったことを示している。つまり商品ダイビング市場には、一般の消費者には把握しきれないほどの多くの欠陥商品(人命にかかわる欠陥)が出回っているということである。

 その欠陥商品の生産・流通によって被害を最も受けるのが、消費者である講習生や一般ダイバーである。最も利益を得るのは、欠陥を正さずに生産・販売し、さらに欠陥の結果責任を消費者の自己責任という呪文を唱えて転嫁するというような、事業の責任と消費者の安全のための経費を負担しようとしない欠陥品生産者である。
 こういった欠陥商品生産者の利益に対する消費者の最大の結果は死である。

 現在のところ、消費者がより安全にダイビングを行おうとしたら、また正しい技術や意識を得ようとしたら、市場に少数しかいない、経験豊かで安全意識が高く、十分な技量に裏づけされたインストラクター個人を探すことに尽きる

 こういった条件の下に、現在の消費者が行わなければならないことは、自己防衛のために、耳に心地よい、あるいは都合のよい情報(いいときだけを強調したポイントガイドなどやチャラチャラと一見楽しそうなだけのスタッフのショップなど)に偏らず、まず第一にしっかりとした安全のための、そして良い業者判別のための情報収集の「努力」である。

 そして自分の安全のために、ここに掲示した事実がなかったごとく、あるいは重要なことではないかのように扱う、あるいは無視する者の言動や文章に出会ったら、その者の組織名や権威や肩書きにとらわれず、それが自分の安全にとって正しいものかどうか(自分だけは大丈夫だろう=正常化の偏見)を考え、安逸に大丈夫という意識に誘導しようとしていないかなどを注意深く考えてみることが必要である。


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 平成17年3月1日