幼虫の飼育 国内外のクワガタ幼虫について一般的な飼育方法を解説しているクワガタ飼育マニュアルです。
INDEX
飼育方法 菌糸ビン飼育、マット飼育などの特徴。長所、短所など。
便利な道具 あると便利なキッチン秤から、スリコギ、スプーン、ライトなど。
菌糸ビン飼育 幼虫の入れ方、ビン交換のタイミング、温度管理について。
幼虫について・蛹化・羽化 幼虫の令について。♂♀の判別、蛹化、羽化など。
マット飼育 マットの種類、マット交換、飼育温度について。
大きい成虫に育てよう! 大きいサイズの成虫にするためには「何もしないこと」が一番!?

                             飼育方法
菌糸ビン飼育
菌糸ビン飼育は現在、最もポピュラーな飼育方法です。オオクワガタ、ヒラタクワガタ、コクワガタなどに向いています。短期間で、最も大きく育つ方法といわれています。菌の種類はヒラタケ、オオヒラタケが一般的ですが、最近ではカワラタケの菌床も販売されています。オガ粉はクヌギ、コナラ、ブナなどがあります。菌糸ビンは数多くのメーカーが販売しているので、常時手に入る信頼できる銘柄を選びましょう。
弱点は温度管理が必要な事です。菌糸ビンの種類にもよりますが、30℃を超えると菌糸が劣化して幼虫に害があります。28℃以下、出来れば26℃以下で管理しましょう。特にカワラ菌床は高温に弱いようです。初令幼虫の致死率が高いと言われてますが、劣悪なマットよりは安全だと思います。
菌糸ビンは普通、ショップで買うと、1本400円から1000円位(800CCクラス)と結構、高価です。通常オオクワガタはオスで、羽化までに2−3本のビンが必要です。数匹飼育していたら財布の中身が心配ですよね!数多く飼育する人は、通信販売のケース売りで購入してみてはいかがでしょうか?1本あたり250円ー400円で購入できます。もっと安く・・・と言う方は、菌糸をブロック(写真右)で購入する方法もあります。通販で1ブロック400ー1000円程度です(3000cc位)。これを、一度ほぐして、ビンに詰め替えます。詳しくは「ズボラな菌糸ビン作り」をご覧ください。ビンさえあれば安いですよ。

  ガラスビンとプラボトル・どちらが良いのでしょうか?

ガラスビンは透明なので観察しやすいですね。でも値段が高い!プラボトルは安いのですが中が見にくい・・。ビンの中は菌糸の活動で外気より2−3℃高温になるので放熱効率が良いガラスビンは管理しやすいともいわれます。2−3頭の飼育ならガラスビンがお勧めです。私の場合は最近、プラボトルオンリーです。理由は飼育数が多いのでコストが安いこと、重量が軽いほうが扱いやすいからです。あと・・・私の場合、何故かプラボトルのほうが成績が良いのです
マット飼育
マット飼育はボトルに幼虫飼育用のマットを詰めて飼育する方法です。最も多くの種類に対応するといわれています。マットの品質にもよりますが、コスト的にもリーズナブルで、失敗しにくい飼育方法です。温度管理も菌糸ビンほど、うるさくはありません。弱点はマットの交換時期が判りにくい事です。大きく分けて添加発酵マット飼育と無添加発酵マット飼育にわかれます。

添加発酵マットとは、朽木(または生木)を粉砕したオガコに小麦粉、フスマなどの添加物を加え、ある一定期間バクテリアで分解させたマットのことです。専門店には置いてありますが、ディスカウント店などで手に入れることは難しいでしょう。最近は通販で手に入れることも可能です。
市販のマットに小麦粉などを添加して、自分で作る事もできます。詳しくは添加発酵マットの作り方を参照してください。添加発酵マット飼育は多くの種類のクワガタに対応しますが、ヒラタクワガタ系には特に有効で、大きな成虫に育てることが可能です。値段は10リットルで¥1000から¥2000位です

無添加発酵マットは、添加物を加えて二次発酵させていないマットのことです。栄養的に乏しいので大きく育ちにくい傾向があります(私の場合国産オオクワガタで66ミリが最高でした)。無添加マットを使う時も必ず一次発酵済みの製品を使用して下さい。生オガを与えると幼虫が摂取出来ず、死んでしまう事があります。必ず、「幼虫の餌になる」という記述のある製品を選んでください。

材飼育
大きめの産卵材に穴を開け、幼虫を投入して飼育する方法です。最も自然に近い飼育方法ですが、材の品質、管理が難しそうです。中の様子も見えません。栄養も乏しいので、2年1化で、ゆっくり育てる方法です。最近は霊芝材、カワラ材などが脚光を浴び、見直されています。
どっち?
菌糸ビンor マット

菌糸ビン飼育、添加発酵マット飼育、どちらが優れているのでしょうか?オオクワガタ系は現在、菌糸ビン飼育が優勢なようですし、ヒラタ、アンタエウス系は意見が分かれるようです。これは、それぞれの食性に依るところが大きいようです。
立ち枯れ木があった場合、国産オオクワガタは、乾燥気味の上部に好んで産卵しますが、「根食い」のアンテ系、ヒラタ系は、湿気が多く、腐朽の進んだ、地面に近い部分に産卵するようです。
従って、クワガタの食性により、適した飼育方法があると思います。また、同じ菌糸ビン飼育でも、全てが同じというわけではありません。オガコの種類、粒状性、仕込みの日数、水分量、添加剤、菌の種類など、など・・・。例えば、最近、タランドゥスオオツヤクワガタ(アフリカ産)などの飼育用に、カワラタケ菌を用いた菌糸ビンが発売されました。以前はヒラタケ菌またはオオヒラタケ菌が主流でしたが、一部の種類はこれらの菌では飼育が困難でした。ところが、タランドゥスの場合、このカワラ菌床を使うことにより、以前より良い結果が出ています。
多くの種類のクワガタは、最良の飼育方法が確立されていないため、飼育技術は、まだまだ伸びる可能性を秘めています。飼育技術がほぼ確立された、国産オオクワガタはブリードギネスがワイルドギネスを5mm以上、上回っています。クワガタブリーダーの研究に期待が集まります。

以下に、種類別の相性を5段階評価で採点してみました。
 5が「大変よくできました!」
 4が「よくできました!」
 3が「普通」
 2が「あと少し」
 1が「しっかりしろ!」
この程度にお考えください。
もちろん、これは私の感想であって、必ずしも、実際の飼育と一致するわけではありません。尚、マットは上質の添加発酵マットのことです。
  菌糸ビン飼育 マット飼育
国産オオクワガタ
グランディスオオクワガタ
中国ホーペ
台湾オオクワガタ
アンタエウスオオクワガタ
国産ヒラタクワガタ
オオヒラタクワガタ
ニジイロクワガタ
パプアキンイロクワガタ
国産ミヤマクワガタ
ユーロミヤマクワガタ
ギラファノコギリクワガタ
タランドゥスオオツヤクワガタ 4(カワラ)

ノコギリ、ヒラタ系はマット、菌糸・両方OKという感じです。


 便利な道具

左の写真は100円ショップで購入したスリコギです。マットや、菌床をボトルに詰めるのに使います。
右はタニタのキッチン秤です。幼虫の体重を測定するとき使用します。飼育ビンの交換時に体重を量る事で以後の飼育の参考になります。以前は1グラム単位の物を使っていましたが、0.5グラム単位の製品が安くなりましたので、買い替えました(1500円くらい)。本当は0.2グラム単位の物が便利なのですがまだまだ高価です。写真はパプキンの幼虫の体重測定です。4.5グラムと5グラムの間で振れていたので、4.7グラム程度でしょうか?以前の1グラム単位の秤では5グラムと表示されていたのですから大分正確になりました。
              
 3種類のスプーン


クワガタ飼育に慣れてくると、目的に応じた道具が欲しくなります。私は3種類のスプーンを使っています。
[左]は100円ショップで購入したクッパ用です。肉厚が薄いので細かい作業に向いています。また、柄の先端部分が鋭利なので、新しい菌糸ビンの幼虫を入れる穴開けに重宝しています。しかし、力の必要な作業には不適です。
[中央]は400円位で購入したクッパ用です。肉厚で頑丈な作りです。面も大きく円形で幼虫の移しかえもスムースです。柄が長いので深いビンの底の掃除も楽です。長時間の作業でも手が痛くならないのが嬉しいです。
[右]は100円ショップで手に入れたもので、スプーンというより、盛り付け用の道具です。マットや菌床をビンに詰めるときに使います。

意外と役に立つのがライトです。昆虫採集には必需品ですが、飼育にも役に立ちます。夜間にクワ部屋で作業するときに便利なのが、ヘッドライトタイプです。部屋の明かりでは見にくい細かい作業もOKです。写真撮影の補助ライトとしても活躍します。ペンライトは幼虫の状態を確認するときに便利です。私はいずれも、明るいLEDタイプを使っています。


血統や、種類の特定の為、ラベルシールをケースやビンに貼っておくと便利です。「私は覚えているから大丈夫」という過信は禁物です!!・・・クワガタ飼育は産卵から羽化まで1年くらいかかりますから・・・。ラベルシールは100円ショップで売っています。


                            菌糸ビン飼育
菌糸ビンの
選び方

菌糸ビン(菌糸ブロック)は各メーカー、販売店から数多くの種類が販売されていて、どれを選択してよいか迷いますね。有名なラベルに「G−pot」「菌太郎」「フォレスト」「大夢」「Wish」などがありますが、お値段もまちまちです。「安いから悪い」とは言えませんし、「高いからスゴイ」という事も疑問です。「このビンに入れると大きくなるよ!」という宣伝文句の菌糸ビンを使用しても、私の場合、明らかな差がでた事はございません。
オススメは安定供給されている菌糸ビンです。夏季などに欠品するものは避けたほうが無難です。ナマモノですので、買いだめはできません。近所のお店で扱っていれば、緊急時にも重宝するはずです。手に入りにくい商品を「ブランド名」だけで、選択するのは危険です。
値段も重要な要素です。2−3頭なら問題ありませんが、飼育数が20−30と増えてくると重大な問題になります。1本600円の菌糸ビンと300円の菌糸ビンでは1回の交換で1万円近い差になります。
長く付き合える菌糸ビンと出会える事は飼育技術を高める上で重要かもしれません。同じ菌糸ビンを長く使っていると、その菌糸の特性が解ってきますし、「モチ」(耐久性)も計算できるようになります。クワガタの幼虫は母親から菌糸を分解するバクテリアを受け継ぐという説があります。同じ菌床を代々使う事で、幼虫の栄養摂取効率が上がり、大きくなるというのです。

菌糸ビンの
準備

  菌糸ビンを買って来たら・・・。

買って来た菌糸ビンはすぐには使えません。輸送のよる振動、温度変化で菌糸が活性化して、二酸化炭素が発生していることがあるからです。必ず、飼育環境に慣らしてから幼虫を投入してください。私は必ず飼育部屋で2晩寝かします。特に、夏、冬は温度変化が激しいので注意が必要です。ビンを逆さまにして置いておくのも有効です(二酸化炭素は空気より重いので)
通販で購入した場合も同様ですよ!

菌糸ビンのフタを開け、菌糸マットをスプーンで掻き出してください。ビンにもよりますが、口から、2−3センチ深く掘って下さい。「もったいない」と思うかもしれませんが、ビンの肩口くらいまで掻き出しましょう!空間を空けるのは、通気を確保する為です。幼虫が暴れて、通気口がマットで塞がれたり、キノコによる閉塞を防止する為です。

菌糸ビンの種類によっては掻き出す必要のないものもあります。この場合は幼虫を入れる穴を掘るだけです。
幼虫の投入
幼虫を投入します。幼虫は必ずスプーンで扱ってください。幼虫が潜りやすいように穴を掘って、その中に「そーっと」入れてあげてください(写真左)。私は幼虫を新しい菌糸ビンに投入するときは幼虫の食痕を必ずふりかけています。バクテリアの移行がスムースに行われると思うからです。

初めて菌糸ビンに入れる幼虫は1令の中期から、2令までが適しています。より大きく育てたい人はなるべく早い時期に、より安全に育てたい人はちょっと大きくなってから・・・と言われています。私は1令の中期以降なら迷わず投入していますが、マット飼育に比べて死亡率が高いということはありません。





3令幼虫には、カラダに合わせた、大きな穴を掘ってあげると良いでしょう。頭を穴に向けてあげるとすぐに潜っていきます。
穴を深めに深く掘ってあげると早く、底部で落ち着いてくれ、暴れだす確立も減ります。
フタを閉める
確認

フタをして、ハイ!終り!簡単ですね。でも、しばらくしたら、潜って行ったか確認してください。数時間たっても潜って行かないときは、何か気に入らない事があるのです。こんな時は元のマットを幼虫の周りにふりかけてあげるのも良い方法です。(雑菌が入るので嫌う人もいる)
それでもダメなら、元のマットに戻してしばらく様子をみるか、どうしてもダメならマット飼育に移行します。
脱皮前の幼虫は潜っていかない事が多いようです。幼虫の体に艶がなく、体の割に頭が小さいと思ったら脱皮前の可能性があります。私の飼育例では、菌床の上で脱皮して、その後、潜っていきました。
菌糸ビン交換

幼虫が菌糸を食べた跡は、白い菌糸が無くなり茶色い食痕が残りますので判り易いです。しかし、中身まではわかりませんよね!飼育書では白い菌糸が残り半分になっ場合、または3ヶ月が経過したらビンの交換のタイミングと書かれていますが、必ずしも全てには当てはまるわけではありません。写真は色々な食痕。
ビン交換の方法は最初に幼虫を入れた時と同じです。私はスプーンの柄で深く穴を掘り幼虫を投入します。理由は、早くビンの底で落ち着けるようにするためです。幼虫の成育が良好な場合、元のビンの食痕をふりかけてあげるとバクテリアの伝授に有利だと思います。
菌糸ビン交換のタイミングは難しいですね!私は今でも悩みます。
右写真の菌糸ビンをご覧ください。表面の食痕は少ないものの、掘り返して見ると中身は殆ど食べ尽くされていました。小さな食痕がビンの周囲に満遍なく出てきたら、食べ尽くされた可能性が大です。
私は以前、菌糸の寿命を考え、食痕の大小に係わらず、3ヶ月を目処に菌糸ビン交換をしていましたが、最近は菌糸ビンの状態で交換しています。近年、菌糸ビンの質が向上し、4ヶ月以上持つ菌糸ビンが増えていると思います。もちろん、管理温度の影響も大きいのですが・・・。
居食い

菌糸ビンで飼育していると時折、食痕の割りに大きく育った幼虫に出会うことがあります。菌糸ビンの表面は余り削られていなく、中身も荒らされていない感じの飼育ビンです。これは「居食い」が大きな要素ではないかと言われています。
幼虫の体重を測定してビックリ!意外と、食痕の少ない飼育ビンに大きい幼虫が多いのも事実です。写真は食痕の割りに大きく育った幼虫を掘り出した菌糸ビンです。どうやら幼虫は同じ場所に留まり、消化バクテリア入りの自分の排泄物も取り込みながら大きく成長した模様です。もちろん、菌糸ビンの容量も重要ですが、幼虫が落ち着いて、消化バクテリアを含む有益な食事が出来る環境を構築する事ができたら、より大きな個体の羽化にチャレンジできるのかもしれません。しかし、どうしたら人工的に「居食い」してくれるのでしょうか?

メンテナンス
保管場所は暗く、静かで風通しの良い場所が適しています。外国産(熱帯、亜熱帯産)は低温に気をつけましょう。15度以上の飼育温度が好ましいようです。10度を下回る日が何日も続くと死んでしまうことがあります。
国産クワガタは低温に強いようですが、15・6度を下回ると活動をやめて、休眠します。早く羽化させたい人は温室で飼育して下さい。冷蔵庫の上も温かいらしいですよ!
夏は逆になるべく涼しいところに置いてください。20℃から25℃が菌糸ビンの最適温度です。30℃を超えると菌糸が劣化し(ビンの中の温度は外気より2℃位高いそうです)最悪は発酵して、幼虫が死亡する事があります。夏季は陽の当たらない軒下に置くのも、ひとつの方法です。エアコンを購入する前、私は床下に保管しました。
適当な場所がないときは水槽に水を入れ、中に、重りをのせた菌糸ビンを入れる方法もあります。
菌糸びんは元々キノコの育成用なので、キノコが生えてきます。特に20℃を下回ると生えて来ることが多いようです。通気口をふさがれると幼虫が窒息してしまいますので早めに取り除いてください。(栄養も奪われそう!)

*雑菌が入ると、カビが生える事があります。あまりひどい時は交換しましょう。

幼虫について・蛹化・羽化
1令2令3令
幼虫

幼虫は卵から孵化したて(1令幼虫)から、脱皮して、2令、3令(終令)となり、前蛹期間を経て、蛹になり、羽化して、成虫になります。
1令幼虫はオレンジ色の頭が小さく頭幅2ミリ以下です。頭はその令であるうちは、あまり大きくなりません。体だけが飛躍的に大きくなります。脱皮して2令になると、頭幅が格段に大きくなり(約2倍)、相対的に体は小さく見えます。2令幼虫が成長すると3令になりますがやはり、最初は頭が大きく体は小さいのです。
各令の幼虫期間は特に決まっていません。環境がよければ、ゆっくり加令し、大型になります。反対に悪いと早く加令して、小型の成虫になります。
春から夏に採卵した幼虫は晩夏から秋には3令となり、冬を越します。
左の写真はアンタエウスオオクワガタの2令幼虫です。両方とも2令ですが、頭の大きさは同じなのに、体の大きさが全然違いますね。左の幼虫は2令になったばかりで、頭部の色がまだ薄いです。

国産
オオクワガタ
幼虫の管理

国産オオクワガタの幼虫を飼育する場合、特別に注意する事がひとつあります。それは、「冬」を体験させる事です。
多くの飼育者の方が冬場は温室(または加温装置)で幼虫を飼育されています。しかし、春から初夏、採れた幼虫を冬季も温室で加温した場合、大きな幼虫ほど高い確立で「セミ化幼虫」になる危険性があります。「セミ化」とは、幼虫がなかなか蛹化できないことです。「セミの幼虫」の様に、長年、幼虫のままでいる事から呼ばれるようになりました。
私が知っている「セミ化」を防ぐ方法は「冬」を体験させる事です。クワガタの幼虫は元来の環境に適応しています。国産オオクワガタの場合、冬の「寒い」環境がないと、蛹化のスイッチが入りにくいみたいです。実は私もセミ化に悩まされています。メスですら、幼虫のまま黒くなってしまう個体もいました。ところが、冬季、加温を中止したところ、セミ幼虫が減少したのです。
コツは加温を中止するタイミングと再開するタイミングです。

 2XXX年度の管理

5月・ブリード開始
6月・幼虫を回収。菌糸ビンへ!
9月・10月・2本目の菌糸ビンへ。
11月下旬・温室より取り出し、室温飼育。

翌年2月上旬、♂と劣化の激しい♀のボトルを3本目の菌糸ビンへ移しました。
4月・蛹室作製・・・・という感じでした。

我が家の飼育部屋の室温は冬季、8度から14度程度だと思います。
室温が15度以上では冬を感じないと思います。10度程度の環境が必要だと思います。
期間は2ヶ月程度あれば十分だと思います。騙すだけですから・・・。
ビン交換のタイミングは、2本目でMAX体重になるようにして、そのまま越冬させ、
3本目の交換のショックと加温で、蛹化させる感じです。
「コツ」は急激な温度変化を避ける事です。

 2○○〇年度の管理

タイムテーブルは2XXX年と同様です。
温度を下げすぎると幼虫は全く餌を食べなくなり萎む傾向があるという情報を聞きました。ここ数年、冬をきっちり感じさせればセミ化は防げることがわかりました。そこで、温度の境界にチャレンジしてみようと思いました。設定温度は16度。結果はアウト。オス6頭メス5頭がセミ化しました。久々のセミです。もう少し下げないとダメみたいです。

♂♀の判別
幼虫の雌雄の判別はなかなか難しいものです。しかし、慣れてくると2、3令では大概、判別ができるようになります。見分ける方法のひとつは、頭部の大きさ、体の大きさによる判断です。これは個体差、種類による違いもありますが、慣れてくると頭幅と体のバランスでわかるようになります。幼虫の体重も参考になりますね。
もうひとつは、♀の幼虫のおしりにある薄茶色の印を捜すことです。これは2令以降の♀幼虫の「おしり」から3節目あたりにみられます。卵巣では?といわれていますが確証はありません。しかし、これも幼虫によっては見えにくい個体もいますので、完全ではありません。恥ずかしながら、私は今でも「大きなメス」と「小さなオス」を間違えますから・・・。

前蛹

3令幼虫が成熟してくると、体が黄ばんできます。こうなると蛹化はもうすぐです。
時期が来ると蛹室を作ります。蛹室の壁は幼虫の糞や体液で塗り固められます。形は細長い卵型です。写真のように幼虫が蛹室を作ったら絶対に掘り起こさないで下さい。蛹室を作り終えた幼虫は前蛹状態に移行します。仰向けになって動かなくなり、体も皺くちゃになります。死んだのでは・・?と心配になりますが大丈夫です。この時期は安静が一番。決してビンを振らないでください!!写真は蛹室を作っている3令幼虫

                     蛹室の特徴

ビン交換をするときに蛹室がすでに作られているか、とても心配ですね。ビン飼育の場合、大概硬いビンの表面に沿って蛹室を作ることが多いようです。この場合、蛹室の外周に沿って水分が多くなっているように変色して見える部分があります。実は幼虫の体液や、糞なのですが、ビンの表面が蛹室に一部でも接していればこの変色を発見することができます。変色を確認したら、ビン交換は控えましょう!
しかし、中にはビンの中心に蛹室を作るひねくれ者もいます。この場合、外からの発見は困難ですので、ビンの交換時に蛹室を壊してしまう危険性があります。もし壊してしまったら蛹室の中(木屑が入ってしまった時など)を掃除してなるべく元の状態に近づけておいてあげましょう。私はピンセットを使って掃除しています。

右の写真はビンの中央に蛹室を作ったホーペの幼虫。知らずに掘り出してしまいました。蛹室を掃除してそっとしておいたところ、無事蛹化しました。もし、蛹室が完全に壊れてしまったら人工蛹室へ移しましょう。


前蛹は数週間で蛹になります。蛹化は時間にして1時間位なので、運が良ければ観察できるかもしれません。蛹は最初、乳白色ですが、序々にアメ色になります。そして、床ずれを防ぐためか?寝返りをうちます。
羽化が近づくと、体が干からびたようになり、脚などが、黒く色づいてきます。こうなると、あと数日で羽化です。羽化不全を防ぐため、安静にしてください。写真はホーペの蛹。

「ビンの底に蛹室を作ってしまった時は蛹化1−2週間後にビンを逆さまにしろ!」といわれます。これは、ビンの底はツルツルしていて蛹が上手に寝返りがうてない事と、羽化時に蛹が放出する水分がビン底に溜まり、蛹がビン底に張り付いてしまうからです。クワガタの蛹は「うつ伏せ」の状態で羽化を開始しますので、寝返りがうてないと羽化不全になります。私も以前は「逆さまにする派」でしたが、最近は放って置くことが多いです(特にメス)。羽化不全が心配なときは迷わず人工蛹室に移しています。
右の写真は羽化直前のミンダナオヒラタの蛹。

羽化

左は中国ホーペの羽化中の写真です。蛹は「うつ伏せ」の状態で羽化します。

クワガタにとって、最も華やかで危険なイベントです。決して触らないでください。写真のように綺麗に翅が閉じたら万歳!!
羽化後、完全に黒くなるまで(10日程)は、触らないほうが賢明です。

詳しくは「クワガタの羽化」をご覧ください。

            羽化不全
 

ワガタを飼育していると羽化不全は避けて通れない宿命です。特に大型個体に多く、期待していた蛹ほど無事羽化できない事が多い気がします。羽化不全と一言でいっても色々な状態があります。

羽化できずに
死んでしまう

右の写真はアンタエウスオオクワガタです。黒く色づいたものの羽化にいたらず、このままの状態で死亡しました。
重症の例
蛹室が小さく、頭部が起き上がらないまま固まってしまった。いつも下を向いたままです。羽も開いていてカビが生えています。足腰はしっかりしていますが、多分長くは生きられないでしょう。
軽症の例
上翅が開いている。軽度の場合「羽バカ」といわれます。、程度によりますが自然に治ってしまうこともあります。単独飼育してあげれば長生きすると思います。交尾も可能な場合が多いようです。

それでは、羽化不全の原因は何でしょうか?蛹室の状態(大きさ・形)も重要なファクターです。蛹室が蛹の大きさに対して小さいと羽化不全の確立は上がりそうです。マットや菌床の状態も大切です。マットが劣化して発酵熱を出すと、蛹に悪い影響がありそうです。また、栄養豊富な菌床飼育による「幼虫の太りすぎ」を指摘する方もいます。
もうひとつ、見落とされがちな要因があります。それは蛹化不全です。蛹化に失敗して不完全な蛹になってしまい、正常に羽化できない事があるのです。
では何故蛹化不全を起こすのでしょうか?外的な要因の他に内的な要因もあると思います。羽化不全の多い血統、もしくは累代飼育により血が濃くなった弊害もあるかもしれません。もちろん自然界でもこのような個体は存在しますので、少数なら気にする必要はありませんが、原因不明の羽化不全が多発したときは、是非疑ってみてください。

羽化後
クワガタ羽化後1ヶ月位は餌を食べません。理由は、はっきりわかりませんが、幼虫時に蓄えていた栄養で活動するそうです。特に大型個体は2−3ヶ月後食しないこともあります。晩夏に羽化した新成虫はそのまま蛹室で越冬し、翌春まで後食しません。成熟すると自分で蛹室から出てきます。この時は、すぐに餌を与えてください。
時々、新成虫が蛹室の中で逆さまになっている事がありますが、心配しないでください。体を乾燥させているのです。体が完全に黒くなるまでに、10日位かかります。この間は絶対に外に出さないで下さい。本来、自分で出て来るまで待つのが理想です。でも待てない人(私も・・)は羽化後2ー3週間たってから十分注意して出しましょう。この瞬間こそが、クワガタ飼育の最大の喜びなのです!


注意!!!クワガタは羽化後2ヶ月位、体が自由に動かせません。脚の動きもぎこちなく、よく転倒します。必ず起き上がるための木片などを入れておいて下さい。


                            マット飼育
メリット

「菌床飼育不適合」な種類を除き、多くのオオクワガタ、ヒラタクワガタは菌糸ビンで飼育した方が大きく育つのが現状です。マット飼育の限界は国産オオクワガタで、75mm位といわれています。
それでは、マット飼育のメリットは何でしょうか?「手軽さ」「安全性」「コスト」があげれるかもしれません。
「手軽さ」 多くを望まなければ、ディスカウント店やホームセンターで販売されている安価な「幼虫飼育用」のマットで、成虫まで育てることが可能だからです。これらのマットでは大型成虫は望めませんが、手軽に手に入るのが強みです。

「安全性」 菌糸ビンほどシビアな温度管理は必要ありません。もちろん、温度管理は重要なのですが、より柔軟な管理が可能です。また、マットに適合しないクワガタの種類が少ないことも長所だと思います。

「コスト」 これは一概には言えませんが、多くの場合、菌糸ビンよりも安価です。

そして、菌糸ビン飼育とは違い、自分だけのオリジナルマットを手軽に作ることも出来ます。自分だけのレシピ、秘密の添加物、発酵させるテクニックなどの技術を研究、開発し、飼育技術を独自に高めることも可能です。

ちなみに、私が愛用しているマットは朝霞の「クワカブランド」で購入出来る「生オガ発酵マットです。」ギラファの110mmオーバーもこのマットでした。
左の写真は成虫飼育用の小ケースに生オガ発酵マットを詰め、ギラファの幼虫を投入したところです。飼育容器が自由なのもメリットかもしれません。
マットの種類

幼虫飼育用のマットは「良いマット」を使ってください。針葉樹が混ざっているモノは論外です。安価なマットは避け、幼虫飼育用と書かれた「発酵済み」のマットを使用しましょう。広葉樹100%は最低条件です。クヌギ、コナラの木を粉砕したマットが良いでしょう。原料をはっきりと表示していないマットは避けたほうが無難です。商品名が「クヌギ・・何とか」でも実際の原料は異なることもあります。

さらに大きく育てたいなら、添加発酵マット(2次発酵マット)を選んでください。添加発酵マットは小麦粉などの添加物を加え2次発酵させたマットです。人工飼育で不足しがちなタンパク質を補う事が出来るため、無添加マットに比べ、「より大きな幼虫」に育てる事ができます。特にヒラタ系、ノコギリ系には向いているみたいです。
添加発酵マットは多くの専門店でオリジナルの商品が販売されています。「このマットで何センチのオオクワガタが羽化しました」ということを謳い文句にしています。値段は少々高目ですが、安価なマットに比べ、より大きな成虫が羽化する可能性が高いと思います。
最近は通販で「安価で良質なマット」も販売されているようです。もちろん、自分でオリジナルマットを作ってみるのも面白いですよ!

*発酵済みマットは大きく分けて2種類あり、一次発酵マットと二次発酵マットがあります。一次発酵マット(写真右上)は菌糸で分解されたホダ木を粉砕したもので、色は肌色です。二次発酵マット(写真左下)はさらに、バクテリアによる分解が進んだもので、茶色からコゲ茶色です。さらに分解が進み土化するとカブトムシに適した黒色の餌になります。

私が愛用する生オガ発酵マットは、生オガに添加物を加え、発酵させたマットのようです。キノコに分解されたマットではなく、生オガを使用する事により、栄養価が高いという謳い文句です。

   添加発酵マットの作り方はこちら

飼育ビン
飼育ビンには、ガラス製、ポリ製、ブロー容器など色々な材質の容器が使用可能です。菌糸ビン飼育で使用したポリやガラスのビンを洗浄して再利用する事もできます。
重要なのは、幼虫のサイズに見合った容器を選ぶことです。大型の種に小さいビンでは良い蛹室が作れず、羽化不全になる事があります。クワガタは横に長く蛹室を作るので、直径に気をつけて選んでください。
フタには必ず通気穴を開けましょう。通気穴は出来るだけ面積が広い方が良いと思います。通気が悪いと幼虫が「暴れだす」ことがあるからです。また、通気穴にフィルターを付けるとコバエの進入を防ぐことができます。
私のお気に入りは透明のブロー容器です。軽量なので、温室の棚に優しいからです。大きさも、0.75、1.0、1.5、2.0リットルと揃っています。
1・2令幼虫は最初、1リットル程度の容器で飼育し、2本目以降、大きいオスは1.5以上の容器へ、メスは再び1リットルへと移すのが一般的です。

マットの
水分量

マットの水分量は、マットを軽く握って形が残る程度が適切です。しかし、ヒラタクワガタ系はオオクワ系よりやや多めの水分量を好むようです。ただし、強く握って水がしみだすようでは、水分が多過ぎです。水分過多のマットをギューギューに詰めこむと酸欠の危険性もあります。市販のマットには乾燥した状態で販売されているもの、水分をある程度含んだ状態で販売されているものがありますので、実際に使用するときは、状態を見極めて加湿してください。

ビンに
マットを詰める

飼育用のマットを飼育用のビンに詰めます。ここで活躍するのがスリコギです。ビンの3分の1くらいマットを入れたら、スリコギで、詰めこみます。一度に沢山入れると、下の方がぶかぶかになるので、少しずつ入れて詰めてください。尚、上3分の1は、やや、ゆるめにつめると、幼虫が潜りやすいと思います。マットはビンの口一杯まで詰めず、空間をとってください。幼虫が暴れたときに、空気穴を塞いでしまうのを防止するためです。
ビンの材質はガラス製でもポリ製でも構いませんが、幼虫の観察が容易な透明容器がお勧めです。必ず空気穴が開いたフタを使用しましょう。小バエ防止に通気性のあるフィルターで穴を塞ぐと良いでしょう。

飼育温度
飼育温度は「菌糸ビン飼育」ほど、気を使う必要はありません。理由は菌糸に比べマットのほうが「やや安定している」からです。しかし、高温になるとマットが再発酵することもあり、注意は必要です。
一般的な飼育温度は飼育個体に依存します。夏はなるべく涼しい所で、冬はなるべく暖かい所で飼育しましょう。本来、「何度以上」「何度以下」という概念は当てはまりません。飼育種も多種多様ですし、同じ種類でも産地による個体差もあるからです。しかし、初めて飼育なさる方のために簡単な目安を記したいと思います。

国産オオクワ幼虫の場合、夏は30度以下、出来れば28度以下。冬は5度以上、出来れば12度以上。国産ヒラタも同様ですが、やや低温には弱いみたいです。
アンタエウスは12度以上25度以下。
東南アジア産オオヒラタの幼虫は15度以上30度以下。しかし、アルキデス、ダイオウなどは25度以下。スマトラヒラタもやや低温志向。理由は生息地が高標高のためと思われます。

マットの交換
マット飼育で難しいのがマットの交換時期の判断です。菌糸ビン飼育のように、外見から判断するのは難しそうです。一番良い方法は時間での交換です。「3ヶ月」を基本に幼虫の状態と相談して判断してください。
早いと、2ヶ月を待たずに交換することもあります。特に暑い夏季はマットの痛みも早いようです。普通は夏季で3ヶ月、冬季で4−5ヶ月くらいでしょう。

マット交換時、ビンの上方4分の1は、古いマットを半分混ぜてあげるとバクテリアの移行も兼ねて、幼虫に与えるショックも少ないようです。しかし、前のマットの状態が悪い場合は、完全に新しいマットに移し換えたほうが賢明です。
幼虫を投入するときは、大きさに応じた穴を掘ってあげると、幼虫が潜りやすいでしょう。

蜜の添加
マット飼育は「大きくならない」と言われますが、色々工夫できるのが、マット飼育の面白いところです。私は以前、3令幼虫に、シロップ状の蜜を与えて飼育しました。2001年にオオクワの幼虫に実験で与えたところ、明らかに成長に差が表れました。2002年はオオヒラタで実験しましたが、与えてない幼虫に比べ大きくなったと思います。与え方は、マットをビンに詰める過程で、一部に浸み込ませる方法です。蜜の銘柄は、マルカンの昆虫ビタシロップです。

ミンダナオオオヒラタクワガタで蜜の添加実験をしました。与え方は上記の通りボトルにマットを半分ほど詰めた後、中央にスリコギで窪みを作り、そこに蜜を流し込みました。さらにマットを詰めて出来あがりです。♂8頭で実験したところ、

     蜜添加6頭・・・成虫体長 85−88mm

     蜜なし2頭・・・・成虫体長78、82mm

と・・なりました。ちなみに、ダイオウ♂2頭にも蜜を添加しましたが、78mmと82mmでダイオウヒラタとしては、まずまずの大きさです。マットは自家製添加発酵マット、ボトルは1.5リットルのブロー容器で、温室を使った以外、特別な温度管理は一切していません。この実験では、蜜を添加したのは3令からでしたが、1令もしくは2令の初期から、添加すればさらに効果があるのではないでしょうか?

******現在、蜜添加飼育は行っておりません。何故なら菌糸ビン飼育のほうが「より大きく」なるからです。しかし、一部に菌糸ビンが不適応な種類もあり、この場合は面白い試みであると思います******

マットの
リサイクル

クワガタの幼虫を飼育した後のマットカスを捨てるのはちょっと待って!このマット、実は使い途があるのです。我が家の場合、植物の肥料に使っています。ある日、私が庭の花壇にマットを捨てたところ、そこに多くのミミズが集まって来たのです。それを見つけた奥方は、無料??の肥料に大喜びで、以後、使用済みのマットは、ビニール袋に入れられ、保管されるようになりました。カブトムシの幼虫にも良いらしいですね。(大きく育つらしい)

注意!産卵セットに使ったマットは2次利用禁止です。卵、幼虫が残っていたら「放虫」になってしまいますから。
大きい成虫に育てよう
大きい幼虫
を育てる

クワガタは羽化した時点でサイズが決まってしまいます。成虫が大きくなることはありません。
大きな成虫を羽化させる為には、大きな3令幼虫を育てなくてはなりません。何故なら大きな3令幼虫は大きな蛹になり、大きな成虫になるからです。大きな3令幼虫にするためには、大きな2令幼虫、1令幼虫が必要です。
「幼虫について」の項でも書きましたが、幼虫は各令では頭部の大きさはほとんど変わらず、体だけが大きくなります。できるだけ、その令で最大になるように引っ張ってから加令させると、脱皮後、より大きな頭部を持った幼虫となます。これは次の令に移行するとき有利になります。また大きな頭部を持った幼虫は、頭幅の大きな成虫になるとも云われています。このため、より早いステージから栄養豊富な菌床飼育(オオクワガタなどの場合)に切り替えることが大型成虫作成に有利となります。

しかし、飼育環境が悪いと幼虫は次々と加令してしまいます。理由は劣悪な環境の中で生き残る為、早く羽化しようとするからです。(種の保存の本能が長く幼虫でいると命が危ないと教えるのではないでしょうか)

右の写真か国産オオクワガタの1令幼虫と2令幼虫です。頭部は格段に大きくなっていますね!

温度について
幼虫にとって一番よい温度は何度なのでしょう?幼虫に聞くわけにはいかないのですが、幼虫たちの成長を見る限り、18℃から25℃位までが最適かと思われます。
最近、積算温度という考え方が主流になっています。卵から羽化してから成虫になるまでに必要な熱量があるというのです。これを温度×日数で表します。つまり温度が高いと早く羽化し、低いと長い間幼虫でいるというのです。これを利用して次の項で書く低温飼育方法が確立されてきました。
しかし、最適な温度はクワガタの種類によって変わります。私は現地の年間気温を調べ、飼育の参考にしています。

低温飼育
夏から秋にかけて採取した幼虫が翌年の夏に羽化せず、3令幼虫のまま2つめの冬を越し翌々春に羽化する事があります。これを「二年一化」と言います。(翌春〜夏羽化するのは「一年一化」)
同じサイズの幼虫の場合、「一年一化」より「二年一化」の方が大きな個体が羽化します。理由は解りませんが、幼虫期間が長いほうが大きくなりやすいみたいです。実際に私も、ゆっくり加齢させることを「飼育の基本」としています。「二年一化」ほどでなくとも、幼虫期間を長くとる事は重要だと感じます。

そこで、エアコンなどを利用して幼虫を低温で飼育し、幼虫期間を長くする飼育方法が流行りだしました。特に、夏季などは気温が上昇し、幼虫の加齢も進みやすい季節です。この時期に、なるべく低温で飼育することによって、各ステージで、より多くの餌を食べさせる事の重要性を認識しています。
もちろん、低温と言ってもクワガタの種類によって様々です。国産オオクワガタの場合、冬季には低温を経験させるために、一時温室から取り出します。それ以外は20ー22度程度での管理が理想だと思います。アンテの場合は16−18度で1年中管理できたら理想かもしれません。しかし、現実は難しそうですね。

写真は2005年春羽化した78mmの岐阜産オオクワガタです。昨夏は24℃をキープしました。冬季は温室外で管理、春に再び温室で20度で管理。
菌糸ビン

現在、色々な菌糸ビンが販売されています。しかし、どれが良いのか?解りませんね!結局のところ自分で飼育して検証するしかないのかもしれません。国産系にはクヌギ系、アンテ系にはブナ系が良いと云われたこともありました。しかし、答えは?です。
私が現在使用している菌糸ビンは「月夜野きのこ園」さんの「エレメントシリーズ」です。プラボトルへの機械詰めですが、固く詰めてあります。実際に国産オオクワガタ・78.5mm、台湾オオクワガタ・78mm、マレーアンテ・78mm、スマトラヒラタ・92mmが羽化しています。
カワラ菌床は「大夢K」を使用しています。ちょっと高価ですが、安心して使用できるブランドです。
「フォーテック」さんの「G-pot」はとてもよく出来た菌糸ビンだと思います。
未使用ですが、「奈良オオ」さんの「菌太郎」も安心して使用できると想像します。優良な製品は長く愛されていますから・・・。
気を付けなければいけないのは、「新しいラベル」です。もちろん優秀な製品もありますが、中には危険な製品が存在するかもしれません。口コミで評判がわかると良いのですが、結果が出るまでに時間がかかりますから、難しいかもしれません。
以前使用していた「ZAKU」というブランドは最初は良かったのですが、末期に品質が急降下しました。

前にも書きましたが、クワガタの幼虫は「母親から菌糸を分解するバクテリアを受け継ぐ」という説があります。同じ菌床を代々使う事で、幼虫の栄養摂取効率が上がり、大きくなるというのです。確かに母親は何かしらの産卵床を作って産卵します。その産卵床と卵の殻が幼虫の最初の餌となります。バクテリアの伝授は否定できません。同じ銘柄の菌糸ビンを永く使う事で大型個体が得られやすくなる可能性もありそうです。

血統
近年、クワガタの世界でも「血統」という概念が一般的になってきました。人気種においてはブランドまで存在します。これは、以前ブレイクしたアンタエウス、ホーペでも見られた現象です。現在人気の国産オオクワガタでも阿古谷産○○血統、超○○○産などのブランドが存在します。そしてそれらは人気があり、高値で取引きされます。

確かに大型個体の子供は大型になりやすい、美形の子は美形という考えかたは正しいと思います。しかし、クワガタは完全変態する昆虫です。後天的な要素も大きいのです。せっかく手に入れた「良血統」も、飼育管理の問題で、「大きくならない」、「カッコよくない」という結果になってしまうかもしれません。「血統」と「飼育管理」は決して切り離して考えることは出来ないと思います。
しかし、確かに大型になる血統は存在します。種類にもよりますが、その個体の最大サイズに近づく程、血統は重要になります。これは「何ミリ以上」という数字では表せませんが、兄弟または、種親のサイズはとても重要な選考ポイントです。優良血統の種親(オス、メスとも)からは高い確率で、優良な子供が産まれます。

究極の
大型個体
作成方法?

飼育ビンの管理場所は暗く、静かで、振動の無い場所が適しています。
ビン交換の時以外は絶対に触らない!暗く、静かな環境で飼育する!この2つに尽きると思います。諸先輩方の話を聞いても、「期待してない」「忘れていた」ビンから大型個体は誕生しています。毎日の幼虫観察を楽しみにしている私たちにはショックな話ですが、ビンを持ち上げられ、ジロジロ観察されると幼虫は危険を感じて早く羽化してしまうのでしょうか?
「忘れる!」のが1番???の大型個体作成方法では・・・。



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