ドイツ・オーストリア旅行 2009
第3日目:ローテンブルク観光→ロマンティック街道→ミュンヘン

2009年 10月 2日 初版作成


1.ローテンブルクの街めぐり

 朝早く、ローテンブルクの町を一回りしました。歩いて回れる程度の、本当に小さな愛らしい町です。古い町並みが保存され、石畳の道、木組みと塗り壁のドイツ作りの家、窓辺に飾られた色とりどりの花、店の前に張り出した看板、といった「典型的な中世ドイツ」を演出している町です。観光都市なので、道や家々はこぎれいに手入れが行き届いていました。

ローテンブルクの街並みローテンブルクの看板ローテンブルクの街並みと看板

 町の城壁の外には、タウバー川の渓谷があり、木々に包まれていますが、そこでの鳥の鳴声の美しいこと。日本の野鳥の「自然の一部として溶け込んだ奥ゆかしさ」と違い、ヨーロッパの鳥は実に強烈に自己主張します。まるで、語りかけ、おしゃべりをしているよう。一番目だったのが、「クロツグミ」(Die Amsel)という鳥だそうです。(こちらから鳴声が聞けます。行った先で写真の下のスピーカ印をクリックしてみて下さい)

 また、ローテンブルクの城壁は、登って町の外周を一周することができます。私たちは、ごく一部を歩いただけでしたが、城壁の修理や維持に寄付をした人のネームプレートがあちこちに埋め込んでありました。そんな中に、こんなものが・・・。
 1983年の日付がありました。そう、大橋巨泉さんが司会をしていたクイズ番組ですね。多分、この城壁1メートルでハウマッチ?とやったのでしょう。

ローテンブルク城壁のプレートローテンブルク城壁にあった「世界まるごとHowマッチ」のプレート
 (城壁の修復・保存に寄付した人のプレート)


 この日も、朝から「マイスタートゥルンク祭」をやっていました。この祭りのため、町民のほとんどが、町内会ごとに中世の格好をして集団を作り、町の中を練り歩いていました。まるで、京都の時代祭・・・。
 グループごとに何らかのテーマを持った集団に扮しているらしいのですが、それが何なのかは外国人にはまるで分かりません。町内会ごとに趣向を凝らした山車を繰り出す、という日本の祭と同じノリなのでしょう。
 グループごとに、あちこちのレストランや店に乱入して歌を歌い、ビールを振舞われて、また次に回っていくという、日本の祭りでもありそうな振る舞い酒の光景。
 ちょうどこんなお祭りに遭遇できたのは、本当にラッキーでした。

ローテンブルクの祭装束ローテンブルクの祭装束ローテンブルクの祭装束
 〜ローテンブルクの町内会の皆様

ローテンブルクの祭装束ローテンブルクの祭装束ローテンブルクの祭装束

 ローテンブルクには、一年中やっているクリスマス用品の店「ケーテ・ヴォルファールト Kaethe Wohlfahrt 」があります。入り口には、巨大なくるみ割り人形が。
 店構えは普通の大きさですが、中に入ってみるとどんどん奥があり、しかも中2階、半地下と上下にも分かれていて、とにかく広いことに驚きます(残念ながら店内は撮影禁止です)。店内には、クリスマス飾り、くるみ割り人形など、大小取り混ぜてクリスマスグッズが並んでいて、日本の回り灯籠のような、ろうそくの熱で回転する回り飾りが面白そうでしたが、良さそうなものは大きいし値段も高いのであきらめました。ここで、記念にホルン吹きとヴィオラ弾きの天使をセットで買いました(要するにクリスマスツリーの飾りです)。

クリスマス用品のお店ケーテ・ヴォルファールトの客寄せくるみ割り人形


クリスマス用品のお店ローテンブルクのクリスマス用品のお店 ケーテ・ヴォルファールト "Kaethe Wohlfahrt"
ここにも日本語のパンフレットがあります!



クリスマス用品のお店ケーテ・ヴォルファールトの店内にあるクリスマス博物館




天使のおみやげおみやげの天使(ホルンとヴィオラ)

 ローテンブルクの名物菓子、「ローテンブルガー・シュネーバル」(Rothenburger Schneeball :直訳すると「ローテンブルク風の雪玉」)を買って食べました。小麦粉ベースのドーナツ生地をリボン状に延ばし、球状に丸めて焼いたもの。粉砂糖をまぶした基本形から、チョコレートなどをコーティングしたものまで、種類はいろいろ。1個丸々食べると、ちょっと飽きます・・・。でも、ここでしか食べられないというので、話のネタに食べてみました。

ローテンブルクのシュネーバルローテンブルクの名物菓子シュネーバル

 市庁舎塔(高さ約60m)は、登り口がよくわかりませんが、博物館チケット売り場で聞いたら、市庁舎の入口から入れとのこと。分かりづらいですが、市庁舎正面入口から入ってらせん階段を上り、何とかたどり着きました。最後のはしごの下で料金を払います。最後のはしごは急で、最後の出口は足をかけるところも少なく、かなりの難所。塔の上も狭く、足の下を見るとけっこう怖い・・・。
 広場の時計台には、マイスタートゥルンクにちなんだ仕掛けがありますが・・・。期待すると、ちょっとがっかり。

ローテンブルクの市庁舎の塔ローテンブルクの時計台ローテンブルクの市庁舎の塔と時計台

 祭に3ユーロ寄付して、記念の小さなメダルをもらいました(これとは別に、城壁の修理のために寄付をするともらえるメダルもあるようです)。寄付をして記念品をもらう、というのは、ここでしか出来ないことだし、ましてやこの祭でしか手に入らないものなので、大変貴重なお土産になりました。

マイスタートゥルンク祭の記念メダルマイスタートゥルンク祭の記念メダル


2.ロマンティック街道を南下

 昼食後、バスでロマンティック街道を南下。ロマンティック街道は、「ローマ巡礼の道」として結構古くからそう呼ばれているそうです。道の脇に数kmおきに茶色の看板が置かれ、ドイツ語で「Romantische Strasse」と書かれています。ところが、ときどき日本語で「ロマンチック街道」と併記されているではありませんか!(写真参照)これは、やはり観光客、特に日本人観光客目当てのネーミングでは、という気がしてきます。

ロマンティック街道の看板ロマンティック街道の看板。何故か日本語表記も!!

 途中で、中世の面影を残すネルトリンゲンという町にも寄りました。
 そこからさらに南下して、宿泊地のミュンヘンへ。



3.ミュンヘンでは個別行動でオペラへ

 この日は、夕方ミュンヘンのホテルに着いたあと、ツアー御一行様は有名なビヤホール「ホーフブロイハウス」で夕食だったのですが、我々夫婦は別行動でバイエルン国立歌劇場にオペラを観に(聴きに)行きました。この日の出し物は、R.シュトラウス「ばらの騎士」。かつて、1980年頃にはカルロス・クライバーが指揮していた、ブランド物の「ばらの騎士」です。(クライバー指揮/バイエルン国立歌劇場の1979年の公演がDVDにもなっていますね)
 この日の指揮は、アシャー・フィッシュ Asher Fisch という方。

ばらの騎士バイエルン国立歌劇場「ばらの騎士」のプログラム



 実は、当初、旅行の行程から18時の開演には間に合わないと思い、チケットを手配していませんでした。旅行に出かける3週間ほど前に、オケ仲間から「2幕からでも観る価値あり」とアドバイスを受け、せっかくミュンヘンに泊まる晩に「ばらの騎士」をやるのだから、ということで、インターネットでチケットを手配したのでした。
 しかし、ミュンヘンの「ばらの騎士」人気は半端ではないらしく、既に良い席は完売、わずかに10ユーロの立見席と得体の知れない最上階(ガレリー=ギャラリー)の「Partiturplatze」と「Horerplatze」なる席が余っているだけでした。前者は「スコア席」、後者は「聴衆席」。明らかに「聴く席」(つまり舞台は見えない)と思われましたが、聴くだけでも十分価値あり、ということで、立ち見はつらいの「Partiturplatze」を予約しました。(チケットの確保方法はこちらを参照下さい)

 当日は、バス移動が順調だったため、何とか18時開演ぎりぎりにタクシーで駆けつけたのですが、残念ながら10分ほど遅刻、既に第1幕は始まっていました。入口でインターネット予約の回答メールを提示して、用意してあったチケットを受け取り、中に入りました。
 ところが、遅刻したことが、かえって幸いしました。係りの人に「残念ながら既に開演しています。1幕が終わるまで、こちらで聴いていてください」と案内されたのは、オーケストラ・ピット真横の最上階。正式な座席ではなく、歌劇場関係者のスペースと思われ、オケピットと舞台前半分を横から覗く位置に、椅子が何個か置いてありました。そこには、ジーンズにTシャツの若い人が1人いて、椅子を片方に寄せて、空いたスペースに座らせてくれました。この若者、どうやら指揮者のアシスタントか、音大生か、歌劇場のスタッフのようでした。
 この位置、舞台の奥は見えませんが、オーケストラを見るには最高の場所でした。

 オケは、指揮者の近傍に弦楽器(コントラバスは正面最後列に一列)、上手(右)に金管・打楽器、下手(左)に木管とホルン。木管は3管編成なので、6人一列で前後2列、最後列にホルン4本です。ホルンと金管(トランペット、トロンボーン、テューバ)は、両端に泣き別れなので、アンサンブルが取りにくそうですが、アンサンブルの乱れはほとんどありませんでした。(さすがに手馴れている)
 指揮者左正面にハープが2台あります。さすがにR.シュトラウスの大編成オケだと、オケピットは窮屈そうでした。
 ここで面白かったのは、出番のない奏者が休みながら舞台の歌手を眺めたり、足を組んだりしてヒマそうにしているのがまる見えなこと。また、出番の終わったハープ奏者は、さっさと明かりを消して引っ込んでしまいました。
 さらに、1幕が終わると、歌手は何度もカーテンコールしているのに、オケはさっさと引き揚げてしまいました。確かに、オペラは長丁場なので、オケは出番が終われば、さっさと引っ込んでのびのびと休みたいのでしょう。

バイエルン国立歌劇場のオケピットバイエルン国立歌劇場のオケピット
〜1幕はこの視野で観ました。右が舞台です。



バイエルン国立歌劇場のオケピットこの一番上の暗いスペースで観ました(実際にはこの対面側)

 「ばらの騎士」は3幕物なので、幕間の休みが2回あり、2回ともしっかり45分間休みました。そのせいで、18時開演、22:45終演というとてつもなく長い公演でした。

 幕間の休憩時間には、ホールのホワイエはワインや飲み物を持った紳士淑女であふれます。ミュンヘンでは、ウィーン以上に正装した方が多かった気がします。
 この歌劇場では、1幕と2幕の間の休憩時間中は全員が客席からシャットアウトされ、外に出されます(理由は不明)。その紳士淑女たちが、ホワイエが人であふれかえり、居場所がないため、オペラ座前の階段に腰を下ろしてシャンペンなどを飲んでいます。幕間は19時半を過ぎているのですが、この季節、まだ日が高く昼間です。そんな中、タキシードやドレスに身を包んだ紳士淑女が階段に腰掛けている光景は、何か不思議なものでした。

バイエルン国立歌劇場の休憩中バイエルン国立歌劇場の幕間の光景
 〜 正装した紳士淑女が歌劇場正面の階段に腰掛けている。
   20時ごろで、まだこんな明るさです。


 後半の第2幕、第3幕も、1幕と同じオケピット横で聞きたかったのですが、規則に厳しいドイツなので本来の自分の席で聴きました。ここは、ガレリー(ギャラリー:天井桟敷)の一番後ろの席で、立ち見ではなく席はありますが、席に座ると舞台は全く見えません。座席表には、Partieplatz(スコア席)と書かれています。要するに、スコアや歌詞を読みながら聴く席、というわけです。現に、隣の老婦人は歌詞パンフレット持参、近くの男性は大型スコアを持ち込んで聴いていました。
 参考までに、この席と周辺の写真を。ここなら、座ってたった10ユーロ(\1,300)で聴けます。
 音は、第1幕のオケピット横だと、オケの個々の楽器の音がよく分離して聞こえ(これもなかなか面白い)、舞台の上の声は少し聞こえ難かったのに対し、ガレリーだと全ての音がよくブレンドされて聞こえました。

正規の座席(ガレリー)からのオケピット正規の座席(ガレリー)から見たオケピットの光景
この歌劇場の平土間(Parkett)には前後方向の通路がありません!

ガレリー席ガレリー席ガレリー席
1列目:座席、2列目:立ち見、3列目:座席、という構成。
右は誰もいない状態、左が人が入った状態。
この3列目で聴きました。
3列目の前の手すりには、手元照明が付いています。

上下するシャンデリアガレリー席からだと、上下するシャンデリアがこの位置に見えます。

 演奏は、うっとりするほど素晴らしいものでした。おそらく、オケは「ルーチン」で軽く流しているのでしょうが、歌手の歌を邪魔しないでうまくブレンドされ、まろやかでコクのある響きが歌劇場の空間を満たしています。オーディオ装置では決して再現できない、音というよりは空間を満たす「場」が、時間とともに色合いを変えながら流れていく、といったものでした。第3幕の終わり、オクタヴィアンとゾフィーの二重唱に「銀のばら」のモチーフがからむ場面では、天国に登るようなうっとりと至福のときを味わっていました。

 ちなみに、時々立って舞台を見ましたが、演出や舞台装置は1980年頃にクライバーが振っていた頃のものとほとんど同じようでした。昔のオットー・シェンクの演出と舞台装置をそのまま使い続けている・・・。



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