ドイツ・オーストリア旅行 2009
第6日目:ウィーン観光

2009年 10月 11日 初版作成


1.ウィーン ドナウ河畔 〜 朝の散歩

 ウィーンのホテルは、プラーター公園近くの新しいホテルでした。
 ホテルの窓からは、プラーター公園の有名な観覧車がよく見えました。
 プラーター公園は、もともとはハプスブルク家の狩猟場だったところで、1873年のウィーン万博の会場となったことで有名です。このときにこの大観覧車が作られたとのことです。今は広大な公園になっていて、遊園地や競馬場(ホテルはこのすぐ隣)があります。

プラーターの観覧車ホテルの窓からの風景
 プラーターの観覧車が見えました
 手前は「Messe Wien」の屋根


 

 ホテルからドナウ川(ウィーン旧市街に隣接した運河ではなく、本流)が近いので、朝の散歩で行ってみました。
 でも、残念ながら、何の情緒もない、汚い運搬船が係留されている「ただの川」でした。ヨハン・シュトラウスの「美しく青きドナウ」をイメージしていたので、ちょっとがっかり。
 ドナウ川の向こう岸には、いわゆる「国連都市」が林立していました。ここには、スイスのジュネーブと並び、数多くの国連機関が置かれているのでした。国際原子力機関(IAEA)もここにあります。

ドナウ河畔ドナウ河畔ドナウ河畔の風景
 向こう岸は国連都市



2.ウィーン市内観光

 ウィーンでも、ツアー御一行様は、地元在住の日本人ガイドさんが付いた市内観光に出かけました。

 まずは、シェーンブルン宮殿。
 中庭では、この晩行われる、バレンボイム指揮ウィーン・フィルの野外コンサートの準備が進んでいました。無料なので、この晩オペラの予定がなければ行きたかったところですが、聴衆が10万人だったと聞いて、行かなくてよかったと思いました。
この日のコンサートのDVDCDも出ています)

シェーンブルン宮殿ドナウ河畔シェーンブルン宮殿
中庭ではウィーン・フィルの野外コンサートの準備中


ハプスブルク家の系図おみやげに買ったハプスブルク家の系図

 

 シェーンブルン宮殿の次は、ベルヴェデーレ宮殿に行きました。花がきれいに咲いていました。ここの上宮は美術館になっていて、有名なクリムトの「接吻」はここにありますが、今回のツアーでは中に入りませんでした。
 ベルヴェデーレ宮殿上宮から中庭を通して見るウィーン市街の眺めは、とても素晴らしいものでした。

ベルヴェデーレ宮殿ベルヴェデーレ宮殿パンフレット


ベルヴェデーレ宮殿ベルヴェデーレ宮殿上宮

ベルヴェデーレ宮殿ベルヴェデーレ宮殿上宮からのウィーン市街の眺め

 

 上宮のすぐ横には、ブルックナーが最晩年を過ごし、そこで亡くなった家がありました。絶筆となった交響曲第9番もここで書かれたのでしょうか。
 こんな小さな家で息を引き取ったのか、としばしたたずみ、心の中で「合掌」。(家は修復工事中でした)

ブルックナーのプレートとリースブルックナーのプレートとリース


ブルックナーが亡くなった家ブルックナーが亡くなった家(工事中)
〜この中央やや左にプレートとリースがあります。


 

 ベルヴェデーレ宮殿を出て、バスでリンクを1周し、その後バスを降りて、目抜き通り(ケルントナー通り)を歩き、レストランでヴィーナーシュニッツルの昼食をとりました。
 レストランに行く途中、ケルントナー通りを曲がったところにウィーン国立音楽大学(Universitat fur Musik und Darstellende Kunst Wien)がありました。

ウィーン国立音楽大学ウィーン国立音楽大学のプレート

 

 昼食後は自由行動。家内の希望で、室内装飾用品のバックハウゼンと、その地下にある装飾ミュージアムを鑑賞しました。ウィーンの装飾デザインは、伝統的なのに斬新という印象で、なかなかよいなと思いました。
 そういえば、ウィーン地下鉄の内装は、プラスチックの座席が赤、手すりやポールが黄色、という原色系の色使いですが、モダンな感覚ながら決して下品ではなく、ウィーンという古い街とのアンマッチ感・意外性が面白いと思いました。(プラスチック製というのは安っぽいと思いましたが)

バックハウゼン室内装飾バックハウゼンのパンフレット

 

 オペラ座横のチケット前売場で、インターネットで予約してあったその晩のチケット受取りました。ちょっと分かりづらい場所ですが、何とか見つけました。

 そこからモーツァルト像の前を通って美術史美術館へ。

モーツァルトモーツァルト像
ちょうど芝生の緑と花が鮮やかでした!


 

 美術史美術館では、お目当てはブリューゲルとフェルメールでした。ところが、どこを探してもフェルメールが見当たりません。
 案内で聞いたら、フェルメールは、美術館内で開かれる夜のコンサート会場に移してあるためめ見られないとのこと。18:30からのコンサートに行けば見られますよ、とのことでしたが、夜はオペラ鑑賞の予定です。「金返せ」ものでした。

 失望して、ちょっと疲れたので、美術館のカフェで一休み。飲み物はメランジェ、ケーキは私が「ブリューゲルス・トルテ」(チョコレート・ケーキ)、家内はヌス・トルテ(ナッツ・トルテ)を注文しました。
 カフェ入口の階段の上の壁には、駆け出し時代のクリムトが描いた壁画があります。

美術史美術館美術史美術館



美術史美術館のカフェ美術史美術館内のカフェにて

美術史美術館美術史美術館のパンフレット(日本語版あり)
この表紙がフェルメールですね。


 

 夜のオペラ鑑賞のため、一度ホテルに帰って着替える必要があり、それ以上の観光はあきらめて、オペラ座ショップでオケの方々へのお土産(本のしおり、ウィーン国立歌劇場のピンバッジなど)を物色した後、カールスプラッツ駅(Karlsplatz)からホテル最寄のKrieau(クリーアウ)まで地下鉄で約15分。帰って着替え、17時過ぎに再びホテルを出てオペラに向かいました。

ウィーン国立歌劇場 ウィーン国立歌劇場のピンバッジウィーン国立歌劇場とおみやげピンバッジ

 この晩の出し物は、小澤征爾氏指揮のチャイコフスキー「エウゲニ・オネーギン」。
 記念にプログラムを買いましたが、英語で「プログラム下さい」と言ったら、係りの人に「ドイツ語のものしかありませんよ」と言われてしまいました。真面目なドイツ民族なので、ドイツ語を理解できない東洋人が「読めないプログラムを買う」ことが不思議なのか、あとで「読めない」と苦情を言われることがないように、ということなのでしょう。

歌劇場エウゲニ・オネーギンのプログラム





ウィーン国立歌劇場小澤征爾氏のカーテンコール

 座席は、インターネットで予約しましたが、最初に予約したときには、予約の仕組みがよく分からなかったので、自動的に平土間(Parkett)の席になってしまいました。本当はオケピットの中が見える位置が希望だったので、何度かやり取りをして「ボックス席」(Loge)の1列目に変更してもらいました。音としては1階のボックス席が一番良いようなのですが、オケピットの中よく見えるように、2階のボックス席にしました。(ウィーン国立歌劇場のチケットの取り方のノウハウはこちらを参照下さい)

 ボックス席は、1ボックスに7席あり、1列目に3席、2列目・3列目に2席ずつという構成です。1列目は、写真からも分かるように舞台やオケピットがよく見えます。2列目は、高い椅子なので舞台が見えますが、やや不安定で長時間は疲れそうでした。3列目は、2列目と同じ高さの高椅子なので、2列目の肩越しに舞台が見えないこともありませんが、奥まっていることもあり、眺望はかなり悪いと思います。3列目は、「観る」よりも「聴く」ことに専念した方がよさそうです。
 2列目、3列目は、結構安い料金設定なので、予算に応じて楽しみ方を選択すればよいと思います。
 ちなみに、ボックス席に立ち見はありません。(3列目の後ろは、立っても見えません)

(注)ウィーン国立歌劇場の座席は、平土間(Parkett:1階)、Parterre Loge(平土間に接する1階のボックス席、舞台真正面が最も高額のMittelloge)、Loge(ボックス席:2階、3階)、バルコニー(Balkon:4階)、ガレリー(Galerie:5階)となっています。

歌劇場 歌劇場ウィーン国立歌劇場の観客席とオケピット(開演前)

歌劇場ボックス席の1列目
(手すり上に歌詞表示器:ドイツ語、英語のみ)


歌劇場ボックス席(Loge)の入口

 オペラは全3幕ですが、予想に反して1・2幕を通して演奏し、2幕後に休憩が入りました(19時開演だったので、休憩になったのは21時近く)。
 演出は、日本で行われた「オペラの森」公演と同じもので、第1幕では舞台の奥に雪が降り続く「寒い」と酷評されたものでした(日本での公演の録画はBSで放送されていたので、録画して予習に見ていました)。
 演出のことはよく分かりませんが、演奏は素晴らしいもので、各歌手も合唱も、そして踊りも立派でした。有名な「手紙の場」のホルンのオブリガートなど鳥肌ものでした。
 指揮の小澤氏は、完全に暗譜で、指揮台には何も置かずに指揮していました。

 第2幕の幕切れで、オネーギンが不本意ながらの決闘で友人を殺してしまう重苦しい場面の直後に、ちょっと滅入った気分での休憩となりました。(ちなみに、予習のために見て見ていたもう一つのゲルギエフ/メトロポリタンの演出では、第2幕と第3幕とが切れ目なく続けて上演され、決闘の場面から第3幕のオネーギンの破滅までが一気通貫に描かれていました。この場合、第1幕と第2幕の間で休憩となるので、演出としてはその方が良いように思います)
 休憩中は、劇場内のマーラー・ザールやホワイエを探索しながら時間を過ごしました。

 30分ほどの休憩後、第3幕は40分程度で終わり、22時頃終演となりました。
 どうも、休憩前後の時間バランスが悪い公演でした。

 ちなみに、この「エウゲニ・オネーギン」のハンブルクでのドイツ初演(1892年)を指揮したのは、当時ハンブルク市立歌劇場の主席指揮者だったマーラーだったそうです。もともとはチャイコフスキー自身が指揮する予定だったのですが、ハンブルクでのリハーサルでチャイコフスキーはドイツ語が理解できず(ドイツ初演はドイツ語で行われた)、急遽指揮を交代したようです。このとき、チャイコフスキーもドイツ初演に立会い、マーラーの指揮者としての手腕を絶賛したそうです。マーラーとチャイコフスキーには、そんな接点もあったのですね。

劇場内のマーラー・ザール劇場内のマーラー・ザール

劇場内のマーラー・ザールマーラーのプレート


劇場内のホワイエ劇場内のホワイエ

 ウィーン国立歌劇場では、オペラのライブ映像を歌劇場の外の広場で放映しています。
 もちろん無料なので、時間の都合で全部を観ることができないとき、人気演目でチケットが手に入らないときなど、代替として気軽に利用する手はありそうです。

歌劇場広場でのライブのパンフレット(2009年5月、6月のライブ演目)



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