消費税が3%から5%にあがるということで、それなら一発タワーでも建てちゃおうかとノリに任せて決意してしまったのはいいけれど、さて実際に自分で建てようと思うといろいろと問題が出てくるものです。
まず、家族の同意。これは屋根に上がっている不安定なアンテナ群を撤去するということで納得させることができました。(実際は約2年経った現在もそのままなんですが・・・) それにアンテナを高くすることでインターフェアが激減するという可能性を、素人でも納得できるように極めてやさしく説いたわけです。僕の家では21MHzで母屋のメインのテレビの音声に若干影響があり、28MHzでシャックのAVアンプにも僅かな影響がありました。
建立場所を決定することは非常に重要です。建ててしまってから変更するわけにはいきません。うちは田舎なのでガス管はないけれど、最初に検討した場所には父から「その辺に水道管が埋まっているハズだ」とのことで再検討。建立後の作業性などを十分に考え、アンテナエレベーターを取り付けたときのタワーの向き(三角断面だからどの面にエレベーターが付いて、手動のウィンチがどこにくるかなど)まで、後になってから後悔しないように決めました。
さて、建立場所が決まってそこから最短の隣の土地までの距離を測るとおよそ6m。ということはブーム長にもよるけれど、単純にエレメント長が10m程度のアンテナであれば危険空域への侵犯はしないということで、あげるアンテナをクリエート・デザインの318-40に決定、それに6mは定番(ですか?)のCL6DXにして、どうでもいい144/430MHzは適当な安物に決めて予算を組みました。
タワーのほうは最初からコストパフォーマンス(この場合のパフォーマンスとは単に高さですね)を考えてKT18R(地上高は17.5m)とし、直前までアンテナ昇降用のエレベーターを取り付けるかどうか迷いました。エレベーターだけでタワー本体の値段の7割近くするからですが、17mもの高さで作業をする恐怖を考えると必然的に購入の決意ができました。当初から相談していた行きつけの無線機屋さんから「エレベーターなんか不要だろう」と言われていて、たまたま火事があったときに「うちのタワーに上って火事を見よう」などと一緒に7〜8mのところまで上ったところで簡単に決心がつきました。そのタワーは28mですが・・・
運送料のことも考えて、なるべく1回で済ませるようにとローテーターやマストも同じメーカーにしたのですが、発注してから1週間程度で届くということでメーカーと連絡を取り、到着日の打ち合わせをしておきました。これだけの荷物ですから、しばらく保管する場所にしてもしっかり決めておく必要があります。予定どおり到着した荷物は思ったよりも場所をとりませんでしたが、トラックから降ろすのに運送業者は運転手一人だけだったので当然僕が手伝わなければ降ろせないものがほとんどでした。到着してから下ろす場所を迷っていたら運送屋さんに迷惑です。
アンテナエレベーターを付ける場合、特に重要です。何故かといえば、アンテナを上げ下げするときには一定の方向にアンテナを向けておかなければならないからです。それから例えば3eleのキュビカルクワッドなど、マストの中心に近いところにエレメントがあるアンテナでは、オフセットして取り付けなければならないし、マストクランプの部分でブーム上のエレメントの間隔が1m以下では降ろせる高さが制限されます。
左は三角のお供え餅ではありません。上から見た説明図です。通常は青い位置にマストがあるわけですが、エレベーターを取り付けると赤の位置にマストがきます。ということは当然普通の八木アンテナで考えると、左の図ではブームが水平方向になったときにしかアンテナを上下させることはできません。しかもマストクランプ付近のエレメント間隔がタワーの一辺よりも広くないとエレメントがタワーと干渉してしまいます。これを考慮して設置場所やアンテナを決めないとあとで面倒なことになってしまいます。ちなみにKT18Rでは一辺が最下部で約1m。 |
3月20日に穴を掘り始めました。とりあえず用意した道具類は
スコップ 普通のサイズ あたりまえですが穴を掘るのに必要です スコップ 小さいタイプ 少し深くなってくると大きなスコップより作業性がいいです 一輪車 (ネコ) 掘り出した土や石を穴のすぐ脇に積んでおくわけにはいきません バケツ 金属製のもの 穴が掘り終わる頃には原型をとどめてはいないでしょう 古いものがあればそれを使ったほうがいいでしょう ロープ クレモナ(太さ12mm位) 深くなってきたらバケツに結んで掘り出した土石を引っ張り上げます あまり細いと手が痛くなってしまいます この他にツルハシなんかも用意したのですが、実際にはいろいろあって使いませんでした。
タワーの穴は数人で1時間程度しかかからなかったローカル局や、半日という人、せいぜい2日もあれば十分という意見が多かったのですが、僕の場合は正味作業時間はおそらく30時間くらい、平日はほとんどできないので、仕事が休みの日を利用して、作業開始からちょうど1カ月かかりました。これは極めて特殊なケースのようですが、掘りはじめてすぐに岩盤が出てきてしまい、それがほとんど最後まで続きました。
一般的には半日から丸一日あれば掘れてしまうようです。低地や水田の近くでは掘り始めると水が出てきてしまうこともあるでしょうし、雨季は避けたほうがいいと思います。
地面が柔らかければスコップだけでどんどん掘れてしまいます。掘り出した土の代わりにコンクリートが入るわけですから、残土はどこかに処理しなければなりません。だいたい1m四方で2mの深さを掘るのだから単純に2立米ですが、掘り出した土はそれよりも多い気がしました。圧縮されているものを掘り出すわけだから当然なのでしょうが、この量にはけっこうビックリしました。
何度も書いていますが、うちの場合は掘りはじめてすぐ、30〜40Cmくらいで岩盤が露出しました。
用意したツルハシなどは先っぽがちょっと刺さるだけで役に立たず、いろいろな人に相談した結果、電動ハンマーという道具をレンタルしたのですが、これは驚くほど効果的でした。誰でもきっとどこかで一度くらいは目にしていると思います。大きなもの(きっとあれは電動じゃぁないと思うけど)では、トンネル工事の現場の映像などで見かけます。
建設機械のレンタル店で1日1000円弱で借りることができました。(僕が借りたところでは「電動ピック」と書いてありました)レンタル店によっては先っぽに付く刃物の部分は買い取りの扱いにしていることもあるようです。とは言っても1000円もしないものだったと思います。
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本格的に工事をしているんだ、という感覚になりますが、ちょっと音がうるさいので閑静な住宅地では気を使う必要がありそうです。 昔ここは川原だったのではないかと思えるほど、どんどん掘り進んでも土は出てこなくて岩盤が続いていました。その中に石がポツンポツンと出てきます。最後に出てきた二つの石は、穴の中でやっと少し動かせる程度で約2m上の地上にまで人力で出すことはまったく不可能でした。可能性として穴の上にチェーンブロックでも組んで出す方法を考えましたが、そのあとのことまで考えると面倒なので、造園屋さんに相談して処理してもらいました。リモコン式のユニック付きトラックで来て、ほんの10分程度で出してもらえたし、2つともトラックに積んで持っていってくれたので助かりました。 左の図のような穴を掘るように説明書に書かれています。しかし、実際は・・・ |
車で10分程度のところにコンクリート業者があって、電話で問い合わせたところ、簡単に手配ができました。ミキサー車が大きいのと小さいのがあるというので、道路が少し狭いことと作業性を考えて小さい方の車で来てもらうことにしました。一度に運べる生コンの量は小さいほうでは2立米までということなので、2回に分けてもらうことになります。それとミキサー車が穴のすぐ近く(2mくらいか?)まで寄せられればいいらしいのですが、ちょっと離れてしまう場合は「シューター」という雨樋をでかくしたようなものでコンクリートを流すことになり、これはミキサー車に積むことができないから別の車で運んでもらうしかありません。
生コンの種類も砂利と砂の割合とか、通常より早く硬化するものなど、いろいろあるらしいのですが、よくわからなかったので「無線のアンテナを建てる小さい鉄塔の基礎に使います」と説明したら、業者のほうで理解してくれたようで「あぁ、はいはい、わかりました。普通のでいいやぁねぇ」ということであっさりOK。それと依頼した業者では、最低でも0.7立米以上じゃないとダメだよと言われました。このとき1立米あたりいくらなのか、価格を確認しておくといいと思います。
気休め程度にしかならないのでしょうが、一応1mのアース棒を3本だけ買っておいたので、無いよりはマシだろうと、なるべく岩盤を避けて柔らかそうなところを選んで打ち込みました。アース棒の頭とタワーのボルトを最短距離でつなげるようにしておきます。
生コンの手配ができたところで、タワーのベース部分を組み立てて位置や向きをしっかり確認し、水準器を使って垂直を調整しながら底の部分に少しだけ土を埋め戻します。この辺のことはタワーの説明書に詳しく書かれていました。
説明書ではベース部分ともう1段上までを組んでしまって、目安になるところにオモリを結んだヒモをぶら下げて確認するような絵が出ていたと思いますが、うちではベースユニットだけを組んでおきました。ある程度垂直を確認したらかなり力を入れて本体を揺すり、また確認するという感じで、そう簡単に動かなくなるまで安定させます。ちょっと力を入れた程度で傾いたりするようでは、生コンを流し込むときに簡単に動いてしまいます。
次に基礎部分の形がよくなるのと、生コンが周囲に流れ出さないようにホームセンターで買ってきたコンパネを周囲に立てて枠を作ります。丈夫に作らないと壊れます。
ユニットの連結部分にコンクリートが付いたりしないように、幅広のビニールテープを巻いておき、あとは生コンの到着を待って流し込みますが、驚くほどユニットの下の方は歪みます。心配なら途中で垂直を確認したほうがいいかもしれません。全部コンクリートに埋まってからでは簡単には動きません。
タワーの説明書通りの穴が掘れていれば2立米強の生コンで間に合うハズですが、数多の障害を越えて掘られた穴は相当にイビツな形状であり、全部で3.3立米の生コンが入りました。生コン代は5万円弱でした。
この段階で表面はとてもザラついていますから、左官屋さんが使うコテできれいに均すといいです。それから水はけを考えて、中心部が少しだけ高くなるように盛り上がらせておけば完璧でしょう。
これで、あとはコンクリートの硬化を待ちますが、5日から1週間経てば次の作業に入ることができます。