SUNSTORM
バクスターとクラークとの共著「Time's Eye (時の眼)」に続く、Time
Odysseyシリーズの第2巻です。
第1巻は、タイムトラベル(?)ものでしたが、今回はバクスターお得意の、宇宙で苦闘する人類が描かれます。
「ファーストボーン」による数千年をかけた地球壊滅の壮大な陰謀、太陽嵐をさえぎるための地球を覆うシールド建設の苦闘、インターネットの検索機能から誕生した人工知性などなど、大仕掛けからガジェットまで、バクスターの面目躍如。あっという間に読み終えてしまいました。さらに、そこかしこにクラークの「宇宙の旅」シリーズへのトリビュートがちりばめられ、オールドファンにはたまらない1冊です。
前作の主人公だったビセサが、トラウマにとらわれほとんど活躍をしないのは、あれ?という感じもしますが、まあ、バクスターですから、しょうがありませんね。このノリで、次回も突っ走ってもらいたいものです。 (最終巻→Firstborn)
それにしても、最近のバクスター、主な登場人物が女性ばっかり。何かあったんでしょうかね。
●ストーリー●
平和維持軍の女性兵士ビセサは、「眼」により、改変された地球からロンドンの自宅に連れ戻される。そのとき、太陽の大規模なコロナ爆発により、地表の全ての電線やパイプラインに誘導電流が発生し、コンピューター網が破壊され世界は大混乱に陥る。
しかし、それが前兆にすぎないことを、月面で太陽の核で研究していた科学者ユージンが発見する。あと数年で巨大な太陽嵐が起こり、地球は焼き尽くされるというのだ。
絶望の中で、人類の生き残りを掛けた戦いが始まる。唯一の希望は、ラグランジェポイントに、地球と同じ直径の傘「シールド」を作ることだった。月面のマスドライバー、帰還したばかりの火星調査船、持てる全ての資材と技術を投入して、シールドの建設が始まる。
だが、ビセサの報告に基づいて、ユージンが調査した結果、驚くべき事実が判明する。太陽の異常は、数千年前に、何者かが太陽の中心に木星の数倍もある惑星を打ち込んだ結果引き起こされたのだ。
果たして、人類は生き残ることができるのか。そして「ファーストボーン」の真の意図とは?