日々是平安

バックナンバー

[先月] [目次] [来月] [最新版] [トップ]

2003年3月4日(火) 呑まれて呑んで申告し

ここ2日間にした事は題名そのままです。
昨日は月曜日早々呑んだくれました。今日は二日酔いの頭抱えて確定申告に行きました。

昨日は、現在一緒に働いている女性2人がちょっと面白い習い事をしているというので見学に付いて行きました。習い事とは『香道』です。茶道でも花道でもなく香りの道です。風雅ですねえ。典雅ですねえ。
私も良くは分かっていないのですが、お茶のようにお手前があって、香をたてて頂きます。で、それを何の香りか当てるのです。私もちょっとやってましたが、これが結構難しい。

この時は3種類のお香を3つづつ、合計9つの香をたいたのですが、内2つの香は「これは何々です」と、名前を述べて参加者に回します。その後残りの7つが回ってきて、それが3種類の内のどれなのかを当てるのです。
3種類の内2種類しかどんな香りかを試せませんから、回って来なかった香りが最後の1種類という事になります。が、さすがに「香りを当てる」ものですから、どれもこれも似たような香りに感じる。または、違いは何となく分かるのだけど、どれがどれだかごっちゃになってくる。で、しっかり敗北してきました。1つしか当たらないでやんの。こんなに長い間正座したのも法事以来でした。雰囲気に呑まれたしなあ。ちと悔しい。

香炉の灰を作法に則って整え、香りの勉強をし、香りの組み合わせによって和歌が添えられているのでその勉強もし、お客様のもてなしのために花道、茶道をたしなみ、効き香の記録を取るのに書道もたしなむ必要があり…。いやはや奥深いものです。NHKカルチャーセンターとはいえ、道の付くものはやっぱり違うぜと思いました。
自慢じゃないけど道を究める習い事はした事ないや。せいぜい茶道の真似事くらい。
…と思ったら、昔剣道をやってた時期があった事を今思い出したぞ。あれも道系だな。

教室が終わってから、3人で気になっていたお店にご飯を食べに行きました。個室メインのイタリアンのお店。
何故気になる店だったかというと、新年会の2次会でその辺りを歩いていた時、シェフが入り口に直立不動で立っていたから。私も別な人も最初人形かと思ったほどです。小さな入り口を塞ぐように等身大のシェフ人形があるので、ぎょっとしてまじまじと見ると、人形だと思っていた人と目が合い、にっこり微笑まれて2度びっくり。3人以上から個室ってな事が看板に書いてあったりして、店構えもその場では風変わりで気になっていたのです。

しかし期待に反して、ごく普通のオシャレな店でした。もっと怪しい雰囲気を想像していたのに残念(?)
最近メニューの品数が少ない店が増えているというのが、その時一緒だった人達との共通認識なのですが、その店もメニューが少ない上に頼むものの半分は食材がなくて、変更を余儀なくされたり。月曜日で仕入れが少なかったのかな?
でもお料理もお酒も美味しかったので満足。しかし一皿の量は少ないので男の人には不向きかも。デートで使うにはいいでしょうけどね。

この店で3人でワインを1本空け、そこでやめときゃいいのにまたワインを飲みに行きました。小さなカウンターしかない店ですが、料理もワインも美味しくてハズレがないので私のお気に入り。メニューはなくて、料理はマスターのお任せなワリにはお値段も普通だと思うな。安くはないけどね。

そこでも1本頼んだのですがー。本当はそれでおしまいのはずだったのですがー。その後ワイン好きのおじ様が来店。ワインを飲みにイタリアやらフランスやらに行くらしいです。その後会社の社長だと判明しました。さすが。
その方がお土産に貰ったらしいワインを持ち込みで開封されまして、御相伴に預かりまして、持ち込みワインは2本でして…。結局1人1本呑んだ勘定になりました。週初めだし、そんなつもりはなかったんですけどねえ。
この時コルクを抜く最中にソムリエナイフが壊れるというアクシデントが発生。マスターも初めての事だそうで、四苦八苦しながら、何とか折れた螺旋状の棒を抜いていました。
この時社長さんがズボンのポケットから取り出した「マイソムリエナイフ」にはびっくり。何かちょっとカッコ良かったな。

無事コルクも抜けて、タダ酒呑みつつ女の子らしい話題でなごみつつ、「ひな祭りで女の子の日だからいいよねっ」と言い訳しつつ、結局1時まで呑んだくれました。ダメダメ。

一緒に呑んだ1人は最終に間に合うように帰りましたが、もう1人はノリノリで1時組。誤解のないように言っておきますが、私が彼女に付き合ってあげたんですよー。私も最終で帰るつもりだったんです。ホントよ?
その彼女、何時まで呑んでいたか覚えていないそうです。朝は「まだ酔っていたから」絶好調で11時頃から「二日酔いに入って」絶不調だそう(継続中。そろそろ復活したかな?)
私は…。ま、それなりに復活☆

今日はとうとう確定申告だったのですが、その報告はまた明日(今日あった事を書くのが日記ではないかと思いつつ幕)

2003年3月7日(金) 戦わずして負け

前回の日記で「続きは明日」とか書いていたワリに、ぐーたら遅れて登場です。これからは「続きは次で」と書いておくことにしよう。

確定申告の季節です。八百屋さんも魚屋さんも女優も申告しなきゃないみたいです。でも、申告しないとどうなるのか、実はあまり良く知りません。そのてのサイトの説明を読んでも今ひとつ理解出来ない私は、やはりバカなのだなあと少し悲しい気持ちになります。多分理解しようという覇気が欠けまくっているのだろうと自己分析。

2月の日記にもある通り、書類だけは色々と取り揃えてきました。が、申告の手引きや、いっぱい欄の並んでいる書類を見てると、それだけで目がチカチカしてきて全て破り捨てたくなる私。税理士に全てを任せてしまう社長さんの心境が分かりました。

申告に必要な書類の整理をしつつよくよく検討してみると、私は派遣会社から給与として貰っている分と、事業主として個人契約での収入がある事に気づきました。えーと、給与としての収入を記入するのは申告書Aでー、それ以外の収入は申告書B…って、2枚書かなきゃならないのか?
とまあ、この時点で自力での書類作成は諦め、「税務署で書こう!」とあっさりと方向転換しました。だって間違ったら困るしー。

火曜日の朝、二日酔いの頭を抱えて税務署の相談コーナーへ。まだそれほど混んではいませんでしたが、給与以外の収入もあると告げると少し待たされる。税務署の方は1人で2〜4人の相談を一気に引き受けているようで、よくまあ千差万別であろう申告の相談を捌けるなあと素直に感心。その分、1円でも得をする申告を考えてくれるってワケにはいかないのでしょうが。
順番が回ってきて、相談員のおじさんに源泉徴収票やら何やらを見せると一言。
「分かりました」
そうかー、分かるのかあ。すごいなあ。
「申告書Bを使います。赤やら青やらの派手な書類です」

確定申告書等様式コーナーにあるPDF形式の申告書を見ると分かるのですが、本当に派手です。多分分かりやすく親しみやすいようにとの配慮なのでしょうが、お役所に提出する書類とは思えないほどカラフルです。目がチカチカするのはこの色のせいもあると思っています。やはり税務署の人も派手だと思っているのですね。

ここから先の私は自動書記状態。
「こことここ(の欄)にこの数字を書いて下さい」
「この欄に○○円と記入して下さい」
「この欄の数字から○○円を引いた数字をここに書いて下さい」
「はい、これで申告は終了です。この書類を持って受付して下さい。お疲れ様でした」
いや、戦わずして完敗って感じでした。足し算引き算の時しか頭使わなかったです。この間もおじさんは、別な人の相談(ちょっと込み入った相談のようでした)を受け付けていました。おじさんが魔法使いに見えたです。

次はもう少しマシに負けたいものです。5回コールド負けから、せめて10点差ながら9回までちゃんと試合やるくらいには。まずはコンピュータ関連の本を買ったら領収書を取っておこう。

2003年3月8日(土) 真夜中の電話

夜中の電話ってイヤですねえ。ロクな知らせがきやしません。

昨日…正確には今日の夜中ですが、まったりとPSOなぞに興じていた時、父母の寝室から電話のベルが響きました。折りしも夜中の2時半。こんな時間に来る電話でいい話があるわけありません。
電話の相手は近所に住んでいる親戚の娘さん。私のいとこで叔母さんが母の姉です。
彼女は現在山形の大学で教授を務めているのですが、叔父さんの具合が悪くなったらしいという知らせでした。
叔父は一年ほど前に脳梗塞で倒れていて、それが良くなった頃に今度は叔母が倒れてしまったという、ここ最近病院と縁のある生活を送っています。一人娘は山形に居るので、何かあった時は母が様子を見に行きます。今回もすぐさま訪ねました。

外は雨〜。しかも雪が積もった上の雨で、所かしこのぐずぐずに溶けかけた雪と水たまりで、ブーツは水浸しだわジーンズの裾は濡れ放題やらで歩くのも大変。やっとの事で叔父の家に着いたと同時に、いとこが呼んだ救急車もやってきました。
かかりつけの病院があるのでそこに搬送して貰った時間が3時頃。私も車で追いかけました。いとこが病院に到着するのを待って、医者から説明聞いて家に戻ったのが5時半。ねむねむ。
今はICUに入っていますが、命に別状はなくて済みそうです。ほっとしました。

病院で叔父の検査を待ちながらふと口から出たのは
「さすがに飽きたなあ」

実際、叔父叔母連に祖父に父。その他にも色々と、夜中の病院に付き添う機会がとても多いです。10代の頃からやってますし、両親や叔父叔母の年を考えると、これから増える事はあっても無くなる事はないでしょう。
『飽きた』発言は我ながら不謹慎な発言ですが、母と2人で苦笑してしまいました。看病される側に回らないだけいいかなって所で話を落ち着けてみたりして。

でもまあ、出来るだけの事はしてあげたいですね。

2003年3月11日(火) うっかり

今日は雪でした。
仙台は、毎年3月に入っても必ず積もるだけの雪が降ります。私の高校の卒業式などは大雪でした。あの時は幹線道路も真っ白でしたっけ。

へちまさんが掲示板で教えてくれたサイトのNEOGEO墓標を、うっかり読みふけってしまいました。実際、当時ゲームなぞやらなかった(格ゲーなんて触ったコトもなかった)私がこれだけ面白いのだから、昔からのファンはそりゃ楽しめるでしょう。
でもズィーガーってカッコいいよね? ね?? ハゲでも脱いでても武器がズァリガーニでもカッコいいよね?
ずっと覇王丸らぶの私ですが、サムスピのキャラの中で嫁に行くとしたら、ズィーガーか王虎、もしくは花諷院骸羅と妹と言っておりました。理由は、きちっと家庭を守って大事にしてくれそうだから。
覇王丸はその辺ぶらぶらしていて頼りにならなさそうだしねえ。骸羅もふらふらしてそうだけど、何かちゃんとお嫁さんを大事にしてくれそうです。
やはり恋と結婚は別物なのか? それ以前にこーいう例え話をする時点で色々終わっていそうです。

ナコルルに夢持ってる殿方を笑えないと、思わず遠くを見てしまうしばたさんでした。

2003年3月13日(木) マンガ文庫って…

マンガ文庫流行りは、お年寄りな私には嬉しい限りです。

年上のいとこが多かったせいか、小さい頃から何処からともなくマンガ雑誌が家にある環境に育ったため、古ーいマンガの復刻もとても懐かしい。
サイズが小さくて迫力に欠ける上割高なのはちょっとイヤンですが、もう読めないだろうと思っていた作品をもう一度読めるのは素直に嬉しい。場所取らなくていいしね。

しかし最近、懐かしいでは済まされない、時に埋もれていた作品も文庫で出ています。
悪い意味ではなく、よくまあこんなモノまで忘れずに出してくれたよ、ありがとうありがとう出版社と思う作品。私的には、清原なつの氏や若くして亡くなられた花郁悠紀子さんの作品なんかそうかな。

実は昨日、そのような作品に出会いました。
思い起こせば中学生の頃、一度だけ立ち読みしたまま、結構高くて買わずに帰った本に載っていた作品。その後何年もしてから、とある読者欄でこの本を探しているという投稿を見かけて、なーんとなく気になって時々探していたけれど、ついに巡り合えなかった本。未だに気になって時々思い出していた作品。
実は、探していた作品は表題にはなっていませんでした。その人の短編集が文庫新刊で平積みになっていたので、その作品の事を「もう読めないんだろうなあ」等と邂逅しつつ裏表紙を眺めたら、なーんとしっかり収録作品として載っているではないですか。我が目を疑いました。

題名を言っても、きっと誰も知らないだろうと思ってはいるのですが、一応何かは書いておこう。
それは坂田靖子(この辺で既に脱落している人もいるだろうなあ)の『アモンとアスラエール』

…っていう本があったんですよ、昔。いわゆる耽美系ボーイズラブ物の走りと言っていいのではないでしょうか。坂田靖子はほのぼのした明るい作品の方が世に出ているのですが、暗くてどろどろした作品も結構多いんですよね。あの乾いた絵柄と相まって妙に印象に残ったものです。
アモンとアスラエールは、講談社漫画文庫の「誇り高き戦場」に収録されています。

しかしアモンとアスラエールか…。まさかこの作品が平積みになって売られる日が来るとは思っていなかったなあ。一生幻で終わると思ったのに。きっと新刊の時しか平積みにならないだろうから、これは神様の引き合わせとしか思えないなあ。
しかしホントーに、この作品を新刊として見る日が来るなんて思わなかったよなあ。未だに信じられん。

人生何が起こるか分からない。非常に些細な事なのですが、そう思わずにはいられない私にとっては大きな出来事でした。

マンガ文庫恐るべし!

2003年3月14日(金) 星を見る人

久々に星を見る人に会いました。
地下鉄勾当台公園駅を出てすぐ、仙台市役所隣りに市民広場というスペースがあります(あの場所がそんな名前だと初めて知ったよ)
星を見る人とは、そこで時々出会うおじさん達の事です。

会社定年後という風情の2人組(3人の時もあったかな?)のおじさん達なのですが、天体望遠鏡を2,3台セットして、道行く人に覗かせてくれるのです。クレーターがはっきり見える恐ろしく綺麗な月や、くっきりと輪のかかった土星。小さいけれどちゃんと縞模様に見える木星。
通りすがりの親子や会社帰りのおじさん、今時の若者なんかも覗いていきます。おじさん達は興味を惹かれて望遠鏡を覗く人々を嬉しそうに眺めていて、質問するとこれまた上機嫌に答えてくれるので、こちらもとても楽しい気分になります。

確か一番初めに会ったのは丙種くんとの外出時、「星が見られるよ」と言われて行ってみた時の事でした。それから2,3回会いましたが、最後に会ったのは半年ほど前の事だったかと。久々に見かけた訳ですが、おじさん達は少しも変わらず元気に星の説明をしていましたっけ。

いつもは土曜日の夜に居るそうですが、明日はおじさんの1人に用事があり、その上雲がかかりそうな天気予報だったそうで、それじゃ今日出るべーとなったと、笑いながら話してくれました。
私も久々に空を眺めてまったり。のんびり夜空を眺めるのはいいモンです。

土曜日街中にお出かけした時、もしも日が暮れてしまったら、星を見る人に会いに行ってみてください。

2003年3月22日(土) このバカっつら〜

…と、スーパーミルクチャンに怒られそうな今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
私は先週土曜日のほぼ完徹の疲れから、昨日ひたすら寝てやっと復活したようです。
と思ったら、今日も寝まくってしまいました。完璧脳みそ溶けるわ、この生活。人生の1/3どころか半分は寝て過ごす勢いです。春眠暁を覚えず(どうも私は1年通して春のようだ)

へちまさんの送別会に参加の方々お疲れ様でした。最中は我ながら年甲斐も無く元気だなあとか思っていたのですが、無事終了させてからはもう、日記書いてるヒマあったら寝るわ状態で、もうゾンビ状態でした。足ツボマッサージに行ったりするくらいに。
大体の行事も終わったので、まあこれからは落ち着いていこうかと。お花見は参加状況見て決めようと思ってます。強制的に行事こなすのはイヤーンだしね。ムリせず楽しくまったりと参りましょう。きっとへちまさんやカタルさんも、ムリせずまったり、ひょっこり顔出しに来てくれるでしょうから。


時事ネタはなるべく避けたいと思いつつ、とうとうイラクの爆撃始まっちゃいましたねえ。血の気多いなあ、彼の国は。カウボーイ精神ってやつか?
まあ戦争絶対反対の国の方々も、決して世界平和に尽力ってんじゃなくて、自国の利益のために「今回は」反対だってコトなんだと分かってはいますが、やっぱり平和が一番だと思ってしまうぬるま湯生活を享受している身としては、某大統領に「このバカっつら〜!」とか言いたくなるワケです。むしろデメリットが多い戦争に思えるしのう。


というワケで、スーパーミルクチャンを知らない貴方は百聞は一見にしかず、ここのshockwaveなぞ見てみましょう。ただし重いのでマシンスペックと相談しつつ覗いてね。

さあ、家帰って寿司食って寝るかー(まだ寝るのか!?)

2003年3月23日(日) 初めての

ネットオークションを経験しました。無事狙いのモノをゲット。
初めてなのでどっきどきでしたが、相手の方の対応も丁寧で、何の支障も無く無事手元に届きました。これに味を占めてオークション中毒になるかどうかは微妙。でもきっと、本当に欲しくて手に入れる方法がそれしかない限り、これからもあまりやらないと思います。足でのーんびり探す方が好きだし。

さて、そんな私がこりゃネットオークションでも使わなきゃ一生手に入らないかもしれないと思った一品は、とあるマンガ本です。
内田善美の『星の時計のLiddell』全三巻。

知らない人は知らないけれど、ある年齢層以上のマンガ読み、特に少女マンガ読みなら名前を知らない人は居ないだろうと断言出来る、マンガの最高峰のひとつと読んで差し支えない名著です。
当時少年マンガ読みだった私も、本屋に並ぶ豪華本を指をくわえて眺めていました。そう、ハードカバーの美しい装丁のお陰で高かったんですよー、マンガにしては。
当時斜め読みしかしていなかった私は、ちゃんとストーリーを把握出来るワケもなく、値段に挫折して買わなかったのです。その後何かにつけ思い出す度に、「あの時買っておけばなあ」と軽い後悔を覚えていました。

3/13の日記で個人的に幻だった作品の復刊について書いた後、やはりLiddellの事を思い出して、試しにYAHOOのオークションを覗いてみました。そしたら全3巻揃ってあーるじゃありませんか。
その前に復刊ドットコム『星の時計のLiddell』交渉状況で「作者の所在不明。連絡不可。 」を見て、こりゃ復刊はかなり難しいだろうなあと残念に思っていたので、オークション初挑戦ってコトになった次第。
復刊するとしても文庫じゃあの華麗な絵はねえ…。

思ったより安く競り落とせて嬉しいやら(どうやら古本屋では、下手すると3冊1万円とかで売るそうですから)、もっと評価受けてもいいのにーと寂しいやらで、複雑な心境でした。

今回のお休み中、以前は立ち読みだった本作品を初めてゆっくり読んだのですが。
内田善美の根強い人気の秘密が分かりました。それと同時に、連載中に読んでも今より理解出来なかっただろうなあとも思いましたね。

ではでは。本の感想はまた次に。

おっとそれから私信。
山本さん、お勧めの本買いましたよー。普通の本屋じゃ最新刊しか売ってなかったので、初めて地元のゲーマーズまで行っちゃったい。
ではごきげんよう、お姉さま♪

2003年3月24日(月) 想いは想いのままに

「幽霊になった男の話をしようと思う」
…で始まるのが『星の時計のLiddell』

舞台はアメリカはシカゴ、風の街。生まれた時から故郷を持たないロシア人のウラジーミルと、彼の友人で奇妙な屋敷の夢を見続けるヒューの物語。夢の中でヒューを「幽霊」と呼ぶ少女。夢の内の少女のはずがいつしか現実と交錯し、彼らは屋敷を探す旅に出る─。
ってな所か?
簡潔で的確なストーリー紹介はないかとちょっと探してみたのですが見つからなかったので、私の要領を得ないあらすじでご容赦。

どうも作者の意向もあるらしく再販はかーなり難しいそうですし、ストーリー紹介だけだとオカルト物っぽくなってしまいそうなので(というか、私にこの作品を解説するのはムリぽ)、取り敢えず言葉を抜き出してみようかと思います。著作権違反にならないといいなあ(気弱)

主人公のウラジーミルくんは、父親の代からロシアを知らないロシア人。旅好き。
ルーツを持たない故なのか心の中に虚を持っているっぽく、何事にも深く関わる事はしない。
暇しか持ちあわせていない人間(本人談)で、私という非生産な営み(本人談)且つ「私の魂は病んでいる」(と、本人は思っている)な彼が、「俺の趣味じゃない」と言いつつ1人の友人ヒューに深く関わってしまいます。

で、このヒューという男、
自身の事だけならいつもなんでも最上なんだ
と気軽に言うのと同じ口調で、荘子の「胡蝶の夢」(昔荘子が胡蝶になった夢を見た。目覚めて思ったのは「今の自分はあの胡蝶が夢見ている夢で、胡蝶が見ている夢の中で人間の姿をしているだけではないか」…という話。押井守監督のビューティフルドリーマーでも出てたねえ、そういや)を引いて、普通にこう言えてしまうヤツ。
たとえば蝶になってしまうことぐらい 俺には何のことはないような気がするんだ
(中略)
ただゆっくり目を閉じて眠るだけさ
それで もう 俺は蝶だ
蝶の俺は二度と再び
人間になった夢をみないだけさ


そんなヒューに、ウラジーミルくんは恐怖を抱きつつも惹かれるのです。
自らの常識を語らざるおえないウラジーミルと、そのような規制を易々と超えてしまうヒュー。
ウラジーミルくん曰く
彼の語る真実(ゆめ)
私の語る現実(うつせみ)
彼が語る真実(かなしみ)
私が返す現実(かなしさ)


ヒューと夢のキーワードは、来るべき新人類の『予感』としても語られています。この作品が発表された1980年代といえば、ニューエイジ(チャネリングとかね)が流行り出していた頃だと記憶しているので、そういう時代背景もあると思うのですが、個人的にはこの辺の環境破壊やニュータイプ論みたいな部分は余計かなあとか思ったり。今読めばこそ、そう思うのでしょうが。

でもまあ、私はウラジーミルとヒューの軌跡をひたすら見ていく物語であると思って読んでいました。
ヒューは降りしきる落ち葉の中で言葉を紡ぐ。
俺はね
何者でもない
その事がね
けっこう気に入っている
(中略)
画家だったら 描かなければならない
詩人だったら 言葉があふれてしまうだろ
音楽家は 感情の一ひだも葉っぱの一枚さえも音に変えてしまうんだ
そういうミューズたちを必要としないってこと
俺はけっこう気に入ってる


ウラジーミルくんは想う。
樹々は樹々のままに
水は水のままに
想いは想いのままに


ま、こーんな台詞と華麗な絵が満載の、『星の時計のLiddell』はそんな本です。
方向性は違うけど、夭逝した三原順に似ているかもしれない。作者の内田善美はその後ほどなくして断筆、現在連絡も取れないそうですが、この作品を読むとそれもやむなしと納得してしまう、一種鬼気迫るモノがあります。

ウラジーミルくんのヒューへの愛情と恐れと苛立ちに、漠然とながらも共感出来そうな私。夢の残滓を集めたような読後感…なーんつってな。

本の格調に合わせてちょっと綺麗にまとめてみよう。

2003年3月30日(日) テロ警戒警備中

…なーんて立て看板が2,3日前から最寄の駅の改札にあるんですよ〜奥さん!
近所にそんなモンがあるってちょっとイヤンです。恋は遠い日の花火……じゃなくて、他所の国の揉め事は対岸の火事ではないんだなあと、毎朝その看板を見る度に思いしらされます。


昨日チャンネルを変えたら、とあるスペシャル番組が映りました。色々な鑑定人の話を再現フイルムで紹介していたらしい。
よくワイドショーの放映で「渦中のあの人が激白!」等と、画面の右下隅に踊る文字のように、その番組でも右上と左上の2箇所に表題(つーのかねえ?)がありました。左上の文字は白だったので、背景が白っぽいと見えにくいです。

それを何とはなしに眺めていたら、信じられない言葉が目に入りました。
「文通鑑定人」
筆跡鑑定じゃなくて文通の鑑定? すると何か? 文通の手紙を鑑定して相手のひととなりを鑑定するのか?

ただ単に『交通鑑定人』の見間違いだったんですけどね。見間違いと気づくまで時間にして2,3分あったでしょうか。その間、『文通鑑定』とはどんな仕事なんだろうと、色々と妄想が駆け巡りました。

いや〜、文通鑑定人。ホントにあったら面白そうだなあ。今だったらメイルの鑑定なんかもしちゃうんだろうなあ。交換日記の鑑定もするのかなあ…。

………本気でそんな職業があるって信じちゃったよ文通鑑定人。とほほ。


[先月] [目次] [来月] [最新版] [トップ]

zubachan@lily.freemail.ne.jp
Akiary v.0.51