日々是平安

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2003年6月2日(月) ふけいきなはなし

お昼ご飯仲間の方のお子さんが、夜お母さんの姿が見当たらないと泣くようになったそうです。どうやら地震のせいらしい。よっぽど怖かったんだろうなあと思うと、ちょっとほろりとしてしまいました。


先週の水曜日の事です。会社帰りに寄った本屋で、辞めた会社の同期にばったり出会いました。あまりの偶然にお互い言葉を失くしまいましたのコトよ。いやびっくり。
せっかくなのでお茶を飲みに行きつつ会社の話を聞いた所、彼女は今年の一月に退職していたそうです。会った時は再雇用促進なんたらの帰りだったそうで。その彼女が辞めた理由というのが「希望退職」
退職金おまけするから辞めな〜い?…ってゆーアレです。退職金に色をつけてくれたり再就職のためのセンターを紹介してくれたり、依願退職じゃないから失業保険の待機期間もなかったりと、結局2桁の人が辞めたそうです。

うちは子会社となりますが、本社の方でも大規模な募集があったらしく、すぐに定員に達して早々に締め切った所や、ノルマ(…っていうのか?こういうのも)に達しなくて、面談を重ねてやんわりと肩たたきして…ってな感じの所など色々あったそうで。

私が辞めた半年後くらいにフレックスタイムが無くなったというのは聞いたのですが、当時も不景気とはいえ社内の様子や仕事の入り具合からは、希望退職を募るような状況になるとは想像していなかったです。長く勤めていたので浮き沈みはあったけれど(本社に出向者を大量放出したりとかね)、今回みたいな事態は初めてだなあ。そんなに一気に辞めて、残った仕事は大丈夫なのかしらん?
私の後も、櫛の歯が欠けるようにぽつぽつと辞めていたようなのに。もう関係ないけどちょっとだけ心配だぞ。

後1年半頑張っていたら条件良く退職出来て良かったなあと思う反面、自分で決めて行動した結果なので、今の方が気分的にはいいかなとも思います。結構何とかなってるし。これからも何とかなるかは分からないけれど、それは気にしてもしょうがないし。
会社に残っていれば状況が良くなったかと言うとそれも疑問だしね。あのままだったらきっと倒れていただろうし。

その後仲の良かった後輩に電話してみたのですが、印象的だったのは辞めた方はすごい元気で、残っていた方は元気がなかった事。出張中だったので当たり前っちゃ当たり前なのですが、やはり辞めた人のカバーがあったりで忙しいみたいです。身体壊さないといいのだけれど。

不景気真っ盛りですが、そういう時こそ浮かぶ瀬ってのもあるはずです。お互い頑張りましょ。

2003年6月3日(火) その時あなたは?

またもや地震ネタで申し訳ない。やはりそれなりに衝撃的だったらしいです、あの地震。今でもふとした拍子に話題に上るし、そのせいで現在の派遣先はお忙しだし。

会社のお昼時間。「アタック25」って今でも放映してるんだよねーってな話から「新婚さんいらっしゃい」の話になりました。その中のとある新婚さんの話で、
「家に帰ったら奥さんが台所でエプロン1枚(俗にいう裸エプロンですな)だったので、怖くて逃げた」
…というエピソードがあったそうです。
やはり普通はそーいうカッコは怖いものなのだろうか?とか、料理中は火が危ないよねーという話と共に、「そんなカッコの時に地震が来たら外に逃げられないっ!」

そういやこの間の地震、具合が悪くて寝ていた私はばっちりパジャマ姿。この格好でまだ明るい外に飛び出す勇気はありませんでした。まあ、建物崩壊を危惧するような揺れではなかったんですけどね。

火事ならまだ着替える余裕がありそうですが地震ですよ。ある日突然ですよ。夜中だったらお楽しみの最中に起きる可能性もあるじゃないですか。お遊びで「初めてのソフトSM」な〜んてやっている時に限って襲ってくるかもしれないし。鞭持って、縛られた旦那さん抱えて出て来る奥さんとかに遭遇したらびっくりするだろうなあ。

白木屋デパート火災の逸話(眉つばらしいけど)を鑑みるに、恥ずかしくて逃げ遅れるようなコトがないようにしたい…けど、何時来るか分からないしなあ。
マズい場面だったら潔く諦めるべきでしょうか。命あってのコトだし。でもきっと「死んだ方がマシっ!」とか思うほどには恥ずかしいだろう。
神様どうかヘンな時に地震は起こさないでクダサイ。

ところで。やはり家に帰ったら奥さんが裸エプロンだったってのは怖いものかな?
……怖いかもなあ…。 

2003年6月8日(日) やせ我慢の似合う男

先週の金曜日にレイトショーで「X-MEN2」を観て来ました。周囲は既にマトリックス一択っぽかったですが、20人くらい入っていたかな。男4人組がどうもアメコミファンのようで見ていて微笑ましかったです。

映画の内容は「今度は戦争だ!」…というエイリアン3(だっけ?)のキャッチコピーが似合うようなもの。人間対ミュータントで最初はハードな展開なんだけど、やっぱりX-MENだし〜。ごく普通にエンターテイメントしていました。最後にちょっと泣かせる展開もあるにはあるのですが、ベタっていやベタな展開。ある意味原作に合った展開といえるかもしれません。
ウルヴァリンファンの妹によれば「私は前作の方が面白かった。面白いんだけど全体的に詰め込みすぎ。何を描きたいのか分からない」ってちょっと辛口だったのですが、本音は「あんなウルヴァリンは却下よー!」

これもラストのベタな展開の部分の話なのですが、そこでウルヴァリンが(正確にはウルヴァリン役のヒュー・ジャクソンが)涙声になったのがイヤだったらしいです。彼女曰く「ウルヴァリンは弱い。確かに弱い。でもそれを『どうってことないさ』ってやせ我慢する所がカッコいいのよ!」

「あんなのウルヴァリンぢゃないもん!」と、帰りの車の中で激昂していた彼女でしたが、「でもウルヴァリンって意外に泣くし落ち込むしなんだよねえ…」と、言っていた所から見ると(そして私が読んだ範囲でも)、映画のアレは間違ってはいないと思います。やはりファンの贔屓目というか脳内妄想暴走中というか。「あそこのウルヴァリンの演出だけは私にやらせてー!」とか言っていました。
まあ、私もあのウルヴァリンはちょっとイメージ違うなあとは思ったんですよね。やせ我慢してくれる方が好み。色っぽいし。
とはいえ、「背が高すぎるのが難だなあ」と(妹は)言いつつ、「ヒューカッコいい」で私ら姉妹は意見が一致したのでした。

私はけっこう面白く観られました。話詰め込みすぎとはいっても、ERみたいに平行で色々進んでるって感じで特には気にならなかったし、本家コミックのX-MENもそんな感じだし。普通に面白かったなあ。お気に入りのナイトクロウラーも出たしな。ミスティークが前作に輪をかけてカッコ良かったし。
チョイ役のコロッサスやシャドウキャットが贅沢な使い方だにゃーとか思ったです。コロッサスってば赤パンツなくせに良いヤツだ。
妹はTVでミュータント論を話していたビースト(本名のヘンリー・マッコイ博士で出ていたそう)を見つけていました。さすがだ。
どうやら名前だけならガンビットも居たそうです。くそー、3作目があったら出てきてくれないかなあ。でも3作目なんつったらプロフェッサーXがオンスロートになりそうでイヤだなあ。今回も散々な役だったのに。

よっぽど一作目のマグニートーのヘルメットが評判悪かったのか、今作でパイロに「カッコ悪いヘルメット」と言わせてたりして笑ってしまいました。いや、でもアレ本当にヘン。ちゃんと役には立っているんだけどねえ。どうしてもう少しマシなデザインにしなかったのだろうか。コミックのもヘンだから?

ちょっとX-MEN齧った人なら楽しめます。知らない人もマンガ的展開についていけるなら面白いかと。画面観てワクワクしながら観るのが楽しい映画でした。
でも隣りのおっさん映画やってる間中気持ち良さそうに寝ていたけど。ええ、いびきかきながら(音が派手に鳴る時に目覚めてはまた寝ていました。おっさん、もっと静かな映画選べば良かったのに)


話は変わって。さっき某へ○○さんから電話を頂いて「これ観たらしばたさんを思い出しました」とゆっていたのですがー。
ランバラルとドズル兄さんで私のコト思い出さないでヨ! ぷんぷん。

2003年6月9日(月) 打つべし!打つべし!

今アンケートの集計でひなが一日データ打ち込みやってまーす。いい加減右手死にそうでーす。手首痛いでーす。

地方の小さな事務所から大きな企業まで一時に行ったアンケートなので、同じ項目でも回答に温度差があって面白いです。まるでわからねーってのから事細かに書いてくる人まで。
メイルアドレスなども入力するのですが、自社サーバ持っていない所はOCN使っている会社が多いみたい。次がDIONかな。BEKKOAMEなんかも見かけて珍しいと思いつつ、昔の隆盛時代を思うと妙に感慨深かったりしましたです(BEKKOAME知らない人も増えたみたいだしね)
しかし幾ら従業員10名未満だとしても、仮にも会社への連絡先のアドレスとしてYAHOOメール使うのは、信用問題に関わるから止めた方がいいと思うな。
というワケで、今週日記を書かなかったとしたら右手が死んでいると思ってください(サボるのに都合のいい言い訳)


昨日の日記で『ナイトクロウラーがお気に入り』とか言っていましたが、お気に入りになったのは最近の事です。妹から借りてコミック読んでいた頃は、「青くて悪魔のしっぽのおじさん」くらいの認識しかなかったものです。こんなだし。

それでは何故今頃かっていうのは、映画のせいじゃなくてアニメのせいです。ケーブルテレビのカートゥンネットワークでやっている<「X-Menエボリューション」がちょっと面白いからなんですな。
前にもX-MENのアニメもあったけど、これはなー、絵が酷くてなー。今回のは高校生ミュータント(うぷぷ)中心の話で、絵もワリときれいだし音楽も良さげ。EDがカッコいいったら!
最近ビッグオーやったり面白いラインナップ多いんだよねえ、カートゥンネットワーク。

「X-Menエボリューション」はアメリカでコミックになっているらしく、こんなサイトがありました。昨今のアメコミっぽく日本人受けするような絵柄です。(最初は拡大表示される画像にリンク貼ってみたのだけれど、それだけではどうもちゃんと表示してくれないようです。リンク貼りまくったバージョンを見た人ごめんね)
いかにもアメコミっぽい絵柄も好きなので、これはこれでちょっと寂しかったりもしますが。

そしてエボリューションのナイトクロウラーがこの子よこの子、「Issue # 01」 の表紙の手前にいる青い子。そして普通の人間ぽくカモフラージュしてる時の姿が「Issue # 04」のPage 01〜02とか。 可愛いでしょ!?(可愛くないとか言ったら責めそうな勢いで)
性格も可愛いのよー。ちゃんとミスティークの息子で「母さん」とか呼んじゃうのよー。うっとり。
シャドウキャットに気味悪いって言われて落ち込んだり、トラブルメーカーだったりムードメーカーだったりして、いまいち主役になりきれない辺りが個人的にツボです。ハマる。

しかしこのX-MENエボリューション。スコット@サイプロクスやジーン・グレイが高校生だったりしてちと笑えます(ストームとかビーストは先生。ウルヴァリンは…あいつ先生なのか?)ジーンは老けすぎだ、見た目が。
ケーブルテレビらしく同じ話を何回も流してくれるので安心なのですが、さっぱりストーリーが進まないのが困った所です。その話3回は観たぞー。そして見逃したエピソードに限って観られないんだよなあ。何故だ?
今は気分的に盛り上がっているので、このコミックス買いにアメリカまで行きそうです。危ねー(海外通販とか考えない辺りがおバカ)

おまけにウルヴァリンファンのズボラさんに。アニメでは黄色いタイツで頑張っています。でも妹も太鼓判押すカッコ良さ。コミックの彼は「Issue # 03」とか「Issue # 05」とか。アニメよりタレ目だな。

2003年6月11日(水) フォションのランチボックス

深夜にチャンネルを変えていたら、CSで『ハンニバル』をやっていたのでついつい見てしまいました。原作を先に読んでいて映画も観に行こうかなあーとか思っていた内に終わっていたもの。アンソニー・ホプキンスが老けちゃっていて、どうも今ひとつ映画館へ足を運ぶ気にはなれなかったのでした。太っちゃったしのう。

偶然だったので最初の30分を見逃したり(その時間はX-MENエボリューションを観ていた)、着替えている内に1シーン終わったりしていましたが、まあ内容を把握出来るくらいには観たかと。イントロが印象的というレビューを観たのでそこを見逃したのは残念でした。

原作は上下巻でボリュームたっぷり。きっと映画は別物になっているんだろうと思いきや、意外にも原作通りでした。台詞や風景まで一緒って感じ。もちろん小説の中の細かいエピソードはバッサリと切ってはあるのだけれど、大筋は小説まんまです。特にフィレンツェ編。ダイジェスト観ている気分でした。
が、ラストが全然別物でした。小説のラストは何だかなーと暗澹たる気分で終わる、とってもトマス・ハリスらしい話でしたが(読み返した『レッドドラゴン』の後味の悪さにはびっくりしちゃったよ)、映画の方はー。うーん、個人的にはいただけないなあ。

もう昔の作品なのでネタばれ入りますが、読みたくない人は色変わり文字の部分は読まないでね。

原作では、博士を執拗に狙っていたヴァージャーの邸から、クラリスに救われて、そして救ったレクターが、洗脳するかのごとく丁寧に時間をかけてクラリスを手中にしてから、クライマックスの晩餐会で一緒に食事を楽しむのだけれど、映画じゃ逃亡劇からいきなり晩餐会。そりゃクラリスも警察くらい呼ぶよ、いきなりじゃ。その上、手錠嵌められたレクターが自分の手首切って逃亡って…ありえね〜! そんなの天才レクター博士じゃないやい!

小説でもレクターの生い立ち話が入ったり詳細に描かれすぎて、彼の神秘性っつーか不気味さが薄れて失敗だと思ったのだけれど、映画のレクターはそういう点での不気味さは良いのだけれど、所々でハショりすぎて行動が薄っぺらく感じられてしまって賢さ半減なのが残念。小説のラストもひでー話と思ったけれど、映画版は納得いかない感じです。一般受けを狙ったのかなあ。
TVで観たせいなのだろうけれど、フィレンツェの風景は荘厳さが物足りなくて寂しかったです。これは映画館で観なかった失敗でしょうね。惜しいコトしました。
フィレンツェの日本人観光客は笑いのツボでしかなかったのですが、他の地域の人にはオリエンタルに見える…のかな? ブレードランナーと同じ監督だし強力ワカモトみたいなものかしらん?

残虐シーンは結構すごい。血がどくどく。溢れる溢れる。クライマックスの晩餐シーンも小説ほどではないですがキています。小説は自分が味わっている気分でした。口の中に料理の味がするようで、真面目に気持ち悪かったです。

結構文句はあるのですが、これは原作が先なせいでしょう。映画としてはまあまあ。でも『羊たちの沈黙』よりは大分劣ります。積極的には勧めないな。ゲイリー・オールドマンのキレ方も足りなかったしー。
リニューアルした『レッドドラゴン』も観ていないんだけど、これはどうだったのだろう。面白いって評判だけど。

原作で、アメリカ行きの飛行機に乗ったレクター博士が「動物の餌のような」機内食に耐えられず、フォションに特注したランチボックスを開けるシーンがとっても美味しそうで印象的だったのですが、映画の締めでこのシーンをアレンジして持ってきていました。やはり監督も印象的だったのでしょう。映画のランチボックスも美味しそうだったです。

知らない人から物を貰うと、後でとっても後悔するかもしれないから覚悟しとけってラストでした。南無阿弥陀仏。

2003年6月12日(木) 微妙すぎる配役

よ、ようやっとアンケート集計のデータ入力終了の目途が立ちました。総計600件ちょい。ひとつひとつはどうってことない量ではあるんですけどねえ。指と腕が死んだ。データ入力だけのお仕事だったら大変です。


私はつい最近知ったのですが、シリーズ第三作『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のシリウス・ブラック役にゲイリー・オールドマンが決定したそうですね。(ハリ・ポタ3は04年夏公開
ゲイリー・オールドマン…。『レオン』のイっちゃった刑事『ドラキュラ』の伯爵や、『ハンニバル』でばりばりの特殊メイクでちと話題になったゲイリー・オールドマン。個性的でいい俳優さんで、私はかなり好きです。出ている映画はつい観に行きたくなるほど好きです。
でもなー、シリウス・ブラックは微妙だ。彼とハリーとのほのぼのシーンなんて想像出来ないもの。まだ『例のあの人』役の方が分かるのですが。
まあ実力派の彼の事でしょうから意外にぴったりかもしれません。どちらにしろ、これで映画観に行く事決定っぽいです(ゲイリーの熱烈なファンの友人は何があっても必ず観に行くだろう)
期待と不安が半々。不安の方が大きいけれど。妹とはシリウスはヒュー・ジャックマン@ウルヴァリンで観たかったねと言っていました。毛むくじゃらで貧乏くさくて結構情けない所とかぴったり(ファンとは思えない暴言だ)

ルーピン先生役のデビッド・シューリスは、ディカプリオがランボーを演じた『太陽と月に背いて』でヴェルレーヌを演じたそうな(すまんかわちょさん。情報間違えて教えちゃった)
詩人のランボーの話なので背徳的な愛っつーか、ぶっちゃけホモ映画って言ったらマズいよな、芸術作品だし(でも未見。観たいとは思っている)
彼がルーピン先生ってのは結構合った配役だと思ったです。でもシリウス@ゲイリーとコンビだと思うと、なんつーか危うい思考のお姉さま方(つまりワタシだ)が密かに喜びそうだ。いや、ちょっと思うだけデスヨ?



さて、ここから先は懺悔。意味が分からない人はスルーが吉です。「どういう意味ですか?」ってゆー質問は勘弁してください。オネガイ。

【懺悔】
アンケート集計中、企業名で『常磐開発』とあったのを『常務開発』と読んでしまい「うわ、やらしい」とか思ってしまいました!
【懺悔終わり】


アンケート用紙は手書きだったんです。判別しにくい文字だったんです。そんなコト考えていたワケぢゃないんです。疲れてたんだよ〜。

斜め45度上を行く自分の想像力が鬱な今日この頃です。とほほ。

2003年6月14日(土) 昭和19年

今日は友人とちょっと珍しい映画を観てきました。戦争中に作られた幻の傑作アニメと言われる『桃太郎 海の神兵』です。

昭和19年、第二次世界大戦真っ只中の作品で、オランダ領インドネシアでの海軍落下傘部隊が行ったメナド降下作戦を題材にしたそうな。正義の桃太郎隊長が、お供のサル・犬・雉に熊やウサギの兵隊を引き連れて悪い白い鬼を退治する、海軍のお膝元で作られた『戦意高揚映画』です。
戦後GHQの統制下、内容のヤバさからプリントは廃棄されたとされていたそうですが、80年代始めに松竹の倉庫で眠っているネガが発見されたんですって。
今日のみの上映のせいか意外に人が多かったです。50人くらい。ほとんどが学生らしき男性で、女性がその中に混じっている感じ。その時代に実際に居たであろうお年寄りの方々もちらほら見かけました。客層が読めない映画だったなあ。

お話は、お供のサルくん達の一時休暇ののんびりした田舎の風景から始まり、南方での現地住民(これらもゾウやらワニやら南方系のサルやらで描かれている。何故かカンガルーもいたりして)との生活、そして鬼達の非道な振る舞いと落下傘部隊の活躍と続きます。
桃太郎と鬼以外は全て動物で描かれていますが、これがまた可愛らしい。ディズニーの『バンビ』とか、『ジャングル大帝』の動物達を思い浮かべて貰えれば良いかと。それがフルアニメーションで滑らかに動くさまはディズニー映画に勝るとも劣らないと思いました。木陰を歩く時に一瞬かかる真っ黒な影の表現などは、白黒のせいもあるのでしょうが鮮烈で、現在のアニメでもこれだけの物ってあまり見ないかも。落下傘もきれいだった。
ミュージカル映画としても上出来で、音楽に合った可愛らしい動きに美しい背景で観ていてほのぼの。耳で方向を示すウサギなんてホント可愛らしいです。時々昔の絵本みたいなリアルな顔も出るんだけどね。

しかしまあ、とってもシュールな映画でもありました。ぬいぐるみみたいなウサギが銃剣持って警備していたり、ミュージカル仕立てな可愛らしい食事の支度シーンと同列に、高射砲整備している場面が描かれたり。桃太郎が鬼(=白人。一応角はあるんだけどね)に「無条件降伏か総攻撃か?」を迫ったり、サルが手榴弾投げたり人を殺したり…。戦争ごっこと呼ぶにはリアルすぎ、飛行機もちゃんとカモフラージュしてたり爆音がやけにリアルだったりで、シュールなことこの上ありませんでした。
バンビやジャングル大帝の動物達が、戦闘服を着て銃を持って戦っているようなものですもの。すごく不気味です。
作戦に赴く前に桃太郎隊長が「皆も覚悟が出来ていると思う」「最後の一兵になっても戦い抜け」…とか言う場面では、不気味さ通り越して泣きたくなりました。それまでも、そしてその最中でさえ動物の兵隊さんたちはとっても可愛いんですもの。なまじなホラーより怖い、あれは。

南方の動物達との交流のシーンも「日本軍は南方の人々を解放するために鬼畜な鬼と戦っているから、現地の人も喜んでいるんだよ〜」…と言わんばかりの歓迎振りをみせ(一緒に基地設営をやったりしている)、でも日本語の授業を行っている場面があったりして、楽しくてステキなシーンなのだけれど、背景を考えるとうーむと頭を抱えてしまいます。鬼に占領された国の伝説に「東方から天子の軍勢がやってきて、悪の支配者から自分達を解放してくれる」みたいな石碑があったりと、今見るとヤバいとしか言えん。

物語の中に籠の中に鳥を飼っている兵隊(犬だけど)がいるのですが、彼は偵察で戦死してしまいます。(ここのやり取りがまた酷くて「報告します!─1名戦死。以上」「よし!」…ってやり取りで終わり。「よし!」ぢゃねえだろう? 桃太郎)
その後、鳥が籠の中で飼い主を待っているらしい姿が描かれるのですが、これって「戦意高揚映画」にはらしからぬ演出のようで、密かに反戦を描いているかのようでした。どうもこの戦死した同胞を埋葬するシーンがあったらしいのですが、海軍チェックによりカットされたようです(ソースはこのページ。映画の内容も詳しく書かれています)
私はもしかしたら、餌をくれる人(しつこいようだが犬)が居なくなった鳥が籠の中で死んでいるって絵もあったんじゃないかとちょっと思いました。

昭和19年といったら色々と戦況もヤバげの時で、それは厳しい検閲が入った事と思います。物資も少なかったりしたでしょう。その中でこれだけのクオリティを見せつけ、上質のエンターテイメント映画を作ったってのはすごい事だと思います。確かに『日本は強い。日本軍は正義の味方だ』って事を描いているのですけど、前半の田舎ののどかな風景や動物達の掛け合いのシーンの方が、明らかに力が入っていますし時間も長く取っています。後半の戦争部分は駆け足の印象でした。そこら辺で良かったのは落下傘が開く場面くらいかな。あれは綺麗だった。兵器のディテールは緻密でした、やっぱり。でもその部分を描く事を主眼には置いていないだろうと思われてなりません。

当時の子供達がこれを観て兵隊さんに憧れたかどうかは知りませんし(実際、上映された昭和20年は映画どころではなくてガラガラだったとか)、戦後教育を受けた今の自分には「あぶねー映画」でしたが、戦争というギリギリの環境の中でも「物を創る」事に力を発揮した人達が居たのだなと思うと厳粛な気持ちになります。

今見ると笑えるくらいヤバくてそして哀しくて、どんな状況下でも人の創造する情熱は衰える事はないのかもしれないと思わせる、『海の神兵』はそんな映画でした。

2003年6月15日(日) 曇った日は水面に浮かんで

先週の金曜日の退社時の話。この時点で既に『日記』ではないけどもういいや(投げやり)

空はまだ明るいし暑いしでどうもまっすぐ帰る気にならず、丙種くん呼び出して急遽飲みに行きました。ビールでも一杯ガーッっと引っ掛けて帰りたい気分だったの。すっかりおじさん。
靴が合わずに痛い足を引きずって来てくれた丙種くん、ありがとうそしてごめんなさい。私のナビが悪いばかりに痛い思いをさせてしまいました。仙台に住んでン十年とは思えないほど土地勘がないんです、私。
行ったのは、会社の人に聞いていた女性バーテンダーのお店。飲み屋街からはかなり外れた所にあります。今勤めている会社に近いのでランチを食べに行ったら、良さげな店だったので夜も来てみようかと狙っていた所でした。

そこのお通しで「ちょっと珍しいものが手に入ったのでクイズです」と言われてお刺身を出されました。当たると特別デザートが貰えます。
見た目は白魚のように真っ白でつるっとしています。食べるとクセがなくて油もほとんどのっていませんが中々に美味です。でも魚って感じではなくて、むしろタコとかイカとかの味の系統かなと思いました。それで私は「エイ」ではないかと結論。丙種くんはと言うと「マンボウじゃない?」

ああ、なるほど。この近海で珍しいと言ったらマンボウだなあと私も納得しましたが、万が一外れると困るので「エイ」と「マンボウ」でファイナルアンサー。答えはやはり「マンボウ」でした。
丙種くん曰く「今日は曇っているから、マンボウはきっと水面近くを漂っていたのよ」
マンボウのお刺身は、あの姿からは想像出来ないような繊細な味でした。デザートも二人分貰えてうまうま。

このお店、カクテルも食事も美味しいしこじんまりとしているので、1人で飲みに行けそうでちと嬉しい。飲める女友達が少ないので、最近は開き直って1人で飲める店作ってます。ああ、もうおばさんっつーかおじさんだよな、やる事が。
ウィスキーの美味しさを知って貰いたいと力を入れているらしいので、今度それにも挑戦してみようかと思っています。

〒さんの好きなシャンディーガフもあるけれど、3000円飲み放題ってワケには行かないのが残念。プチ宴会がまた開けたら、使ってみてもいいかもね。

2003年6月16日(月) 15年物の宝物を手に入れた!

我が家のおねこさま〜ず(ゆき&さち)ですが、今まで1987年生まれと思っていたのですが、実は1986年生まれである事が判明しました。病院のカルテで分かったもの。現在16歳で11月を迎えると17歳、数えで18歳になります。先生に「16歳って人間の80歳くらいですか?」と訊いた所、「いやいや、80なんてとっくに通り越して90歳だね」…と言われました。『お嬢さん』呼ばわりはもう出来ないかもしんない。

土曜の午前中にゆきの予防注射に行ってきました。注射だけなのでさっさと済むかと思いきや、高齢のために院長先生の特別診察を受けてからになりました。それまで待たされた待たされた〜!
人気のある病院らしくいつも混んでいるのですが、1時間半近く待たされるとさすがに疲れます。病院嫌いで鳴き続けていたゆきも、さすがに大人しくなりました。やっと診察室に通されてから、また20分ほど待たされるしー。診察室で居眠りしちゃいそうでした。

その際に院長先生と冒頭の会話がなされました。でも上には上がいるもので、病院の患畜で来たねこでの最高年齢は『24歳』だそうです。はっきり言って猫又ですね。気の強いねこだったらしく、レバーを好んで食べていたとか。18歳の時にあごの半分を取る大手術をしても尚24歳まで生きたそうで。すごいなあ。

一般的に雄よりも雌の方が長生きだそうです。雄はどうしてもケンカをするのでその怪我が元でとか、腎臓(つーか尿道)を悪くする事が多いそう。ねこの世界でも男の方が弱いんですねえ。
おばさんの所のねこも21歳に突入しました。ゆきこさんも病院の先生に「若いね」と誉められた事だし、頑張って猫又になるくらいまで元気でいて欲しいものです。

ねこも15年も生きるとブリリアントで手放せない宝物です。15年ものの宝物を3つも手に入れた我が家は幸せです。

でもなー、15年ものはすんごい我がままなのが難だよなあ。

2003年6月17日(火) 16年ものともなると

昨日からゆきこさんの口の周りが黒く汚れているので、予防注射に行ったばかりだというのにダッシュで帰宅して病院に行きました。
診断は『歯垢による歯肉炎』で命に別状があるとかいうものではありませんでした。 若くて元気なら歯垢を除去して原因を元から取り除くそうですが、全身麻酔で行うので90を越えるおばあちゃんねこのゆきこさんは、歯垢を取らずに炎症を抑える対症療法となりました。

16年ものともなると手入れも大変です。明日も注射しに行かなきゃないの。
16年ものは金もかかるんだよな。さすが宝物。

2003年6月23日(月) 狂詩曲

昨日まではじっとしていても汗ばむほど暑い日々でしたが、今日は梅雨っぽく肌寒くなりました。梅雨が暑いのって何か落ち着かなかったなあ。涼しくなって気分的に気分的にほっとしました。
仙台の梅雨は寒いです。肌寒い程度で終わればいいのですが、セーター引っ張り出そうかにゃーと考えるほどに寒いです。実際、7月に入ってからコタツやストーブを出す事は珍しくありません。
こんな寒い日が梅雨が明ける7月の終わりまで続いて、やっと夏らしくなったと思うとお盆と共に秋風が吹いてきます。夏物なんて買うだけムダだと虚しくなる夏の日々でした。


らいゆえくんからこんなの貰いました。ありがと〜♪(要Media playerとか)
ねこねこ狂詩曲

観ていて思い出したのだけど、うちのおばあさま方も若い頃にはカラス取って食ったり(妹が帰ると部屋が血塗れでカラスの頭だけが転がっていたらしい。運良く(?)誰も居なかったので、妹は泣き泣き1人で部屋を片付けたそう)、ねずみを取って弄んだり、隣の駐車場のトラックから干し芋を盗ってきたりしたものです。ゆきとさちの母親が元気だった頃は、危うく首吊りの危機なんてこともありました。
ああ、ねこってばねこってば。


今朝(おお、日記っぽいではないか)会社に行く途中、とあるお役所の前を通った所、すごい形相で走って追ってきた男性に突然怒鳴られました。実際は私ではなくて、すぐ後ろを歩いていた若い会社員にだったのですが。
駐車場が込み合っていたのか、中に入るのを待っていた車が歩道を塞いでいたので、それを迂回して車道を通ったのですが、どうも怒鳴られた彼、通る時にカバンか何かで車を叩いていった模様。それを入り待ちしていた車の持ち主に見られたらしいです。確かに挙動不審なあんちゃんだなあと思っていましたが。
走って怒鳴りに来るのもアレですが、「ちょっとぶつかりましたけど」…とか言っていた会社員もイヤンな感じでした。
車が邪魔だったのは確かだけれど不可抗力だったしなあ。でもあんな勢いで怒鳴る事もないとは思った。

で、私には何も非が無かったにも関わらず、何故に自分が怒鳴られたと思ったかというと、車を迂回するのに車道に出たまま「めんどくせ〜」とか思いつつ、そのまま歩道に戻らなかったため。いや、車が滅多に来ない道なのでー。

交通ルールは守らないと痛くない腹を探られるという訓話でした(そうか?)

2003年6月25日(水) ちゃんとした本

討論やフレームになっている掲示板に時々出てくる煽り文句(?)で、前々から気になっていた言葉があります。それは
「ちゃんとした本を読まないから〜」

例えば某作品への賞賛に対して「ちゃんとした本を読まないから、そんな作品が面白いんだろう」とか、書き込みの文章に「ちゃんとした本を読まないからそんな文しか書けない」とか。勿論時々ではあるのですが意外に見掛けるんです。
で、そう書く人に共通しているのが『ちゃんとした本』とはなんぞや? という疑問には答えない事。
『ちゃんとした本』ってどういう類のものなんでしょうか。太宰とか漱石の小説がちゃんとしているのか? ヒトラーの『我が闘争』はNGなのか? 古典SFでもやっぱダメなのか?

本当に本が好きな人って、ジャンルにこだわらずになんでも読むじゃないですか。純文学もSFも風俗エッセイもなんでも読むっていうイメージがあるんですよ。勿論好きなジャンルはあるにせよ、面白い作品なら貪欲に求めるような。私の読書好きのイメージってそんな人です。本読みというか字読み。
だから「ちゃんとした本を読まない」って言葉を使う人って何となく胡散臭いです。本当に本が好きな人なのか疑問に思ってしまう。

不思議なのは、その『ちゃんとした本』ってのを例を挙げて教えて欲しいって問いかけに答えた人を見た事がない事。読んで欲しい本なら『読んでみたいので教えて下さい』って言われたら、私だったら喜んでホイホイ教えちゃうけどなあ。人によって好みがあるから押し付けられないと思って普段は自制するけれど。「教えて」が嫌味で使われていても構わない。

団鬼六氏の作品群などエロ小説だって名作とよばれる物は幾つもあるし、ボーイズラブ系にだってあるし(あるんだよ、これが)、SFにもファンタジーにもミステリだってホラーだって恋愛物にだっていっぱいある。古典と呼ばれる日本文学でも昔は大衆読み物だったりするし。
「こんな小説ばかり読んでいるから」と、悪い意味で良く引き合いに出されるライトノベルにしても、例えば一般でも評価の高い『十二国記』は講談社X文庫 ホワイトハートだし(昔知り合いの男性が「十二国記は欲しいんだけど、X文庫の棚に恥ずかしくて行けないっ!」と嘆いていました)、どんなジャンルも玉石混合なように、小説として評価が高くて面白いと言われる作品も多いですよね。
『ちゃんとした本』の定義ってやっぱり分からないです。文章が歴史的に評価されている本がいい本なのかしら? もしかして聖書の事なのかしらん?

でも一番不思議なのは、「ちゃんとした本を読まないから〜」って言う人の文章って、どう甘めに見ても『下手』で『平凡』な事ですかね。
ご利益ないなあ、ちゃんとした本。


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