子宮筋腫と子宮内膜症の比較

概     要

子 宮 筋 腫 子 宮 内 膜 症
子宮筋腫は、子宮の壁(筋層)にできる良性の腫瘍。子宮に発生する腫瘍のうちで最も多く、特に症状がなく、他臓器への影響も出ていない場合は、経過観察という扱いが多い。原因は不明だが、エストロゲンという女性ホルモンが発育に影響していて、5人に1人の女性が筋腫を持っていると言われている。40代の女性に最も多く、次いで30代、50代と続く。
 発生部位は95パーセントが子宮体部(子宮体部筋腫)であるが、まれに子宮頚部(子宮頚部筋腫)に発生する。また筋腫は子宮の壁の中にできる
筋層内筋、子宮の外側に出っ張る漿(しょう)膜下筋腫、子宮の内側に突き出す粘膜下筋腫に分類され、筋腫ができる場所によって痛みや月経血の量、妊娠・出産への影響にも違いがある。
筋層内筋腫・・筋腫が小さくても過多月経や月経痛 どの症状が強いことが多い。大量出血も見られる。
漿膜下筋腫・・症状が最も少なく、無症状もあるが、筋腫が大きいと頻尿や場所によっては腰痛になったりする場合もある。
粘膜下筋腫・・最も高頻度。
子宮内膜は、本来子宮内腔にあって女性ホルモンの影響により周期的変化を起こし、妊娠においては受精卵の着床する所となり、また妊娠が成立しなければはがれ落ちて月経となるものだが、この内膜組織が子宮内腔以外で増殖して、そこで月経のたびに出血を繰り返すという疾患が、子宮内膜症。よくあるのは卵巣内で内膜組織が増殖して卵巣が腫れ上がるチョコレート嚢腫や、腹腔内で増殖して腸と子宮や卵巣が癒着してしまって痛みを引き起こすケース。近年増加傾向にあり、10人に1人がかかると言われている。筋腫との併発も多い。
 他の臓器に浸潤・破壊、癒着を起こしたりするため、゛良性のガン゛とも呼ばれる。骨盤内における癒着を起こすことで卵管閉鎖や排卵障害となり不妊の原因ともなる。ホルモン治療が有効だが、再発しやすい。
※子宮内膜症の中で、子宮の筋層の中に子宮内膜組織が入り込んで、子宮が腫れたり、硬くなったりすることがあるが、これを他の内膜症と区別して゛子宮腺筋症゛と呼ばれている。

症     状

子 宮 筋 腫 子 宮 内 膜 症
月経過多、不正出血、月経痛、腰痛などが現れるが、発生部位により症状は異なってくる。他に膀胱圧迫による頻尿や、貧血による動悸、易疲労感、顔面蒼白、直腸圧迫による便秘、腰痛・下肢の疼痛など。最も多いのが過多月経で、頻繁にナプキンを取り替えないと間に合わない、血の固まりがたくさん出るケースで、そのため貧血を起こし、めまい、だるさ、動悸といった症状が出る。筋腫の大きさ、位置、数などにより、症状は異なるが、全くの無症状の場合もある。 月経痛・骨盤痛(月経時以外の下腹部や腰の痛み)・不妊が子宮内膜症の3大症状。ひどい生理痛が主体となり、これに付随して、月経過多、月経周期に関係のない腰痛・下腹部痛、性交痛、排便痛などの症状が伴うことが多い。周辺臓器との癒着が進むと、臓器同士がひきつった不自然な状態になり、臓器の動きも悪くなり、下腹部痛や性交痛の原因となる。無症状のまま進行していく事もあるが、内膜症が不妊の原因となることもあるので、なかなか妊娠しないという場合は、内膜症を持っている可能性もある

治     療

子 宮 筋 腫 子 宮 内 膜 症
対症療法・・・・鎮痛剤、止血剤、鉄剤、漢方等
外科的手術・・・子宮全摘術、核出術など
ホルモン療法・・偽妊娠療法、偽閉経療法
動脈塞栓術
※一般に、筋腫の大きさが超手拳大以上の場合には、症状の有無に関わらず手術を行なう事が多い。また、超手拳大以下の患者では、症状が重く障害が強い場合には手術を行ない、症状や障害のない場合には定期的に追跡するのが一般的である。
対症療法・・(鎮痛薬で痛みをとる)
ホルモン療法・・女性ホルモンの分泌を抑え、病巣を小さくし妊娠率を上げる

保存的手術・・・腹腔鏡で病巣をレーザーメスや電気メスで焼き切る
根治手術・・・・ 子宮・卵巣を含めて病巣を取り出す

注  意  点

子 宮 筋 腫 子 宮 内 膜 症
 筋腫の経過観察中は3〜6ヶ月ごとに受診し、定期的に画像診断などを受けるようにし、月経血の増加やおりものの異常などの症状が出てきたらすく受診する。
 貧血を防ぐために、日頃から食生活で鉄分補給を心掛ける。(鉄はレバーや赤身の魚、肉類、緑黄色野菜に多く含まれている)
 生理以外で鎮静剤が必要となる下腹部痛や腰痛がある場合は、すぐ受診する。
 子宮内膜症は非常に再発しやすい病気なので、ホルモン療法をした場合も、治療後は2〜3ヶ月に1回は受診して経過を観察する必要がある
  また、子宮内膜症の治療には長い時間が要することが多いので、病気のことばかり深く考えず、前向きな生活を送ることと、お医者さんと何でも話し合えるような信頼関係が大切である。
※適度な運動は子宮内膜症の発症を予防するのに効果があるとも言われている。
 筋腫や内膜症のような良性婦人科疾患は、治療方法として病巣を完全に取り除く゛根治゛の他に、病巣が残っていても今ある症状を取り除き、日常生活を楽しむという選択肢もあるのが特徴のようです。
 筋腫は筋腫核だけ取り除いても、また別の筋腫の芽が大きくなったり再発する可能性があるので、子宮筋腫の根治治療は子宮全摘。子宮内膜症はもっと大変で、子宮を取っても卵巣が機能し続けていれば内膜組織の増殖は続くので、卵巣も取らないと根治は出来ないことになります。ですが、卵巣を取ると更年期症状が起こり、骨粗鬆症や心疾患などの新たな問題が出てくるそうです。(どうすればいいの〜?)

 一方、今ある症状を取り除く治療法としては、ホルモン療法、漢方薬により症状を緩和させる漢方療法がありますが、他に食事に気をつける・身体を冷やさないように温める・便通を整える・適度な運動等の生活療法の実践も大切のようです。規則正しい生活習慣を心掛けたいものです。
 自分の症状を把握し、自分にとって何が一番いいのか、じっくり考え、調べ、相談しながら、悔いのない選択したいものです。一番大事なのはくよくよせず前向きに明るく生きること・・・かな?
これが難しい・・・。

HPを見てメールを下さった佐々木様より子宮筋腫の資料を提供していただきました。感謝感激。佐々木さん、ありがとう!

次回は手術・ホルモン療法についての情報を作成予定です。いつになるかは未定ですが・・。

はじめに 子宮筋腫の兆候 内診について
手術について
 
子宮摘出について 自己紹介・独り