フェロカクタス属

  メキシコからアメリカ南部を中心に広く分布するサボテンです。フェロカクタスとは“恐ろしい刺を持つサボテン”を意味し、硬く強い刺を有します。所謂“玉サボテン”のグループですが大型に成長し、種類によっては直径50cm以上あるものも珍しなく、高さが2mを越すものもあります。

 
黄彩玉

黄彩玉
学名:Ferocactus schwarzii

黄彩玉
 名前のとおり、鮮やかな黄色い花を咲かせるサボテンです。とはいっても、名前の由来は花ではなく刺からきたらしく、黄色い刺を出します。メキシコ原産で大型に育ち、高さ70cm、直径40cm以上ににまで育ちます(写真のものは直径15cmです)。
黄彩玉の花

 光沢のある若草色の肌を持ち、整った形をしていて花後も充分観賞用となるものです。

 で、その花ですが、直径は約5cmと、株の大きさに対しては決して大きな花ではありませんが、メタリックな光沢があり、濃い黄色いの雄しべと相まって大変美しいものです。株の直径が10cm程度になり、中央の綿毛がてっぺんを覆うように広がり始めると花を咲かせるようです。花数は株の大きさと関係があるようで、開花初年度は1輪だけでしたが、その翌年は5輪、と増えています。初夏に出て夏に花を咲かせます。

 さて、栽培に関してですが、丈夫な種類ですので、取りたてて注意というのはありません。夏のじりじりした日差しにも遮光なしで大丈夫ですし、水やりさえ切った状態であれば冬の寒さにも結構強いです。我が家においては氷点下1℃というのを経験していますが特に問題はありませんでした(まぁ、そうは言っても氷点下の寒さは避けた方が良いとは思いますが)。

 次に植え替えですが、前述のように初夏に蕾が出ますので、早い目の植え替え(3月中旬~下旬)がよいでしょう。できれば4月中旬には完了したいところです。

 ところで、Web上などで直径が30cm以上にもなるのではないかと思われる大きな株の写真を見ますと、どれも大変に大きなひだ(稜)を持っているようです。ひょっとしたら、ひだの数は大きさに関わらず一定なのかも知れません(下段にある金赤竜赤城は株が成長するとともに新しいひだを出していきます)。手元のものを含め、Web上に掲載されている黄彩玉を調べてみましたら多くのもののひだの数が13でした。
黄彩玉の新たに出たひだ


 このまま新しいひだが出ることなく大きくなるのか、と思っていたわけですが、2012年7月15日の"Cactus Diary"に記しましたとおり「新たなひだが出て」きました。その後順調に成長ており、ひだが14本になりました(写真右)。
 そしてなんと、新しいひだも出現し、現在(2015年5月)15本に増えました(写真では反対側になりますので、写っていませんが。ちょっと大きめの蕾がついているところです)。さて、こうなると今後さらに増えていくのかが気になるところです。逆の意味で今後の成長を楽しみにしています。(^^)


 
金赤竜

金赤竜
学名:Ferocactus wislizenii
金赤竜
 こちらにもありますように、1986年、他のサボテンの種とともに蒔いて育てたものです。残念ながら発芽当時の写真がありませんが、1992年の写真がありましたのでに掲載しています。直径は2cmくらいです(因に左の写真は直径15cm程度です)。
幼少の頃(1992年4月)の金赤竜
 播種後、他のサボテンは2~3日で発芽したのですが、確か、2ヶ月くらい発芽せず(といっても実際は未発芽の種があること自体を知らなかったのですが)、忘れた頃に発芽したのがこのサボテンです。その後ぐんぐんと成長して今に至っています。大型に育つサボテンで、高さ90cm、直径30cmを超えるものもあります。
 名前のとおり、赤い(というか、実際は小豆色ですが)刺が特徴です。ただ、幼少の頃は、刺が赤いのは出始めた時だけで、すぐに色が抜けて白くなっていました。しかし、成長するにつれて“色抜け”が遅くなり、現在では見てのとおり結構全体的に赤い刺で覆われるようになりました。(^^)

 先ず栽培に関してですが、成長が旺盛なので水やりはやや多めにしています。夏の日差しにも強く、遮光なしでガンガン日光浴をさせています。
 次に耐寒性に関してですが、一般的にフェロカクタス属のサボテンは寒さに強い、とされていますが、この金赤竜に関しては良く分かりません。と申しますのは、ちょうど右の写真を撮った頃、たまたま冬の寒さに当ててしまったところ、当時、凍傷か?と思われるような傷(直径2㎜、薄茶色の斑点)がついているのを見付けたからです。実際にそれが凍傷であったのかどうかは今でも分かりません。何らかの別の事情でついた外傷の可能性も高いです。
オレンジ色の金赤竜の花。左下に見えるのは蕾です。
 ただ、まだ冬場にリスクを冒してまで日光に当てる必要もありませんので(今のと身長ころ花を付けることもなさそうですので)今のところは2~3℃以下の低温には当てていません(とはいえ、手元の辞典によれば上記の黄彩玉よりも寒さに強いことを意味する表記がありますので、ひょっとしたら杞憂の可能性も高いです)。

 さて、花ですが、苦節(?)26年、遂に花が咲きました(写真右)。\(^^)/
 こちらにも記しましたが、2012年8月19日につぼみが付いているのを見付け、その後いつ咲くか、いつ咲くか、と毎日写真撮影をしながら首を長くして待っておりましたが、同年9月7日午前10時頃、遂に開花に至りました(写真左下隅に写っているのは蕾です)。
開花前日の金赤竜の蕾

 以前この欄で、「手元の辞典では、夏・日中に山吹色、直径5cmの花を咲かせる、との記載」と記していましたが、夏の日中、というのはそのとおりでしたが、色・サイズは多少異なり、色は明るいエビ茶色、サイズは直径7cm程度で、結構存在感のある花でした。で、実際Web上ではどうなっているかザッとググってみましたところ、1件しか見付けることができませんでしたが、その1件は(ここに掲載のものと)同じような色で、同じような大きさでした。
 その他の特徴としては、雄しべの茎ですが、根元は薄オレンジ色ですが、先端は花びらと同じ“明るいエビ茶色”というところでしょうか。と思って花びらを見てみると、花びらの方も根元と先端では、徐々に色が濃くなっています。3~4日間に亘って開花します(我が家では4日目は少し開いただけで、5日目には萎れてしまいました)。また、ちょっと残念なところですが、しぼむのが早めで、午後1時頃からしぼみ始めました。ということは、開花時間は午前9時~午後2時、といったところでしょうか。

 どの程度の大きさで蕾を付けるか、ですが、今回分かったこととしては、直径15cm程度で花を付けるということでしょう。その頃になると、アレオーレが株のてっぺんを覆うようになり、黄彩玉やその他のサボテン同様、蕾を付ける始めるようです。因にその蕾ですが、とはよく言ったもので、刺のに対し、蕾の色は、出始めは薄黄色ですが、やがて金色になります。左の写真は開花前日の蕾で、大きさは約3cmです。先端がピンク色に変わってきました。大きさとともに色もどんどん変化します。しかも、それが大きく育ちますので、蕾だけ見ても結構美しいものです。(^^)
 次に、蕾を付ける、というと、冬場の日光浴の重要性がありますが、このサボテンに関する限りは特に重要ではなさそうです。と申しますのは、播種後今に至るまで冬場は毎年真っ先に屋内に取り込み、春先まで屋内で栽培しています(とは言っても、南向きの日当たりの良い窓辺に置いています)。今回もそのような中で蕾を付けましたので、これからもその方針で栽培していこうと考えています。
 とは言え、毎年2、3輪しか咲かせておらず、ちょっと淋しい感じがするのも確かです。冬場にもっと日光浴をさせれば、多分、もっと多くの花を咲かせてくれるのではと思います。多少手間はかかりますが、こまめに戸外に出して日光浴をさせてあげたいものです。

 最後に植え替えに関してですが、私は3月中旬~4月上旬に行っています。前述のように旺盛な成長力がありますので、早い目に行う方が成育にはプラスだと思います。ただ、蕾が出るのは夏場ですので、多少遅くなっても特に問題はないと思います。


 
赤城

赤城
学名:Ferocactus macrodiscus

赤城
赤城の蕾
赤城の花
赤城の実
赤城の果肉
  成長するにつれてヒダの数がどんどん増えていくため(他比でその増え方が大きいように思います)、ヒダがシワシワ状になり、 外形が、縮玉を拡大した感じになるサボテンです。実際、肌の色は縮玉濃い緑色であるのに対し、赤城鶯色ですし、ヒダの数も圧倒的に少ないですから、似ているのはヒダの形だけとも言えますが...(^^)ゞ
  これも大きく育ち、50cm程度にまでなるとのこと。ただ、サボテン屋さんでも、直径数十cmになるものはあまり置いていないことが多い(どうしても高価になりますし、その割には購入してそれを育てられる人は数少ないですから)ためか、植物園を含め、私はそのような大株を目にしたことはありませんが。

  花ですが、写真右(上から2番目)にありますように薄いピンク地にやや濃いピンクのストライプ、大きさは4cm程度。雌しべも雄しべの茎もピンク色です。花期は5月上旬で、4月初旬から蕾を付けます。株の天辺付近が綿毛(アレオーレ)で覆われるようになると花を付け始めます(写真右・最上段)。当然ながら株が大きくなるにつれて花数も増えていきますが、数輪ずつ順次開花させていくタイプで、個々の花は午前中に開花、夕方には花を閉じ、3~4日に亘って咲き続けます。
  多くのサボテンと異なり、赤城は自家受粉するようで、写真右(上から3番目)のような実を付けます(写真のもので直径15mm程度です)。中を割ってみますと、ピンク色の果肉に囲まれた黒い種が見られ、ちょうど果肉がピンク色になったドラゴンフルーツの感じです(写真右・最下段。因に、ドラゴンフルーツはヒロケレウス属・三角柱の果実です)。これが食べられるのかどうかは不明ですが...

  栽培方法ですが、夏の強光線にも冬の寒さにも強く育てやすいタイプで、夏場はガンガン日光浴をさせ、冬場も戸外で栽培しています。
  植え替えは蕾を付ける前となる3月下旬、あるいは、花期を終えた後に行ってもよいかと思います。私の場合、最近は花後の植え替えを行う方が多いです。



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