【コウタ・メール17】『移植の結果』
平成15年3月30日

皆さん、応援ありがとうございます。
更新されたHPのトップにあるように、3月13日にコウタはさい帯血の移植を行いました。
約半月が経ちましたが、この間、私のまわりでは挨拶の前に「コウタくんの移植は成功したの?」と多くの方々が声を掛けて下さり、コウタを心配し、成功を祈って下さっていました。本当に感謝いたします。
ご報告が遅れて申し訳ありません。と同時に、実は「移植の結果はまだまだ分からない」というのが正しい答えでもあります。
1時間の移植というのは、「外科的手術とは随分勝手が違うな〜」というのが実感です。ガラスのむこうで点滴の要領で移植していく不安そうなコウタを、コウタの両親、お兄ちゃん、おばさま、おばあさん、そして私が祈る気持ちでずっと見守っていました。(他は知りませんが、この病院は準無菌室も含め家族しか入れません。子供の場合はいいのですが、若い患者さんにとって「恋人」が入れないのは精神的に辛いそうです。)
後で触れますが、私は皆さんから緊急で頂いた激励ファックスを模造紙に貼り、一枚一枚コウタに窓越しに見せました。漢字はコウタパパがトランシーバーで読んでくれました。「コウちゃんはひとりじゃないぞ。みんな応援しているぞ。」という気持ちは伝わったのでしょうか、コウタはウンウンとうなずいていました。
コウタはB型でした。移植したさい帯血はA型なので、最終的にA型になります。医学的なことはよく分かりませんが、コウタ流に説明すると、「悪の血液軍団は破壊され、新しい工場が建設された。この工場がコウタの身体にしっかり根付くためには工場のアタックをコウタが受け入れなければならない。それは辛いけれど乗り越えると、その工場から新しい血液がどんどん生まれてコウタは元気になる。」ということです。
コウタは、両親や先生の説明を完全に理解し、激しい下痢と高熱、吐き気と闘っています。粘膜系も「アタック」されているので体中に発疹し、かゆみで苦しんでいます。吐き気と口内の痛みでこの半月は何も食べられません。白血病の移植後は「正着(しっかり根付くこと)」させるためにある程度の拒否反応(GVHD)を出させなければいけないそうです。医師の説明を聞いていた時、GVHDの対処一つとっても、移植の実例が多い病院で、移植経験の多い医師に診ていただけることに安堵感を覚えました。
どの病院でも病室を飛び回っていただけに、ぐったりしたコウタを見ていると、その治療の厳しさを推測します。そして、見守るしか出来ないと嘆く両親をどのように慰めていいか分かりませんでした。
3月28日に移植後2回目のお見舞いに行ってきました。この日は嬉しい検査結果の報告が医師よりありました。しんどそうにしていたコウタが、パパが来るとトランシーバーで報告していました。「あのね、ボクの新しい白血球は160コにふえたんだって」
白血球の数は、健康な人で4000ぐらいだったでしょうか。発病当時21万個だった白血球は放射線治療でゼロになりました。今日の検査結果によると、コウタの古い白血球はゼロのままで、新しい白血球が毎日少しずつ本当に一個一個ふえているのだそうです。その速さは、骨髄移植の方が細胞数が多いので2週間くらい速いそうですが、さい帯血の移植にしては「遅くない」そうで、今のところ「良質のさい帯血が移植された」と判断されているそうです。500個くらいになると準無菌室に出られるようです。
最後に、小さなコウタ応援団たちの素晴らしい知恵と勇気をご報告したいと思います。コウタの移植が突然早まり、私は皆さんに前回の【コウタ・メール16】を通じて緊急に「応援メッセージ」をお願いしました。たった2日間で50枚近いファックスが届きました。その多くがコウタと同じ子供さんからでした。私の頭には「メッセージ」という発想しかありませんでした。なのに、届くファックスには習いたてのひらがなだけでなく、ポケモンやドラえもんなどのかわいいキャラクターの絵がついていて「これは、ぬりえ」とか「これは、めいろゲーム、できるかな?」「3がつのカレンダーだよ、4月はまたこんど」とか、、、。コウタを楽しませようという発想の豊かさに私は感動しました。そして、なによりもう脱帽してしまったメールが先日届きました。コウタとは会ったこともない、HPで出会った方のお子さんたちです。「ボクたち兄弟は、コウタくんが元気になってコウタくんと遊べる日まで、大好きなゲームボーイをガマンすることに決めました。」