【コウタ・メール18】『コウタと散歩しました!』
平成15年5月12日

ご心配いただいている皆さんゴメンナサイ。私の個人的な理由で配信が遅れています。
、、、子供の日にコウタのお見舞いに行ってきました!
骨髄移植が2週間、さい帯血はその倍かかると言われていた無菌室からの脱出ですが、コウタは約3週間という早さで準無菌室へと移ることが出来ました。
準無菌室になれば、パパもママも入れます。点滴棒がついていますが、歩き回る事が出来ます。ガラス越しで何もしてあげられなかった我が子を親が抱きしめた時って、想像するだけで感動しますよね。
私が病院に到着した時、コウタはパパと院内のお散歩に出掛けるところでした。休日なので誰もいない1階の広い待ち合い広場まで行きました。大きなお節句の飾りの前でマスクのコウタと写真を取りました。私にたくさん最新のゲームボーイを教えてくれました。私は鈍くてとてもかないません。地下1階まで行って自動販売機でカロリーメイトを買いました。(コウタがパパにおねだりしたのですが、お医者さんの許可は出たのでしょうか?)プリクラの代わりに、カルテ用の証明写真ボックスで一緒に写真を撮りました。部屋に戻って、私のプレゼントした立体パズルをしました。
だらだらとコウタの動きを書きましたが、このひとつひとつの行動が、「生きてる」ということなのです。最近、CMで放映されているけれど、出産で捨てるへその緒から採るわずかなさい帯血によって、確実に失われていたはずの命が輝いているのです。
きっとコウタ・メールのメッセージは、「生きてるってそれだけで素敵」ってことです。私たちの人生は失敗が多く、失望することもしばしばです。実際、自殺は死亡原因のトップです。でも、その時、悩んでる、泣いている、歩いてる、食べている、ただそれだけの行為そのもの、生きているという存在自体が素晴らしいということをどうか思い出して下さい。(ちょっと偉そう)
壁にはパパのご友人が作られた、名川一家の合成カレンダーが3、4、5月と貼ってありました。これが傑作で「コウタ、くじらを見に行こう!」「コウタ、温泉に行こう!(家族がお風呂に入っている)」「コウタ、頑張れ!(金太郎の格好をしている)」と続いています。(これHPで公開できないのかな)コウタには目標と夢がたくさんあるから頑張れるのです!
一番身近な目標は、ご飯を口から食べられるようになって点滴をはずすことです。そうすれば、外泊→退院も間近です。薬の副作用で唾液が少なくて食欲もなかなか出てこないのですが、先ほど「お茶漬けを食べた」と携帯電話に連絡が入りました。これ、最新情報です!
白血病と闘った人は、本当に強い人だと思います。それは、むしろ社会で評価されるべきです。この辛い治療に耐えた人が簡単に何かを諦めたり投げ出したりはしないと思うからです。私はコウタを始め、白血病と闘っている人、乗り越えた人を尊敬するします。コウタもきっと、芯が強くて弱い人に優しい、素敵な大人になってくれると今から期待しています。
5月18日に横浜そごうでドナー登録会があります。コウタへの支援は「緊急」ではなくなりました。とはいっても「再発」という恐ろしいことを考えると、ドナー登録の呼びかけは必要です。でも、「コウタのためだけでなく、登録を呼びかけて行きたい」とコウタパパが言っていました。
コウタが治療に選択したさい帯血バンクも、もっと有名になって欲しいです。知識のない私は、「設備のある病院での義務化」や「保健体育など学校教育での認知度アップ」など、議論、検討する価値があるのではないかと漠然と考えます。
私の周りで「コウタ君はどうなった?」が挨拶になりつつあります。本当に多くの方が心に留めて下さることを感謝します。そのパワーがコウタに確実に注がれていることをご報告しました。

黒川英里