【コウタ・メール19】『コウタ、初めての外出』
平成15年5月20日

18日、日曜日はコウタと応援団にとって記念すべき大切な日となりました。
二日酔いで教会に行くのも遅れてしまった私はコウタママからの電話で起こされました。
「突然で悪いんだけど〜、コウタが午後外出できるようになったの。遠いけど、来てくれる〜?」
照れ屋のコウタママの声が明かに喜びではちきれそうでした。
病院は東京からとても遠いので、歩いて5分のところにコウタの家族は部屋を借りています。
途中、催促の電話をもらいながら私はやっと到着し、その部屋のドアを開けると、、、
「ババーン!」と、おもちゃのピストルで私はコウタに殺されてしまいました。トホホ。
部屋には、コウタの家族はもちろん、ポスター製作や応援団の取りまとめの中心となって下さっている野村さんと、HPに寄せられた莫大な数の質問などに答えて下さっている看護婦さんである奥さまもいらっしゃいました。私たちはHP、ポスター、ドナー登録呼びかけの件で何度もメールや電話のやり取りをしましたが、お会いするのは初めてでした。初対面なのにすぐに親しくお話させて頂きました。
野村夫妻と名川夫妻の友情に、私はあらためて感動しました。
ところで、ヒトは嬉しいと「食」が進むのでしょうか?コウタはお肉もしっかり食べて、みんなを喜ばせてくれました。なぜか、私たち大人もバクバク食べ過ぎた気がします。
コウタはパパや野村さんやお兄ちゃんとたくさん遊びました。
皆さん、信じられますか?移植をしなければ確実にここにいない子供が、ベランダから水鉄砲を発射したり、お部屋でサッカーをしたり、子供用のシャンパンをパーンって開けたりしているのです。
コウタパパは遊びながら、「時間はすぐたっちゃうな」と、悲しそうに時計を度々見ていました。
私はコウタ・メールを始めに書いたとき、看病に忙しい両親に代わって白血病の情報を皆さんやITから収集したいと考えていました。メールが友人に配信されてHPがアップして、新聞に記事が掲載されて、本当に多くの「白血病に関する情報」と「激励」を頂きました。
コウタと同じくらいの白血病のお子さんをお持ち「だった」方々の貴重なご意見も多く頂きました。
「こうしていれば、息子は助かったはず」「もう一回闘えたら、私たち両親は負けなかった」「自分たちの子供の分もコウタ君に生きて欲しい」辛い気持ちを乗り越えて、コウタを応援して下さった方々に心から深く深くお礼を申し上げます。
これからのコウタ・メールとHPは、白血病と診断されて途方にくれてしまった方々の希望の光になれたらいいなと思います。昨年、元気に小学校入学したコウタは、わずか半年前にあっという間に白血病と診断されました。大きな不安と失望の中で生活が一変してしまったコウタの両親。この気持ちは、当事者でなければ理解し得ないでしょう。もちろん、今のコウタにもGVHD反応がまだ足りないという不安、再発の不安、社会生活の不安、闘わなければならないことはたくさんあります。でも、コウタ戦士なら、「白血病=死」ととらえて絶望の底にいる方々の小さな光になれると思いませんか。
「恩は返すものではなく、(先に)送るもの」という言葉を教えて頂きました。コウタを応援して下った多くの皆さんに、こんな形で「恩送り(ペイ・フォワード)」できればいいねと、帰りの電車でコウタパパと話しました。
夜7時が過ぎて、「またね〜。またね〜。」と、手を振りながら、コウタは病院に歩いて帰っていきました。コウタの闘いはまだまだ続いています。皆さん、応援よろしくお願いします。
☆ コウタに贈る「初外出、おめでとうファックス」は、よろしければ私がお預かりします。
FAX: 045-786-4310
黒川英里