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みかきもりの気ままに小倉百人一首

2024/03/25 道の終わりと、その続き

『葬送のフリーレン』のアニメをきっかけに「サンデーうぇぶり」でもマンガを
読む中で、アプリに誘われるままついつい読み始めたのが『トニカクカワイイ』です。
『トニカクカワイイ』は現在第27巻まで出ていますが、今回読んだのはまだ途中の
第11巻第104話です。タイトルはこの『トニカクカワイイ』第104話から取っています。

No. 作者 コメント
30壬生忠岑有明のつれなく見えし別れより
暁ばかり憂きものはなし
[みかきもり]
『トニカクカワイイ』第1話「月の光は愛のメッセージ」では、
主人公 由崎星空(ゆざき なさ;ナサ)が道端でとにかく可愛い女の子を見かけて声をかけ
ようとしたところをトラックに轢かれます。その女の子(月読司)がナサをかばうことで
ナサは一命を取り留めます。ナサは意識が遠のく中でその女の子が去っていくのをかぐや姫
のように感じます。
読者としては、トラックに轢かれても主人公は転生しないのだな、女の子のほうが激しく
トラックに当たったはずなのに無事に生きているのはなぜなんだろう、女の子はいったい
何者なんだろう、かぐや姫はどういう布石なんだろう、と興味をかきたてられます。
『トニカクカワイイ』はこうして始まったナサと司のラブコメです。

第11巻は、ナサと司の婚姻届の証人となった文部科学大臣で資産家の月読時子が所有する
富士山の見えるキャンプ場が舞台です。その第104話では、清々しい山のキャンプ場の
朝焼けの中、時子がナサに結婚祝いと言って石を手渡します。
ナサは時子の家の司の部屋にあった月の石と気づきます。時子はナサに話します。
 ただの石ころ… だけどね… その石ころを一つ拾うために…
 人は… 千年以上かかったの…
 まぁ でも千年以上かかって拾ってみたら…
 やっぱりただの石ころだったみたいな ま… そんな話よ。
 だから、いらないなら捨てていいわ。私にはもう必要ないから…
 ナサくん… あの人を… 幸せにしてあげてね。

自らをナサに見知らぬ老女と呼んだ時子はいつか来る司との別れを感じており、ナサに
「司を幸せにして」という意志を引き継いだのでしょうね。
時子とナサが会話している中、起きてきた司が時子の焼いたトーストの匂いでやってきて、
「私も食べたい!!」と言って雰囲気をぶち壊します(笑)

第104話の最後の場面で有明の月が描写されており、余情を感じます。
有明の月(残月)の描写は、残された月(司)を星空の名を持つナサが太陽となって
明るく輝かせてほしいという時子の願いのように思います。
 見上げた空に、
 まだ薄く 月が残っていた。


■参考URL
・Wikipedia 葬送のフリーレンWikipedia トニカクカワイイサンデーうぇぶりJOYSOUND/SUNSET BEACH(飯島真理)

みかきもりの気ままに小倉百人一首
・3. 「なげけとて」18. 暁風残月「有明の」


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