The fairy of
Katsura TOP

猿の群れ〜ホタルを探して

軍刀利神社の桂

桂の大木との出会い

桂の木霊

軍刀利神社元社

大桂・焦砂糖の匂い

猿の群れ〜ホタルを探して


2003年6月27日(金)

2003.4.29実父が突然、他界した。あまりにも一方的な他界に心中はどう解釈していいのか混乱している。未だに引きずっている。恐らく、今後永遠に心の奥底に残り続けるのであろう。49日の忌明け、公私共々、多忙の中、今日しかないと考え、半年振りの自分自身の為の半日休暇をとった。もちろん、大桂に逢いに行くためである。

週末の午後、都心はさすがに交通量が多く、西へと走っているうちに高速は使わず、桧原村経由となった。時間に追われる事無く気分で道を変えるのは気持ちいい。どうしても美味しいお蕎麦が食べたくなり、お店を探しながら走っていると、14:30五日市に希望通りのお店’寿庵忠左衛門’を発見。ふら〜っと入った寿庵忠左衛門は、製麺業の老舗創業150年の寿美屋が母体の料理店。なんとYahoo!グルメ にも紹介されていた。おせいろ800円をいただく。大根おろしにワサビ、細かく刻まれたネギのせいろセットに遅れて登場したちょっと固めの蕎麦がテーブル真上のスポットライトにキラキラしている。う、美味い!大盛りにしてもらえばよかったと思いつつ、蕎麦湯を飲み干し出発。

以前来たルートでトンネルを超え(途中ヘビが轢かれていた)軍刀利神社へ。山は今にも雨が降りそうな曇り空になっている。15:00過ぎ到着。梅雨時なので緑が湿って色濃い。本殿へ続く階段を登ると祈祷の声が聞こえてきた。四人の人達がお参りをしている。神妙な気に圧倒されて静かに脇を通り過ぎた。砂防壁の辺りで鳥のそれとも何となく違う鳴き声。川向こうの鳴き声のする辺りに目を凝らしてみると、何とサルが見えた。砂防壁を過ぎ、更に登って大桂へと続く小道を行くと右手の尾根から物音。小石が転がり落ちてくる。身近な尾根に目をやると子ザルが4〜5匹飛び歩いているではないか。ここでサルを見たのは初めてなので驚いた。

大桂の頭が見えてきた。少し青みがかる程に緑色濃い。何度も何度も見てきている大桂だが、やはり大きい。見るものを圧倒する。豊富な水流の小川に挟まれて堂々とそこにいる。小川には赤みを帯びた大蛙がいた。しばらくすると、本殿でお参りしていた人達がやってきた。この奥ノ院でもお参りするようだ。お米とお塩とお酒(お水?)をお供えして祈祷が始まった。階段の下の方で私も手を合わせていたのだが、その祈祷の声に不思議と低い声が重なって聞こえていた。祈祷が終わると更に山へと登っていかれた。元社まで行かれるのであろうか?もしかすると祈祷されていた方は総代の黒田さんだったのだろうか?神妙な気に圧倒されてお声を掛けるタイミングが掴めず残念でした。しばらく大桂の対話。見上げていると何度も見上げているのだが写真を撮りたくなる。大桂の精霊とオヤジの魂がいるような気がして透明な時間をやり過ごした。(葬儀の時に親戚の撮った写真に一般的にオーブと呼ばれる白い玉が写っていた。それは以前、ここ大桂で撮った白い玉・大桂の精霊と同じようなものだった。2つ映し出されたその白い玉は、一つはオヤジの魂、そして、もう一つ棺おけの下に写っていたのはオフクロではなかったのかと解釈している。)

戻る途中、砂防壁の辺りで軽自動車とすれ違う。運転手にサルを見なかったかと訊かれた。近くにいると思ったとの事。実は、ここのサルの群れ4匹に発信機を取り付けて生態調査をしているという。ここのサルの群れは100匹を超えるという。ここでサルを目撃したのは初めてだったので本当に驚かされた。社務所で社報’大桂’の郵送依頼をして(年4回程、不定期に軍刀利神社の様子を載せた社報も無料で送って頂けるようだ。)

16:00頃神社を後にする。一の鳥居から道路に入り口まで川沿いは本当に綺麗に整備された。入り口脇のお店の小母さんに近くに蛍が見えるところがないか訊ねる。この辺りにはいないが、近くのゴルフ場の下の川にいるそうだ。とりあえず数馬にある’桧原温泉センター・数馬の湯’を目指す。以前にも立ち寄ったことがあるアルカリ性単純温泉。タオル付で800円。(途中、以前、枝垂桜を撮った人里のバス停は、青々とした桜の葉に覆われていた。)露天風呂は、少し小さいが、人もまばらで(平日のこの時間だとほとんど地元の人だけのようだ)ゆっくりできた。抽選で4等のコタツ布団が当たった^^。フロントの女性にホタルは見れないか訊ねると、この辺ではいないようだが、神戸岩の辺りにいるのではないかとの事。(お風呂の中で地元の子供に尋ねたが、知ってるよと言われたものの場所までは聞き出せなかった^^;)

とりあえず、18:00過ぎ、神戸岩を目指す。払沢の滝に立ち寄ろうとしたものの歩くと結構距離がありそうなので断念。まだ薄明るい中、神戸岩まで行くもののホタルはいない。この神戸岩、20年以上前に来て依頼。久々に見たが、なかなか迫力がある岩だ。バンガローか貸し別荘に若者が数台で来ている。この辺りの小母さんに尋ねるも素っ気無い返事。その後、犬を散歩させている家族に尋ねたが、この辺りにはいないとの事。今年はどうか分らないが払沢の滝にホタルが乱舞する時があると言う。

諦めて帰ろうと思ったが、通り過ぎた滝への分岐を引き返し、19:30もう一度チャレンジ。駐車場に止め、すぐ下の真っ暗な川を眺めるも気配なし。トイレ脇の滝入り口の坂を降り、橋手前の滝への小道を歩いていった。人の気配無し。おまけに懐中電灯無し。ここから滝まで650m。しばらく歩いて行ったが、小道はますます暗くなる。更に進むと、小道は更に狭くなり、小道すらも見えにくい程の暗さ。左手の川に目を凝らすもホタルは見えない。さすがに恐れおののき、気後れして引き返すことにした。

とその時、暗闇の中からボーっと人が現れた。ギョッして、立ちすくむ相手に’ホタルですか〜?’と尋ねると’そうなんです、見れましたか?’の答え。恐ろしくなって引き返すところなのだと話し、よかったら一緒に行きましょうということに^^彼は彼で私の歩きながらジャラジャラ鳴らしていた鍵の音を犬かと思い焦っていたらしい^^彼も懐中電灯を持っていなく、二人して真っ暗な小道を歩いてゆく。しばらく行くと、滝手前に開けている所に遂にホタルを二匹発見。触ろうとすると飛び立った。更に、滝のほうへと見えにくい岩場をゆく。なかなか迫力のある滝が暗闇の中で轟音を立てている。しかし、残念ながら滝の回りを乱舞するホタルには遭遇できなかった。彼が言うには、一週間ほど早いのではないかとの事。引き返す小道の途中、橋の見える分岐までに数匹、ホタルの舞いが見れた。

いずれにしても彼のおかげでホタルが見れて感謝。立川からバイクで来た星芝くん、ありがとう。駐車場で握手をして別れた。また何処かで会えるかな?たかが半日のトリップだったが実に濃密で盛りだくさんな体験だった。