『カンマを伴う分詞句について』(野島明 著)
第二章 個々の読解の在り方を吟味する

第2節 【読解  その2】について


〔注2−8〕

   以下、CGELから引いた文例と記述である。

Persuaded by our optimism, he gladly contributed time and money to the scheme. [‘Since he was persuaded ….’]
〈彼は我々の楽観的見通しに納得し、その計画に時間と資金を喜んで提供した。〉
Driving home after work, I accidentally went through a red light. [‘While I was driving home after work ….’ ]
〈仕事の後、車で家に向かっていた私は、間違って赤信号を通り抜けてしまった。〉
Confident of the justice of their cause, they agreed to put their case before an arbitration panel. [‘Since they were confident …..’]
〈訴訟の妥当性に自信があった彼らは、自分達の訴訟を調停陪審団に委ねることに同意した。〉(15.58)

上記の諸例から分かるように、時制、相、そして法もまた、非定動詞節及び無動詞節においては文の脈絡から類推される。(15.58 Note[a])(下線は引用者)
(上記3例のうち、初めの2例の下線部は非定動詞節、最後の例の下線部は無動詞節。非定動詞節については[1−1]参照)

   解読の努力を最も頻繁に、しかも最も強く求めてくるのは「相[aspect]」(母節に法助動詞が用いられていれば「相」に加えて「法[mood]」)である。最も曖昧なのは「相」(時には「法」)である、と言っても同じだ(「法」については第七章第6節「その四」、「相」については第七章第6節「その七」参照)。更に[1−14]参照。

(〔注2−8〕 了)

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