HOME PAGE

開発装置概要

PIO実習

有線通信実習

SIO実習

無線通信実習

構成図・写真


無線通信実習

タイトル



無線方式によるデジタルパケットデータ通信の受信実験
(指向性アンテナの方向制御とTNCの制御)
パケット通信については、現在検討中であり、実習には取入れていません。
問題点として、電波法の規定により、アマチュア無線資格者以外のものは運用ができないために、一般の生徒を対象とした実習としては無理があります。
本年「課題研究形式の選択実習」での利用を検討したが開始時点では、有資格者が対象生徒におらず本格的な利用はできなかったが、受信実験等やアンテナシステムの制御には、取り組むことができました。
今後、低学年時より資格取得を指導し、「課題研究」等で活用したいと思っています。 
本校に設置した無線システムにより、将来の活用を含めて次のような指導内容が検討の対象になると思われる。
本校の無線通信システムは430MHz帯,1200MHz帯というコンピュータ通信が多く使用されている。特に、これらは衛星通信を利用したコンピュータ通信にも対応する周波数帯である。将来的には、パラボラアンテナを利用して、水平面の角度制御だけでなく仰角制御を行いコンピュータによる衛星の自動追尾や送信 受信周波数がコンピュータ制御できることから、これら軌道型衛星によるSHF国際パケット通信その他テレビジョン通信の実験なども可能となればよいと考えています。
[B]選択実習(3年電気科生徒を対象。卒業研究形式で実施。週2時間)
(A)モデム装置の製作
(B)BBS基地局ホストプログラムの作成
(C)パソコンによる自動販売機模型の設計、製作
(D)汎用I/Oカードの設計、製作
(E)交差点の模型(各種センサにによる信号機の制御) 
本年度は、上記のテーマに基づき、班内をさらに分割、各個人別のテーマを設定した。
(C)については全員参加として文化祭出品などを通し共同作業にも重点を置いた。いずれも、実習システムを利用するものであり、製作した作品は後輩の実習に利用するという前提のもと作業にあたらせた。
[C]その他、情報技術1等の科目でも当実習室の利用を実施している。


5.本年度の取り組み

本年度の取り組みに際し、昨年度の反省より、次のような方針で取り組みを行った。

(1)実習設備を生かす様、教材等の開発を生徒と共に推進する。
本校では,3年生の実習のうち週2時間を卒業研究方式の課題実習を実施している。
生徒は、進路を考慮したうえで、興味のある分野について選択し、年間を通じてそのテーマを研究する。
情報制御実習に関しては、情報通信やコンピュータ制御に関連する設計製作をテーマとして、ローテーション実習の延長線上にある応用分野をテーマとした。 作品は、文化祭で発表し、その後「後輩に残す実習装置とする事」を目的のひとつとして指導している。
特に本校の場合、8ビットの機械のインターフェースなどは、すでに製造が中止されておりメーカーの在庫も無い為、既存の設備を生かすため、数台のインターフェースを必要としていた。
こういう形で生徒を利用するのはどうかと心配したが、ローテーション実習ではやらないI/O基板のフォトエッチングや製作作業は好評であった。
完成品検査は、各自が自主的に検査プログラムを作成し計測機器で確認できるようになった。

(2)教科、実習についてその関連性を重視すると共に内容を厳選した。
情報制御実習は,3年生の4月の時点より年間を通じ実施している。初年度は、実習システムのハードウエア的な面の開発と教材化を並行しておこなった事もあり、また、担当者自身の不慣れから、手探りで授業や教材化を進めてきた。
そのため、生徒には予備知識が無いという観点から話が始まるため余分なことを含む膨大な量を、「すべて大切な知識」として話をしていたようである。
本年度は、その内容を厳選すると共に、関連する実習等のありかたについて改善を検討した。
また、1年次の工業基礎(論理回路、電気計測実習)、2年の電子機器実習の内容を改善することが効果が高いことに気付き、これについて改善を行った。
具体的には、デジタルオシロやデジタルLCRメータ−などの最新鋭機器を、低学年で使用し、このようなコンピュータ技術を応用した機器を日常的に使用させる一方、1年の計測実習では、計器の原理や誤差等の基礎基本を大切にした。
これらについては実習の試験を実施するなど、計測器のブラックボックス化などデジタル化の弊害をなくすよう努力している。
また、電子機器実習については、論理回路を1年で終える関係上、電子回路分野の素子の基礎実験を中心として、電源安定化回路やバイブレータ回路、トランジスターによるリレーの制御回路等を教材開発して、制御回路への展開も容易にしている。

 

(3)実習室の視聴覚機器等の整備
実習室内の説明を容易とするため、各種工夫を行った。
説明は、ホワイトボードでは文字量の不足など問題が生じたため、各種資料や重要事項の解説を模造紙による説明ボードを作り、実習室の各所に掲示し活用している。
各種資料掲示により、ハードウエア、ソフトウエア、通信技術を学習する実習室としての雰囲気作りに特に留意している。
また、資料は印刷物を用意すると共にその、テキストに準じたOHP資料、実習報告書用紙を用意している。

(4)NTT回線利用によるシステムを構築し、設備の価値を高める
本校のシステムは、NTT回線を利用せず、ほとんどの通信実験が可能であるが、豊富な情報をもつデーターベースや県立情報処理センターの有するBBS(電子掲示板)の利用ができないという欠点をもっていました。
そのため、昨年度末、設備充実計画を提出し、実習室独自の電話回線によるシステムを構築しました。
現在、3年生の選択実習(前述)で利用し、実際のコンピュータ通信を体験させ、それを基に、基地局のプログラムを計画させ、プログラムを完成させております。
また、この設備は、兵庫県立教育研修所が実施されている「教育情報ネットワーク化の推進事業」の研究協力校として、その業務に利用しております。
コンピュータ通信ネットワークとして、NIFTY−Serveの法人会員として登録し、利用する教員ごとにID番号を取得しております。
また、朝日新聞社 科学部が設置するサイエンスネットへのID番号を得ております。


6.まとめ
 本年度は、実習2年目ということもあり、教材の改良や設備の充実を目標にして、また、低学年の実習との関連も考慮して完成度を高めることができた。
また、実習室の設備を、製作実習により充実させることができた。
たとえば、製作したモデム装置は、実習装置で動作実験を行い、さらに制御ソフトウエアの製作というようにいくつかの角度での検討指導が可能となったが、この装置は次年度のローテーション実習の装置となる。
また、自動販売機の模型は、コンピュータ制御の対象として、ローテーション実習時に応用例として説明教材や、制御ソフト製作のトレーニングマシンとして活用していきたいと考えている。
学校や後輩に残すものとして、目的をもたせ完成させた結果、3年生にとっては励みになり、自信をつけて積極的に参加するようになったと感じています。
今後も、同様に設備の価値を高めるよう生徒と共に考え、工夫していきたいと考えています。
技術革新が進む今日、将来のエンジニアとして夢をもつ生徒の期待にそえるよう、さらに研修を重ね、電気とコンピュータをテーマに、衛星通信分野や本格的な自動計測、VMEバス、産業ロボットなどFA分野にもつながる幅広い実習装置の開発や教材研究を行っていきたいと決意しております。

(注)この記事は、昭和63年当時のものであり勤務先であった県立尼崎工業高校電気科(全日制:前任校)での情報通信実習の実践をまとめたものです。
したがって、この報告もいまや過去の技術でしかすぎませんが当時としては授業研究の余地があったものです。参考まで紹介します。



平成11年7月更新

作者ホームページ 記事一覧

post

西川敏弘 jf3mxu@hi-ho.ne.jp