○○主義、イズムと個人史

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○○主義

人格を持つのが、個人であることから、主義を持つのが、個人になる。
一般に○○主義と言われるものは、強烈な個性を持った個人史で、文章化されたもののうち、相対的に優位にあるものを言う。
このことに気付いたのは、大杉栄の『自叙伝』『日本脱出記』(岩波文庫、所載)を読んでいたときの記述による。

大杉栄は、ベルリンで開かれる国際無政府主義大会に参加するため、1922年に日本を密出国。上海を通って、1923年フランスにたどり着き、パリ郊外のメイ・デイ集会で演説し、逮捕される。

1 某国〔中国〕の某〔偽名〕と言う者だ
2 職業は、新聞記者だ
3 主義は、センディカリズムだ
(岩波文庫、353−354頁)

黙秘できないとみて、偽りを言うが、これを、以下わかり易くするため、再構成する。

フランス警察とのやり取り。
仏警「氏名は?」
大杉「某〔偽名〕」
仏警「国籍は?」
大杉「某国〔中国〕」
仏警「主義は?」
大杉「センディカリズム」(労働組合至上主義)

このやり取りに注目してほしい。つまり西欧では、多くの主義があり、その主義を持つのが個人であることが、当然のこととして、考えられていることがわかる。

このことを理解せずに、西欧の○○主義を直輸入することから、セクト(宗派)あるいは、セクト的ノンセクトによる非生産的な対立が起こる。明治時代に、自我の未確立と家族、家父長制とを問題にしたのと対応する。

「人格を持つのが、個人であることから、主義を持つのが、個人になる」ことを明確に意識していない日本の土壌においては、セクト(宗派)による運動に大きな限界がある。
言い切れば、党派形成を軸にする運動は、当初から限界を内包している。

(付記)
ぼくは、所謂共産主義者ではない。なぜなら、ぼくはぼくであって、ぼく以外の何者でもないからだ。 また世界には、大杉栄の無政府主義や社会民主主義の他、複数の主義が存在する。

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イズムと個人史

(準備中)

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