その1・アメリカ編、その2・ドイツ編に続き、ヨーロッパ出張のときのフランスの美術館ぶらり見てある記です。
ヨーロッパには、都合2回出張しましたが、フランスに行ったのは2回目の1987年で、この時には約2週間半かけて西ドイツとフランスを回りました。
ドイツ編ニュルンベルク近くでの仕事の合間にニュルンベルク、ミュンヘンの美術館、オペラハウスを回った後、ドイツでの仕事を終えてパリとリヨンで仕事をするため、フランスに移動しました。金曜日の晩にドイツを発ち、2時間足らずでパリに到着。というわけで、土日をゆっくりとパリで過ごしました。おお、芸術の都、パリ!
(補足)2006年10月に、2度目のフランス訪問をしました。リヨンでの仕事の合間の週末、あこがれのパリを再訪し、美術館を巡ってきました。そのときのことを追記します。
<その他の美術館見てある記>
1.ピカソ美術館
この日は、ここからパリ市庁舎、サント・シャペル礼拝堂(ステンドグラスが美しい!)、セーヌ川に沿ってチュイルリー公園、コンコルド広場、エッフェル塔などを観光してしまったので、美術館は翌日にすることとした。今はどうだか知りませんが、当時(1987年7月。オルセー美術館が開館した直後)はミッテラン大統領の方針とやらで、日曜日は美術館の入場料が無料になるので。
2.オルセー美術館
オルセーには、19世紀以降の主要な美術品が、ルーヴルからここに移動して集められています。19世紀で区切ったせいか、たとえばアングルなどは、有名な「泉」はオルセーにありますが、「グランド・オダリスク」や「入浴する女」などはルーヴルにあります。
恥ずかしいことに、ここには日本語のガイドリーフレットが置いてあります。それだけ日本人が多いのでしょうか。表示が「日の丸マーク」というのは、本当に赤面ものです。
(2006/10/7再訪)オルセー美術館は、19年前と大きくは変わっていませんでしたが、建物の中の1階の部屋が増えたような気がしました。ただ、時節柄セキュリティチェックが厳しく、入場に結構時間がかかりました。
3.オランジュリー美術館
モネの睡蓮の間の壁面画(こういう部屋が2つ!)1987年撮影
(2006/10/7再訪)オランジュリー美術館は、2000年から5年間改修工事を行っていて、2006年5月に再開したばかりとのこと。
それに伴い、2階にあった展示物(ルノワール、セザンヌ、ローランサン、ユトリロなど)は、地下に新しい展示スペースを作って移設されていました。改修工事に5年も要したのは、この地下工事中、ルーヴルと同じように古い石垣が出てきて、その調査や保存のためだったようです(地下の端っこにそのような説明と展示があったような・・・)。
なお、この美術館は、いつからか日本人に人気のスポットとなったらしく、2006年には日本語のガイドブックも売られていました。
4.ルーヴル美術館
ルーヴルで最も有名なのは、オルセーができた後でも、やはり「モナリザ」でしょう。他の絵はすべて裸の状態で展示されているのに対し、「モナリザ」だけは防弾ガラスのケースの中に展示されていました。これだけはちょっと残念。
ちなみに、私がパリ見物をして歩いた日が、「ツール・ド・フランス」(日本でも有名な、フランス1週の自転車競技)の最終日で、ゴールのシャンゼリゼ通りは朝からスピーカーで実況中継(当然フランス語)、あちこちで交通規制、午後にゴールイン、勝者の凱旋パレードなど、にぎやかな一日でした。
(2006/10/7再訪)ルーヴル美術館は、前に来た1987年にはガラスのピラミッド工事中で、地上の普通の入り口から入りました。今回は、地下鉄の駅から、地下商店街を通ってガラスのピラミッドの地下にて出て、そこから入場。
ルーヴル美術館のガイドリーフレット(これも日本語あり!)
5.モルマッタン美術館
その1・アメリカ編
その2・ドイツ編
その4・日本編
その5・美術館2007
パリの町をずーっと歩いてみて回ろう、ということで、地下鉄でバスチーユまで行き、そこからパリ横断を始めました。バスチーユの近くにある「ピカソ美術館」が最初の訪問地。ここは、ピカソが亡くなったときに、遺族が相続税を現物で納めたことをきっかけに作られた美術館だそうです。言ってみれば、ピカソ自身が身の回りに置いていた美術品を展示しているわけで、自分で手放さずに持っていた自作とともに、自身が収集した他の画家の絵や彫刻が含まれています。
こう言っては何ですが、ピカソは多作家で長寿だったこともあり、世界中の美術館に多くの作品があります。箱根の彫刻の森美術館にも、立派なピカソ館がありますね。従って、わざわざパリまで来てピカソを見ることはあまり重要ではなく、ピカソ以外の絵を見るのがねらいでしょう。実際、アンリ・ルソー、モディリアーニなど、ピカソ以外にも見るべきものが多くありました。
ピカソ美術館パンフレット
芸術の都パリにあって、芸術の殿堂として当時のミッテラン大統領の肝いりで作られ、鉄道の駅を改装して1986年にオープンした新しい美術館。その後、NHKのシリーズで紹介されて有名になりましたが、1987年にパリを初めて訪れた美術素人の私はオルセー美術館の存在をまだ知らず、すべてルーヴル美術館にあるものと思っていました。商社のパリ駐在の方に、「行くならオルセー」と教えられ、初めて知った状態でした。
まあ、ここに行けば美術愛好家は何も言うことはないでしょう。教科書に載っているような、有名な絵がところ狭しと、それも裸で置いてあります。オルセーは、元鉄道の駅を改造して作り、天井はガラス張りなので、昼間は自然光でかなり明るい雰囲気です。美術館としてはちょっと珍しい、自然な光にあふれています。
有名なものだけを拾っても、書ききれないほどあります。
日本で人気のあるミレーでは、有名な「晩鐘」「落ち穂拾い」がここにあります。
マネのスキャンダルを引き起こした「草の上での昼食」、ドガの「踊り子」、ゴッホの自画像、糸杉、アルルの寝室、オーベールの教会、ゴーギャンのタヒチの女、セザンヌのトランプをする男、ルノアール、ロートレック・・・。
オルセー美術館の日本語ガイドリーフレット
オルセー美術館の印象派パンフレット
日本で出張展覧会を開催しているらしく、ゴッホの絵の一部など、見当たらないものがありました。オルセー美術館の外観2006
オルセーからセーヌ川を渡った反対側のコンコルド広場横に、こじんまりとしたオランジュリー美術館があります。観光案内書にもあまり大きく取り上げられることがないので、見過ごすことが多いようですが、美術ファンには必見の美術館です(などと偉そうなことを書いたが、私も行くまでその存在すら知らず、商社のパリ駐在員の方の受け売りです)。でも、確かに、ルノアール、マティス、ローランサンなどの素敵な絵があるし、そして何よりもモネの「睡蓮」の超大作があります。この「睡蓮」は、絵というよりも、部屋全体の360度の壁全体が睡蓮なのです(下記に写真を示します)。地下の2部屋がこの睡蓮の2セット。これは感激を通り越して、ただただ圧巻で大感激です。部屋の真ん中に丸いソファが置いてあり、ここに座ってひとときの「睡蓮の間」の空気に浸っていると、本当に極上の幸せなひとときを過ごせます。話に聞くのと、現実にそこに立ってみるのとでは、天と地ほどの差があります。パリに行ったら、何を置いてもまずここに行くことをお薦めします。私が行ったときは、日曜日の午前中でしたが、ときどき部屋に誰もいなくなる瞬間がある程度にゆったりとすいていて、ソファに座っていても、絵との間に立って視界を遮る人はそれ程多くはありませんでした。
オランジュリー美術館のガイドリーフレット(1987年には日本語のものはなし)
改修の主目的は、2階に増築していた展示スペースを削除し、1階のモネの絵を当初の「自然光」の下で鑑賞できるようにすることだったそうです。この事実を帰国後知りました。そういえば、下の写真は、確かに天井の明かり作りが変わっています。ここが吹き抜けで自然光だったとは気がつきませんでした。
モネの睡蓮の間の壁面画2006。天井から自然光!
地下の展示室2006。ここも自然光!
芸術の都パリにあって、その中でも芸術の殿堂、と思っていました。でも、実際に行ってみると、ミーハー的美術愛好家の好みそうなものは大方オルセー美術館に移ってしまっていて、ルーヴル美術館はどちらかというと「博物館」と化しているような印象でした。
私が訪ねた1987年夏には、そのルーヴル「博物館」の古い建物の中庭に、ミッテランの肝いりでガラス製のピラミッドの建設が進んでいました。従って、私はこのガラスのピラミッドからではなく、普通の地上の入口から中に入りました。
その他の絵や彫刻は裸で展示されており、「ミロのヴィーナス」の360度の眺望を楽しめ、後ろに回ってお尻をじっくり鑑賞することも可能です。
オルセーに移った絵が多い中、それでもダヴィッド「ナポレオンの戴冠」(こんなに大きいとは思いませんでした。6m×9m。緻密な絵と思っていたら、すぐそばで見ると結構雑でした)、ジェリコー「メデュースのいかだ」、ドラクロア「民衆を率いる自由の女神」など、超有名な作品がずらり。
ミーハー的見てある記には欠かせない美術館の一つです。
地下に古い城壁が見つかった、という展示を見て入ったら、迷子になってしまました。とにかく広い・・・。
今回は、前回見過ごしていた、ルーベンスの大画を目標に、ピンポイントで見てきました。モナリザも見ましたが、昔とは展示場所が変わっていました。
ルーヴル美術館の入口となるガラスのピラミッド(1987年には工事中!)
ルーヴル美術館入口のガラスのピラミッド(2006)
ルーベンス「マリー・ド・メディシスの生涯」(2006)
1987ルーヴル美術館のパンフレット(フランス絵画)
1987ルーヴル美術館のパンフレット(フランス以外のヨーロッパ絵画)
2006年にパリを再訪した折に、前回行けなかったモルマッタン美術館に行きました。ここには、モルマッタン氏の個人コレクションが、自宅を美術館にして公開されています。パリの西のはずれ、ブーローニュの森近くの住宅街の一画にあります。
見ものは、何といってもモネのコレクション。特に「印象派」の呼び名の元となった「印象・日の出」が有名ですが、それ以外にも睡蓮を始めとするモネのコレクションがたくさんあります。
ここにも、日本語のパンフレットがありました。この美術館は、写真撮影禁止です(他の美術館は、フラッシュ禁止ですが写真は撮れるところが多い)
マルモッタン美術館の入口(個人の邸宅)(2006)
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