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成長曲線

私の長年使っている本に、蓑谷 千凰彦 著「回帰分析のはなし」(東京図書)があります。
もともと本業でソフトウェアの品質状況を確認するのに用いる信頼度成長曲線(バグ曲線)の
ツールを作成するのに、25年以上前に買った本です。
統計的手法の回帰分析の実用書で、成長曲線のことも書かれています。
著者は、成長曲線の章の冒頭で下記のように記しています。

 「祇園精舎の鐘のこえ、諸行無常のひびきあり.沙羅双樹の花の色.盛者必衰のことわりを
あらはす.おごれる者もひさしからず、ただ春の夜の夢のごとし.たけき者もつひにはほろびぬ、
ひとへに風のまへのちりに同じ」(平家物語)
 栄枯盛衰は世の習い.産業、企業あるいは製品とてこの運命を免れることはできない.
生を享け、成長をとげ、安定期に入り、やがて衰滅していくのは人間や動物に限らない.
企業や製品も同じである.成長曲線はこのような生成・発展・安定・衰滅の過程を記述しようと
する曲線である.


■ソフトウェア信頼度成長曲線

信頼度成長曲線(バグ曲線)は、横軸に日付やテスト時間等、縦軸にバグ発見の累積件数をとった
グラフで、これに併せて解決件数や残り件数のグラフを描画することも多いです。
現状のバグ発見傾向から品質進捗状況を把握したり、バグ収束の予測、残バグ数の予測などに
用いて、ソフトウェアの品質状況を確認する一つの手段となっています。
うまくプロジェクトがまわっていないと信頼度成長曲線がきれいなカーブにならず、プロジェクトの
活動の軌跡がそこに表れていると感じます。そしてどのようなカーブであっても、その軌跡の裏側で
問題に取り組んで頑張った姿をそこに感じることができます。


■競技かるたレーティング曲線

競技かるたレーティングランキングのベースになっている競技かるたレーティング曲線は、
成長曲線の一つであるロジスティック曲線を用いています。
初めはチェスで用いている対数曲線で当てはめを考えましたがうまくいかず、この本に載っている
修正指数曲線、ロジスティック曲線、ゴンペルツ曲線を試してみて、ロジスティック曲線が一番うまく
当てはめすることができたのでロジスティック曲線を採用しました。
A級選手が自己の成長の指標としてランキングを励みにして頑張っていることを聞くこともあります。
それを聞くと、ランキングを作成・運営していて良かったととてもうれしく思いますし、またそれが
私にとってランキングの運営を行う励みになっています。


■大阪府の新規陽性者数累計の推移の推定

大阪府は7月12日に新規陽性者数32名を確認したことを受け、新型コロナウイルスの感染状況を
判断する大阪モデルの基準に基づいて黄色信号になったことを発表し、感染の警戒を府民に呼び
かけました。
大阪暁会の練習は、6月20日・21日から新型コロナウイルスの感染対策を行いながら再開して
いましたが、残念ながらそれも7月11日・12日までの4週間でストップとなりました。
今後の見通しのない中で毎日何名感染という報道ばかりがあり、今回の波がどれだけの規模で
いつ収束するのか、先の見えないトンネルの不安で誰もが参ってしまいます。
私もいつ大阪暁会の練習が再開できるようになるのだろうと気になりました。

大阪府から新型コロナウイルスの感染状況のデータは公開されていますので、それをもとに
大阪府の新規陽性者数累計の推移を推定してみました。
第一波がロジスティック曲線に当てはめできることを確認のうえ、今回の波をロジスティック曲線に
当てはめて分析しました。
まだ今回の波は初期フェーズのため、1日1日の回帰分析結果がブレブレになりやすいですが、
何もないよりはマシというレベルの参考として(直感も含めて)下記のように推測します。
(当然ながら何の責任も負いません)

(2020/7/19時点)
・今回の波の全体の新規感染者数は、2,600名〜4,400名くらい。(大阪府人口の0.03%〜0.05%)
・重症者数は、重症化率5%と仮定すると、130名〜220名くらい。(8月に赤信号が出るかもしれない)
・7月終わりから8月上旬にかけて多くの発生がある。
・お盆付近から落ち着いてきて、うまくすれば8月いっぱいで概ね収束する。

なお、3密(密閉空間、密集場所、密接場面)対策や手洗い・マスク・換気・消毒の対策など、
基本的な前提条件はこれまで通りなのは言うまでもありません。

実際にどうなるかは今後を見守るしかないですが、毎日何名感染という報道も今はそんな時期だと
思うことで、不安よりもそれに従事する方への応援につながったらいいなと考えます。

大阪府の新規陽性者数累計の推移の推定グラフ(2020/7/19)
大阪府の新規陽性者数累計の推移の推定グラフ(2020/9/01)
大阪府の新規陽性者数7日間合計の推移グラフ(2020/10/11)
大阪府の新規陽性者数7日間合計の推移グラフ(2021/10/20)



■「大阪都構想」否決 (2020/11/2追加)

大阪維新の会が大阪の成長のために掲げた、大阪府と大阪市の二重行政になっているしくみを
見直して、大阪市を廃止し4つの特別区を設置する「大阪都構想」は、昨日の住民投票の結果、
賛成49.37%、反対50.63% の僅差で再び否決されました。
この住民投票の結果は、しくみより人、地元愛(地名)、お金(初期コストがムダ)を選んだ
大阪人らしい結果なのかもしれません。
「大阪都構想」賛否の住民投票が大阪維新の会に対する人気投票や信任投票ではないのは、
どのような結果であっても同じです。
今回の結果の見方を変えれば、よほどの失政がない限り、大阪府知事及び大阪市長は現在の
大阪維新の会による二頭協調体制(二重行政解消、地名は変わらない、初期コストがかからない)
という状況を維持していくのが最善という民意とも解釈できます。
今後の大阪の成長は、大阪府知事・大阪市長を選ぶ投票が大切になるのだろうと感じます。


<新型コロナウイルス対策のアプローチ>

■1/100作戦 (2020/7/26追加)

第2回大阪府新型コロナウイルス対策本部専門家会議(令和2年6月12日)の京都大学ウイルス・
再生医科学研究所 宮沢孝幸准教授資料 「比較コロナウイルス学からのアプローチ」では、
接触機会の削減でなく、感染機会の削減のために 1/100作戦 の啓発が提言されています。


■口腔ケア (2020/8/8追加)

8月4日には新型コロナウイルス対策の一つとして、
「うがい薬でコロナウイルス減少?」 大阪はびきの医療センター・研究責任者に直撃(ABCニュース)
という話題が提供されたこともあって、改めて「うがい」が注目されました。
これはポビドンヨードを使ったうがいに関する陽性者への可能性を示唆するものですが、
予防としてのポビドンヨードを使ったうがいは 勧められません

下記URLを見ると、歯科医師の立場からは 『口腔の健康は全身の健康の基盤である』 ことが
基本的に言われており、口の中が不衛生だとウイルスの吸着と侵入がしやすくなる、
ウイルス性肺炎と細菌性肺炎のダブルアタックで重症化しやすくなるなどのリスクがあり、
口腔ケア(オーラルケア)も大切に思います。(高齢者は特に)

参考URL:
新型コロナウイルスの感染と重症化を予防するお口の口腔ケア (ドクター天野の歯科治療室TOP
歯科医療機関での新型コロナウイルス感染予防 (日本学校歯科医会TOP
平成30年 性別にみた死因順位(第10位まで)別 死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合 (厚生労働省)
 ※5位 肺炎(94,661人 6.9%)、7位 誤嚥性肺炎(38,460人 2.8%) 数字は死亡数、死亡総数に占める割合



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