SBC8080ルーズキット+TK-80サブボードの製作(設計編)
2019.01.09
SBC8080ルーズキットが紹介された時は、それだけではそれほど興味を引きませんでした。
ところが、たまたま懐かしいTK-80の記事を目にし、少し調べてみると、ZK-80やND8080など互換機が見つかりました。ZK-80は、安価ですが8080を使用していません。ND8080は、復刻版キットになっていますが、価格が高い難点があります。
そこで、SBC8080とのコラボでTK-80を実現できないかと考えました。

「復活!TK-80」など、資料を収集し、SBC8080回路図と比較をしました。TK-80のアドレス割り付け、システムタイミングの互換性を保つため、下記の改造が必要なことがわかりました。

・TK-80の8255アドレスをTK‐80マニュアルの記述から、F8-FBに割り当てるため、SBC8080の
 8251アドレスデコーダを流用する
・WAITタイミングは、TK-80と同じ接続ができるように切替ジャンパを追加する
・TK-80では、INTをSTEP動作に使用するので、SBC8080の8251(RxRDY)割り込み出力を切断で
 きるジャンパを追加する
・CPUクロックの水晶を18.432MHzに変更する

さらに、SBC6809ルーズキット製作時の改造項目も実施することにしました。

・EEPROM使用で、EPROM消去不要にできる
・ROMアドレスの分割で、機械語モード付きタイニーBASICやその他BASICを同時書き込みができる
・シリアルポートを115kbpsまで自動切替できる

さて、SBC8080を活用できることがわかったので、TK-80サブボードの回路設計に入りました。設計に当たっては、TK-80がTTLベースでしたが、HCMOSを前提に簡略化を行いました。

・LEDディスプレイのDMAアドレスは、83F8が競合する場合を考慮してFFF8に切り替えられるように
 する
・TK-80では、RESET信号がアクティブ時にLED表示が一桁のみ表示する問題を回避するために
 -MEMRを補正しているが、8255のPC7をHCMOSでプルダウン入力化によって、補正回路を
 不要にし、簡略化する
・LEDの桁ドライブとセグメントドライブのタイミング差による残像表示を解消するため、ブランキング
 期間を追加する
・ゲート数を少なくできる部分は、論理極性を最適化し、簡略化する
・CR部品の種類を少なくしたり、マニュアル通りのタイミングにならないCR定数を見直す

これが回路図(PDF)です。TK-80 SUB Board Schematics for SBC8080

LED表示関連で特記すべき部品は、基板の幅に合わせ幅40mmの4桁LEDと、ドライブ能力が高い74ACT573(データーバスがTTLの8228でドライブされているが、IOHが少なくて済むので74AC573でも可)です。

TK-80サブボードの製作には、蛇の目基板に手配線で行うことにしました。(基板製作もしたいのではありますが)
まず、使用する部品を大まか並べると、SBC8080ボードの大きさに収まらないことがわかりました。次にボード間の接続を考える必要があります。SBC-IOを利用することも考えましたが、デザイン的にしっくりこなかったため、何か良い方法が無いか検討しました。その結果、秋月電子の「ピンソケット 2×20(40P) ラズパイ用スタッキングコネクタ」を見つけました。これなら、用途に応じてスタッキング順序を自由に変えられるため、TK-80サブボードが少し大きくても収まり・デザインが良いとともに、信号確認が容易になります。

下記がイメージ図です。

2019.01.09 17:25 | 固定リンク | SBC8080+TK-80
SBC6809ルーズキットの製作(中華HD63C09Pその後編)
2018.06.10
前回eBayで購入したHD63C09P誤マーキング品の代替品が届きました。前回は中身がHD63C09EPでしたが、今回はどうかとドキドキしながらテストしたところ、仕入先を変えたとのことでHD63C09Pとして問題なく動作しました。
誤マーキング品のロットは、「4F1」でしたが、今回は、「4H1」でした。
別途、若松通商から正規品ロット「8B3」を入手しておきましたので、どこに差があるか調べると、
①外観
 中華HD63C09Pは、表面を削ったのち、レーザーマーキングでしたが、若松通商HD63C09Pは、印刷でした。
②電気的性能
 HD63B09PをHD63C09Pにリマーキングしているのではないかと、HD63B09PとHD63C09Pのスペックで差が出ているData Delay Time(tDDW)について、確認してみました。スペック上、HD63B09Pは、max110nS、HD63C09Pは、max70nSでしたが、常温で実測すると両者ともに15nSでした。中華HD63C09PのD0は、わずかになまりぎみですが、tDDWの有意差がないことから両者ともにHD63C09Pとみなせると思います。

このことから、リマーキングの目的は、入手元(横流元?)をわからなくさせるためにしたのではないかと推測できます。


若松通商HD63C09P(CH1:Q、CH2:D0、CH3:-WE)、Q立ち上がりからD0の立ち上がりがtDDWです。


中華HD63C09P(CH1:Q、CH2:D0、CH3:-WE)、Q立ち上がりからD0の立ち上がりがtDDWです。

最近は、他の製品もリマーキング品が横行しています。電気的性能が劣るものもあり得るかと思いますので、注意深く確認するしかないと思います。


2018.06.10 22:18 | 固定リンク | SBC6809
SBC6809ルーズキットの製作(リセット不良対策編)
2018.05.08
SBC6809を楽しんでいると、電源オンしてもROMから立ち上がらない場合が時々あることがありました。気になったので調べてみると、電源スイッチを切っても電源電圧が下がり切っていないことがわかりました。さらに調べると、USB-Serial BridgeのTXDから電源にHD63B50Pの入力寄生ダイオード経由で18mA程度の電流が回り込みしていました。

今回、全面的にCMOS化したため、わずかな消費電流がゆえに電源電圧が下がり切っていないようです。このため、CPUのリセット回路コンデンサーの電圧が下がりきれず、本来の電源が投入されてもCPUリセットがかからない状態が発生したと考えられます。

CMOSならではの問題です。NMOSのMC6850Pを使用した場合は、入力寄生ダイオードがないため、発生しないはずです。また、CMOSのHD6350Pを使用した場合でも、CPUがMC6809やTTLロジックを使っていれば、消費電流が大きいため、問題が起きにくいと考えられますが、電流が増えるため、USB-Serial Bridge側へのストレスが若干心配になります。銅箔カットが必要ですが、HD6350PのRXD入力に1K程度の直列抵抗を入れる対策も一案です。

SBC6809の電源を入れたのち、USB-Serial Bridgeに接続すれば良いのですが、ROM立ち上げメッセージを表示したい場合は、問題です。このため、対策としてダイオードD1を電圧検出器に交換することで、解決できました。良くある問題ですが、またレトロっぽくなくなりました。電圧検出器は、たまたま手持ちのSEIKO製S80830CNY(3.0V検出)を使用しました。

下記のような回路に改造することになりますが、またピンバイスとドリル刃の登場です。D1の電源側の隣に穴をあけ、S80830CNYのVSSをこの穴を通して、GNDランドにはんだ付けすれば、D1の置き換えができます。調子が良くなりました。
2018.05.08 09:10 | 固定リンク | SBC6809

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