1955年、BeckerとKremerにより初めて注目された新しい病型である。Duchenne型と似て、①男子のみに発症すること、②伴性劣性遺伝様式を呈すること、③腰帯筋に脱力が初発し、肩帯筋に及ぶこと、④腓腹筋に仮性肥大を呈することなどがみられることから、1つの亜型とみなされている。しかしDuchenne型との相違点は次のごとくである。
1)発病期は青年期である(症例によっては、5~25歳にわたる)。
2)歩行不能の状態におちいることは遅く、発病後25年またはそれ以上になって歩行不能となる(文献的に調査された報告によると、15歳でも全例歩行可能であったことが注目されている。Duchenne型が、12歳までに歩行不能になることと比較すると、両者の鑑別が可能となる)。
3)心筋障害はほとんどみられない。
4)関節の拘縮および変形は、多くの場合みられない。
5)経過は緩慢で良性であり、しばしば寿命は正常で天命を全うするものが多い。