国産オオクワガタ (Dorcus hopei binodulosus) 2006.8.13改訂

子供の頃、昆虫採集と称して森へ通ったものでした。もちろん狙いはクワガタ虫、カブト虫。私が住む西東京市(当時・保谷市)は緑が多く、コクワガタやノコギリクワガタが採れました。1度だけヒラタクワガタを採集した私は皆に自慢したものでした。しかし、オオクワガタだけは昆虫図鑑でしか見たことがありませんでした。
しかし現在、オオクワガタはペットとして流通していて、ペットショップやホームセンターで購入することができます。値段も70mm前後のサイズなら数千円で購入することができます。

大アゴの内側に「一対の内歯」があるのが特徴です。大型個体では「内歯」が前方を向きますが、小型個体は「内歯」が真横を向きます。さらに超小型個体では、「内歯」が大アゴの根元へ移動していきます。
最近では飼育技術の向上で、80mmを超えるオス個体が続々報告されています。成虫の寿命は長く、羽化後2年ー3年と言われています。沖縄などの離島を除く日本全国から採集の報告があります。有名多産地は山梨、佐賀、能勢、福岡などです。産地により特徴があり、「南方産は太い」とも聞きますが、個体差が大きいように思います。

オオクワガタは常に人気飼育種で、採れた県だけでなく、市町村まで細かく別けて飼育・販売されています。さらに、専門店が独自に特徴を固定した品種を、シリアル番号付証明書を添付して「ブランド血統」として、販売するようになりました。しかし、「電気製品」と違い、クワガタにシリアルナンバーが刻印されるわけではありませんので、偽者の流通を阻止する事は難しいようです。さらには、外国産との混血疑惑まで出てくる事もあるそうです。

オオクワガタ飼育方法は比較的簡単です。成虫飼育は、ケース、マット、水分さえあれば、餌として昆虫ゼリーを与えるだけで、長期の飼育が可能です。飼育温度も一部の地域を除き、特別な管理は必要ありません。冬季は冬眠しますが、5度以上、夏季は30度以下であれば飼育可能です。飼育ケースは直射日光の当たらない場所に置きます。
十分に成熟したオス・メスをペアで飼育すれば交尾します。交尾後、適度に加湿した産卵木をメスに与えれば簡単に産卵します。産卵確認後、約40日で産卵木に幼虫が確認できます。

幼虫飼育方法には「マット飼育」と「菌糸ビン飼育」があります。より大きな成虫に育てたいときは「菌糸ビン飼育」がベターです。しかし、「菌糸ビン飼育」は温度管理が難しいという弱点もあります(高温に弱い)。幼虫は人工飼育下では6ヶ月から1年半で成虫になります。

メスの上翅にスジ状の点刻があるのが特徴。前胸はツヤツヤ。


2002ー2008年の飼育日記

2009ー2012年の飼育日記

2013年の飼育日記はこちら!!

2014年 飼育日記
1月11日
(福岡産)

気の早い福岡県産オオクワガタのオス幼虫が蛹室を作り始めたようです。
この個体は7月に割り出し、10月に2本目(1400cc)の菌糸ビンに移した時は19グラムと、オスとしては小柄な幼虫でした。
いかに大型血統といえども、一部に早期羽化の幼虫が出現することは多々あります。羽化時期をずらすことで気候の変動や災害による全滅を防ぐ「種の保存」のためと言われていますがどうでしょうか?
メスも数頭が蛹室らしきものを作っています。私もこの血統を絶やさないために、先ずはこれらの個体たちを無事羽化させることを考えたいと思います。

2月9日
(福岡産)

先日報告した”気の早い福岡県産オオクワガタのオス幼虫”が蛹化しました。
他のオス幼虫で蛹室を作った個体は未だおりませんので、随分とせっかちな個体です。観察するために、露天掘りを行いました。
蛹は瑕疵の無い綺麗な姿でした。サイズは70mmを超えるかな?といった感じです。

他のオス幼虫のうち3頭の菌糸ビンを交換しました(3本目へ)。体重は24.5グラムから25.5グラムとまずまずの数字です。交換した理由は幼虫が”暴れだした”ためです。蛹化の準備でしょうか?フィルターが湿っていて酸素不足も考えられますので、残りの幼虫の菌糸ビンの蓋を緩めておきました。

蛹化の気配の無いメス幼虫の菌糸ビンを温室から出しました。

2月23日
(福岡産)

10月から11月にかけて2本目の菌糸ビン交換を行った福岡県久留米市産オオクワガタの幼虫たちの菌糸ビンを交換しました。順調ならば、これが最後の交換になるはずです。
オス幼虫たちは順調に成長していて、最大の幼虫は28.5グラムもありました。しかし、中には写真のようにドッキリとさせられた幼虫もいました。蛹室を壊してしまったのでしょうか?私の経験上、否定はできませんが、多分シェルターだと思います。ある程度成長した幼虫の中には越冬用のスペースを作る個体がいます。ずーっと温室で飼育しているのに不思議ですね。
温室に残っているメス幼虫たちも暴れが目立つようになりました。そろそろでしょうか?

3月1日
(福岡産)

3月に入り、東京は急に暖かくなってまいりました。そろそろオス幼虫にも冬を感じさせないと、羽化のタイミングを逸してしまいそうです。
本日、「食い」が悪いため3本目へ移行していなかった幼虫の菌糸ビンの交換を決意しました。そして、ある菌糸ビンを掘っていると突然ぽっかりと穴が開き、成虫が出てきました!びっくりです!(写真)
2月に割り出した蛹が早期羽化の一番手かと思っていたら上には上?がいました。しかも、体はしっかりと固まっていますので、羽化後2週間以上経過しているはずです。もちろん外からは蛹室の形跡すら確認できませんでした。
体長は69mm、幼虫時の体重は20グラムでした。

ところで、オス幼虫たちの入った菌糸ビンを温室から出しました。虫部屋の温度は現在15度。朝夕はさらに冷え込みますので、冬を経験させるには十分だと思います。
そして、蛹化を促すため、冬を経験していたメス幼虫の菌糸ビンを温室へと戻しました。

3月22日
(福岡産)

3月17日夜、露天掘りしていた蛹が無事羽化しました。(2月9日報告)
本日、サイズを軽く測定したところ、73mm前後ありそうです。幼虫時の最大体重は19グラムでしたので、上々の結果です。
ところで、最近気温が上昇してきました。冬を感じさせるために温室から出している幼虫をどのタイミングで戻すかの決断に迷う今日この頃です。
3月30日
(福岡産)

冬を感じさせるために温室外で飼育していた福岡県産オオクワガタの幼虫たちを温室へ投入しました。もちろん蛹化を促すためです。さすがに外は春、飼育部屋の温度が24度まで上昇する日もあります。暖かい日を選び、菌糸ビンを温室へ移動しました。温室の設定温度は22度。もちろん、暖かい日はさらに上昇します。
順調なら、4月下旬に蛹室作成開始・・・6月から7月に羽化といきたいところです。

5月12日
(福岡産)


5月に入り、東京は最高気温が20度を超える好天が続き、2階にある飼育部屋の室温は28度前後を記録することもあります。通年ですとエアコンの稼働となるのですが、今年はまだエアコンのスイッチを入れていません。
理由は幼虫の蛹化を促すためです。今年の国産オオクワガタは例年よりも蛹化が遅いようで、大半の個体の蛹化がまだ確認できません(♂♀ともに)。

一昨年は28グラムもあった幼虫が羽化出来ずに昨年黒化しました。蛹化スイッチが入らなかった可能性が大です。そこで、少々危険かもしれませんが、室温が30度に近づくまでは、エアコンの稼働は我慢しようと思っています。大型個体の羽化の良い報告が出来ると嬉しいのですが・・・。

5月31日
(福岡産)

半数以上のオオクワガタの幼虫たち(オス・メス共に)が蛹室を作り始めました。中には既に蛹化した個体もいます。どうやら管理温度を高めに保った作戦は成功したようです。
順調なら、羽化は早くて6月下旬、特にオスは7月になりそうです。
ところで、暑くなりましたね!我が家の飼育部屋もついに昨日からエアコンが稼働しました。今年は蛹化を促すため、エアコンを控えていましたが、さすがにこの暑さで発酵してしまう菌糸ビンが出始めました。設定温度は28度です。
6月14日
(福岡産)

本日、福岡県久留米産オオクワガタの菌糸ビンをチェックしていると、予想より早く羽化している個体たちを発見しました。
早速、掘り出すことにします。羽化が確認出来たのはオス2頭、メス5頭です。特にオスのうち1頭は2月の菌糸ビン交換時に測定した体重が25.5グラムあった優秀な個体です。

 種親・79×50mm、
 7月7日割出し菌糸ビンへ、
 10月26日2本目へ 体重22グラム
 2月8日3本目へ   体重25,5グラム

実はこの個体、羽化後1週間程度のようで、腹が赤く正確な体長測定は出来ませんでした。しかし、ざっとノギスを当てたところ、80mmの予感がするサイズでした。正確には後ほど測定して報告します。
もう1頭も最終体重22グラムながら、体長76mmと優秀な成績です。また、メスには51mmという大型個体も含まれていたことを付け加えます。

7月5日
(福岡産)

ついに80mmが羽化しました!これで一昨年に続き、福岡県久留米市産の同血統で連続の80mmオーバーです。

前回6月14日に報告した個体は残念ながら80mmには届きませんでしたが、幼虫時に体重が少なかった個体が80mmに到達しました。
不思議なものですね!今回羽化した同血統の中には28グラムの幼虫が77mm止まりもありました。それが、たった24,5グラムの幼虫が80mmを超えるのですから・・・。”背が伸びない”個体はどうやら”横”にいった様子です。実際、幼虫時に体重が重くても成虫で伸びない個体はマッチョでカッコいい個体が多いようです。反対に体重が軽い割りに成虫で伸びた個体はスリムな個体が多いように感じます。

 種親・80×52mm

  7月20日  割出し菌糸ビンへ、
 10月26日  2本目へ 体重24,5グラム
  2月8日   3本目へ 体重24,5グラム
  6月24日  羽化    80mm

10月13日
(福岡産)

一昨年に続き、まずまずの成績だった今年のオオクワガタでしたが、残念ながら「セミ化幼虫」がでてしまいました。
40頭以上いた幼虫の殆どは無事羽化しましたが、オス・メス1頭ずつが未だに幼虫のままです。最近では菌糸ビンの表面でゴロゴロしています。オスは26グラムあった個体で無事羽化すれば、70mm後半は確実でした。残念ですが経験上、羽化の可能性はありません。
しかし、一昨年に比べれば「セミ化」の割合は低いと思います。冬を感じさせるために、15度以下の温度を1ヶ月程度与えた事は正解だったと思います。

11月25日
(福岡産)

東京も紅葉が綺麗になりましたね!朝晩は10度を切る事が珍しくありません。日中の飼育部屋の温度も15度程度です。
我が家の福岡産オオクワガタ・成虫たちは冬眠モードのようです。マットを厚めに敷いてあげました。餌も余り食べなくなりました。すんなり冬眠してくれると助かります。


2015年 飼育日記
4月11日
(福岡産)

寒さ、暖かさが繰り返され、桜も散り始めました。東京もいよいよ春本番に突入でしょうか?
我が家の国産オオクワガタが餌を食べ始めました(写真)。現在飼育している国産オオクワガタは福岡県産の♂78mmと♀2頭ですが、今年のブリード計画は未定です。うーん・・どうしようかな?

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