子供をかわいく写したい! 

[写真一般のお話し Vol.04, 2000年09月11日UP]

 実は、「子供をかわいく写す方法」なんてわざわざ書かなくても、子供の写真はかわいいに決まってます。特に、自分の子供だったらなおさらでしょう。 ですから、どう撮っても我が子が「かわいく写ってる」という人に今回の話しは役に立たないですね。(^_^;) でも最近じゃ「ビデオ」は撮るけど、写真は自信ないという方もいらっしゃると聞きます。 ということで、「子供が生まれたから撮り始めた」なんて写真ビギナーの方を対象に書いてみようと思います。


・子供を写す − カメラ選び

 子供を写すのに向いているカメラって何でしょう?。まあ、別に特別なカメラやレンズは必要ないですよね。 一眼レフでも、コンパクトカメラでも、 自分が使い慣れててよく写るなら何でもいいと思います。ただ、これから買うという方には一眼レフをお勧めしたいですが、 予算の都合などもあると思いますので購入ポイントをまとめてみます。

1.シャッターのレスポンス
 デジカメの話しでも再三書いてますが、「ここだっ!」というときにすぐシャッターが切れるカメラでないと、 写真の腕がどうのこうの言う前に問題ですね。 これをシャッターの「タイムラグ」と呼びますが、残念ながらカタログでは確認できませんので、購入前に店頭で触って確かめましょう。 今のカメラはほとんどオートフォーカス(AF)なので、「ピントの合う早さ」+「タイムラグ」がシャッターのレスポンス(反応)の速さになります。 やっぱり子供は動きまわるし、表情もころころ変わりますから「さっと」写せるほうがいいですね。

 一般的にコンパクトより一眼レフの方がレスポンスが速いのですが、暗いズームつけると遅くなるものもありますのでレンズ選びも注意しましょう。 具体的には押してから切れるまで1秒以上かかるものは避けたほうがいいんじゃないでしょうか。

タイムラグ以外の要因として「シャッターボタンの位置」とか「シャッターボタンの大きさ(形)」、「押しやすさ」なども重要です。 カメラ屋さんの店頭で見てると、値札ばかりを見てこのあたりを気にせず買ってらっしゃる方って多いですね。カメラってデザインや値段も重要ですが、 写真を撮る「道具」ですので使い勝手は確認したほうがいいですよ。特に「ファインダー」と「シャッター」には気を使いましょう。

2.アップが撮れる
 子供って顔が小さいのでアップも撮れるカメラのほうが便利でしょう。なんと言っても人生の中で、もっとも「アップに耐えられる」時期ですし..(^_^;)。 アップが撮れるなら別にズームでもいいですが、おやじは「スペックよりも実用性」 で書いてるようにズームなしをお勧めします。

 コンパクトの中には、いわゆる「キャラクター」のついたものがあります。一見、子供の気を引くのによさそうですが、 おやじの経験では余り効果は期待できません。やっぱり子供にとっては「親の顔」より「気を引く」ものは無いんですよね。(^_^) ちなみに、カメラ自体も大した物じゃないことが多いので、キャラクターカメラのコレクターでもなければ買う意味はありません。 (あるメーカーは米国の有名なキャラを使ったカメラを出し続けていますが、全く売れてません。 ただ、カメラにキャラクターを使う権利を手放すと、他のメーカーに取られた場合、2度と使えなくなるので止められないそうです)

・子供を写す − フィルム選び

 今度は子供を写すのに向いてるフィルムです。まあ、中にはモノクロやリバーサルをお使いの方もいらっしゃるでしょうが、 ほとんどの方はプリントが目的のカラーネガでしょう。フィルムはいろいろありますが、皆さんの好みもありますので特に指定はありません。 お好きなものを使えばいいのですが、現像に出す時は以前書いた「カラーネガフィルムの現像」 の注意点を参考にしてください。

ただ、ひとつだけ言うとしたら、「感度400」のフィルムを使うことです。主だった理由をあげると..

1.速いシャッターが切れる
 これは他のテーマでもよく書いていますが、やっぱり動き回るものを撮るときは速いシャッターが必要になります。 少し暗い場所での手ぶれも防げますし、特にビギナーの方にはありがたいんじゃないでしょうか。 なお、晴天の屋外で撮るときに、フィルムの感度が高すぎると「露出(フィルムに光を当てること)」がオーバーになることがあります。 普通なら真っ白な写真になりますが、カラーネガは10倍(3〜4絞り)くらいのオーバーでも特に問題ありませんので安心して使ってください。

2.ピンボケが防げる
 一眼レフ使ってる人じゃないとピンとこないと思いますが、フィルムの感度が高いとピントの合う範囲(被写界度)が広くなります。 シャッターとの組み合わせにもよりますが、感度100を使うより400の方がかなり効果があるようです。 最近では400のフィルムも100とほとんど値段変わらないですし、写り具合からいっても400を使うメリットの方が大きいです。

3.ストロボに有利
 カメラに内蔵のストロボは光量が余りありません。より遠くに光を届かせるには400を使いましょう(詳細は「ストロボの使い道」を参照)。 もし光が十分に届く距離でも、フィルムの感度が高いと発光する「光の量」が少なくて済みます。 つまり、バッテリーが長持ちするだけでなく、次の発光までの時間が短くなりますのでシャッターチャンスにも有利です。

※この3つのメリット以外に、400なら人の顔に当てる光が1/4に減らせるということもあると思います。 というのも、赤ちゃんの顔にストロボ焚いて「目は大丈夫?」と心配になるからなんです。 もちろんメーカーは「問題なし」と言ってますし、目に悪いならとっくに「使用禁止」になってるでしょう。 でも赤ちゃんだって「びっくりする」ことはありますので、アップなど顔の近くで撮る時はストロボを控えた方がいいのかもしれません (医学的な根拠はまったくありません)。最近は「赤目(瞳孔がストロボ光の反射で赤く光る現象)」を防止するために、 ストロボがやたらチカチカ光るカメラがありますが、あんなのを使ったら赤ちゃんがまぶしいかも..。(^_^;)

 [フィルムの種類]
ネガカラーの中には、「赤ちゃん専用フィルム」とか「肌がきれいに写る」なんて商品がたまにあります。 でも、おやじが調べたところ普通のカラーネガと変わりませんね。しいて特徴を言えば「マゼンタが肌色に出やすい」ようにしてあるらいです。 実はこれらのフィルムは、一般品をベースに作ってるので、よほどシビアに比べないと見分けがつきません (一部には通常品の箱を変えてるだけのものもありました)。 また、差がないだけでなく、腕の悪いラボに出すと肌色が赤くなりすぎてかえって悪い結果になります。 ということで、普通のフィルムで十分ですよ。(^_^)
もし、本当に肌をきれいに出したいなら「プロ用のカラーネガ」がありますが、 後処理のこと考えるとビギナーに勧めるのは無理ですね。


・楽しい「思い出」のために..

さて、機材的な話しが終わったとこで、「アルバム」を作るのを前提に実践的なアドバイスをあげてみたいと思います。(^_^)

ローアングル

作例1
日本人の平均身長もずいぶん高くなったものですが、こと写真にとってはあまりいいことではありません。 おやじは166cmと、この年代の平均より「低い」方なんですが、普段の撮影でも「高すぎる」ことがあります。 人物を写すときはその人の「顎の位置」がレンズの高さですから、子供を撮るときはいかに低くしないといけないかわかりますよね?。 大人が立ったまま写すと、子供を見下ろした写真になっちゃいます。できるだけ「子供の目線」に近づきましょう(^_^)。 (ビギナーは「カメラの縦位置」と「ローアングル」をほとんど使わないようです。 カメラを持ち変えて「しゃがむ」だけなんですけどね..)
ど・アップ

作例2
子供の顔は思い切り「アップ」で撮りたいですね。でも「すべてアップで撮りましょう」という意味じゃありません。 よく子供の写真を見せられると、赤ちゃんのころはアップも撮ってるのに、3歳から5歳くらいになるとアップの写真が少なくなります。 多分、寝てる赤ちゃんと違って動き回る子供はアップが撮りづらいんでしょう。でも、せっかく無邪気な表情ができる時期ですし、 思いっきり近寄った写真も欲しいですね。特に、サービスサイズでアルバムに整理すると、 全体を写した写真だけじゃ「小さな顔」ばかりになります。アップがあると楽しいアルバムになりますよ。(^_^)
小道具

作例3
別に、何か小道具を使って写真を撮れということじゃありません(^_^;)。アルバムに整理するのに、 小道具的なものをいっしょに写しておくと後で愉しめるという意味です。 たとえばお気に入りのおもちゃとか、ピクニックに行った時のお弁当、子供が落書きした画用紙や、乗り物などです。 その時は大して大事に思えなくても、写真以外の方法で残すことって難しいですよね?。あまり撮りすぎて小道具だらけになったら逆効果ですが、 効果的に入れておくとアルバムから「記憶」を呼び出しやすくなって、10年後、20年後に懐かしい思い出になるでしょう。
表情

作例4
親としては、自分の子供の「1番いい顔」を写真に撮りたいでしょう。もちろん、それが基本ですからいいと思います。 でも、たくさん写すとたまには「変な顔」も写るでしょう。これも何年か経てば笑える写真として役に立ちますので、 アルバムに貼らなくても残しておいたほうがいいですね。それと「子供の表情」もいいんですが、 子供を見つめる母親や祖父母の「表情」も記録してあげましょう。いざ撮ろうとすると「私は写さなくていいからOOちゃんを撮って」 とよくいわれますが、家族全員の記念写真以外にも、そういう写真があっていいでしょう?。(^_^)
遊ばせましょう

作例5
親が決めた背景に立たせ、「気を付け」のポーズをさせるのもいいんですが、やっぱり子供は遊んでるほうが活き活きしてますね。 というわけで、子供を自由に遊ばせて、自然な表情を写しましょう。 カメラで動き回る子供を追うのはなかなか難しいし、1時間もやってると多分、疲れ果てて大人がダウンすると思います。(^_^;) でも、きっとその方がいい写真が撮れると思いますよ。まあ、遠くから望遠レンズで狙ってもいいんですが、 ここはやはり子供の目線で「一緒に遊びましょう」。遊んでる中でシャッターが切れれば、きっといい写真が出来ているはずです。

・最後に..

 まあ、いろいろ書いてきましたが、自分の子供のことは「親」が1番わかっているものだと思います。 また、逆にある部分で1番見えてないのも「親」かもしれません(^_^;)。これは子供がどんなに小さくても「親のコピー」ではなく「一人の人格」 だからだと思うんですが、その「見えてるもの」「見えないもの」を両方理解して写真にすることができるのは、 他人やプロカメラマンではなく、やはり「親」でしょうね(^_^)。
 これからの思い出に、いい写真をいっぱい撮ってあげてください。

・一人目と二人目

おやじは二男です。そのせいか、アルバムに写真が少ないです。この傾向はどの家庭でもあるようで、二人目以降は写真の枚数が激減するようです。 下の子から写真を撮らなくなったら話しは別ですが、「二人目だけで撮った写真」が少ないことも理由にあるんじゃないでしょうか?。 つまり、二人目からは上の子と一緒に撮るので、上の子だけで撮った昔の写真と合わせると圧倒的に一人目の写真が多いというわけです。 (他にも、二人目で金がなくなり、遊びに出かける回数が減ったなんて理由もあるかも..)(^_^;)

まあ、この仮説が正しいかどうかわかりませんが、二人目以降の子供も「一人」で写した写真を撮ってあげてください。 親から見れば「兄弟」「姉妹」ですが、同時に個々の「人間」ですので..。 写真代も昔に比べれば安くなりましたので、一人ずつ写してもいいんじゃないでしょうか?。きっと下の子は感謝しますよ。大人になった時に..。

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