監査の早期化

GAFAの監査報告書は約1か月で監査を終えている。

米国SECの早期登録大規模会社の年次報告書は60日以内の登録を
2006年から行っている。

日本政府はIT技術の進化による早期決算と早期監査を認識していない。

株価総額が高いほど資本市場から受ける恩恵は高い


はじめに

IT技術の進展は目覚ましい。日本に進出してきている欧米の会社は、親会社の連結決算に親会社の導入した財務会計ソフトを使って日本法人の経理を行っているところもあり、親会社が連結決算をするに、また、子会社管理に有効な手段を講じている。つまり、親会社のサーバーにアクセスして日々の経理の会計処理をすると同時に、親会社側で経理内容にアクセスすることができ、日本の子会社の管理ができると同時に、親子会社間取引や債権債務の確認照合が瞬時にできるようになっている。

IT技術の進展から、企業の財務諸表の作成が早まったことから、監査の早期終了が求められることになる。この企業からのニーズにこたえるために監査人は「ロール・フォワード手続き」という監査手続きにより、財務諸表の適正性の監査証拠て意見を述べることができる。

企業の情報開示の早期化は、①インサイダー取引の恐れのある期間を短縮し、②不正会計の余裕を少なくする効果があり、無論、投資家に適時情報を提供するという資本市場にとって有用なもので投資家保護の重要な要素の一つだ。日本は、有価証券報告書を事業年度経過後3か月以内の提出としているが、「手書き、そろばん」時代に規定したままで、IT時代に相応しいものにすることが肝要だ。欧州でも、下記に記す如く、米国同様に60日以内に開示している大企業がある。


GAFAの監査報告書は約1か月で監査を終えている。

グーグル、アマゾン、フェースブック、アップルの所謂GAFAの監査人は、下記の通り、決算から約1か月後に連結財務諸表の監査報告書にサインをしている。監査報告書に監査人がサインするのは、監査最終日にその日までの後発事象を含めて自ら責任を負うことを意味している。

一方、会社側が有価証券報告書(Form10-K)を、電子的にSECのエドガー・データベースに登録に際して、受付時間が記録されているが夜中の「2019-02-04 21:06:38」2019-01-31 20:22:40」「2019-01-31 16:58:29」、早朝の「2018-11-05 08:01:40」分、秒まで記載されている。

決算期 監査報告書の日付 監査最終日 10-K登録日 
SECエドガー
Alphabet Inc. Google Inc/の持株会社 2018年12月期 2019年2月4日 35日目 2019年2月5日 
AMAZON.COM,INC. 2018年12月期 2019年1月31日 31日目 2019年2月1日 
FACEBOOK, INC. 2018年12月期 2019年1月31日 31日目 2019年1月31日
Apple Inc. 2018年9月期 2018年11月5日 36日目 2018年11月5日 


上記GAFAに限らず、eBay Inc. (イーベイ)(ネット上でオークションする会社)でも12月決算で1月30日付でPwCは監査報告書を出し、会社は1月30日に有価証券報告書(Form10-K)をエドガー・データベースに登録して公衆の閲覧に供している。早期の開示のより、タイムリー・ディスクロージャーのプレスリリース(決算短信)を省略しているのだろう。作業の重複を避け、作業の省力化も達成していることになる。

決算期 監査報告書の日付 監査最終日 10-K登録日 
SECエドガー
eBay Inc. 2018年12月期 2019年1月30日 30日目 2019年1月30日 
 Tesla Inc. 2019年12月期  2020年2月13日 44日目  2020年2月13日 
 Tesla Inc. 2020年12月期  2021年2月8日  39日目 2021年2月8日 
 Tesla Inc. 2021年12月期 2022年2月7日 38日目 2022年2月7日 



ドイツ上場企業のフォルクスワーゲン(Volkswagen AG)の12月決算の年次報告書の監査報告書はPwC222日付でサインをして監査を終了している。決算から60日以内で公表している。

ドイツ高級車のダイムラー(Daimler AG)の12月決算の年次報告書にはPwCの監査報告書が213日付で出されている。決算から44日目に監査報告書が出されている。

フランス上場企業のアクサ(AXA)の12月決算の年次報告書の監査報告書は、311日付で共同監査人のPwCとマザーズ(Mazars)がサインしている2か月と11日で監査を終えている。


英国企業のユニリーバの年次報告書は12月決算で36日付となって2か月と6日でKPMGは監査を終えている

英国の製薬大手グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)の年次報告書は12月決算で311日付となっており、デロイトは決算後70日で監査を終えている
なお、グラクソ・スミスクラインの5月までCFOであったサイモン・ディンジマンズ( Simon Dingemans)氏は、財務報告評議会(FRC)の次期会長に任命され、新たな組織「監査、報告及び統治機構(the Audit, Reporting and Governance Authority)」への移行を担うという。(モーニングスター・ニュース2019年7月23日

ロールスロイス・ホールディング(Rolls-Royce Holdings)の年次報告書は12月決算で2月28日付の監査報告書(PwC)となっており、PwCは60日以内に監査を終えている。なお前年2017年の監査人は28年間担当していたKPMGであった。KAMの数も多い。

ロンドン証券取引所の12月決算の年次報告はEY31日付で監査報告書を提出し公開している


米国SECの早期登録会社の年次報告書は60日以内の登録を2006年から行っている。


米国証券取引委員会(SEC)は、Large Accelerated Filers(早期登録大規模会社時価総額7億ドル(約800億円)以上の企業。米国SOX法の定義によるに対して年次報告書(Form 10-K)のエドガー・データーベースへの登録を90日以内から60日以内へ短縮した。

ITの技術の進化により、一定程度の規模の企業には、情報開示にIT導入が可能と考え、投資家への情報開示を、よりタイムリーに提供しようとする努力の証であろう。

  報告書の登録に関する改定期限  
Revised Deadlines For Filing Periodic Reports
 

Category of Filer登録会社のカテゴリー

(public float時価総額)

 Form 10-K Deadline
年次報告書の登録期限
 Form 10-Q Deadline
四半期報告書の登録期限
 Large Accelerated Filer早期登録大規模会社
($700MM or more 時価総額7億ドル(約800億円)以上の企業)
 60 days 60日以内  40 days 40日以内
 Accelerated Filer 早期登録会社
($75MM or more and less than $700MM 時価総額7億ドル以下75百万ドル以上)
 75 days 75日以内  40 days 40日以内
 Non-accelerated Filer非早期登録会社
(less than $75MM75百万ドル)
 90 days 90日以内  45 days 45日以内

① 米国の四半期報告書(Form 10-Q)はレビュー報告書の添付を要求されていない。タイムリー・ディスクロージャーが目的である。
   無論、日本のような中間監査報告書はない。 監査を実施していないので「監査」の用語はミスリードさせるので使用できない。

② Amendments to the Accelerated Filer and Large Accelerated Filer Definitions 売上の僅少の会社を除外しするなど大規模会社の定義を変更


これにより、Large Accelerated Filer早期登録大規模会社であるIMBGEなどは40日以内にエドガー・データーベースへの登録を行っている。両社ともに12月決算で監査報告書(IBMのForm10-KGEのForm10-K)は60日以内の2月26日付である。

早期開示が要求されるのは、大規模会社には、資本市場からの資本調達や、株式の流動性が高く、企業の合併買収などで上場株式で対価の支払いを行えるなどで、規模が大きいほど大きな恩恵を受けており、投資家によりタイムリーな情報を提供する義務があり、また、そのためのIT投資を負担する財務内容があるということだろうか。

この登録期限の短縮は、20061215日以降に終了する事業年度から60日以内に監査済み年次報告書(Form 10-K)をSECのエドガー・データベースへ登録が義務付けられている。すでに13年経つのだ。

開示期限の短縮は、不正会計の入る余裕を減少し、不正会計のリスクを減少する効果がある。

SEC - 「早期提出会社」及び「大規模早期提出会社」の定義に関する改訂案を公表(英語)(米国基準) 2019年5月
この改訂案は、小規模報告企業(smaller reporting company, SRC)の要件を満たし、かつ年間収益が$100 million未満の発行企業を、「早期提出会社」及び「大規模早期提出会社」の定義から除外するものです。この改訂は、より多くの小規模報告企業に、内部統制に関する監査証明の要求事項の遵守を免除することになります。英語コンテンツ(原文)

日本の場合:

有価証券報告書の提出期限は、事業年度経過後3ヶ月以内、四半期報告書の提出期限は各四半期終了後45日以内とされています。

手書き、そろばん時代の開示期間のままだ。資本市場から大きな恩恵を受ける大手企業には、資本市場へのタイムリーな情報提供が求められよう。また、大手企業には、情報開示に必要なIT投資の負担に耐えられよう。IT時代、AI時代に相応しい開示期間があってよいのではないか。

一方、会社法の公開会社においては、株主総会の日の2週間前までに招集通知を発送する必要があります。(株主総会招集通知の発送期限(会299条)

株主総会の招集通知は、計算書類、連結計算書類及び事業報告に監査役及び会計監査人の監査報告書を添付する。様式等は経団連が用意している

日本は、IT技術が進化して財務諸表を早期に作成できても、会社法の株主総会用の事業報告書と、金商法の投資家保護用としての有価証券報告書が、同じ財務諸表にそれぞれ異なった開示要求がありそれを満たした作業に追われ、せっかく早期の決算を行っても相互の整合性を確かめる時間が必要となって遅れてしまう結果となっている。海外では、上場会社は有価証券報告書(年次報告書)を作成すれば重複した類似の計算書類を作成することはない。

そこで、内閣府(従来は経済産業省の研究会で検討していた)が中心となって、内閣官房 金融庁 法務省 経済産業省が、平成30年(2018年)12月28日付で纏められた。

内閣府が、「未来投資戦略2018」では、「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組について」(平成29年12月28日)を踏まえ、金融商品取引法に基づく有価証券報告書と会社法に基づく事業報告・計算書類(事業報告等)との一体的な開示を行おうとする企業の試行的取組を支援しつつ、一体的開示例・関連する課題等について検討することとしています。(平成30年12月28日金融庁  下記ファイルは中心となった「経済産業省」のサイトからダウンロードしたもので、金融庁、法務省は他人事のようで内容の紹介をしていません。縦割り行政を残したものとなっています。特に、単独財務諸表を省略して連結財務諸表に一つにまとめ分り易く作成し易く充実した開示を求めようとしないのか不思議だ。投資家にとってタイムリーで分かり易い財務情報は必要であろう。早期化によるタイムリー・ディスクロージャー(速報性・正確性)には、作成し易く、シンプルで分かり易いことが必要だ。連結財務諸表と単独財務諸表を開示するということはかなりの部分で二重に作成していて工数は過重となる。監査も連単で時間を使う。時間の短縮にはつながらない。作成コストに見合うだけの有用性が単独財務数値にあるとは思えない。少なくとも米国は開示を求めていない。

内閣府事業報告等と有価証券報告書の一体的開示」(概要)には、我が国においては、会社法に基づく事業報告及び計算書類(以下「事業報告 等」)と、金融商品取引法に基づく有価証券報告書という2本立ての開示が求 められる制度となっている。そして、前者は、(定時株主総会の招集の通知に 際して株主に提供されなければならないものであるため)定時株主総会前に作 成される必要があり、後者は、実務上、定時株主総会後に提出されることが多 い。 一方、諸外国においては、決算期末から株主総会開催日までの期間が日本の場合より長く、我が国の会社法と金融商品取引法がそれぞれ要請する開示内容 に相当する内容を開示する一つの書類を作成し、株主総会前に開示している企 業が多い。 諸外国と同様、一体の書類又は二つの書類の段階的若し くは同時提出のいずれの方法による開示も容易に行うこと(すなわち事業報告 等と有価証券報告書の一体的開示)をより行いやすくするための環境整備を行 うことが求められる。 上記の環境整備の一環として、当面、類似・関連する項目について、可能な 範囲で共通化を図ることとする。 事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組の支援について

日本の上記認識は、①IT技術の進展で企業の決算が早まり監査報告書も早くに出せるようになっていることを認識していない点と、②諸外国の株主総会開催日までの期間が日本より長くといって開催日を伸ばそうという意見があることの二つの認識違いがある。一番の問題は、日本政府は、IT技術の進化による早期決算の現実を認識していないことと、早期監査報告書の提出している現状を把握していないことがある。

米国のようにIT技術の進化と監査の早期化により決算日から1か月以内に監査報告書を提出している企業もあり、早期登録大規模会社の年次報告書は決算から40日以内の登録を13年間続けてきている現実がある。米国同様にできるならば、日本の会社法の公開会社の株主総会の日の2週間前までに招集通知を出せばよいので、株主総会開催日を現行通りであっても不都合もないことになる。


監査報告書の一体化についての日本公認会計所協会の検討

平成29年8月22日 、日本公認会計士協会は事業報告等と有価証券報告書の一体的開示 についての検討 」を公表しているが、結論は、「つまり、有価証券報告書に会社法の計算書 類に含まれていた貸借対照表や損益計算書等と同内容のものが含まれていたとしても、 金融商品取引法の監査において、追加的に作成される差分(例えば、キャッシュ・フロ ー計算書)のみを対象に監査報告書を出すことは想定されていないため留意する必要が ある(作成時点の相違による後発事象は論点の3を参照)。したがって、会社法の計算書 類の監査と、金融商品取引法の財務諸表の監査は、各々の開示書類に係る表示検討の監 査手続は効率化されるが、それぞれ現行と同じように実施することになる」として監査報告書の一体化を否定している。

日本で、時価総額800億円(7億ドル)以上の会社というと、日本では856社程度だ。Large Accelerated Filers(早期登録大規模会社時価総額7億ドル(約800億円)以上の企業であれば、情報開示に関するIT投資が可能な会社ということだ。


東京証券取引所の決算短信について:

東証の決算短信が新たな開示規制になっていたところが、政府は、『日本再興戦略』改訂2015において、持続的に企業価値を向上させるための企業と投資家の建設的な対話を促進する観点から、企業の情報開示に関する諸制度や実務を横断的に見直し、全体として実効的で効率的な仕組みを構築することを求めております。これを受けた「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ」報告では、会社法、金融商品取引法、上場規則に基づく3つの制度開示(事業報告等、有価証券報告書、決算短信)について、開示の自由度を高めて、全体としてより適時に、より分かりやすく、より効果的・効率的にすることで、建設的な対話を促進するとの提言がなされました。
その提言に従い、決算短信・四半期決算短信の開示の自由度を高めるとともに、速報としての役割に特化するため、作成要領等を改定いたしました(20172月)。

東証の決算短信は決算発表早期化として米国の登録期限の短縮を意識しているようだ。事業年度又は連結会計年度に係る決算の内容の開示時期が、決算期末後50日(50日目が休 日である場合は、その翌営業日)を超えることとなった場合には~、と米国の大企業の登録期限60日を意識しているし、四半期は40日を意識しはじめている。

東証の〔決算短信等には監査等が不要であることについて〕を文字通り解釈する人はいないだろう。会社は訂正を恐れるからだ。従って、「監査の早期化」も米国同様に行う必要がある。

EYが「平成29年3月期 有報開示事例分析 第1回:定時株主総会前に有価証券報告書を提出している会社16社」、「平成30年3月期 有報開示事例分析  第6回:総会前提出を公表している。

なお、2019年のソフトバンクグループは、3月決算で、トーマツは有価証券報告書の監査報告書を6月19日付で報告している。多少早い。英文の年次報告書でデロイト・トーマツは6月20日付の監査報告書を添付している。
また、HOYAは3月決算で6月7日に有価証券報告書を提出しており日本企業としては非常に早い。監査報告書はトーマツで6月7日付で添付されている。

株価総額の高い上場企業の資本市場で受ける恩恵の程度は高い

株価総額が高い企業の株式は、市場での流動性が高くその分利用価値が高い。①ストックオプションとして従業員等に支給したり、②合併買収に自社の株式を交付したりできる。資本市場から受ける便益は大きいと言える。そればかりでなく、税制での優遇税制があり、株式譲渡益や受取配当金に対する低率の課税をされており、資本市場から受ける恩恵は二重に受けていると言える。

例えば、ZOZOTOWNを例にとると、下記の通りとなる。 株価は2019822日現在の終値有価証券報告書は2019年3月期・・発行済み株式数と社長の持株数

 ZOZOTOWNの株価総額  7,021億円  (株価@¥2253311,644,285株発行済み)
 社長前澤友作氏持分35.94  2,472億円  =  (株価@¥2253109,726,600株所有)

上記の米国SECの開示基準でいえば、株価総額800億円(7億ドル)を超えているので決算日から60日以内の有価証券報告書(Form10-K)を登録する義務があることになる。株価総額の高い会社には、より厳しいタイムリー・ディスクロジャー(早期の情報開示)が求められている。株価総額が高いということは、資本市場からの恩恵を受けているし、IT投資に十分な資金を資本市場から調達でき、投資家保護に重点をおいているといえる。

税制について:
 株式の譲渡益課税は、20.315%(国税15.315%地方税5%)の申告分離課税及び大口株主の受取配当金には20.42%(地方税なし)の源泉徴収される。  4千万円を超える所得税率45%および個人住民税(都道府県民税4%と市町村民税6%)の合計55%に比べ優遇されている。つまり、社長の持分2472億円の株を譲渡してその譲渡益(株の購入価額を控除して譲渡益を出す)に20.315%の納税額で済むのだ。ただし通常は会社を支配しているためには支配に必要な株数は譲渡しない。

ZOZO前澤氏とSpaceXによる宇宙旅行、常識破りの計画」によれば、「一人あたり約100億円、9人搭乗した場合には総額で1000億円近くの費用がかかるとの推測も登場している」と記事にあるが荒唐無稽ではないのだ。

株価総額の高い企業は、①資本市場に上場することにより株式時価で譲渡できるという大きな恩恵を受け、②かつ、株式譲渡益と受取配当金の税制で所得税及び地方税で低率の税金の大きな恩恵を受ける、二重の恩恵を受けていることになる。大企業の情報開示に関する規制は、タイムリー・ディスクロージャー(早期の情報開示)やフェア・ディスクロージャー(公正な情報開示FD)が投資家保護に重要だ。

2019年9月12日朝ヤフーがZOZOTOWNの株式の過半数をTOBで取得するというニュースが飛び込んできた株価を見ると昨日の終値2,166円から、今日の始値2,566円へ上昇していた。株価総額も7710億円に上昇していた。

ヤフー株式会社による当社株式に対する公開買付けの開始予定に関する 意見表明及び同社との資本業務提携契約締結に関するお知らせ by代表取締役社長兼 CEO 澤田宏太郎 (NTTデータ出身)

本公開買付けに際して、公開買付者は、当社の創業者かつ前代表取締役社長であり筆頭株主で ある前澤氏との間で、その所有する当社株式(112,226,600 株、所有割合:36.76%)の うち、一部の株式(92,726,600 株、所有割合:30.37%、以下「応募予定株式」といいます。) について本公開買付けに応募する旨の公開買付応募契約(以下「本応募契約」といいます。)を 本日付で締結したとのことです。なお、前澤氏が所有する対象者 株式から、応募予定株式を控除した株式数は、19,500,000 株(所有割合:6.39%)となります。

(ⅰ)応募義務 ・前澤氏は、応募予定株式(92,726,600 株(所有割合:30.37%))について、遅くとも本公開 買付けの開始日から 15 営業日以内に、当該株式に係る担保権その他の負担等を全て解除した 上で、解除され次第直ちに本公開買付けに応募し、かつ、その後応募を撤回せず、応募によ り成立する買付けに係る契約を解除しない。ただし、応募予定株式のうち 65,151,100 株(所 有割合:21.34%)に設定された担保権の被担保債務に係る債権者が、当該被担保債務の期限 前弁済を実行することについて前澤氏の責に帰すべき事由がないにもかかわらず承諾しない場合はこの限りでない。前澤氏は、かかる債権者から当該被担保債務の期限前弁済を実行す ることに係る承諾を取得するよう最大限努力する。

経済産業省の「平成 28 年度産業経済研究委託事業」「持続的な企業価値の創造に向けた企業と投資家の対話の在り方 及び企業会計・開示に関する調査研究」報告書 平成 29 3 31 有限責任 あずさ監査法人 の報告書

持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会報告書について【経済産業省】 かなり広範囲に網羅的に研究し豊富な資料を揃えているが、どの程度咀嚼して日本の制度改革に貢献しているのかかなり疑問。【基礎資料】には米英独仏は、大規模上場会社のIT時代に対応して情報開示を速めているが、日本では「手書きそろばん時代」の情報開示の期限は変えず株主総会期日を後倒しの検討して時代に逆行している。【基礎資料】参照
つまり、国の仕事をして感じることだが、国家公務員は”超ドメスティック(国内に終始)”で国際的なことは苦手なのだ。例えば、国内の単独財務諸表中心から国外を含めた連結財務諸表中心の制度に抵抗したのは官僚である。①IT時代の現場実務に疎いこと、②SAP社のERPのように海外連結子会社を含むシステムを理解していないか遠い先の話のように思っている節があること、グローバルと言いながら、グローバルな仕事をしていない国家公務員の理解度の低さが現状を正しく捉えられなくなっているのだ。つい先日まで「低酸素社会」を目標に効率の良い火力発電を推奨していた日本が、国際社会の批判に晒され、欧州で「脱炭素社会」が常識になっていたのとまったく同じ構造だ。

官僚の仕事が”超ドメスティック(国内に終始)”なもので、国内外の連結決算の現場を知らなさすぎるのだ。理解不能なのではないか。あずさ監査法人の作成た基礎資料を見れば米英独仏の大企業が60日程度で情報開示しており、3か月で開示している日本と歴然と変化していることが分かるのだが全く無視されているのだ。

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