国際監査基準(ISA)

国際監査基準(ISA)、品質管理に関する国際基準(ISQC)、
国際会計士連盟(IFAC)の翻訳はドイツ語は含むが、日本語含まず
国際監査・保証審議会IAASB
IOSCOが適用促進
国際監査基準(ISA)の一覧
2009年版
クラリティ・スタンダード
日本公認会計士協会委員会報告書
IFRS 開示チェックリスト

公的部門(INTOSAI)にも適用
国際監査基準の枠組み 
アサーションとは

中小企業監査のガイド
IFAC
米国ではPCAOBが設定
監査報告書基準(案)

監査と会計は密接不可分

米国会計検査院(GAO)の

政府監査基準


米国公会計・公監査制度
中小企業の国際監査基準のガイド
by IFAC中小企業実務委員会
監査人の責任を云々〜と,
監査報告書に記載される
「一般に公正妥当と認められ
る監査の基準」が抱える
『監査基準』と
『監査基準委員会報告書』等
との間の問題が,再び,
今回のオリンパス(東芝)
不正会計事件をきっかけに
表面化したと考える

by鳥羽至英 氏
我が国の業績公監査の発展と公認会計士等の役割
欧州が第三国の監査制度の同等性検討

EU監査人交代制検討開始(2010年10月)
EU監査法人6年交代制(案)2011年12月

米国も監査人交代制検討(2011年8月)

EU監査法人14年交代で決着(2013年4月)

EU監査法人10年交代制2014年4月3日
入札すれば20年、共同監査で24年を上限

監査報告書改革(EU,PCAOB,IAASB)
欧州がISAを適用

2011年で70ヶ国超が適用

国際監査基準第701号
「独立監査人の監査報告書における
監査上の主要な事項のコミュニケーション
 COMMUNICATING KEY AUDIT
MATTERS IN THE INDEPENDENT
AUDITOR’S REPORT」


「監査報告書の改訂(長文化)」に
見る監査およびガバナンスの
本質的な課題  by  内野 逸勢 氏
結論から先に述べれば、
監査が「ブラックボックス化」
しているという単純な問題意識から
由来する財務諸表監査自体
の透明性を向上させること。
米国中小企業の基準の設定

2017年6月1日、米国PCAOB改正
監査基準書3101号の適用により
、Criticai Audit Matters (CAM,
重要な監査事項)を監査報告書
に開示し読者の便益に
資することになった。


金融庁
監査報告書に
重要な監査事項を開示する
監査基準検討開始

2017年6月26日
日本は金融庁の役人が設定
金融庁開示課長が作る監査基準
開示課長の任期は短い

継続企業の前提

東電で試される監査基準

東電の財務諸表
廃炉に係る会計検討

外国監査法人への検査
●日本にISAを導入
オリンパス問題基準見直し?2012年5月
不正リスク対応基準」(2月28日)
役人が作った基準・汚点


不正リスク対応基準の設定
に関する意見書


東芝の不正会計
機能したのか

監査法人の
ガバナンス・コードの策定

Audit Firm
Governance Code


東芝の不正会計
機能したのか



監査基準の改定議論
2013年11月
公認会計士協会のコメント

特別目的の財務諸表
の監査を含む改定基準

2014年2月18日

監査報告書に
重要な監査事項を開示する
監査基準検討開始

2017年6月26日

中国は国際基準に類似

中国が完全共通化を公表
2011年より適用

会計検査院の国際機関
INTOSAI
 
公会計監査の国差基準設定
政府検査基準の作成
政府の内部統制基準の作成
内部統制の監査 2005年に英国が変わる
国際事務所のCEOが国際監査基準のコンバージェンスを提唱 英国のコーポレートガバナンス監査

監査事務所ガバナンス・コード
(Audit Firm Gavernance Code)

より親切で、紳士的な監査 A kinder, gentler audit
任意監査を想定していない日本特有の監査報告書・・国際基準は法定監査・任意監査の区別がない

はじめに

2000年6月13日、欧州委員会(European Commission)は、国際的な資金調達の障壁を解消するため、透明性を高めるため、投資家保護のため、2005年からすべての上場会社に国際会計基準の適用を欧州連合国に要請する「コミュニュケ」を公表した。 2002年7月19日承認の「(EC)No1606/2002国際会計基準の適用に関する規則」を参照。

2003年5月21日、欧州委員会は監査の質を向上させるため10項目の計画を公表した。2003年から2004年の短期計画として、@監査の公的監視、品質保証、監査人教育と独立性、倫理、監査基準、罰則、選任及び解任の原則を含んだ第8指令の近代化、A監査の欧州連合版PCAOBの創設、B監査の監視強化、C2005年からの法定監査(上場会社7千社および法定監査2百万社)に国際監査基準(ISA)を適用、2004年から2006年の中期計画として、D罰則の改善、E会計監査事務所の情報開示・透明性、F監査委員会と内部統制の強化、G監査人の独立性と倫理の強化、H監査事務所の国境を超えたサービス規制の撤廃、I欧州各国の監査人の責任制度の調査、の10項目を挙げている。(ECの監査   Full Text   参照)

2004年3月16日、ECは「EUにおける法定監査に関する指令案(Proposal for a Directive on statutory audit of annual accounts and consolidated accounts and amending Council Directives 78/660/EEC and 83/349/EEC)」を公表し、2005年半ばに採択される予定。

EUの指令及び規則については「Directives on statutory audit」を、監査に関しては「Auditing」を参照。)

Directive 2006/43/EC on statutory audit of annual accounts and consolidated accounts and amending Council Directives 78/660/EEC and 83/349/EEC (of 17 May 2006)・・26条で国際監査基準適用規定および45条以下で第三国の監査事務所の登録と監査事務所の監視に関する規定が盛り込まれている。

2005年から、欧州連合(EU)の上場会社約7,000社が国際会計基準で財務諸表を作成し、会計士は国際監査基準に準拠して監査を実施し監査意見を表明することとなる。(ECの「法定監査指令に関するよくある質問(2004年3月)」参照

欧州会計士連盟
FEE
EUの総人口
540百万人
FEEは欧州32カ国の44会計士団体から構成される欧州連合の団体。
会計士の約45%が会計事務所で、55%が産業界等に従事しているとしている。
会計士の数
500,000人

2003年7月、国際会計士連盟(IFAC)は、「財務報告(企業会計)に対する信頼の再建に向けて;国際的な視点(日本公認会計士協会翻訳版12月)"Rebuilding Public Confidence in Financial Reporting: An International Perspective." 」と題する報告書を公表した。日本では報告書の内容をどの程度反映しているのか心もとないが・・・

2005年2月28日、証券監督者国際機構(IOSCO)等は、国際会計士連盟(IFAC)が設定する監査基準の設定活動を監視する公益監視委員会(PIOB)を組織すると公表した。(「金融庁の2005年2月28日のアナウン」「公益監視委員会(PIOB)創設のアナウンス・2005年2月28日」 「IFAC改革の提案・2003年9月10日(PIOB構想がメイン) (和訳)」「2003年11月14日承認」「2005年3月1日PIOB委員就任承認」 参照)

2007年7月9日、金融庁により公益監視委員会(PIOB)」の新メンバーの選出が行われ北村歳治氏(元大蔵省、早稲田大学教授)が選出された。(「企業財務の分野における国際標準化−公益の立場からみた国際監査基準を巡る欧米の動きと日本−」by北村歳治氏 参照)

日本では新監査基準がダイエーの不透明な官の介入を一瞬にして阻んだ。
経営再建中の大手スーパー、ダイエー(2002年2月、UFJ、三井住友、富士銀行5200億円の金融支援で合意)2004年10月13日、主力取引3銀行が再生機構を活用しない限り金融支援を打ち切ると通告したことを受け、監査法人が04年8月中間決算を承認しない意向を伝えたため、再生機構抜きでは法的整理を回避できないと判断せざるを得ず、民間主導による自主再建を断念し、政府の産業再生機構(05年3月終了)に支援を要請する方針を決めた。Yahooニュース  ダイエーの今日の株価 参照 13日、13円高の240円の終値であった。
新監査基準書(平成14年1月25日)継続企業(ゴーイング・コンサーン)の前提・・「〜重要な債務の不履行、・・企業が将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を抱かせる事象が存在する場合には、〜」の規定が新設されダイエーに適用されたもの。基準が整備され平成15年3月期から適用されているので当然の帰結です。主力行との対立や経済産業省の介入などで混迷した同社の再建問題の焦点は、新しい再建計画の中身に移ることになった(ロイター14日報道)。新監査基準は、結果として不透明な経済産業省の介入を阻んだ。
(経済産業省が高木社長を一時監禁と言うか拘束したという報道があって話題を呼んだ

国際会計士連盟(IFAC)の翻訳はドイツ語は含むが、日本語含まず

2007年8月1日国際会計士連盟IFAC)は、国際的に広く知ってもらうため主要(コア)な部分について、英語に加えて、アラビア語、中国語、フランス語、ロシア語、スペイン語でIFACのサイトに掲載するとしていた。これらの言語はIFACの公用語であると伴に国連(UN)公用語としているが、ドイツ語が入っていて日本語が入っていないのは日本が協力的でないことが反映していると言えよう。

国際会計基準の100カ国以上の普及に国際監査基準もそれに伴って普及する必要性から、各国の翻訳版をデータベースに移行し、自国の翻訳版を入手し易くしている。日本の場合は、公認会計士協会が翻訳したものが掲載されているが古いものしか掲載していない。

2009年6月11日IOSCO(証券監督者国際機構)は声明を発表し、各国証券規制当局に対し、
クロスボーダーでの公募及び上場における国際監査基準(ISA)に基づく監査の受入
国内向けの監査基準設定にあたってISAを考慮に入れること
を促しています。

原文:IOSCOの声明書  金融庁仮訳
なお、現最新版2009年版ISAハンドブックは、2009年12月15日以降効力を有するとしている。

このIOSCOの要請に、金融庁がどのような対応をするのか興味のあるところです。

日本が経済大国を主張しているのであるのなら、日本語を公用語として日本語翻訳を掲載してもらい日本人への周知と日本のプレゼンスを高めることだろう。ちなみに、日本は、金融庁の「企業会計審議会」監査基準を設定している。

国際監査及び保証基準審議会
International Auditing and Assurance Standards Board, IAASB

国際会計士連盟International Federation of Accountants, IFAC・・123カ国158の会計プロフェッションの団体をメンバーとして監査基準や公会計基準を設定している国際組織)は、2001年7月18日、国際監査基準(International Standards on Auditing, ISA)設定に関し、国際監査実務委員会(International Auditing Practice Committee, IAPC)の新組織および監査基準設定手続きについての提言を公表した。(IFACの2008年度の年次報告書 参照)

2001年11月15日の総会で、保証業務を加えて、国際監査及び保証基準審議会International Auditing and Assurance Standards Board, IAASB)と改称し、18人のメンバー(10人はIFACのメンバー、5人は国際監査事務所、3名は非監査人の代表)で構成する。メンバーによってIAPCの提言が承認された。2002年4月9日、国際会計士連盟(IFAC)は、基準設定と適用の国際化を促進するため、新たなホームページ「国際監査及び保証基準審議会(Inetrnational Auditing and Assurance Standards Board, IAASB)」 を開設した。

IAASB2008年年次報告書:クラリティ・スタンダード」によれば、審議会委員(Board member)には日本人から中国人に変わり日本人の委員はおらず、金融庁のオブザーバーとして五十嵐則夫氏が出席しているのみ。無視している日本より導入している中国の公認会計士協会(CICPA)の指名を受けた中国人を委員に選任するのは当然であろう。ちなみに、米国AICPAの指名を受け、かつPCAOBの諮問委員であった者がメンバーとなっている。英国は勅許会計士、ドイツはアーンスト・ヤング会計事務所の監査経験者、フランスは公認会計士協会の指名を受けた監査の専門家がメンバーとなっている。

その後、2010年現在では、日本のASBJ企業会計委員会専門研究員からTomokazu Sekiguchi(元・金融庁総務企画局企業開示課関口智和)氏が2009年から2011年までIAASB Membersとなっているが監査の専門家か監査実務の経験者か不明(IAASB 2009年年次報告書 参照)。(November 2011年からE&YのMakoto Shinohara氏が就任している 2012年年次報告書参照)英国は勅許会計士で監査実務のかなりの経験者であるし、スエ―デンは会計検査院での地位のある監査実務者がメンバーとなっている。現在のメンバーで監査の専門家でないのは日本だけであろう。ひどい話である。金融庁の監査基準(金融庁作成の日本の監査基準書は8ページしかない)に対する認識が垣間見える。) 2010年11月15日、企業会計審議会会計・監査をめぐる動向についての会合で報告しているが、金融庁がどの程度の関心を寄せているか未知数。国際会計基準にしても、基準の中身よりも、金融庁はガバナンスにしか関心を示していない


IAASBが設定している国際基準は以下の通り。

国際基準
International Standards on Auditing (ISAs)
ISQC1、ISA200〜ISA810
監査の国際基準 いわゆる「国際監査基準
International Auditing Practice Statements (IAPSs)
1000〜1100
国際監査実務ステートメント 上記国際基準の実務適用指針
International Standards on Review Engagements (ISREs)
2000〜2699
2400 財務諸表のリビュー
2410 期中財務情報のリビュー
リビュー業務の国際基準 リビュー業務の国際基準
International Standards on Assurance Engagements (ISAEs)
3000〜3699
ISAE3402受託業務に係る内部統制の保証報告書
保証業務の国際基準 財務諸表監査以外の保証業務の国際基準
International Standards on Related Services (ISRSs)
4000〜4699
関連サービスの国際基準 コンピレーション(調整)、合意された手続き、関連業務の国際基準
International Standards on Quality Control (ISQCs)
ISQC1
品質管理の国際基準 上記サービスに係る業務の品質管理の国際基準

IAASBの公表する出版物は「Bookstore 」を参照してください。 2012 Handbooks, Standards and Pronouncements  Volume1(955ページ) Volume2

国際監査基準、保証、および倫理規定の公表の一覧

2009年版、国際監査、保証、および倫理の声明書ハンドブック(2009年12月15日以降開始する事業年度から適用の国際監査基準(ISAs)は次の通りである。(IAASB2008年年次報告書:クラリティ・スタンダード」によれば、審議会委員(Board member)には日本人から中国人に変わり日本人の委員はおらず、金融庁のオブザーバーとしてPwC出身の五十嵐則夫氏が出席しているのみ。監査基準の設定権限を持っている日本の金融庁の役人は出席せず、無視している日本より導入している中国を委員に選任するのは当然であろう。その後、2010年現在では、日本の金融庁からTomokazu Sekiguchi金融庁総務企画局企業開示課関口智和,、現ASBJ常勤委員)氏が2011年までIAASB Membersとなっているが監査の専門家か監査実務の経験者か不明(IAASB 2009年年次報告書 参照)。英国は勅許会計士のかなりの経験者であるし、スエ―デンは会計検査院での地位のある監査実務者がメンバーとなっている。現在のメンバーで監査の専門家でないのは日本だけであろう。ひどい話である。金融庁の監査基準(金融庁作成の日本の監査基準書は8ページしかない)に対する認識が垣間見える。)

なお、2005年から国際会計基準を適用し、かつ、国際監査・保証基準(IAASB)の適用をしている英国は、財務報告会議(FRC)の監査実務審議会(APB)が、IAASBの基準を判り易く一覧して「IAASB Clarity Documents」を監査の実務家(会計士)の便宜に供している。公開草案を含めて現状のIAASBの基準がどうなっているか判り易くしている。特に、ISA710により2009年12月15日以降開始する事業年度から(2010年度から)適用、監査報告書が国際会計基準に合わせて比較財務諸表に監査報告書を作成するようにありつつある。これは、米国監査基準に収斂しつつあることを示している。

なお主要国の翻訳版は”Translations Database”として公開しているが日本語の完結した翻訳がない。下記リストのうち日本語のリンクは、日本公認会計士協会の翻訳等へリンクしています。
なお、日本公認会計士協会の監査基準委員会報告書(下記右欄注1)とISAとの対比一覧を参照してください。・・対比一覧(2011年1月21日現在)  専門情報(監査基準委員会)

日本公認会計士協会は、2011年10月24日、「ISAとの関連性を明確にするため、ISAの体系に沿った報告書番号を付し、」として改めて報告書の番号を訂正した。平成24 年4 月1 日以後開始する事業年度に係る監査又は中間監査から適用する、としている。(「調整作業について」「体系および用語等について」参照)

2011年12月22日日本公認会計士協会は国際監査・保証基準に準拠した「新起草方針に基づく品質管理基準委員会報告書及び監査基準委員会報告書並びに監査・保証実務委員会実務指針の最終報告書」の公表を行った。本報告書は、平成24年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間監査から適用する、としています。(「報告書の一括ダウンロード(533ページ)」)⇒平成24年1月24日公認会計士・監査審査会・・平成24年の会計士論文式試験の対象となります

2012年7月24日日本公認会計士協会監査基準委員会は、「新起草方針に基づく監査基準委員会報告書等の概要」と題して、国際監査基準と国内基準との関係を解説した文書を公表した。この文書には監査証明府令が規定している我が国の監査基準の定義とは異なっている。監査証明府令を改正すべきであろう。

2014年(平成26年)3月31日日本公認会計士協会が公表する実務指針等の公表物の体系及び名称について・・下記のものを掲げ、@からBの公表物については、日本公認会計士協会会則第41条に定める会員が遵守すべき基準等に該当するものです、としています。 会則に遵守すべき基準等の定義が規定してなくていきなり「〜名称について」に注記する形では強引すぎて不明瞭・不自然で姑息だ。監査の失敗による監査人の責任を問う場合に不明瞭(generally accepted standardsなのか不明瞭)になる。国際監査基準がわが国では委員会報告(金融庁の言う指針に該当)になってしまうのは国際的にみて無理がある。国際会計基準(IFRS)の日本での適用のようになぜしないのか。金融庁のご都合主義か。
監査人の責任を云々しなければならない状況になると,この問題は非常に大きな意味を監査関係者に投げかけることになる。監査報告書に記載される「一般に公正妥当と認められる監査の基準」が抱える『監査基準』と『監査基準委員会報告書』等との間の問題が,再び,今回のオリンパス(東芝)不正会計事件をきっかけに表面化したと考える(936ページ下段)by鳥羽至英 氏

@ 報告書
   業種、業界、分野を問わず基本となるもので、かつ、監査又は会計に関する基準の設定主体からの委任を受けたもの
                                                 (↑金融庁・企業会計審議会の「監査基準」のこと)
A 実務指針
   ア.業種、業界、分野を問わず基本となるもの(「報告書」としたものを除く。)
   イ.特定の業種、業界、分野を対象とするもの

B 通達
  基準又は報告書若しくは実務指針の範囲内での適用方法、取扱い等について注意喚起等するためのもの

C 研究報告
  委員会における研究の成果

D 研究資料
  委員会において答申等として結論を得るには至らなかった場合等における当該委員会の審議過程の状況、結論を得るには至らなかった理由等を整理したもの

監査及び品質管理に関する国際基準のハンドブック
2009年版
(全825ページ)
基準書
番号
基準書内容 page 日本公認
会計士協会
委員会報告
番号(注1

品質管理に関する国際基準
INTERNATIONAL STANDARDS ON QUALITY CONTROL (ISQCs)

2011年
12月22日
ISQC 1

財務諸表監査、リビュー、その他の保証及び関連するサービスを行う事務所の品質管理
Quality Controls for Firms that Perform Audits and Reviews of Financial Statements, and Other Assurance and Related Services Engagements ........

41 第1号

歴史的財務情報の監査
AUDITS OF HISTORICAL FINANCIAL INFORMATION

    一般原則と責任
200-299 GENERAL PRINCIPLES AND RESPONSIBILITIES

体系・用語
ISA 200

独立監査人の総括的目的及び国際監査基準に準拠した監査の実施
Overall Objectives of the Independent Auditor and the Conduct
of an Audit in Accordance with International Standards on Auditing ............

77 200
ISA 210

監査契約の約定項目の同意
Agreeing the Terms of Audit Engagements ...........................................

107 210
ISA 220

財務諸表の監査に関する品質管理
Quality Control for an Audit of Financial Statements ............................

130 220
ISA 230

監査の文書化
Audit Documentation...........................

149 230
ISA 240

財務諸表の監査における不正に関連しての監査人の責任
The Auditor's Responsibilities Relating to Fraud in an Audit of
Financial Statements .......................................................................................

163 240
ISA 250

財務諸表の監査における法律及び規則の検討
Consideration of Laws and Regulations in an Audit of Financial
Statements .......................................................................................................

207 250
ISA 260

統治責任者とのコミュニケーション
Communication with Those Charged with Governance .........................

222 260
ISA 265

統治責任者及び経営者との内部統制における意思疎通の欠如
Communicating Deficiencies in Internal Control to Those Charged
with Governance and Management ................................................................

246 265

    リスク評価及び評価したリスクへの対応
300-499 RISK ASSESSMENT AND RESPONSE TO ASSESSED RISKS

ISA 300

財務諸表の監査計画
Planning an Audit of Financial Statements ............................................

258 300
ISA 315

事業体とその環境の理解及び重要な虚偽表示のリスク評価
Identifying and Assessing the Risks of Material Misstatement
through Understanding the Entity and Its Environment .................................

271 315
ISA 320

監査の実施及び計画における重要性
Materiality in Planning and Performing an Audit ..................................

322 320
ISA 330

評価されたリスクに対する監査人の対応
The Auditor’s Responses to Assessed Risks ..........................................

331 330
ISA 402

受託会社を利用する事業体に関する監査上の考慮事項
Audit Considerations Relating to an Entity Using a Service
Organization ...................................................................................................

355 402
ISA 450

監査によって特定された虚偽表示事項の評価
Evaluation of Misstatements Identified during the Audit .......................

379 450

    監査証拠
500-599 AUDIT EVIDENCE

ISA 500

監査証拠
Audit Evidence .......................................................................................

391 500
ISA 501

監査証拠--選択した項目の特別な検討
Audit Evidence-Specific Considerations for Selected Items ...............

409 501
ISA 505

外部への確認書
External Confirmations ..........................................................................

420 505
ISA 510

初年度監査契約--期首残高
Initial Audit Engagements-Opening Balances ....................................

432 510
ISA 520

分析的手続き
Analytical Procedures ............................................................................

445 520
ISA 530

サンプリング監査
Audit Sampling ......................................................................................

453 530
ISA 540

会計上の見積の監査、公正価値会計の見積及び関連開示を含む
Auditing Accounting Estimates, Including Fair Value Accounting
Estimates, and Related Disclosures ...............................................................

470 540
ISA 550

関連当事者
Related Parties .......................................................................................

516 550
ISA 560

後発事象
Subsequent Events .................................................................................

544 560
ISA 570

継続企業の前提
Going Concern .......................................................................................

557 570
ISA 580

書面による経営者の陳述
Written Representations ........................................................................

574 580

    他の監査人の監査の利用
600-699 USING WORK OF OTHERS

ISA 600

特別な検討--グループ財務諸表の監査(子会社等の監査人の監査の利用を含む)
Special Considerations-Audits of Group Financial Statements
(Including the Work of Component Auditors) ...............................................

591 600
ISA 610

内部監査人の業務の利用
Using the Work of Internal Auditors .....................................................

642 610
ISA 620

専門家の業務の利用
Using the Work of an Auditor’s Expert .................................................

649 620

    監査の結果及び報告書作成
700-799 AUDIT CONCLUSIONS AND REPORTING

ISA 700

財務諸表の監査意見の形成及び報告書作成
Forming an Opinion and Reporting on Financial Statements ................

670 700
ISA 700
(revised)
International Standard on Auditing(UK)700(Revised June 2016)
Forming an opinion and Reporting on Financial Statements
ISA 700(改訂) 付録 文例2 監査報告書の文例
ISA 701 独立監査人の監査報告書における監査上の主要な事項のコミュニケーション
COMMUNICATING KEY AUDIT MATTERS IN THE INDEPENDENT AUDITOR’S REPORT
参考:「監査報告書の改定(長文化)」に見る監査およびガバナンスの本質的な課題」by内野逸勢氏大和総研
New
ISA 705

独立監査人の報告書の意見に対する修正
Modifications to the Opinion in the Independent Auditor’s Report ......

699 705
ISA 706

独立監査人の報告書で強調するパラグラフ及びその他のパラグラフ
Emphasis of Matter Paragraphs and Other Matter Paragraphs in
the Independent Auditor’s Report ..................................................................

727 706
ISA 710

比較財務情報--対応する数値及び比較財務諸表
Comparative Information-Corresponding Figures and Comparative
Financial Statements ......................................................................................

739 710
ISA 720

監査済み財務諸表に含まれる文書の中のその他の情報に関する監査人の責任
The Auditor’s Responsibilities Relating to Other Information in
Documents Containing Audited Financial Statements ..................................

759 720

    特別な領域
800-899 SPECIALIZED AREAS

ISA 800

特別な検討-特別目的のフレームワークに従って作成された財務諸表の監査
Special Considerations-Audits of Financial Statements
Prepared in Accordance with Special Purpose Frameworks ..........................

766 800
ISA 805

特別な検討--単独財務諸表の監査、特定の要素の監査、財務諸表の項目、又は科目の監査
Special Considerations-Audits of Single Financial Statements
and Specific Elements, Accounts or Items of a Financial Statement .............

782 805
ISA 810

要約財務諸表の報告に関する契約
Engagements to Report on Summary Financial Statements ..................

800
900- 999 その他の考慮事項
監査人の交代 (2012年5月、オリンパスの監査を受けて企業会計審議会が再検討か?企業会計審議会」)
(参考:米国監査基準AU315 Communications Between Predecessor and Successor Auditors
900
中間監査 910
監査・保証実務委員会実務指針
監査報告書の文例 (2011年7月8日)平成23 年4月1日以後開始する事業年度から適用する 第85号
受託業務に係る内部統制の保証報告書 第86号
監査・保証実務委員会報告
継続企業の前提に関する開示について 第74号
後発事象に関する監査上の取り扱い 第76号

日本公認会計士協会は、平成24年12月21日に企業会計審議会から公表された「監査における不正リスク対応基準(仮称)」(以下、「不正リスク対応基準」という)を踏まえ、関連する監査基準委員会報告書について改正を検討してまいりました。このたび、ある程度の検討を終えたため、以下の監査基準委員会報告書の改正案について草案として公表し、広く意見を募集することといたしました。

監査基準委員会報告書(序)「監査基準委員会報告書の体系及び用語」

監査基準委員会報告書200「財務諸表監査における総括的な目的」

監査基準委員会報告書240「財務諸表監査における不正」

監査基準委員会報告書330「評価したリスクに対応する監査人の手続」

監査基準委員会報告書505「確認」

監査基準委員会報告書600「グループ監査」

監査基準委員会報告書910「中間監査」

監査基準委員会研究報告第1号『監査ツール』」の改正(2013年08月07日)

ハンドブックの2ページの「明瞭性のプロジェクト」の項に、以下の記述がある。金融庁の「監査基準の改定に関する意見書」に同様の記述がある。

In March 2009, the IAASB announced the completion of its 18-month long program to comprehensively review all of its ISAs and ISQC to improve their clarity (Clarity project). As a result of this landmark achievement, auditors worldwide will have access to 36 newly updated and clarified ISAs and a clarified ISQC. These standards are designed to enhance the understanding and implementation of them, as well as to facilitate translation. The clarified standards, all of which are contained in this handbook, are effective for audits of financial statements for periods beginning on or after December 15, 2009.

監査基準の改訂に関する意見書
平成2 年4 月9

国際監査基準については、すべての基準を必須手続とそれ以外の手続に明確に区分することなどを内容とする明瞭性(クラリティ)プロジェクトが2009年(平成21年)3月に完了したところである。

 仮に国際会計基準を導入する場合には、それが任意適用の段階であっても、国際会計基準に基づく財務諸表を適切に監査できることが必要である。我が国においても、こうした動きを踏まえて、継続的に監査基準を見直し、国際的な監査の基準との整合性をより高めつつ、公認会計士監査の質の向上を不断に図っていくことが重要であると考えられる。このため、当審議会では、今後も、継続的な監査基準の改訂作業を進めていく考えである。

米国公認会計士協会(AICPA)は、国際監査・保証基準委員会(the International Auditing and Assurance Standards Board (IAASB))とコンバージェントすべく作業を進めている。下記はそのAICPAのサイトで、作業が、上記国際監査基準と同じ項目にしてあることで分かり易い。Improving the Clarity of ASB Standards参照

IOSCOが適用促進


2009年6月11日IOSCO(証券監督者国際機構)は声明を発表し、各国証券規制当局に対し、
クロスボーダーでの公募及び上場における国際監査基準(ISA)に基づく監査の受入
国内向けの監査基準設定にあたってISAを考慮に入れること
を促しています。

原文:IOSCOの声明書  金融庁仮訳

なお、現最新版2009年版ISAハンドブックは、2009年12月15日以降効力を有するとしている。

2009年6月30日金融庁・企業会計審議会・監査部会は、会合を開き国際的な監査基準の改訂に合わせ、継続的に監査基準の改訂作業を進めることを決めた。また、監査基準をめぐる国際的な動向を踏まえ、我が国における国際監査基準の取扱いについて検討を行う、としている。注目されるのは、「クラリティ・プロジェクトについて」によれば、日本公認会計士協会の監査基準委員会報告書(第40号「財務諸表監査における不正」(中間報告)ISA240第37号「監査計画」(中間報告)ISA300第38号「企業及び企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示のリスクの識別と評価」(中間報告)ISA315第39号「評価したリスクに対応する監査人の手続」(中間報告)ISA330)しか翻訳していないという事実をどうするのかということ。

2013年6月4日日本公認会計士協会は、ISA「公的部門特有の考慮事項の検討」を公表した。ISAは、民間部門のみならず、公的部門の監査にも共通的に適用される。要求事項と適用指針に分かれており、「公的部門特有の考慮事項」は全て適用指針として規定されている。「公的部門特有の考慮事項」の検討は、ISAの明瞭性プロジェクト開始当初から、並行して進められた。検討は、国際監査・保証基準審議会(IAASB)と最高会計検査機関国際組織(INTOSAI)の共同で進められた。INTOSAI は各国会計検査院の連合組織であり、各国会計検査院が参考とすべき政府検査の基準及び指針を公表している。改訂後のISAは、INTOSAI が公表する最高会計検査機関国際基準(ISSAI)の一部としてその全文が取り入れられている

参考:「企業財務の分野における国際標準化・・公益の立場からみた国際監査基準を巡る欧米の動きと日本・・」by北村歳治早稲田大学教授(2009年7月17日)

IFRS開示チェックリスト

会計監査人は、財務諸表がIFRSの要求する開示事項が適切に不足なく十分に開示されているかどうかについてチェックする必要から、大手会計事務所がIFRSの該当パラグラフをチェックリストにまとめて監査調書として使えるようにしている。財務諸表作成者のセルフ・チェックにも使え参考となるものである。

PwCの「IFRS disclosure checklist 2012
デロイトの「Presentation and disclosure checklist 2012
KPMGの「IFRS disclosure checklist 2012」あずさ監査法人英語版「開示チェックリスト(2012年6月)」「2012年IFRSチェックリスト」「2011年日本語版・英語版
アーンスト・アンド・ヤングの「International GAAP Disclosure Checklist 2012

国際監査基準の枠組み
ISA120 Framework of International Standards on Auditing

国際監査基準書の枠組みは次のようになっているとしている。

監査
Auditing
 関連サービス
________________ Related Services ________________
サービスの種類
Nature of service
監査
Audit
リビュー
Review
合意された手続
Agreed-upon procedures
調製
Compilation
監査人が提供する
保証の程度の比較
Comparative level of assurance provided by the auditor
高いが絶対ではない
保証
High, but not absolute, assurance
中程度の保証
Moderate assurance
保証なし
No assurance
保証なし
No assurance
提供される報告書
Report provided
主張に対する
積極的保証
Positive assurance on assertion(s)
主張に対する
消極的保証
Negative assurance on assertion(s)
手続から発見した事実
Factual findings of procedures
調製した情報の明示
Identification of information compiled
関連報告書・基準(米国を例)
報告書チェック・リスト
年次報告書 四半期報告書
建設業の入札ボンド制
国際基準ISRE2400に規定
特許料の
計算チェックほか

証券発行時のアンダーライター
へのコンフォート・レター

デューディリジェンス
New Guidance
for Compilation
and Review Engagements

財務予測
国際基準ISRS4410に規定
米国はAT301に規定
米国の旧コンピレーション報告例
注記:国際監査基準書の用語集より「アサーション」の意味。
主張―主張とは、財務諸表に具体化された、経営者による表現である。

Assertions-Assertions are representations by management, explicit or otherwise, that are embodied in the financial statements.

心理学では「アサーション トレーニング」というのがあるが、その場合のアサーション(assertion)とは,「自分の考えや意見,気持ちを正直に,率直に,適切な方法で表現すること」であり,自己表現の一つである、とのことである。会計におけるアサーションも自己主張で、財務諸表を通じて財政状態、経営成績等を企業の経営者が自己主張しているのである。会計監査は経営者の自己主張をチェックすることにある。会計における経営者の具体的な自己主張は以下の通りである。

財務諸表の監査意見を形成する独立監査人の殆どの作業は財務諸表に(経営者が)主張している証拠を入手し評価することであるこれらの主張(Assertions)は、貸借対照表、取引区分および財務諸表に開示された項目に具体化されており、下記の広範な範疇に区分される。

・実在および発生(Existence and occurence)
・網羅性(Completeness)
・権利および義務(Right and obligations)
・評価および配分(Valuation and allocation)
・表示および開示(Presentation and disclosure)


具体的には、貸借対照表の資産である「現預金」を例にすると、表示された「現預金」は「実在」し、網羅して計上おり、所有権(権利)は会社にあり、表示している金額は適切に評価して表示し開示してある」という経営者の主張(Assertions)に対して、監査人は、実在性については実査や銀行へ直接確認(所有権・網羅性もカバー)するなどの監査証拠を入手して検証し、会社の所有権(ownership)および網羅性については出納帳の記録と照合して検証し、外貨預金は期末日レート評価になっていることを検証し、表示および注記などの開示(担保提供など)が会計基準に準拠して表示および開示がされているかどうか検証する。
監査人は、各勘定科目について、経営者の主張(Assertions)に対する監査証拠を入手し検証して、その結果を、監査意見として表明する。


AU319「財務諸表監査に於ける内部統制の考慮」 パラグラフ.62
およびAU326「監査証拠」パラグラフ.3「アサーションの内容」より
参考;
監査基準委員会報告書第30 号「監査証拠」公開草案 平成16 年7月26 日by日本公認会計士協会 

監査基準委員会報告書第29 号「評価したリスクに対応する監査人の手続」公開草案平成16 年7月26 日by日本公認会計士協会 

中小企業の監査に係る国際監査基準適用のガイド
国際監査・保証審議会(IAASB)の中小企業実務委員会(SMP)は、出版物として2010年9月、「中小企業の監査に係る国際監査基準の適用ガイドGuide to Using International Standards on Auditing in the Audits of Small- and Mediumsized Entities, second edition(556ページ)」を公表した。カナダ勅許会計士協会が開発したものを敲き台に作成されたもの。ガイドと言うだけあって実務に即したものとなっている。

現在、日本では、四半期情報開示に関して国際監査基準の「リビュー」を導入すべく企業会計審議会が審議し意見書を作成しつつある。企業会計審議会 第5回第二部会議事録 平成16年5月26日によると 意見書(案)で「保証業務の定義」を記載している。それによると、次のように、かなり原文に忠実になっている。6月の公開草案「財務情報等に係る保証業務の概念的枠組みに関する意見書」と比較すると面白いものがあります。つまり、米国基準(米国基準の枠組みは下記参照)ではなく国際基準を採用したことが明確となったからです。

2004年11月29日、企業会計審議会は、「本意見書は、四半期財務情報や内部統制の信頼性の確保といった新たな社会的な要請を見据えて、財務情報の監査の他、非財務情報の監査及びレビューを包含するものとして保証業務を定義し、保証業務に関して、その信頼性を確保するために求められる要件等を示すものである。」として最終的に「財務情報等に係る保証業務の概念的枠組みに関する意見書」(16ページ)を公表した。(議事録 参照)

保証業務の定義(保証業務の範囲)
企業会計審議会の定義 保証業務とは、業務実施者が、主題事項情報に関して、責任当事者以外の想定利用者が抱く信頼の程度を高めるために、自らの結論を報告する業務をいう。」

(意見書)
保証業務とは、主題に責任を負う者が一定の規準によって当該主題を評価又は測定した結果を表明する情報について、又は、当該主題それ自体について、それらに対する想定利用者の信頼の程度を高めるために、業務実施者が自ら入手した証拠に基づき規準に照らして判断した結果を結論として報告する業務をいう。」
国際監査基準の定義
INTERNATIONAL FRAMEWORK FOR ASSURANCE ENGAGEMENTS

合意された手続き、調製
は保証業務に含まない。
7. "Assurance engagement" means an engagement in which a practitioner expresses a conclusion designed to enhance the degree of confidence of the intended users other than the responsible party about the outcome of the evaluation or measurement of a subject matter against criteria.

12. Not all engagements performed by practitioners are assurance engagements. Other frequently performed engagements that do not meet the above definition (and therefore are not covered by this Framework) include:

・ Engagements covered by International Standards for Related Services, such as agreed-upon procedures engagements and compilations of financial or other information.
・ The preparation of tax returns where no conclusion conveying assurance is expressed.
・ Consulting (or advisory) engagements, such as management and tax consulting.

 国際監査基準には「合意された手続き」は保証ナシ(No assurance)とされ、保証業務(assurance engagements)に含みませんが、米国公認会計士協会の証明業務(attestation engagementは監査(Audit)、調査(Examination)、リビュー(Review)、合意された手続(Agreed Upon Procedures)を言います。      

証明基準(attestation standards)とは、米国公認会計士協会の監査基準審議会Auditing Standards Board (ASB)が公表する証明業務に関する基準の声明書10号「証明基準」Statement on Standards for Attestation Engagements(SSAE) no. 10, Attestation Standards: Revision and Recodification. をいい、2001年6月1日より適用されている(the effective date is June 1, 2001)ものである。

米国では上場企業会計監視委員会(PCAOB)が監査基準書を設定するようになった。

米国では、米国公認会計士協会が設定してた監査基準は、エンロン事件後、2002年のサーベンス・オクスリー法の成立で、監査基準の設定は上場企業会計監視審議会(PCAOB)に移管されることになった。2004年5月、監査基準書1号「監査報告書にPCAOBの監査基準に準拠した旨の記載Auditing Standard No. 1 REFERENCES IN AUDITORS' REPORTS TO THE STANDARDS OF THE PUBLIC COMPANY ACCOUNTING OVERSIGHT BOARD)」を初めて公表している。

2004年2月24日、SECは、サーベンス・オクスリー法第404条が求めていた「財務報告に関する内部統制の経営者報告書(management's report on internal control over financial reporting)」の最終ルールを採択した。
米国上場会社(株価総額75百万ドル)は2004年11月15日以降終了する事業年度から(従前は6月15日以降終了の事業年度からとしていた)、外国会社および米国中小会社は2005年7月15日以降終了する事業年度から(従前は4月15日以降終了する事業年度から適用するとしていた)適用する、と延期した。(SEC速報  SEC最終ルール 参照)
2004年4月8日、SECは、PCAOBが設定した監査基準第2号「財諸表の監査に関して実施した財務報告に関する内部統制の監査An Audit of Internal Control Over Financial Reporting Performed in Conjunctionwith an Audit of Financial Statements)(全161ページ)」を適用することを要請した。(SEC速報 AICPAのInternal Control Over Financial Reportingサイト 参照)

なお、米国公認会計士協会(AICPA)が設定していた監査基準等を”暫定(Interim)”の用語を頭につけてPCAOBが引き継ぐことになった。双方の関係は、次の通りである。左にPCAOBの呼称、右にAICPAの呼称を示す。

PCAOBの呼称
Interim Standards
暫定基準
PCAOBに引き継がれた
米国公認会計士協会が設定した基準
Interim Audit Standards
暫定監査基準
AU Section 100 Statements on Auditing Standards 〜
AU Section 900 Special Reports of the Committee on Auditing Procedures
Interim Attesttation Standards
暫定証明基準
AT Section 101 Attest Engagements 〜
AT Section 701 Management’s Discussion and Analysis
Interim Quarity Control Standards
暫定品質管理基準
QC Section 20 System of Quality Control for a CPA Firm's Accounting and Auditing Practice 〜
Section 1000 0.8(d) Continuing Professional Education of Audit Firm Personnel
Interim Ethics Standards
暫定倫理基準
ET Section 102 Integrity and Objectivity 〜
ET Section 191 Ethics Rulings on Independence, Integrity, and Objectivity
Interim Independence Standards
暫定独立性基準
ISB No.1 Independence Discussions with Audit Committees 〜
ISB No.3 Employment with Audit Clients
AS No1 監査報告書に対する公開会社監視審議会の基準への言及
References in Auditors’ Reports to the Standards of the Public Company Accounting Oversight Board
AS No3 監査調書
Audit Documentation
AS No4 前年度の重要な欠陥が継続して存在しているかどうかの報告
Reporting on Whether a Previously Reported Material Weakness Continues to Exist
AS No5 財務諸表監査に統合された財務報告に関する内部統制の監査
An Audit of Internal Control Over Financial Reporting That Is Integrated with An Audit of Financial Statements
AS No6 財務諸表の継続性の評価
Evaluating Consistency of Financial Statements
AS No7 業務品質リビュー
Engagement Quality Review
AS No8 監査リスク
Audit Risk
AS No9 監査計画
Audit Planning
AS No10 監査業務の監督
Supervision of the Audit Engagement
AS No11 監査計画における重要性の考慮と監査の実施
 Consideration of Materiality in Planning and Performing an Audit
AS No12 重要な誤謬の特定と評価
Identifying and Assessing Risks of Material Misstatement
AS No13 重要な誤謬のリスクに対する監査人の対応
The Auditor's Responses to the Risks of Material Misstatement
 AS No14 監査結果の評価  
Evaluating Audit Results
AS No15 監査証拠  
Audit Evidence

米国公認会計士協会(AICPA)が公表した監査基準書(SAS)と現在の監査基準書(AU)との関係は、AICPAの「原始監査基準書の検出」参照。

米国では、上場会社はPCAOB、非上場会社はAICPA(米国公認会計士協会)で基準設定:

米国公認会計士協会(AICPA)最高経営責任者(CEO)バリー・メランコン(Barry C. Melancon, President and CEO)によれば、「米国は上場会社に比べて非上場企業の数の方が圧倒的に多い。大企業で使う会計基準や監査手法を、そのまま中小企業に適用するのは負担が重く、無理がある。監査の環境づくりで我々の役割は大きく、PCAOBと住み分けができる」、と述べている。(日本経済新聞2005年11月3日「米国会計監査革命・下」より)

AICPAのバリー・メランコン、President and CEOが、会計情報紙「Journal of Accountancy 」の100周年記念メッセージに、以下のように述べ、非公開会社の監査基準の設定意欲を示している。
公開会社と非公開会社に関する基準の違いのニーズについて調査している、理由は、我々専門家のサービスは双方の環境で適合し評価されることは明白であるからである。米国では2千4百万の中小企業があり、全雇用者の99.7%を占めている。これらの会社の財務報告が、財務報告書利用者のニーズを合理的に反映させるべきなのである。
We are examining the need for differentiation between standards for private and public companies because it is clear our professional services are relevant and valued in both environments. There are approximately 24 million small businesses in the United States, and they represent 99.7% of all employers. Financial reporting for these companies ought to reasonably reflect the needs of their financial statement users.

米国の上記事情は、証券取引法適用会社を含む、資本金5億円以上または負債総額200億円以上の株式会社である商法特例会社の監査対象大会社は10,084社とする、法律によって監査が要求される法定監査が主体の日本とは、非公開会社・中小企業の求めによる任意監査が多い米国と全く異なる。しかし、日本でも非公開会社の領域についてもニーズを探る時期に来ているのではないか。経済産業省中小企業庁では、次のように述べています。奇しくも中小企業の割合が99.7%は米国と同じ
中小企業政策

 みなさんは日本に中小企業がどれくらいあるかご存知でしょうか?なんとその数は約480万社日本の全企業数の99.7%、雇用の7割を占めます。単純にこのデータからみても、中小企業こそが我が国経済の屋台骨であり、中小企業の再生なしに真の日本経済再生はありえません。


米国の人口日本の約2.34倍、日本の中小企業の数は米国の五分の一。何か変では・・・(
個人事業が極端に日本は少ない。日本で個人事業を行うと、サラリーマンに比べ、所得税のほかに、消費税事業税を支払い、国民年金は40年間掛けても涙ほどの給付で生活できない金額である、など厳しい状況にある。法人にして給与受給者になることでこうしたハンディを回避できるが、少なくとも、日本には個人事業の起業は不利な社会的な仕組みがある。商法改正で1円で会社を起こせるとはいえ、すべてのリスクを負う個人事業主の起業に配慮が足りない。少なくともサラリーマンと同等の扱いがあってよい。(米国の個人営業者はSelf-Employmentまたは非雇用者(Nonemployers)という))

(米国側の2001年の統計は、従業員規模別の「雇用者」及び「非雇用者(Nonemployers)」に区分して公表。これによると非雇用=1人事業者の数が約1千7百万含まれている。米国は雇用の面と一人自営業による面との分類で経済面から判り易い分類である。
一方、日本の経済産業省・中小企業庁の調査は、電話で確認したところ、一人事業も含めて個人企業としており、米国と同じ統計になるとのことでした。「平成16年調査の概況」「1表 産業別規模別事業所・企業数(民営)2.企業ベース」(中小企業白書2005年版)」参照
)

登録会計事務所のPCAOBによる上場会社監査の調査結果を公表:
サーベンス・オクスレー法により、上場会社の監査を担当している会計事務所はPCAOBに登録しなければならなくなった。監査の質を調査するため、PCAOBは、上場会社の監査について登録会計事務所の監査調書を調査して調査報告書を公表することになっている。2004年度監査について、
四大監査事務所(PricewaterhouseCoopers LLP (11/17/2005)Ernst & Young LLP (11/17/2005)  、Deloitte & Touche LLP (10/6/2005)KPMG LLP (9/29/2005) )および中堅事務所(BDO Seidman, LLP (11/17/2005))が監査の欠陥を指摘されている。これに対して、各事務所は、反論と、改善策について回答している。

2013年8月13日上場企業会計監視委員会(PCAOB)は、「監査報告書及び他の情報に係る監査人の責任に関する監査基準(草案)Proposed Auditing Standards on the Auditor's Report and the Auditor's Responsibilities Regarding Other Information and Related Amendments (294ページ)」を公表した。コメントは2013年12月11日まで受け付ける。その後、証券取引委員会SECの承認を得て監査基準となる。(PCAOB Open Board Meeting: Auditor's Reporting Model Proposal Fact Sheet  PCAOB Proposes to Change Auditor’s Reporting Model PCAOB proposes biggest shake-up to US audit reports since 1940s 米監査法人監督当局、監査報告書の改革案を可決

The standard auditor's report is commonly described as a pass/fail model because the auditor opines on whether the financial statements are fairly presented (pass) or not (fail).

The proposed standard would retain the pass/fail model and the basic elements of the current auditor's report, but would require the auditor to communicate a wider range of information specific to the particular audit.

The proposed standard would require:

  • the communication of critical audit matters as determined by the auditor
  • enhancements to existing language in the auditor's report related to the auditor's responsibilities for fraud and notes to the financial statements
  • the addition of new elements to the auditor's report related to:
    • auditor independence
    • auditor tenure
    • the auditor's responsibilities for, and the results of, the auditor's evaluation of other information outside the financial statements
●2017年6月1日、PCAOBは、監査報告書にCritical Audit Matters(CAM、重要な監査事項)を記載する新たな監査基準を採用したと公表した。
これは国際監査基準701号がKey Audit Matters(KAM,キーとなる監査事項)を監査報告書に記載するのに足並みをそろえる形となった。

● 監査に携わる人たちから提供された英文監査手続書Audit Programs) 参照 
(監査手続書は、@監査を実施した証跡を残すことと、A監査の実施漏れを防ぐ、B効果的・効率的な監査を実施するために重要な書類となります。なお、監査計画において、実施すべき監査手続を策定・作成しますが、事業の内容、規模、内部統制の整備状況などによって(a)無駄な手続を削除し、(b)必要な手続を加えるなどして効果的な手続書を作成する必要があります。)

監査リスク(Audit Risk)について」参照  
日本公認会計士協会(2004年(平成16年)7月26日)・・監査基準委員会報告書第27号「監査リスク」(公開草案)、同第28号「企業とその環境の理解及び重要な虚偽表示リスクの評価」(公開草案)、同第29号「評価したリスクに対応する監査人の手続」(公開草案)及び同第30号「監査証拠」(公開草案)の公表について  参照

参照: AU Section 312 - Audit Risk and Materiality

●(日本では金融庁が、金融庁設置法4条十七  企業会計の基準の設定その他企業の財務に関すること」を行うことになっており、監査基準の設定は金融庁の所管となっている。金融庁「企業会計審議会」が「監査基準(本文8ページ)」(2010年3月26日改正版13ページに)及び「中間監査基準(本文8ページ)」(2011年4月改定案)を設定し、日本公認会計士協会が実務指針を作成する。

平成14年(2002年)の改定まで、金融庁は、監査基準は監査それ自体の目的を明確にしてこなかった。「従来、監査基準は監査それ自体の目的を明確にしてこなかったために、監査の役割について種々の理解を与え、これがいわゆる「期待のギャップ」を醸成させてきたことは否めない。また、監査の目的を明確にすることにより、監査基準の枠組みも自ずと決まることになる。このような趣旨から、改訂基準において監査の目的を明らかにすることとした」とし、初めて監査の目的を「財務諸表の監査の目的は、経営者の作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明することにある」として、やっと国際基準と一致させた。監査基準の本文がたった8ページしかない理由は、当局の認識の程度を示していると言えよう。(ちなみに旧監査基準は3ページであった)

監査・会計の未経験の役人が作った監査基準 米国監査基準・国際監査基準
 監査基準の基本的性格は、昭和25年に我が国に監査基準が設けられた折、
「監査基準は、監査実務の中に慣習として発達したもののなかから、一般に
公正妥当と認められたところを帰納要約した原則
であつて、職業的監査人は、
財務諸表の監査を行うに当り、法令によつて強制されなくとも、常にこれを
遵守しなければならない。」と明示されたところであり、今日においても、そ
の性格は変わるものではない。
  今般の改訂では、単に我が国の公認会計士監査の最大公約数的な
実務を基準化するという方針ではなく
、将来にわたっての
公認会計士監査の方向性を捉え、また、国際的にも遜色のない監査の水準を
達成できるようにするための基準を設定することを目的としている。さらに、
公認会計士監査に対する社会の種々の期待に可能な範囲で応えることも改訂
基準の意図したところである。
米国の監査基準及びそれに類似した国際監査基準は、幾多の監査の失敗から
詳細な検討を加え信頼を回復するための監査手続きを改善してきた歴史の積み重ね
である。監査実務の中に慣習を帰納要約したものではない。
特に、米国基準にあっては、監査の失敗は実際の監査調書を資料として、どの監査の
局面で監査の失敗があったのかを詳細に検討することができる。そうした、反省を実際
行うことで監査基準の充実が図られてきたもので、監査の実務を知らなければ監査基準
の充実はあり得ない。
アシスタントの監査調書とシニア―の調書リビュー、シニア―の監査調書とマネージャーの
調書リビュー、パートナーの監査調書のリビュー、担当パートナー以外の調書リビューなど、
監査の全工程を知り尽くさないで、実施可能な監査基準を作ることは不可能である。
 その点、日本では適格者が作成しているとは言い難い。日本の場合は、事件があっても、
監査調書の公開はないし、再発防止のため監査の失敗の問題点を公表されたこともない。

今般の改訂では、諸外国のように各項目ごとに個々の基準を設けるという
形式は採らず、一つの基準とする形式は維持することとしたが、「監査実施準
則」及び「監査報告準則」を廃止し、監査基準という一つの枠組みの中で、
一般基準、実施基準及び報告基準の区分とした。


平成3年の監査基準の改訂において、「監査実施準則」の純化
が大幅に行われ、監査基準を補足する具体的な指針を示す役割は日本公認会
計士協会に委ねられることとなった
。その後、日本公認会計士協会から、逐
次、監査に係る具体的な指針が公表され、相当の整備が行われている。この
ような状況を踏まえると、各準則の位置付けが曖昧なものとなることから、
各準則を廃止し、監査基準とこれを具体化した日本公認会計士協会の指針に
より、我が国における一般に公正妥当と認められる監査の基準の体系とする
ことが適切と判断した。

国際監査基準が個々の基準を設けており、日本でも、2012年3月期から日本公認会計士協会
の指針により国際監査基準が適用されている

「公認会計士監査に対する社会の種々の期待に可能な範囲で応えることも改訂基準の意図したところである」とあるが、法定監査のみの規定で、任意監査やリビューや合意した手続きなどは規定がない。また、縦割り行政で、地方自治体の監査や独立行政法人の監査、その他学校法人のような公益法人の監査など所管省庁ごとに縦割りで規定が作られていたり多くの場合整備されていない。公会計などは、10年以上も前から議論ばかりで進展がない。
監査基準は、監査実務の中に慣習として発達したもののなかから、一般に公正妥当と認められたところを帰納要約した原則」と言っておきながら、後半では「単に我が国の公認会計士監査の最大公約数的な実務を基準化するという方針ではなく」とハチャメチャの文章となっている。監査基準を作る適格者とは到底思えない。このような文章が公にされること自体不思議だ。このような監査基準を作っている限りオリンパス事件が起きても不思議ではない。監督当局が監査人の心情を捕まえた実施可能な具体的な基準ができていないからだ。役人側に知識経験が共有されていないのだ。
平成3年の監査基準の改訂において、監査基準を補足する具体的な指針を示す役割は日本公認会計士協会に委ねられることとなった、とあるのは金融庁企業会計審議会に監査基準の設定能力がないと言っているのに等しい。

参考:「企業会計・開示制度における世界的潮流」by旧大蔵省←最後の部分に次のように監査基準のことが記載されている。

監査基準については、1992年に日本公認会計士協会に監査基準委員会が設置され、国際的な監査基準に対応する基準の作成を担当している。これまでに委員会報告は第25号まで出ているが、いずれも中間報告までであり、最終報告に至ったものは一つもない。また、その中間報告書にしても、その発表は「JICPAジャーナル」という日本公認会計士協会が編集し、会員が主たる読者である雑誌にしかなされない。協会のホームページで希望者は有料で報告書のハードコピーを入手できるが、広く一般から意見を募るという形にはなっていない。これは監査基準の設定主体が金融庁企業会計審議会になったままであり、日本公認会計士協会は何ら権限を持っていないこととも関係があると思われる。

2002年12月17日に金融庁金融審議会公認会計士制度部会が「公認会計士監査制度の充実・強化」という報告書を発表した。この中では、公認会計士監査の意義やコーポレート・ガバナンスとの関係、監査人の独立性の強化、公認会計士試験の見直し、監査法人のあり方、公認会計士の監督といった事項が議論されているが、残念ながら監査基準の設定方法については何の議論も行われていない。

日本の監査基準は金融庁・企業会計審議会が設定
日本公認会計士協会の実務指針は、国際基準と一致しても日本の規則では監査基準とは呼ばない

財務諸表等の監査証明に関する内閣府令(通称”監査証明府令(旧・監査証明省令)”と呼ばれているもの)
(昭和三十二年三月二十八日大蔵省令第十二号)

監査証明の手続

第三条  財務諸表(財務諸表等規則第一条第一項 に規定する財務諸表をいう。以下同じ。)、財務書類又は連結財務諸表(以下「財務諸表等」という。)の監査証明は、財務諸表等の監査を実施した公認会計士又は監査法人が作成する監査報告書により、中間財務諸表(中間財務諸表等規則第一条第一項 に規定する中間財務諸表をいう。以下同じ。)又は中間連結財務諸表(以下「中間財務諸表等」という。)の監査証明は、中間財務諸表等の監査(以下「中間監査」という。)を実施した公認会計士又は監査法人が作成する中間監査報告書により、四半期財務諸表(四半期財務諸表等規則第一条第一項 に規定する四半期財務諸表をいう。以下同じ。)又は四半期連結財務諸表(以下「四半期財務諸表等」という。)の監査証明は、四半期財務諸表等の監査(以下「四半期レビュー」という。)を実施した公認会計士又は監査法人が作成する四半期レビュー報告書により行うものとする。

 前項の監査報告書、中間監査報告書又は四半期レビュー報告書は、一般に公正妥当と認められる監査に関する基準及び慣行に従つて実施された監査、中間監査又は四半期レビューの結果に基いて作成されなければならない。

 金融庁組織令 (平成十年政令第三百九十二号)第二十四条第一項 に規定する企業会計審議会により公表された監査に関する基準は、前項に規定する一般に公正妥当と認められる監査に関する基準に該当するものとする。

エンロン事件を契機として、2002年サーベンス・オクスリー法が成立。上場会社会計監視審議会(PCAOBは、監査基準第2号「財務諸表に係る内部統制のための監査基準」(全161ページ)を公表した。サーベンス・オクスリー法第404条が求めていた「財務報告に関する内部統制の経営者報告書(management's report on internal control over financial reporting)」を経営者および独立監査人はこの基準により2004年度の決算から実施することとなった。

2005年7月13日、西武鉄道等の有価証券報告書の虚偽記載を受けて、金融庁は、米国同様に、企業会計審議会財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(公開草案)(全28ページ)を公表した。

内部統制の有効性についての監査
日本の基準 米国の基準
2005年7月13日金融庁・企業会計審議会財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(公開草案)全28ページ)を公表。

2005年12月8日、企業会計審議会内部統制部会は、財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方についてを公表した。基準案のままとなっている。日本経団連などから「中身があいまい」といった不満が出ていた。実施基準を検討するようである。実務指針策定へ(11月11日日本経済新聞より)
内部統制の有効性の監査」 参照

2006年3月13日金融庁は、証券取引法を改正し「金融商品取引法(案)」を国会に提出した。概要図 概要文要綱案 法律案

適正開示に関する経営者の確認書の提出(金融商品取引法第24 条の4 の2 関係)

2008年4月1日以降開始する事業年度から適用:
財務報告に関する内部統制の報告書の提出(金融商品取引法第24 条の4 の4、第193 条の2 第2 項関係)
内部統制の監査報告書の提出(金融商品取引法第24 条の4 の4、第193 条の2 第2 項関係)
四半期報告書の義務化((金融商品取引法第24 条の4 の7 関係)


2007年2月15日企業会計審議会は、総会を開き「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」について公表した。
2004年3月9日、上場会社会計監視審議会(PCAOBは、監査基準第2号「財務諸表に係る内部統制のための監査基準」(全161ページ)を公表。
米国PCAOBが内部統制に関する監査基準書公表」 参照

2005年11月30日、PCAOBは、財務報告に係る内部統制の初度監査調査報告書を公表した。産業界からの「不必要な作業に高い報酬を払った」との批判を裏付けた格好となったが、将来の有効かつ効率的な監査ができるように具体的に基準・ガイダンスに従って指摘している。


公開会社会計監視審議会(PCAOB)は、2006年12月19日、現行の監査基準書2号に代わる「財務諸表監査と統合した財務報告に関する監査基準」(公開草案)PROPOSED AUDITING STANDARD AN AUDIT OF INTERNAL CONTROL OVER FINANCIAL REPORTING THAT IS INTEGRATED WITH AN AUDIT OF FINANCIAL STATEMENTS AND RELATED OTHER PROPOSALS(131ページ))を公表し、2007年2月26日までにコメントを求めている。特徴は、以下の通り。
・最も重要な内部統制に注力し、リスクの高いものに集中する、
・重要な欠陥の定義を変更する、
・監査における、重要性の役割を明確にする(期中を含む)、
・経営者の評価の検証を削除する、(経営者の評価のみの作業・評価をやめる)、
・前年度の監査で得た知識を考慮することを認める、
・小規模会社や複雑でない会社に応じた監査をする、
・リスクに関し、対象範囲のカバー率よりマルチ・ロケーション・テストに集中する(内部統制が機能しているかどうかのテストに集中する)、
・ウオークスルーの要求を再調整する(重要なものに絞る)、
・内部監査人だけでなく、他の者も利用することを考慮する

2007年7月25日SECは、監査基準書2号が詳細すぎることから、PCAOBが簡素化した監査基準書5号を承認した。

2005年7月20日金融庁・企業会計審議会は、「監査基準及び中間監査基準の改訂並びに監査に関する品質管理基準の設定について(公開草案)」を公表した。

(1)

 監査基準及び中間監査基準の改訂並びに監査に関する品質管理基準の設定について(公開草案)

(2)

 監査基準(案)

(3)

 中間監査基準(案)

(4)

 監査に関する品質管理基準(案)

(5)

 参考資料 監査基準新旧対照表(案)

(6)

 参考資料 中間監査基準新旧対照表(案)

(7)

 参考図表 事業上のリスクを重視したリスク・アプローチに基づく監査の流れ

2005年10月28日金融庁・企業会計審議会は、「監査基準及び中間監査基準の改訂並びに監査に関する品質管理基準の設定について」を公表した。2007年(平成19年)3月期から適用し、早期適用可。


2006年5月1日の会社法及び関連法務省令の施行をはじめ、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則、財務諸表等の監査証明に関する内閣府令等の改正を受け、日本公認会計士協会は、監査委員会報告第75号「監査報告書作成に関する実務指針」の改正を行っております。

日本公認会計士協会監査基準委員会の報告書等・・Practical Guidelines issued by the JICPA Auditing Standards Committee Statements・・EUおよび米国へのアピールのため、2006年3月30日急に国際基準に合せて充実させつつある⇒英文サイト  会計基準も国際基準に合せる必要があろう。日本公認会計士協会発行 答申等を公開。・・監査報告書に関する実務指針(2006年6月)

2006年4月25日、EUが、国際監査基準を採用する法定監査指令の適用を採決した。(ECニュース”Council adopts new EU rules on audit of company accounts”参照)
その中で、第三国の監査に関しては、「EUと同等の監視システムもっている国の監査事務所は免除する」としており、日本はこれに合わせるために監査基準を急遽整備している模様。
International aspects: auditors and/or audit firms from third countries that issue audit reports in relation to securities traded in the EU must be registered in the EU and be subject to member state systems of oversight, quality assurance and investigations and sanctions. Only auditors or audit firms that meet quality criteria equivalent to the directive can be registered. 
The directive allows for exemption from registration, oversight, quality assurance and investigations and sanctions only if audit firms from third countries are subject to equivalent systems of registration and oversight.

金融審議会・公認会計士制度部会は、監査法人への法的処罰等の仕組みを検討している。かなり、厳しい内容である。
諸外国の監査法人制度等の比較(監査法人等に対する監督等のあり方関係) 
監査法人等に対する監督等のあり方

年の瀬も迫った2006年12月22日、金融庁・金融審議会公認会計士制度部会報告として「公認会計士・監査法人制度の充実・強化について」を公表した。
導入を提言しているもの
・業務改善命令や役員解任命令の導入
・課徴金命令
・有限責任組織の選択性
・公認会計士以外も「社員」に
・監査法人等による開示の義務化(EU第8指令が開示義務化しているとしている)(有限責任組織を選択した場合は財務諸表も)、
・公認会計士に不正通報義務
・1企業の継続監査期間を5年に短縮
・外国の監査事務所への立ち入り検査を可能に
・企業側が監査法人に圧力をかけることの禁止、
等提言し、来年の通常国会で法制化することを想定している。

検討を提言しているもの
・刑事罰の導入
・監査法人の選任・報酬の決定権限を監査役に移管

公認会計士法等の一部を改正する法律案要綱
有限責任監査法人制度に関するQ&A」by日本公認会計士協会(平成2 0年6月10日)

2007年6月20日、上記内容を盛り込んだ公認会計士法が成立した。(成立した法律 参照) 概要は、公認会計士法改正2007年6月20日成立 参照

2007年12月26日金融庁は、「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」(監査報酬の開示・監査人交代時の開示に係る部分)を公表した。なぜか、年末の押し迫ったときに公表する。片手間に仕事しているようにしか思えない。

日本の監査基準を設定している金融庁企業会計審議会・監査部会の審議状況を見ていると、愕然とするほど”欧米の監査基準の勉強会”である。実務に裏打ちされた建設的な議論がされていない。議事録には、監査実務とは無縁の教授と金融庁の事務局の説明がほとんどである。2008年1月28日第18回議事録にある金融庁黒澤参事官の監査基準に関する認識は、実務家からすると愕然とする。

継続企業の前提」を国際基準に整合させるための改正(2009年3月24日)
金融庁・企業会計審議会−監査基準の改正  法務省・会社計算規則の改正
2009年(平成21年)3月期より適用
有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項について(平成21 年3月期版)
公認会計士協会・「「継続企業の前提」に関連する実務指針改正案に対するご意見の募集
金融庁は2009年3月24日に実施した第19回企業会計審議会監査部会で,「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン注記)」にかかわる部分の改訂を主な目的とする監査基準の改定案を公表した。現行のゴーイングコンサーン注記の判断基準を国際基準に合わせて,投資家の不利益を避ける。国際基準のほうが事実上“緩い”ことから,業績を悪化させる企業が多い状況に対応する狙いもある。

日本における現状のゴーイングコンサーン注記は,米国基準や国際基準と異なる。日本では重要な疑義を抱かせる事象または状況が存在する場合,必ずゴーイングコンサーン注記を記載する必要がある。これに対し米国基準や国際基準では,重要な疑義を抱かせる事象または状況が存在する場合,経営者の対応や経営計画を検討・評価する。その結果,継続企業の前提になお「重要な不確実性」があると判断した場合に,ゴーイングコンサーン注記を記載することになる。

監査部会で公表された監査基準の改定案は,ゴーイングコンサーン注記を米国基準や国際基準に合わせるのが狙いだ。改定案では,重要な疑義を抱かせる事象または状況が存在する場合,「当該事象または状況を解消・改善するための対応をしても,なお『継続企業の前提』に関する重要な不確実性が存在」し,さらに「貸借対照表日後も継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在」する場合に,ゴーイングコンサーン注記を記載する,としている。(ITPro ニュース 参照)

4月6日、日本公認会計士協会は、「継続企業の前提」に関連する実務指針改正案に対するご意見の募集を行った。コメントは13日まで。
4月9日、第20回企業会計審議会監査部会が行われ公開草案に対するコメント等が公表され、翌10日金融庁、「改正監査基準」を公表した。

「継続企業の前提」に関する監査手続
●2011年3月期東電の監査報告書で試される(数兆円と言われる賠償債務の未計上の問題)⇒●国際基準(8項・9項)に準拠は未だ未承認

参考:
2009年3月5日、金融危機によりGMが2008年度決算の会計監査人が”継続企業に重大な疑義”があるとの意見を表明した。
2009年3月5日、GM2008年3兆円の赤字8兆円(861億ドル)債務超過で監査人は継続性に重大な懸念を表明  2009年6月1日倒産(Bankruptcy)
GMは、2007年末から初めて債務超過となったが監査人は2007年度末では事業の継続性に疑義を表明していない。(Form10-K年次報告書 参照)
事例:「継続企業の前提に関する注記に関するお知らせ」参照

ゴーイング・コンサーン注記開示・監査制度に関する一考察」by 山内進氏

日本の会計及び監査基準 国際会計及び監査基準
2009年4月20日金融庁は「継続企業の前提に関する注記」に係る
財務諸表等規則の改正を公表した。・・会計基準もないし、
連結財表規則もない。
改正監査基準」により監査意見を形成する。
経営者の評価、当該事象又は状況に関する経営者の対応策
について検討し、重要な不確実性の有無を確認し、重要な
不確実性なしとの結論であれば無限定適正意見を出せる。


参考:日本公認会計士協会の実務指針 参照
国際会計基準(IAS)1号の規定により継続事業の前提に関する
開示を求めており、国際監査基準ISA570号に従って監査意見を述べ
ることになる。

参考:
IAASB「ゴーイングコンサーンの監査での考慮」2009年1月 参照

米国監査基準AU341A「継続企業の継続性に関する監査人の考慮
CPAJournal「The Going-Concern Assumption Revisited: Assessing a Company’s Future Viability

日本には、継続企業の前提に関する会計基準はない。
財務諸表等規則第8条の27(継続企業の前提に関する注記
により開示を求めている。
ただし、「当該重要な不確実性が認められなくなつた場合は、
注記することを要しない
」と改正されたが、
一方、「事業リスク」には開示することが求められ
企業にとっては表示箇所が変わったに過ぎない。


これは、財務諸表等規則1条3項の規定で金融庁長官が会計基準
設定の権限があるとの規定に基づくものと考えられる。

会社法では、会社計算規則第100条により開示を求めている。

なお、東京証券取引所には上場規制において、
「継続企業の前提」で注記するときは直ちにその概要を開示する
こととする、と規定している。⇒「継続企業の前提」のサイト 参照

2009年9月14日、金融庁は、「外国監査法人等に対する検査監督の考え方」の公表を行った。

金融庁及び公認会計士・監査審査会(以下「審査会」という。)は、@外国監査法人等の所属する国の監査制度や監査人監督体制が我が国と同等であり、A情報交換等に係る取極め等により、必要な情報が得られ、かつ、B相互主義が担保される場合には、当該外国監査法人等の所属する国の当局(以下「当該国当局」という。)が行う報告徴収又は検査に依拠することとし、原則として、当該国の外国監査法人等に対する報告徴収及び検査は行わないものとする。当該情報交換等に係る取極め等においては、当該国当局の職員が職業上の守秘義務に服すること、目的外使用が禁止されること等を要件とする。
金融庁・審査会は、これらの条件のいずれかが満たされず、相互依拠によることができない場合には、報告徴収及び検査を実施する。また、これら相互依拠の条件がすべて満たされている場合でも、当該国当局より継続的に情報を入手できない、又は特定の行政処分の判断に係る情報といった必要な情報の提供が確保されない等、上記取極め等が十分に履行されない場合には、当該情報に限り外国監査法人等から直接情報の徴収を行うものとする。

東電で試される監査基準・・未計上の原子力事故による損害賠償債務

2011年5月20日、3月決算の発表を延期していた東京電力は、2011年3月期の決算発表を行った。3月11日に発生した東日本大震災・福島原子力発電所の事故により、原子力発電設備の減損会計、資産除去債務の計上、繰延税金資産等の計上で特別損失1兆204億円を計上し連結純損失1兆2473億円となった旨公表した。加えて、注記に「継続企業の前提」の記載をした旨発表したが、今年は、会計監査人の監査報告書は後日提出される旨の発表であった。(産経ニュース  監査法人からはどのような質問を受けたのか?  これからあまり日取りは多くないが、先生方に、これから提出した計算書類をチェックしていただく、先生方からの監査報告書がいつになるかは分からないが、お待ち申し上げている。 汚染水の処理にどれくらい費用がかかる? 20万リットルを処理するには20兆円になる。   参照)


なお、東電は、原子力損害の賠償に係る偶発債務は現時点では合理的な見積もりができないので計上していない決算短信28ページ)としている。数兆円と言われている賠償債務が計上されていないとしているのである。誰もが賠償債務が巨額に上り債務超過の懸念があるとし、東電の見かけの純資産を1兆24億円としているが誰も信じていない。東電でさえ「継続企業の前提」を注記しているということは、実質、債務超過となることを想定しているといえよう。株価もそれを反映している。

偶発賠償債務(contingent liabilitiesは最善の見積もり(best estimate)で計上することが行われる(国際会計基準IAS37号)。特に、原子力事故による被害者は、一瞬にして生活を奪われ復旧・復興の計画が立てられない悲惨な状況に追い込まれている。誰もが、迅速・早急に賠償すべきとしている。時を待たず、東電も仮払いをしているということであるから最低限度の補償を見積もっているはず。訴訟で時間をかけて賠償額を決めるという性質のものではない。しかしながら、事故発生から決算まで短期日のため信頼(reliable estimate)できる見積もりができないということであろう。なお、国の負担部分は、今後国会の場で検討されようが、国の負担部分が決定した時点で、国への求償債権を処理すればよいことである。しかし、決算時点で、未計上の賠償債務は不確定事項として監査証拠を入手できない状況にあるが、賠償債務の未計上は明らかに簿外債務として監査人の不適正意見・意見差し控えの原因となる。(経済産業省「原子力発電所事故に関する賠償などについて」5月13日参照)

会計監査人にとっても、未計上の賠償債務があることは、重要な未確定事項があるということである。会計監査人は、未計上の債務がなく監査証拠を入手できれば適正意見を表明できるが、明らかに未計上の債務があって、この重要な未確定事項に関して金額的にも監査証拠を入手できれば未計上に関して否定的意見を表明できるが、監査証拠が入手できなければ監査意見は表明できない(国際監査基準IAS705号「独立監査人の報告書の意見に対する修正」原文のパラグラフ9、10⇒日本でも2012年月期より適用を予定されている)。つまり、国際監査基準では、合理的な見積もりができないということは、監査人にとっては、その未確定事項の金額的見積りの監査証拠を得られないということである。東電の原子炉爆発事故のような規模・賠償額も巨大となることが予想される非常にまれなケースでは、影響額の大きさから監査人は意見の差控えとなる。影響額の大きさは「継続性の前提」を記載した時点で東電も監査人も認識していたことになる。

一方、金融庁が決めた日本の監査基準で予想してみると、継続企業の前提」に関する監査手続」によれば、「無限定適正意見+追記」ということになる。国際基準とは正反対の監査意見となる。担当の新日本監査法人の監査意見がどのようなものになるのか注目される。ちなみに、昨年の会社法の監査報告書は5月12日付けになっていた。なお、日本公認会計士協会監査実務指針にも、監査証拠が入手できない場合は国際基準同様に監査意見を表明しないこともある。しかし、日本の監査基準にとっても想定外の巨大な原子力発電所事故であった。

5月25日、東京電力は「平成23年3月期計算書類に係る監査報告書受領に関するお知らせ」として、「追記情報とともに無限定適正意見を表明した監査報告書を、会計監査人から昨日受領し、本日、会計監査人の監査の方法及び結果が相当であることを認める旨の当社監査役会の監査報告書を受領しました}とのことである。予想した通りの内容である。株主や歴史がいずれ評価するものと思われる。ちなみに、監査報酬は2009年度で223百万円であった。取締役も21人で報酬額721百万円としている。(21人もいる東電顧問、2011年6月末で11人退任」顧問?)(6月7日「監査法人の適正意見の背景の記事」参照)

貸借対照表を見ると、原子力発電設備が平成22年3月6,678億円、23年3月が7,341億円と微増している。福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止するとしているにも関わらずである。設備に使用価値がなくなった福島第一原子力発電所全体に減損会計が行われているのでしょうか???(平成21年3月期の有価証券報告書を見ると連結損益計算書の注記6.減損損失の内容が示されるので有家証券報告書で確認できる) 監査意見が無限定適正であるので信じたいが疑問が残る。因みに、5月26日の株価322円は、時価総額5174億円で純資産額1兆24億円の半分である。

2011年5月29日(日曜)、日本経済新聞に「薄氷の東電公的管理」と題して、政府が大手銀行への融資要請の経緯(これにより1兆8650億円融資された)、賠償債務の負担上限(結局、東電から「原発賠償・保険機構」への返済は、利益の範囲で返済し期限を設けないで決着)は設けないで、東電の負担が重すぎて電力供給に支障が出る場合には「国が補助する」との項目が出来上がった、報道としている。(東電賠償枠組み決定のニュース  支援に不透明感   反対意見「東電がJALにならない奇々怪々」 参照)

支援の仕組み作りの過程で、もし政府等の政策に影響されたとしたら監査史上に独立監査人(Independent Auditors)としての汚点を残したものと言わざるを得ない。監査報告書は独立して内外に公表されるもので国内の政策的事情に左右されてはならない。監査の信頼性に疑義が生じてしまうことになる。株式等の上場を廃止するかどうかの権限と責任は証券取引所にあり監査人にはない。監査と政治・政策とはそれぞれ別の役割である。

5月30日には、会社格付け会社のスタンダード・アンド・プアー社(S&P)が東電の長期企業信用格付けを「BBB」から投資不適格ジャンク級の「B+」に5段階格下げした。(ニュース

6月22日、東電は「(修正)重要な後発事象の発生に伴う「平成23年3月期決算短信・日本基準(連結)」の一部修正に関するお知らせ」を公表した。これによれば、@原子力損害賠償紛争審査会(以下、 審査会)が定める指針に基づいて算定されるなど、決算日時点では賠償額を合理的 に見積ることができないことなどから、平成23年3月期連結財務諸表に計上してお りません。  その中で、6月20日の審査会で決定した「東京電力(株)福島第一、第二原子力 事故による原子力損害の範囲の判定等に関する第二次指針追補」では、避難等対象 者の精神的損害の損害額の算定方法が具体的に定められました。これによる、避難 等対象者の精神的苦痛に対する事故収束見込み期間までの損害額の現時点での見積 額は880億円となります、A原子炉等の冷却や放射性物質の飛散防止等の安全性の確保 等に要する費用または損失に係る費用の見積りを行った結果、災害損失引当金 (8,317億円)は、380億円増加する見込みとなります、とのことである。

つまり、2011年3月期の決算で、@損害賠償積立未計上が880億円、A損害損失引当金積立不足額が380億円=合計1260億円(欠損金の10%=1260/12473)の未計上債務があるとの公表である。会社法の監査報告書は、無限定適正意見であるが、株主総会が6月28日開催予定で、有価証券報告書監査報告書の日付は株主総会後になるため有価証券報告書の監査報告書には、後発事象としての取り扱いとなろう。しかし、明らかに債務超過が予測され賠償債務を未計上にしたままの財務諸表に”財政状態が無限定適正とする監査意見”には非常に違和感を感じるし、上場したまま300円前後の株価を付け投機取引をし続ける証券取引所も決して健全とはいえない。監査報告書が投資家に適切な情報を提供しなくなれば、その役割を果たしたとは言えず市場から見放されることになろう

なお、2011年7月12日公正な社会を考える民間フォーラムは、原発事故の損害賠償に関する公正な処理を求める緊急提言」を公表し、「法治主義の原則に則った東京電力の処理プランを作り直すこと。具体的には、巨額の賠償債務によって債務超過が明らかになっている以上、東京電力は会社更生型の手続きに則り、事業再生と被害者への損害賠償を行うこと。これによって東電自身の責任と、東電の財産と事業による最大の弁済を行うことを明らかにし、資産売却はもちろん、株主と金融機関に明確な責任を果たさせること。その上で残る賠償債務については、国の負担で援助すること」としている。私も同感である。

2011年3月11日の東日本大震災で原子炉事故に見舞われた東電の財務諸表要約の推移は以下の通りです。東電の株価

単位:十億円

貸借対照表
2010年
3月31日
2011年
3月31日
2011年
6月30日
第一四半期
2011年
9月30日
第ニ四半期
2011年
12月31日
第三四半期
2012年
3月31日

年度決算
2013年
3月31日

年度決算
固定資産 12,221 11,875 11,833 12,235 12,469 13,250 12,248
 水力・汽力電気設備 1,756 1,624 1,591 1,557 1,527 1,495 1,478
 原子力発電設備 (注7 667 734 716 701 711 726 754
 送電・変電・配電設備等 6,599 6,516 6,502 6,582 6,544 6,513 6,379
 核燃料 902 869 866 858 854 845 807
 投資その他の資産 2,294 2,130 2,156 2,535 2,832 3,669 2,837
  未収原子力損害賠償支援機構資金交付金 - - - 543 1,021 1,762 891
   繰延税金資産 435 - - - - - -
   その他 1,859 2,130 2,156 1,992 1,811 1,906 1,946
流動資産 982 2,914 2,460 2,450 2,842 2,286 2,741
資産合計 13,203 14,790 14,294 14,686 15,311 15,536 14,989
固定負債 8,769 11,301 11,504 11,821 12,344 12,391 11,804
 社債・長期借入金 6,354 7,849 7,572 7,413 7,239 6,953 6,793
 退職給付引当金 420 432 437 440 432 432 424
 使用済燃料再処理等引当金 1,210 1,192 1,188 1,181 1,172 1,162 1,108
 使用済燃料再処理等準備引当金 36 55 55 56 56 58 60
 原子力発電施設解体引当金 510 - - - - - -
 災害損失引当金 92 831 911 894 926 787 702
 原子力損害賠償引当金 - - 397 891 1,575 2,063 1,765
 資産除去債務 - 791 795 890 801 803 826
 その他 145 147 146 146 139 129 123
流動負債 1,913 1,874 1,727 1,889 1,975 2,318 2,042
特別法上の引当金 5 11 10 12 12 13 4
株主資本 2,519 1,630 1,058 1,003 1,007 849 (注6)1,163
 資本金 676 900 900 900 900 900 1,400
 資本剰余金 19 243 243 243 243 243 743
 利益剰余金 1,831 494 △77 △133 △128 △287 △972
 自己株式 △8 △8 △8 △8 △8 △8 △8
包括利益累計額 △53 △72 △49 △81 △66 △61 △46
少数株主持ち分 50 44 41 42 38 25 21
純資産合計 2,516 1,602 1,050 963 979 812 1,137
負債・純資産合計 13,203 14,790 14,294 14,686 15,311 15,536 14,989
単位:十億円

損益計算書
2010年
3月31日
年度
2011年
3月31日
年度
2011年
6月30日
第一四半期
2011年
9月30日
第ニ四半期
2011年
12月30日
第三四半期
2012年
3月31日
年度
2013年
3月31日
年度
 営業収益 5,016 5,368 1,133 2,503 3,800 5,349 5,976
 営業費用 4,731 4,968 1,185 2,563 3,945 5,621 6,198
営業利益 284 399 △52 △61 △144 △272 △221
営業外収益 73 76 25 47 56 52 61
営業外費用 153 158 36 92 132 180 166
経常利益 204 317 △62 △105 △220 △400 △326
特別利益 568 1,619 2,517 913
 原子力損害賠償支援機構資金交付金 - - - 543 1,580 2,426 696
 固定資産売却益 - - - - 14 41 115
 有価証券売却益 - - - 24 24 29 3
 その他 98
特別損失 - - - 1,076 2,001 2,868 1,248
 災害特別損失 - 1,020 105 185 312 297 40
 資産除去債務適用の影響 - 57 - - - - -
 原子力損害賠償 - - 397 891 1,644 2,525 1,161
 その他 - - - - 44 44 46
税引き前利益 223 △766 △565 △614 △603 △754 △653
法人税等 86 478 5 12 15 23 28
少数株主持分 2 2 2 2 4 5 3
当期純利益(△損失) 133 △1,247 △571 △625 △623 △781 △685
地震発生 (注1) (注2) (注3) (注4)

(注1):第一四半期、原子力損害賠償で約4千億円計上し、節電等で営業収益の減及び原料高で営業損失となり、2011年6月末の第一四半期で留保利益が約770億円の損失となる。ほぼ払込資本のみが純資産となる。以後資本の食潰しに入る。実態は債務超過であることは誰の目にも明らかなのだが・・・ 損害賠償に限らず、原子力発電設備の減損、原子炉の資産除去債務の追加計上等で純資産1兆円は確実に飛ぶことが予想される。推移を追跡してみたい。
(注2):東京電力が11月4日発表した11年9月中間連結決算は、6272億円の最終赤字(前年同期は922億円の黒字)だった。福島第1原発事故の損害賠償費用など1兆759億円を特別損失として計上したが、枝野幸男経済産業相が同日認定した「緊急特別事業計画」により国から受けることになった今年度の支援額9000億円のうち5436億円を特別利益として計上した。12年3月期は6000億円の最終赤字を見込む。
(注3):1月13日に公表した第三四半期報告書では原子力損害賠償に見合う機構からの交付金を請求することで純資産の目減りはしない構造となっている。加えて、事業会社への電気料金の値上げで営業損失は改善され純資産は増す構造となろう。
(注4):販売電力量は節電で前年比8.6%の減少。収入面では、電力事業では燃料費調整制度の影響により料金収入単価が上昇し前年度比0.9%の減少にとどまった。燃料費調整制度とは、原油・LNG(液化天然ガス)・石炭の燃料価格(実績)の変動に応じて、毎月自動的に電気料金を調整する制度です。
簡単に言えば、燃料費の上昇は自動的に請求する、東電とって都合のよい制度。
(注5):福島第一原発事故の賠償金1610億円計上したが原子力損害賠償支援機構に支援要請して通期では相殺される。未収計上していない。 自己資本を見ると、2年前の原発事故前から比べると2兆円の利益が吹き飛んだ形だ。
    2012年7月31日、政府の原子力損害賠償支援機構は、東京電力への1兆円の出資を完了し、議決権の50.11%をにぎって国有化が完了した。
(注6): 東京電力10+ 件は5月21日の取締役会で、実質国有化に伴う1兆円の公的資本の受け入れ方法を決議した。市場に出回らない2種類の「種類株」を原子力損害賠償支援機構に割り当て、政府の議決権を単独で役員選任などができる「過半数」の50・11%に設定した。
注7):経済産業省は、電力会社が原子力発電所を廃炉にする場合、その費用を10年超にわたって分割計上することができるよう電気事業法の会計規則を変更する方針を固めた。その費用は将来の電気料金に上乗せして利用者から徴収することも認める方針のようだ。(「また「会計マジック」頼み原発廃炉」by磯山友幸氏2013年9月4日 「東電、10年で1兆円捻出 汚染水含む廃炉費用に・経営再建へ重荷(2013年9月19日)・・国際基準から見れば損失の繰り延べは粉飾決算」「原発廃炉の負担小さく…会計規則を改正

 2011年8月9日の社長の記者会見後半(USTREAMの映像で1時間:03分30秒ころ)では、原子力損害賠償支援機構(NDF・杉山武彦理事長9月26日業務開始)からの支援の受入れは特別利益で計上し、支払う特別負担金は費用として計上すると経理部長が応えているが、経済産業省によればまだ決まっていないということでかなり誤解を招く答弁のようだ。(8月の改正案で、電気事業会計規則・・原子力損害賠償支援機構負担金は営業費用・料金原価とし、原子力損害賠償支援機構資金交付金は特別利益としている・・日本弁護士連合会は反対意見 その他の意見等)

なお、2011年9月26日、東京電力の資産査定や経費見直しを進めている政府の第三者委員会経営・財務調査委員会」が、福島第1原発事故の賠償費用を現時点で総額4.5兆円台と試算していることが26日、分かった。東電と調査委は賠償費用の捻出策を盛り込んだ「特別事業計画」の策定に向けて協議中で、前提として賠償総額を試算した。ただ、福島第1原発1号〜4号機の廃炉費用に1兆1500億円を見積り、追加4700億円の計上を指摘しているという。5号機と6号機も廃炉の可能性があリさらに膨らむ可能性がある。10月3日
経営実態を調査してきた政府の第三者委員会の「東京電力に関する経営・財務調査委員会」(委員長・下河辺和彦弁護士)は3日、調査報告書の内容を発表した。今後10年間で8兆6000億円もの巨額の資金負担が生じるとの予想を示した。

なお、東京電力の第一福島原子力発電所事故の比ではないが、比較的大きな事故を起こした例として英国BP社の米国メキシコ湾岸で原油流出事故がある。
2010年4月20日英国石油メジャーのBP社が米国メキシコ湾岸で原油流出事故を起こし、巨額な原状回復及び賠償債務を負っているBPの年次報告書(国際会計基準適用のSEC登録のForm 20−F)が参考となるが、BP社の場合は、企業規模に比較して賠償債務は限定的で、信頼できる見積もりはできない未確定事項の賠償債務がある旨の強調する事項はあるが、継続企業の前提に関する付記事項はなく、無限定適正意見がアーンスト・ヤング会計事務所が出されている。 財務諸表には、注記2.重大な事象Significant event・・メキシコ湾石油流出事故および注記37.引当金に詳細な内容が開示されている。さしずめ、日本でも、重要な事故として詳細な内容が開示されることが期待される。
BPの株価は、事故直後半分くらいまで下げたが現在は回復しつつある。

2012年10月27日、東電、福島の除染要員を3倍に 全社員も順次派遣する、として、 中期経営計画には、来年から全社員3万8000人を年間2〜3回のペースで福島県に順次派遣し、被災家屋の清掃など生活再建支援を強化する計画も打ち出す。従来のボランティア活動とは異なり業務の一環として現地に派遣する。人数は年間で延べ10万人に達する見通しだ。除染費用を巡っては、いったん国が肩代わりするが、東電に請求できることになっている。ただ、数十兆円にも達するとの試算もある除染費用を全額、東電が負担するのは不可能。国と東電がどのように費用を分担するかは明確になっていない。

参考:原子力産業会議の損害試算1960年(毎日新聞1999年6月16日)
1960年に原子力産業会議が科学技術庁の依頼で纏めた「大型原子炉の事故の理論的可能性および公衆損害額に関する試算」っていうのがあって、これは原発事故時の損害賠償制度を策定する為に行われた試算。どうも長いこと秘密扱いされてたみたいなんだけど、今年(1999年)6月、参議院の経済・産業委員会で加藤修一議員と 西山登紀子 議員が取り上げて40年ぶりに公開された。さて、これを見ると被害の状況はお天気次第、という事が分かる。損害が3兆7000億円の損害を予想している。この試算が行われた当時の日本の一般会計は1兆7000億円だったから国家予算の2倍以上の損害が予想されている

廃炉に係る会計制度検証ワーキンググループ設置by経済産業省・資源エネルギー庁(平成25年6月4日)

2013年6月4日、茂木敏充経済産業相は4日の閣議後会見で、電力会社による原子力発電所の廃炉に関する会計制度の見直しを検討する専門家による専門部会を設置すると発表した。

設置する「廃炉に係る会計制度検証ワーキンググループ」は、総合資源エネルギー調査会電気料金審査専門委員会の傘下に置く。委員は公認会計士などで構成し、山内弘隆・一橋大大学院教授が座長を務める。現行の制度では、廃炉に備えた費用を電力会社が40年間かけて積み立てる仕組みで、予定より早く廃炉になると積立金が不足する。原子力規制委員会の活断層調査などにより、運転が40年に満たない原発が廃炉に追い込まれることが想定されるため、経産省は制度変更の検討が必要だと判断した。廃炉にともなう損失を複数年度にわたって計上できるようにすることなどが検討対象になるとみられる。(ニュース 参照)
      ↓
⇒すでに国際会計基準は整備されている。廃炉に係る会計は「資産除去債務」を計上することになるし、廃炉となる資産は「固定資産の減損」として資産性はなく貸借対照表から除かれる。つまり、現在の、東電の財務諸表は「資産除去債務」「固定資産の減損会計」を適用していないということを意味している。現に、貸借対照表を見ると2013年3月末で、原子力発電設備が7540億円計上されたままであるし、資産除去債務は8260億円と少なすぎるのだ(「東京電力、原発廃棄の場合の資産除去債務計上不足の懸念」参照)

この「廃炉に係る会計制度検証ワーキンググループ」は、新たな会計の仕方を創出するつもりか?⇒国家による粉飾?  興味深いワーキンググループである。注視していく必要がある。


国際監査基準(ISA)を導入?

2009年6月30日開催企業会計審議会監査部会で、八田委員がISAの導入について金融庁に問いただしているが、相変わらず金融庁ははぐらかして先延ばししている。9年も前に国際会計基準のコア・スタンダードを完成したとき、2000年5月にIOSCOが国際会計基準を支持した時と全く同じで、金融庁はIOSCO各国当局に法的拘束力がないとして態度を明らかにしなかったのと同様である。時が止まったように金融庁は当時と同じことを繰り返しているだけだ。

○八田委員

ひとつ伺いたいことがございます。今の作業に関連して、この資料3−2で、先ほどIOSCOの国際監査基準に対するいわゆる支持表明についてのご説明がございました。これは図らずも、ちょうど企画調整部会が行われた同じ6月11日に公表されたということで、会計と監査がまさに国際的な収れんをする方向になっているものと思われますが、この表明に対して、金融庁といいますか、当審議会としてはどういう受け入れ方をするのでしょうか。つまり、金融庁はIOSCOのメンバーに入っていると思いますが、会計基準だけではなく監査基準についても、当然これはそのまま受け入れるという方向性なのでしょうか。それともこういうメッセージが出たということで、審議会としての対応について何か方向性をお示し頂けるのでしょうか。

○三井企業開示課長
金融庁としてアプリオリに答えを今こうすべきだと申し上げることではなく、むしろそこが監査部会での今後の審議事項として上がってくるのではないかという認識でございます。

金融庁はおかしい。ISAのクラリティ・プロジェクトの完成と、IOSCOの支持表明がある中で日本の当局が態度を明らかにしないのは職務怠慢の何物でもない。金融庁は、IOSCOのメンバーとして支持表明を何と思っているのであろう。委員の議論を待つまでもないことである。(金融庁が用意した「国際監査基準(ISA)を巡る動向」参照)

IAASB2008年年次報告書:クラリティ・スタンダード」によれば、審議会委員(Board member)には日本人から中国人に変わり日本人の委員はおらず、金融庁のオブザーバーとして五十嵐則夫氏が出席しているのみ。無視している日本より導入している中国を委員に選任するのは当然であろう。

その後、2010年現在では、日本の金融庁からTomokazu Sekiguchi金融庁総務企画局企業開示課関口智和)氏が2011年までIAASB Membersとなっているが監査の専門家か監査実務の経験者か不明(IAASB 2009年年次報告書 参照)。英国は勅許会計士のかなりの経験者であるし、スエ―デンは会計検査院での地位のある監査実務者がメンバーとなっている。現在のメンバーで監査の専門家でないのは日本だけであろう。ひどい話である。金融庁の監査基準(金融庁作成の日本の監査基準書は8ページしかない)に対する認識が垣間見える。)

2010年4月24日金融庁(内藤純一 総務企画局長)は、国際会計基準(IFRS)に関する誤解を公表した。監督当局である金融庁の解釈を示している。
つまり、「我が国の監査基準は、国際的な監査基準と整合性をとってきており、ISAと大きな差異はないものになっている」と国際会計基準(IFRS)の時と同じ文言を使用し、かつ「IFRSを適用している諸外国においても、必ずしもISAで監査が行われている訳ではない」という金融庁の認識を表明している。企業会計審議会監査部会八田委員これでよいですか?

ちなみに、米国の統一公認会計士試験では、2011年1月から、国際会計基準(IFRS)及び国際監査基準(ISA)も出題されることになった。(The Uniform CPA Examination Alert Spring 2010参照

2010年(平成22年)3月29日 金融庁、「監査基準の改訂に関する意見書」(監査基準の本文はたった8ページは変わらない)を公表した。(A)監査報告書の記載区分を現行の3区分から、国際監査基準と同様に、(1)監査の対象、(2)経営者の責任、(3)監査人の責任、(4)監査人の意見の4区分に改訂し、国際監査基準において求められている記載内容を踏まえてそれぞれの記載区分における記載内容を整理し、(B)監査報告書の追記情報の記載について、国際監査基準と同様に、会計方針の変更、重要な偶発事象、重要な後発事象などの、監査した財務諸表を含む開示書類における当該財務諸表の表示とその他の記載内容との重要な相違などの、財務諸表における記載を前提に強調することが適当と判断した事項と、監査人がその他説明することを適当と判断した事項について、それぞれ区分して記載する等である。改訂監査基準は、平成24年3月決算に係る財務諸表の監査から実施する。

脇田良一金融庁企業会計審議会監査部長によれば、「企業会計審議会は、財務諸表監査の担う役割を明示し、これを普遍的に意味付ける「監査基準」を抽象的に示すに止める」(会計・監査
ジャーナル2011年7月号)そうだ。たった8ページの実務に使えない監査基準は、国際的に意味不明である。判りやすくするために、国際監査基準(ISA)を導入すべきと考える。金融庁に限らず、行政府は実務経験のない素人の集まりと考えて間違いない。

日本公認会計士協会は、2011年10月24日、「ISAとの関連性を明確にするため、ISAの体系に沿った報告書番号を付し、」として改めて報告書の番号を訂正した。平成24 年4 月1 日以後開始する事業年度に係る監査又は中間監査から適用する、としている。(「調整作業について」「体系および用語等について」参照)

2011年12月22日日本公認会計士協会は国際監査・保証基準に準拠した「新起草方針に基づく品質管理基準委員会報告書及び監査基準委員会報告書並びに監査・保証実務委員会実務指針の最終報告書」の公表を行った。本報告書は、平成24年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間監査から適用する、としています。(「報告書の一括ダウンロード(533ページ)」)⇒平成24年1月24日公認会計士・監査審査会・・平成24年の会計士論文式試験の対象となります

任意監査を想定していない日本特有の監査報告書

日本の会計事務所には、米国の親会社から日本に設立した子会社の財務諸表監査を要求されたり、欧州の親会社から日本の子会社の監査を要求されることがある。こうした場合、米国からの要求は米国会計基準(US GAAP)で作成した財務諸表の監査報告書、欧州は国際会計基準(IFRS)で作成された財務諸表の監査報告書を要求されるが、法定監査ではなく任意監査である。米国および欧州への監査報告書は米国監査基準、国際監査基準に準拠して監査報告書を作成して報告する。米国を含む国際基準は、法定監査と任意監査に区別はない。

日本企業の子会社が米国や欧州に子会社を設立すると海外子会社の財務諸表の監査を現地会計事務所に依頼するケースが多い。監査報告書は、国際基準で報告される。国際基準は法定監査および任意監査の区別はない。英・米系の会計事務所の監査収入の約50%が任意監査の報酬となっている。日本は任意監査の道を探ろうとせず自ら閉ざしているのである。法で守られた法定監査だけの世界は、監督官庁の顔色をうかがう行政からの独立性のない状況にあり、国際的にみて異常な世界だ。

国際基準は法定監査および任意監査の区別はない。その証拠に、SEC登録の米国上場会社の連結財務諸表の会計監査人の監査報告書には、監査目的である「財務諸表が会計基準に準拠しているかどうかについて意見を述べる」のみで、日本のように監査の根拠法令を監査報告書に記載することはない。

つまり、日本の会計監査は法定監査のみが想定されているが、欧米の国際基準は、任意の依頼による任意監査と法律が求めている法定監査の依頼区分は監査報告書に記載されない。法定または任意による監査の依頼区分は、監査の保証程度に差異は無いし、監査の目的とも関係ないからである。

日本の監査報告書 米国等の国際的な監査報告書
金商法の
法定監査
金融商品取引法の監査報告書
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、

金融庁・「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」  
      電子開示システムEDINET(有価証券報告書等)閲覧
原則、法定監査と任意監査の区別はない

米国基準のケース
マイクロソフト社の年次報告書のケース
GEの年次報告書のケース
ソニーの年次報告書のケース

国際基準のケース
ドイツ取引所の年次報告書監査報告書注1

日本電波工業IFRS年次報告書の監査報告書(注2)
会社法の
法定監査
会社法の監査報告書
当監査法人は、会社法第436条第2項第1号の規定に基づき

法務省・「会社計算規則 第三章会計監査人設置会社における監査」
任意監査:
欧米では、主に金融機関が貸付や私募債引受けの与信目的に要求
会計制度・監査制度は金融庁が構築しているため
日本では任意監査が想定されていない
つまり、与信目的等の任意監査は想定されていない。
(日本では金融機関が与信管理に規模の比較的大きな非上場企業であっても監査を求める慣習がない)
注1:ドイツは商法第315a(1)で”真実・公正な表示(true and fair view)”を求めており監査報告書に記述されているが任意監査・法定監査の区分ではない。
注2:日本電波工業の監査報告は、企業の依頼による任意監査で、国際会計基準(IFRS)の財務諸表に対する監査であるため"国際監査基準に準拠した監査である"旨の記載がある。

日本と類似している英国は、1985年会社法235条に準拠して監査報告書が作成されている旨の記述がある。

法律を立案している日本の行政府(金融庁及び法務省)が法定監査のみを管轄しているため省令から任意監査は眼中から消えている。

こうした日本特有な孤立状況を打破するためには、会計基準同様に、国際監査基準を全面的に適用する必要がある。

金融庁・金融審議会が検討している「公開会社法」構想は有価証券報告書を会社法でも利用しようとする構想であり法定監査が前提で、例えば、欧米の金融機関等が与信のために非公開会社の財務諸表に任意監査を求めて”会計基準に準拠した監査済み財務諸表”を入手するという任意監査は日本では想定されていない。

日本の企業 会社の数 法定監査 % 金融商品取引法
適用会社
会社法
適用会社
@ 上場企業(金商法適用) 約3,900社 約3,900社 0.15% 約3,900社 約3,900社
A 金融商品取引法開示企業 約1,000社 約1,000社 0.04% 約1,000社 約1,000社
B 会社法大会社
(資本金5億円以上、負債2百億円以上)
約10,000社 約10,000社 0.40% 約10,000社
C 上記以外の株式会社(主に中小企業) 約2,500,000社 約2,500,000社
総合計 約2,514,900社 約14,900社 0.59% 約4,900社 約2,514,900社
出展:金融庁調べの資料より  なお別資料あるが正確な統計資料が定期的に金融庁から公表されていない。

会社法第431条 では、「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする」として、日本独特なものとなっており国際基準を受け入れられない原因ともなっている。英語への意訳は以下の通り。

参考:会社法第431条の英訳>The accounting of kabushiki kaisha shall be in accord with corporate accounting customs which are generally accepted accounting practices.

会社法第431条は、中小会社を含むすべての株式会社(上記では251万社、平成20年6月末現在283万社)に会計基準の適用を求めているものである。上場会社等の金商法の会社及び資本金5億円または負債200億円以上の大会社(会社法第2条)の法定監査会社約1.5万社、つまり、99%以上は中小会社である。会社法が、99%以上の中小会社が会計基準に準拠して会社法違反しないことを期待しているとしたら、非現実的で、日本の会社法立法者は実務界を知らないといわざるを得ない。実務が理解できるようになれば、いずれ、ドイツのように中小企業と上場会社(IFRS適用)を分けるようになろう。

参考:2012年11月16日企業会計審議会監査部会の資料:「多様な監査業務(学校法人監査等)に応じた審査のあり方

2009年3月24日金融庁・企業会計審議会は、「継続企業の前提」に関して国際監査基準と整合するための議論に入った。2009年3月期の監査から適用するよう手当てするとしている。内容は、至極自然の内容となっている。(ロイター 参照)
3月24日の議事録を見ると、金融庁、監査人、学者がそれぞれ異なった監査基準をイメージしており一枚岩でないことが良くわかる。だからこそ国際監査基準が目指すような明瞭な監査基準(クラリティ・スタンダード)が必要なのだ。

2009年6月30日金融庁・企業会計審議会・監査部会は、会合を開き国際的な監査基準の改訂に合わせ、継続的に監査基準の改訂作業を進めることを決めた。また、監査基準をめぐる国際的な動向を踏まえ、我が国における国際監査基準の取扱いについて検討を行う、としている。注目されるのは、「クラリティ・プロジェクトについて」によれば、日本公認会計士協会の監査基準委員会報告書(第40号「財務諸表監査における不正」(中間報告)ISA240第37号「監査計画」(中間報告)ISA300第38号「企業及び企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示のリスクの識別と評価」(中間報告)ISA315第39号「評価したリスクに対応する監査人の手続」(中間報告)ISA330)しか翻訳していないという事実をどうするのかということ。

IAASB2008年年次報告書:クラリティ・スタンダード」によれば、審議会委員(Board member)には日本人から中国人に変わり日本人の委員はおらず、金融庁のオブザーバーとして五十嵐則夫氏が出席しているのみ。無視している日本より導入している中国を委員に選任するのは当然であろう。

2010年3月2日企業会計審議会・監査部会8か月ぶり開催し「。今般の国際監査基準の明瞭性プロジェクトは、基準の内容の大幅な改正ではなく、前述のように、基準の規定文言を明確化するための技術的な改正を中心とするものであるが、改正後の国際監査基準と我が国の監査基準との間には、一部に差異が生じることになった。こうしたことから、当審議会は、平成22年3月に開催された監査部会において、改正された国際監査基準との整合性等に関して検討を行い、国際監査基準の明瞭性プロジェクトによる改正に対応して、監査人の監査報告書における意見表明の内容等を規定している報告基準における国際基準との差異を調整することを中心に、現行の我が国監査基準を改訂することとした」として、報告基準に「国際監査基準では、監査報告書を@監査の対象、A経営者の責任、B監査人の責任、C監査人の意見に区分した上で、@の監査の対象以外については、それぞれ見出しを付して明瞭に表示することを要求していることから、我が国の監査基準においても、監査報告書の記載区分を現行の3区分から4区分とするとともに、国際監査基準において求められている記載内容を踏まえてそれぞれの記載区分における記載内容を整理した」もの。(監査報告書文例)

加えて、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の適用に伴う監査意見の対応の必要性により整備する。こんなことで8カ月も必要か?兎に角役所は対応が遅い。金融庁には会計・監査に知悉した人間がいないのではないか。
金融庁組織規則
(企画官及び主任会計専門官)
第六条  企業開示課に、企画官一人及び主任会計専門官一人を置く。
 企画官は、命を受けて、企業開示課の所掌事務のうち重要事項についての企画及び立案に関する事務に従事する。
 主任会計専門官は、命を受けて、企業開示課の所掌事務のうち企業会計の基準の設定その他企業の財務に関する専門的事項に係る事務に従事する。

2010年3月2日金融庁・企業会計審議会監査部会は、「監査基準の改訂に関する意見書」(本文8ページ全16ページ)を公表した。改訂監査基準は、平成24年3月決算に係る財務諸表の監査から実施する。(「新旧対照表」参照)

2010年4月22日金融庁、「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」を公表し、国際監査基準については【誤解・・IFRSになると、監査も国際監査基準(ISA)に基づいて行わなければならない。実際・・IFRSになっても、我が国の企業は、日本の監査基準に従って監査を受けることになる ○IFRSを適用している諸外国においても、必ずしもISAで監査が行われている訳ではない】としている。これは正しくない。欧州は現在、国際監査基準(ISA)の導入(adoption)を検討中である。また、会計及び監査には影響がないが、米国PCAOBの監査基準と国際監査基準(ISA)との差異分析(5つの項目で差異があると)しており研究に怠りない。

2011年6月24日金融庁は、企業会計審議会・監査部会を開催し、「中間監査基準等の改訂について」の検討を開始した。加えて、「監査を巡る国際的動向について」の報告があった。(1)欧州委員会による法定監査人の役割に関する市中協議文書(グリーン・ペーパー) の概要(2010年10月13日)、(2)米国公開会社会計監視委員会(PCAOB)ドーティ議長のスピーチ(2011年6月2日)の報告があった。

2011年4月8日、金融庁、「中間監査基準及び四半期レビュー基準の改訂について」(公開草案)を公表した。(中間監査基準新旧対照表 四半期リビュー基準新旧対照表 参照)
2011年6月30日金融庁は、「中間監査基準及び四半期レビュー基準の改訂に関する意見書」を公表した。中間監査基準および四半期レビュー基準の本文はそれぞれ8ページで目的などは重複している。

2012年5月30日金融庁は、企業会計審議会・監査部会を開催し、オリンパス事件を契機に、「不正に対応した監査の基準」の策定を開始した。9月25日には、「不正に対応した監査の基準の考え方(案)」を事務局が提示しているが、2013年3月期から適用される国際監査基準240号財務諸表監査における不正(監査基準委員会報告書240)に「監査の全過程を通じて、職業的懐疑心を発揮しなければならない」規定は既にあり目新しいものはない。金融庁の役人の文書に置き換えているに過ぎない。財務諸表の不正は、オリンパスが初めてではないし、国際監査基準は、世界の財務諸表の不正の数多くの経験を踏まえて充実してきているのだ。官僚が作るものは、下記の金融商品取引法のような、いじめっ子から逃れるために親に告げ口するような、かつ虎の威を借りる、実務からほど遠いものばかりである。

金融商品取引法第百九十三条の三(法令違反等事実発見への対応) だって、オリンパス事件では機能しなかった。“伝家の宝刀”では使えない金商法193条の3 今さらですが金商法193条の3って何だろう・・・ 実務に疎い官僚が用意する仕組みとはこんなものばかりです。(2012年04月25日「法律を作った人の論理」「法律事務所から金融庁に出向」参照)

@2012年5月30日開催 議事録 資料  A6月26日開催 議事録 資料 B7月25日開催 議事録 資料 C9月25日開催 議事録 資料 不正に対応した監査の基準の考え方(案) D10月18日 議事録 資料  確認状に取引先監査人の署名、不正リスク対応で金融庁が検討 E11月16日 議事録 資料 F12月11日、議事録 資料 「不正リスク対応基準(原案)」「監査基準新旧対照表(案)」「金融庁監査部会、「不正リスク対応基準」の公開草案原案を公表」・・内容を見ると実質何も変わっていない。日本公認会計士協会は既存の監査基準との重複を主張している・・金融庁栗田課長の解説 参照


2012年6月26日開催の監査部会で、八田進二教授は「企業不正に対する監査人の取組みと課題」の中で、米穀監査基準の歴史的概要及び国際監査基準240号を反映した監査基準委員会報告240号を説明すると同時に、監査人が虚偽記載を発見できるようにするため、「監査人が行うべき監査手続を包括的に整理して、基準として示すことも一法だ」と提言している。八田氏の提言が基準を作るように促しているようだ。すでに、委員会報告240号があり、屋上屋を重ねるがごときものであろう。増してや、「監査人間(監査法人間)での連携」などは監査実務で機能するはずはないことは実務家の大方の見方である。そもそも、不正の一般論ではなく、オリンパスの粉飾循環取引大王製紙の元会長への巨額融資など特定の事例のみを想定したもので手続きに普遍性はない。

2012年10月18日の金融庁・企業会計審議会・監査部会で、「取引先監査人への調査も依頼可能に、確認状に取引先監査人の署名、不正リスク対応で金融庁が検討」とし、取引先の監査人の確認を求める、としている。金融庁の企業開示課長 栗田照久氏は「かなり重い手続きで最終兵器に近い。被監査対象企業の監査人が不明瞭な取引について監査手続きを実施し、監査役にも調査をしてもらい、それでも解明できない場合にする手続きと考えている」と話した、とのことであるが、素人の官僚の発想だ。素人官僚が監査基準に介入するとろくなことはない。

2012年10月27日、日本経済新聞は、「不正会計を防ぐ」と題して、【金融庁の幹部は「粉飾を見逃す会計士なんていらない」と監査法人の言い分に怒りを隠さなかった。こうして会計監査の「不正対応基準」の議論が始まった】とある(新聞記事 参照)。医者に向かって「病気を治せない医者なんかいらない」、「病気の原因が分からない医者なんかいらない」と言っているようなもの。被害者にとっては、感情的になろう。しかし、専門家としての正当な注意を怠らず行ってもなお且つ責任を問われるなら、その職業のなり手はいなくなる。かつて、医師会の会長武見太郎氏は、素人の官僚の過大な規制に対抗するため、プロフェッショナル・フリーダム(現在は「プロフェッショナル・オートノミー」)を主張して、過大な官僚の規制・介入を阻止した。会計士業界も医師会と同様、プロフェッショナル・オートモミーを発揮すべき時に来ている。

2012年11月7日、日本公認会計士協会は、金融庁総務企画局企業開示課長栗田照久氏を招いて緊急シンポジウム「不正に対応した監査の基準の検討に向けて」と題してシンポジウムを開催し、公認会計士が三つの会場に約1300人出席したとのこと。氏はIFRS再検討を指揮した人でもあり、不正対応監査基準を起草した人でもある。「不正に対応した監査の基準の考え方(案)」は、全くの素人が監査基準を作成したようなもの。話を聞いてみるとオリックスや、循環取引による不正開示について監督当局は何らかの対策を講ずる必要があるの一点張りで専門家の話に聞く耳を持たない、12月には成案を作るというばかりで狂信的てある。監査基準を実施する会計士の話に耳を傾けない官僚の横暴は日本の制度の特徴という印象を受けた。日本公認会計士協会側は、適用する国際監査基準に既に規定があり新たに作成する必要はなく、国際監査基準を超えたものであれば、実施不能なため国際基準にないので海外の監査人等の協力を得られない実効性のない基準はいらない、という立場。2012年12月14日に日本公認会計士協会主催で金融庁担当者との質疑にを含んだ第二弾緊急シンポジュウムが開かれるようだ。

監査に失敗はつきもの。オリンパス、大王製紙、循環取引の監査については、現行の国際監査基準の不備の問題ではなく、監査基準に準拠できていない監査の失敗の何物でもない。監査実務もない専門的知識もない素人の役人が、実務家・専門家の監査実施基準を設定するのは、医者の治療を素人の役人が決めるようなもので、専門家の自律性(professional autonomy)を阻害し危険極まりない。ましてや、国際監査基準を超えた基準を金融庁の一役人は作ろうとしているのだ

金融庁も、AIJ投資顧問で2000億円の年金資産を消失した件で監督検査責任を負っているはずだ。国民の貴重な年金資産を保全・監督できない監督官庁なんていらない。(「なぜ追及されない金融庁の怠慢」「金融庁の無策」)金融庁の同じ人間がオリンパスの件では会計士に対し上記の怒りを露わにしているのだ(金融庁検査局審議官佐々木清隆氏「粉飾は許さない」)。

平成17年度から「有価証券報告書等の審査体制」は強化されているはず。
(1)有価証券報告書等の虚偽記載等や不公正な証券取引の問題に的確に対応するため、平成17年度予算において、証券取引等監視委員会事務局に課徴金調査・有価証券報告書等検査室(定員40名)を設置するとともに、総務企画局にディスクロージャーをめぐる問題を専担する企業開示課を設置する。

かつては、審査により「昭和54年には,大光相銀が昭和54年3月期決算案を公表したのに対して,大蔵省は,簿外債務保証の事実の具体的内容について証券取引法第26条に基づく検査を実施し,その結果,提出した有価証券報告書に粉飾経理による虚偽記載の事実があることが確認された。大蔵省は昭和54年10月証券取引法違反容疑で告発し,昭和56年7月判決(有罪)が出されている。また,昭和60年にはリッカー(株)粉飾事件が発生している。リッカー(株)の証券取引法第26条の検査にあたっては関東財務局からも検査に参加して行われ,これらの結果,大蔵省は昭和60年5月に告発し,昭和62年3月に判決(有罪)が確定している」そうだ。

2012年12月11日企業会計審議会第32回監査部会が公表した「不正リスク対応基準(原案)」を見ると、当初の草案にあった「取引先企業の監査人との連携」は、被監査企業と取引先企業の通謀が疑われる場合の一つの監査手続であると考えられるものの、解決すべき論点が多いことから、今回の公開草案には含めず、循環取引等への対応について、当審議会において継続して検討を行うこととしている。実質現行の国際監査基準に何の変更もない。(「監査基準新旧対照表(案)」参照)

2013年2月28日企業会計審議会第33回監査部会は、不正リスク対応基準(案)について最終版を議事に付した。同日、日本公認会計士協会は、「監査における不正リスク対応基準(仮称)」に対応するための「監査基準委員会報告書の改正について(公開草案)」を公表している。最大の汚点となるであろう。3月14日に「監査基準の改訂及び監査における不正リスク対応基準」最終版が公表された。金融庁総務企画局の栗田照久企業開示課長作成。

2014年2月18日金融庁企業会計審議会は、特別目的の財務諸表に関する監査の適用ができるように監査基準を改定(全文17ページ)した。この監査基準でイメージできるのでしょうか?

英国の監査報告書2005年5月25日、監査実務審議会(APB)は「財務諸表の監査報告書案(Auditor's Reports on Financial statements、Draft)」を公表し、8月1日までにコメントを求めている。1985年会社法を基礎として、中小企業の会計基準(FRSSE, Financial Reporting Standard for Smaller Entities)を含み、国際会計基準(IFRS)に準拠した上場会社の連結財務諸表に及ぶ、実に13のケースのモデル監査報告書を提示している。現行の国際監査基準を考慮したものとなっている。

2005年8月英国財務報告会議(FRC)は「新たな会計基準と監査基準による、真実かつ公正なる概観および監査人の責任に関して」と題して、国際会計基準を適用するに当たって、英国の伝統的な「真実かつ公正な概観true and fair view) 」を国際会計基準(IAS)が目的とする「適正表示(fair presentation)」に変更する旨の草案を公表した。ただし、実態は従来と何ら変わることは無いとしている。
7月に公表された監査基準書・草案(ISA (UK and Ireland) 700 (Revised) "The Independent Auditor's Report on a Complete Set of General Purpose Financial Statements" )では、中小会社等でUK GAAP適用の場合もあり、監査報告書にどちらの表現でも使用できるよう作成されている。

英国は2005年度の監査から、国際監査基準を適用(監査2005年 参照)。

2006年9月、英国監査実務審議会(The United Kingdom Auditing Practices Board) は、英国における財務諸表の監査報告書(Audit Reports on Financial Statements in the United Kingdom(2006/6)を公表した。上場会社、非上場会社について監査報告書の例示を示しており、検討された国際会計基準(IAS)が目的とする「適正表示(fair presentation)」は採用されず、英国の伝統的な「真実かつ公正な概観true and fair view) 」を継続して採用するものである。2005年4月1日以降開始する事業年度から適用。

コーポレート・ガバナンス(ないし内部統制)に関する会計監査人の監査報告書の記述例:
会計監査人の監査報告書の内部統制については、
"金融サービス機構(FSA)の上場規定(LR 9.8.10 R(2))が求めている、「コーポレート・ガバナンス報告書(Corporate Governance Statement)」が「コーポレート・ガバナンスに関する2006年統合規範
Combined Code」に規定の9か条(C.1.1, C.2.1, C.3.1, C.3.2, C.3.3, C.3.4, C.3.5, C.3.6, および C.3.7)に準拠しているかどうかについてリビューし、準拠していない場合に報告する。監査人は、取締役会の内部統制の報告書がすべてのリスクおよび統制を対象としているかどうか、あるいは、グループのコーポレート・ガバナンスないしそのリスクおよび統制手続が有効かどうかについて意見を求められてはいない。"

We review whether the corporate governance statement reflects the company's compliance with the nine provisions of the 2006 Combined Code specified for our review by the Listing Rule of the Financial Services Authority, and we report if it does not. We are not required to consider whether the board's statement on internal control cover all risks and controlls, or form an opinion on the effectiveness of the group's corporate governance procedures or its risk and control procedures.
参考;
Financial Repoting Council(ASB,APB,BAS,POBA,FRRP,AIDB,Corporate Governance)・・会計・監査関係機関・組織
英国キャドベリー委員会報告と統合規範(Combined Code) 参照
THE COMBINED CODE ON CORPORATE GOVERNANCE(2003年7月)・・C2で厳格な内部統制の確立を要請
THE COMBINED CODE ON CORPORATE GOVERNANCE(2006年6月)・・C2で厳格な内部統制の確立を要請
2005年10月改正ターンブル・ガイダンス・・内部統制・・内部統制のガイダンスを規定

「コーポレート・ガバナンス報告書」の事例・・年次報告書に添付する

監査事務所ガバナンス・コード(The Audit Firm Governance Code)

2012年1月、英国財務報告評議会(FRC)と英国勅許会計士協会(ICAEW)が監査事務所ガバナンス・コード(Audit Firm Governance Code)を公表し、ロンドン証券取引所に上場している会社の95%を監査している大手監査事務所の7つが適用を承諾して実行している。大手監査法人であったアーサー・アンダーセンが監査の失敗により消滅してビッグ4となり、その後も、監査の失敗はなくならない。ビッグ3にならないために、英国財務報告評議会(FRC)と英国勅許会計士協会(ICAEW)が監査事務所ガバナンス・コード(Audit Firm Governance Code)を策定・公表し監査の信頼性を促進しようとしている。規則で強制するのではなく、監査事務所自らがコーポレート・ガバナンスを年度ごとに見直し、その実効性を報告書にし見える形にしてWEBで公表し、そのガバナンスの実効性を公表するというものである。

いわゆる、上場企業のコーポレート・ガバナンス・コードの監査事務所版というべきものである。コーポレートガバナンスコードでは、独立社外取締役(Independent Directors)としているところを、監査事務所ガバナンス・コードでは独立非執行役(Independennt Non-Executives, INEs)としている。
DEFINITION of 'Non-Executive Director' A member of a company's board of directors who is not part of the executive team. A non-executive director (NED) typically does not engage in the day-to-day management of the organization, but is involved in policy making and planning exercises.

監査事務所でのガバナンス・コードで一番効果的なのは、D.2の「リスクマネジメント原則(Risk management principle)」(A firm should maintain a sound system of internal control and risk management over the operations of the firm as a whole to safeguard the owners’ investment and the firm’s assets.)であろう。

日本でも、東芝の不適切会計による監査人の信頼性が揺らいでいる。金融庁は、2015年10月5日、「会計監査の在り方に関する懇談会」(第1回)の開催について」として懇談会を開催した。一方、監査法人を検査している「公認会計士・監査審査会」の千代田邦夫会長は、「監査法人の行動原則を定めたコード(指針)の策定について「いいアイデア。議論する価値がある」と述べ、前向きな考えを示したとある。監査法人の行動原則を定めたコード(指針)が、英国財務報告評議会(FRC)と英国勅許会計士協会(ICAEW)が2010年1月に公表した監査事務所ガバナンス・コード(Audit Firm Governance Code)である。【金融庁、会計監査の議論に着手 監査法人の統治指針求める声も

巨大監査事務所を崩壊させない手立ては、今のところ、このガバナンス・コードを機能させることにあろう。少なくとも、金融庁の素人集団の規制強化よりマシなことは確かだ。金融庁の規制強化により公認会計士の受験者は減少の一途をたどり次世代を任せるべき人材が育ってこない状況にある。

監査事務所ガバナンス・コードを公表したKPMGカルフォルニアの事務所で、29年間KPMGに勤務するパートナーがインサイダー情報をゴルフ仲間に提供してFBIの逮捕され、FBIの通報によりKPMGは即刻パートナーを首にすると同時に担当していた上場会社2社の監査から手を引くという不祥事を起こしている。【KPMG and Cororrate Governance【KPMG Insider Trading Scandal Latest Blow to Accounting Industry's Reputation

因みに、東芝を監査していた新日本監査法人の提携先のアーンスト&ヤング監査事務所も「Audit Firm Governance Code」を適用していると報告されている。

2016年3月、「政府・自民党は4日、監査法人の経営規範を示す「ガバナンス・コード(統治指針)」を年内にもつくる方針を固めた。ある企業を監査するチームを一定期間ごとに交代させるといった監査法人と企業のなれ合い防止策を盛り込む。監査の透明性を確保することで会計不祥事の再発を防ぎ、日本企業への信頼を取り戻す狙いがある。 自民党の金融調査会が月内に統治指針の新設を提言する」としているが、昨年10月の「監査の在り方に関する懇談会」で、既に【金融庁、会計監査の議論に着手 監査法人の統治指針求める声も】あったと伝えている。英国に倣うのはいいけれど、ビッグ・フォーの英国では導入済みで、新日本監査法人(提携先E&Y)を含めて提携先は導入済みである。グローバルな事務所として提携先は順守義務があるのではないか?

2016年3月8日金融庁は、会計監査の在り方に関する懇談会の提言」を公表した。案の定、実効性が疑問な提言が出てきた
○監査法人のマネジメントの強化→監査法人のガバナンス・コードの設定・・・すでに英国で導入され新日本監査法人の提携先のEYアーンスト・アンド・ヤングは導入済み。グローバル事務所として日本も導入済みと考えていい。
○会計監査に関する情報の株主等への提供の充実→企業による会計監査に関する開示の充実・・・具体的な内容に及んでいない。
○企業不正を見抜く力の向上→会計士個人の力量の向上と組織としての職業的懐疑心の発揮・・・・OJTの充実だろうが、優秀な会計士がどれだけいるかにかかっている。
○「第三者の眼」による会計監査の品質のチェック→監査法人の独立性の確保・・・当局の検査が独立性を失わせるだろう。既に当局に対して従順で、独立性は希薄である。気迫に欠ける。大手ほど・・監査報酬が高くなる竜付けに使えるため。効率的監査ができなくなり監査報酬の高騰に繋がった。当局のお墨付きがあれば、資金的な余裕のある大手監査法人ほど有利となり安泰となる。当局の肥大にもつながり、最悪の状況になってきている。
○高品質な会計監査を実施するための環境の整備→会計監査に関するガバナンスの強化・・・形式的なものになろう。

イギリスやオランダを引き合いに出しているが内容は曖昧でその効果は未定であろう。不思議で奇妙な文章だが、このような提言を受けた公認会計士自身が反論できず自らを恥じるべきかも知れない。その一方で、投資者保護の制度設計をしなければならない金融庁の役割は一切触れていないのでは問題の解決にほ程遠いといえる。驚かされるのは、「当局と大手・準大手との定期的な対話(協議会の設置)」としている。競争を制限し、当局を含めた談合を公式に認めるというバカげたもととなっている。第二の東芝が出たらどうするのだろう。早くに揉み潰し、無いことにするということだろう。大手監査法人の寡占を助長することになろう。




●欧州連合(EU)は2005年度の国際会計基準適用に伴って国際監査基準を適用に動いている(英国会計士協会ニュース EUニュース(2005年11月10日) (10月20日) 参照)。


2005年12月欧州会計士連盟(FEE)によると、監査報告書への国際会計基準適用の文面は「EUが採用した国際財務報告基準に準拠して(“International Financial Reporting Standards as adopted by the EU” or “IFRSs as adopted by the EU”.)」とする。国際財務報告基準とは異なった会計方針の場合は、注記に開示することを強く勧める、としている。

2005年12月14日、欧州委員会は、欧州会計士監視機構(European Group of Auditors' Oversight Bodies’(EGAOB))を創設すると公表。.

EU委員会の「"European Group of Auditors' Oversight Bodies" (EGAOB)」によれば、
第八指令により、EGAOBは、次の監視に関して最終的な責任を負っている。
・法定監査人および監査事務所のメンバー国の承認および登録
・倫理基準の適用、監査事務所および監査の内部品質管理
・継続教育、品質保証、検査および規律システム

法定監査指令実施(第八指令)の構造

2006年4月25日、下記の国際監査基準を採用する法定監査指令の適用(ECニュース”Council adopts new EU rules on audit of company accounts”参照)

2006年6月9日、年次勘定と連結財務諸表の法定監査指令に関する指令(Directive 2006/43/EC on statutory audit of annual accounts and consolidated accounts and amending Council Directives 78/660/EEC and 83/349/EEC)・・ チャプター53では、メンバー国は2008年6月28日までに、この指令を適用しなければならないとしており、2008年が国際監査基準の適用年度とされる。(EUの監査 「EUにおける法定監査指令の発効」by小立敬氏 参照)

2006年10月12日、欧州市場に関するコミッショナーであるチャーリーマクリービー氏(Charlie McCREEVY)は、欧州会計士連盟で国際会計基準を採用した法定監査指令についてスピーチ。それによれば、国際会計基準を採用したように、国際会計基準の採用も会計基準同様の方法で導入するとしている。(スピーチ 参照)

European Corporate Governance Forum・・コーポレート・ガバナンスについては検討中

欧州が第三国の監査制度の同等性を検討
2007年1月11日、欧州委員会(EC)は、非欧州監査(第三国)の監査事務所の規制に関して諮問し、3月5日までにコメントを求めている。(欧州委員会ニュース「第三国との意思疎通」「公開質問状」)

年次勘定と連結財務諸表の法定監査指令に関する指令(Directive 2006/43/EC on statutory audit of annual accounts and consolidated accounts and amending Council Directives 78/660/EEC and 83/349/EEC)の45条では、非欧州監査(第三国)の監査事務所にも「法定監査人および監査事務所のメンバー国の承認および登録」を求めており、対象の企業は約220社63カ国の非欧州国に及ぶ。ただし、指令では、第三国の監査制度が欧州連合と同等であると見なされば、欧州委員会が登録の免除を与える権限を持っている。第三国の監査制度が欧州連合と同等であると判れば、欧州連合国は、登録目的のために第3の国審査企業を査定するために共通基盤を持つことになる。第3の国の審査規則の同等性評価において、プライオリティーに関する見解を捜しており、コメントを3月5までに求めている。(ECプレスリリース)⇒2007年3月13日金融庁は、コメント・レターを発出した。「● 同等性評価を行うに当たっては、監査基準等の各論に立入ることなく、監査監督体制(品質管理、調査・処分、公的監視)の審査に重点を置くアプローチを支持する。」との苦しいコメント。

2007年3月6日、欧州市場に関するコミッショナーであるチャーリーマクリービー氏(Charlie McCREEVY)と米国PCAOBの議長オルソン氏は会談し、双方の協力により会計監査の監視を行うことで合意した。お互い信頼できる体制を持てば、欧州側が多くの時間を費やして米国の会計事務所を検査する不効率、其の逆も、避けようとするもの。(PCAOBニュース EUニュース 参照) なお、同日にSECとの会談をしており、米国側は2009年に国際会計基準を受入れることを表明している。(ニュース 米国商工会議所でのチャーリーマクリービー氏(Charlie McCREEVY)のスピーチ 参照)日本も対応が迫られよう。

2007年12月19日、欧州市場に関するコミッショナーであるチャーリーマクリービー氏は「法定監査パッケッジ」を公表した。これによると、欧州に上場している企業の監査人は欧州の監査監視機構に登録を義務つけられるが、第三国は2011年までは現行通りとする。その間に、欧州は、国際監査基準の導入状況も含まれる第三国の監査監視機構の監視状況の同等性を評価するとしている。

2009年7月3日欧州委員会は、法定監査指令に従って、法定監査に国際監査基準(ISA)を2009年12月15日以降開始する事業年度から導入することについて9月15日までにコメントを求めた。(欧州委員会のコンサルテーション資料 調査概要 調査報告 調査報告アペンディックス 参照)6月11日には、証券監督者国際機構(IOSCO)は国際監査基準(ISA)の明瞭性プロジェクトの完成により、メンバー国のISAの導入ないしコンバージェンスを奨励する声明書を公表している。

2010年3月、「国際監査基準のコンサルテーション(CONSULTATION ON THE ADOPTION OF THE INTERNATIONAL STANDARDS ON AUDITING)」を公表し、コメントの結果を公表した。これによると、会計士等は2010年度か可能な限り早期に導入を要望する一方、規制当局は導入に時間がかかるとして2011年又は2012年の導入を要望している。(Consultation on the adoption of International Standards on AuditingEU:International Standards on Auditing (ISAs)参照)
なお、会計及び監査には影響がないが、米国PCAOBの監査基準と国際監査基準(ISA)との差異分析(5つの項目で差異があると)しており調査研究に怠りない。(ISAs 参照)

EUが、監査法人交代制を検討開始・大手監査法人の寡占に歯止め

欧州連合監査法人に対する規制を強化する。監査法人と顧客企業とのなれ合いを防ぐため、企業に担当監査法人の定期的な変更の義務付けを検討する。登録した監査法人や会計士が域内で自由に活動できる「パスポート」も導入する。四大監査法人の寡占状態にある監査市場の競争を促し、企業や銀行の財務内容を厳しく点検することで金融危機の再発防止につなげる狙いだ。

EUの執行機関である欧州委員会は域内の企業などを対象とした意見聴取を始めており、2011年に監査法人改革法案をまとめ、加盟国政府や欧州議会との調整に入る。域内市場・サービス担当のバルニエ欧州委員は「金融危機は監査の欠陥を露呈させた。いかなるテーマもタブー視しない」との姿勢を示した。

 欧州委が検討しているのは、一定期間後に担当監査法人を変更する「交代制」の義務づけ。日本では主任会計士が同じ企業を担当する期間を5年と定めている。これに対し欧州委は、企業の財務諸表の適正な評価には、監査法人の独立性を高め担当企業との間で緊張感を保つ必要があり、監査法人そのものを変更すべきだと判断した。

さらに、プライスウォーターハウスクーパース、アーンスト・アンド・ヤング、KPMG、デロイト・トウシュ・トーマツの大手4法人が「欧州企業の約70%、英国企業の99%」(バルニエ委員)の監査業務を手掛ける寡占状態の改善にも取り組む。(2010年10月15日日本経済新聞

EU commissioner intends to break dominance of 'Big Four' audit firms (The Irish Times - Thursday, October 14, 2010)
EU INTERNAL markets commissioner Michel Barnier has called time on the dominance of the “Big Four” auditing firms, calling for more competition and diversity in the market for large audit contracts.
PricewaterhouseCoopers, Ernst & Young, KPMG and Deloitte & Touche dominate Europe’s audit market and each has significant operations in Ireland.

GREEN PAPER・・Audit Policy: Lessons from the Crisis・・byEUROPEAN COMMISSION, Brussels, 13.10.2010・・コメントは2010年12月8日まで求めている。
AccountancyAge The International Accounting Bulletin 参照

Summary of Responses to Green Paper - Audit Policy: Lessons from crisis Brussels, 4 February 2011
大手四大事務所は監査の品質を損なう恐れがあり事務所の定期的ローテーションは時期尚早として反対しており、現行の担当パートナー交代性が良いとしている。中小事務所は、監査コストの増加と監査の品質を損なうとして支持しないとしている。
Big Four
The Big Four oppose limitation of continuous engagement of audit firms. They claim that studies have proven that mandatory rotation of firms harms audit quality and in any
case such ideas are premature as the statutory audit directive is still being implemented with regard to partner (as opposed to firm) rotation.
Mid Tier Firms and SMPs
Mainly, mid tier firms do not support mandatory rotation explaining that it will increase costs, impair audit quality without any certainty on being able to address concentration.

2011年8月16日米国公開会社会計監視委員会(PCAOB)監査人の独立性と監査人の定期的交代(audit firm rotation)の議論を開始した。コメントを2011年12月14日までに求めており、2012年3月に監査人の独立及び監査人の定期的交代に関する円卓会議を招集するとしている。(Journal of Accountancy CONCEPT RELEASE ON AUDITOR INDEPENDENCE AND AUDIT FIRM ROTATION Docket 037 参照)
Concept release page20
A starting point for consideration of an appropriate term is current data on auditor tenure. For the largest 100 companies, based on market capitalization, auditor tenure averages 28 years. Average tenure for the 500 largest companies is 21 years. Based on these considerations, the Board is particularly interested in comment on the advantages and disadvantages of terms of 10 years or greater.

コメント・レター

2011年12月1日日本経済新聞は、「監査失敗例にオリンパス明記、 欧州委が改革案 最長6年交代制や入札制導入」と題して、次のように伝えている。

【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)欧州委員会は11月30日監査法人改革の指令案(法案)を発表した。企業が選ぶ担当監査法人の期間を原則として最長6年に限定。金融機関や上場企業には監査法人の選定で入札(Mandatory tendering for audit mandates.)を義務づける。企業と監査法人のなれ合いを排除し、企業財務の点検の厳格化を狙う。オリンパスの損失隠しを背景に日本の監査法人改革にも影響を与えそうだ。

欧州委は今回の法案の背景となった監査失敗の一つの事例として、リーマン・ブラザーズなどと並べる形で「オリンパス」と明記した。バルニエ欧州委員(域内市場・サービス担当)は「企業の財務諸表の信認を回復する必要がある」と指摘している。

改革の目玉は、企業に担当監査法人の定期的な変更を義務づける「交代制」の導入。監査法人が同一の企業の監査を続けて担当できるのは最長6年。期限切れから4年(A cooling off period of 4 years)がたつと再び監査を担当できる。複数の監査法人を選んでいる場合、最長9年まで延長できる。


監査法人が監査担当企業向けに、経営を助言するコンサルティング業務を提供することなどを禁止。四大監査法人などには監査部門とコンサルティング部門の明確な分離を義務づける。 プライスウオーターハウスクーパース、アーンスト・アンド・ヤング、KPMG、デロイト・トウシュ・トーマツの大手4法人は、EU加盟国の上場企業の監査の85%超を担っている。EUは今回の改革で競争を促進、四大監査法人の寡占状態を改善したい考えだ。

 一方、一定の条件を満たす域内の監査法人に「免許」を与え、所在地や出身国にかかわらず域内で自由に業務ができる監査業務の「パスポート」を導入する。ただ、昨年来検討してきた大手の監査法人と中小が共同で監査を担う「共同監査」の導入は見送った。(Reform of the audit market EUの監査人交代のニュース)

監査委員会が監査人を選定する厳格なルールとする(Stricter rules on the appointment of auditors with an increased role for the audit committee.)「Reforming the Audit Market - Frequently Asked Questions」より

中国が、2005年12月22日には、Wang Jun氏(中国監査基準審議会CASB議長でもある)は、ニューヨークの会合で、監査基準でも国際監査・保証基準(IAASBと収斂することで合意し共同声明書を公表した。

  中国は、国際基準と類似した基準を適用・・日本が設定していないリビュー、コンピレーション(調製)、合意した手続(Agreed-upon procedures)の基準を含んでいる。
Comparison of PRC and IAASB Auditing Standards 中国の48の監査基準と国際基準の比較」(PDF 144k) at April 2006. 参照

  欧州連合(EU)域内市場コミッショナー、チャリー・マクリービー氏が、2006年5月15日から19日まで、中国(北京・上海・香港)を訪問し中国当局と会計基準・監査基準、上場規制などについて対話を開始した。(EUニュース ロイター 16日新華通信ネットジャパン 参照)

中国は、「日本と中国における監査基準コンバージェンスの動向」(李文忠氏著)によると、国際監査基準(ISA)に収斂しつつあり、「政治的な決断力が早く,結果的に基準制定のスピードも早い。それに対して日本は,民主主義的なプロセスに基づいて行われるが,広く意見を聞けば聞くほどまとまらなくて,あえて基準設定のコスト(時間)がかかり,結果的に意思決定が遅く,良いタイミングが逃れる可能性が高い」としている。全く同感である。

中国が国際基準に準じた48の新たな監査基準も2007年から採用している。

2006年2月16日、基本原則に1号の「たな卸資産」から38号の会計基準の初年度適用」までの39の会計基準をとめた「2007年適用の新会計基準のインデックス」(中国語原文)を公表した。IASPLUSによれば、財務省は、国際基準に類似した48の新たな監査基準も採用したと伝えている。なお、1993年からデロイトは財務省の会計・監査制度構築の支援を行ってきているとしている。(国会計基準委員会(CASC)ニュース IASBニュース 参照)

参考:「日本と中国における監査基準コンバージェンスの動向」by立命館大学経営学会李文忠氏

2010年11月10日、中国監査基準審議会(Chinese Auditing Standards Board (CASB))は、国際監査・保証基準審議会(International Auditing and Assurance Standards Board (IAASB))と会合を持ち、中国の監査基準を改正し”明瞭化した国際監査基準(CSA)”に完全にコンバージェンスしたものとなったと公表した。 適用は2011年1月1日以降開始する事業年度としている。(IAASBニュース・リリース 参照)

In accordance with the principle of continuous and comprehensive convergence, the CASB has completed the revision of Chinese Standards of Audit (CSAs), and achieved full convergence with the clarified ISAs. The revised CSAs were officially released in early November 2010, and are effective for audits of financial statements for periods beginning on or after January 1, 2011.

●ニュージーランド会計士専門実務審議会(The New Zealand Institute of CAs Professional Practices Board (PPB)は、国際監査基準等を適用することを公表した(PPBニュース 参照)

国際事務所のCEOが国際監査基準のコンバージェンスを提唱

2006年11月7日−8日に、グローバル・パブリック・シンポジュウムが開かれ、「国際的なネットワークの責任者からのビジョン」と題し24ページにのぼる冊子が公表され、4大国際事務所にBDOおよびグラント・ソーントンのCEOがサインした。(スマートプロ 参照)

それによると、国際的な投資が活発になっているとして下記の統計を表示し、会計基準ばかりでなく監査基準の国際的に収斂させる必要があるとしている。特に、英米ユーロ地域は、孤立していては生きられない。日本にしてみれば、下記の通り、国際的な関係は比較的希薄で対内投資はまるで鎖国のようであるが、長期的には国際的に孤立して生きられない。

期間:1999年から2003年
対内投資
Capital Inflows
対外投資
Capital Outflows
Billion $ % of
GDP
Billion $ % of
GDP
米国 4,167 38 1,922 17
ユーロ地域 3,569 44 3,609 44
英国 2,387 133 2,247 125
スイス 343 111 510 165
カナダ 223 26 297 34
オーストラリア 212 42 124 24
スエーデン 190 63 223 74
デンマーク 143 68 167 79
ノルエー 121 55 196 89
日本 106 3 664 15

なお、2006年9月、米国のPCAOBなど監査基準設定機関や政府の規制機関が「国際監査規制機関の独立フォーラム(Independent Forum of International Audit Regulators (IFIAR))」が設立され、2007年3月に日本の「公認会計士・監査審査会(PAAOB)」主催で第一回会議が東京で行われることになっている。国際的な規制の差異を最小にするためにはIFIARが活発に活動することが求められている。(IASPUS2006年11月9日 参照)

「より親切で、紳士的な監査」は、内部・外部監査の要諦

監査をする側が、被監査側から信頼され正確で必要な情報と監査証拠を十分に入手することで、良い監査結果・正しい監査の結論を導くことが出来ます。逆に、信頼が得られず被監査側から不十分な情報や誤った情報を受ければ、お門違いな監査の結論を導いてしまい、所謂”監査の失敗”となってしまい監査の信頼性は失墜します。これは、内部監査・外部監査のいずれにも通じるものであります。常に監査人は肝に銘じて関係者からの信頼を得られる努力をし続けなければなりません。忍耐強く地道な努力が求められます。

最近、社団法人内部監査協会「月刊監査研究」2008年5月号に、ローレンス・デ・ベリー会計士の論文「より親切で、紳士的な監査」を田中久男氏が翻訳したものが話題になっています。

原文「A kinder, gentler audit:」がホームページ上に掲載していますので興味ある方は読んでみてください。

監査を成功に導くための監査人の被監査人への態度・姿勢・監査報告の記載内容を、5つのルールにまとめて記述しているものです。

ルール1 被監査人に敬意を持って接すること。
TREAT CLIENTS WITH RESPECT
ルール2 被監査人に対して「疑わしきは罰せず」
GIVE CLIENTS THE BENEFIT OF THE DOUBT
ルール3 被監査人には慎重に闘いを仕掛ける
PICK YOUR BATTLES CAREFULLY
ルール4 被監査人のプラス面を強調する
ACCENTUATE THE POSITIVE
ルール5 有益な情報源となれ
BE INFORMATIVE

これらは、欧米の監査実務で培われたものです。日本でも外資系の監査を受けた方は、既に体験している人も多いかと思います。監査の信頼を得られる基本は、高い専門家としての能力・適正(competence)が求められ、会計基準や監査基準の知識・技術・経験だけではなく、加えて、こうした当たり前の姿勢・態度(attitudes)が必要なのです。(参考:AICPA Core Competency Framework The UFE Candidates’ Competency Map・・CICA 監査人の独立性)

民間の監査は、国家権力を背景とした金融庁の検査、税務調査、検察の調査などとは異なる。民間の監査は、紳士的であれとされるのが監査を成功させる要諦である。しかし我が国は、行政の力が強く制度自体に監督官庁の意向が強く反映されており民間の監査(監査法人等の監査)を官の調査と混同しているきらいがある。


各国の会計検査機関国際組織の監査

各国会計検査院が加盟している最高会計検査機関国際組織(International Organization of SupremeAudit InstitutionsINTOSAI)は,加盟国会計検査院の参考に供するため,政府会計検査等に関する基準,ガイドライン等を開発してきたが,現在,これらの基準等をISA とのコンバージェンスを図りながら体系化するプロジェクトを実施している。(”INTOSAIの基準とガイダンスのフレームワーク””2009年に承認した監査基準(国際監査基準に準拠した基準)”参照)

2010年以前に承認された最高会計検査機関の国際基準(The International Standards of Supreme Audit Institutions, ISSAI・・ISSAI Executive Summaries)の一部は以下の通り。

なお、基礎となった国際監査基準(ISA)の日本への導入(2012年4月1日以降開始する事業年度から適用)により日本公認会計士協会が翻訳等を行っています。2011年12月22日日本公認会計士協会は「新起草方針に基づく品質管理基準委員会報告書及び監査基準委員会報告書並びに監査・保証実務委員会実務指針の最終報告書」の公表を行った。本報告書は、平成24年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間監査から適用する、としています。(「報告書の一括ダウンロード(533ページ)」)⇒平成24年1月24日公認会計士・監査審査会・・平成24年の会計士論文式試験の対象となります

Public and Private Sector Collaboration in Developing International Financial Audit Standards by INTOSAI
(公的部門と民間部門の共同で国際監査基準の開発)
2013年6月4日日本公認会計士協会は、ISA「公的部門特有の考慮事項の検討」を公表した。ISAは、民間部門のみならず、公的部門の監査にも共通的に適用される。要求事項と適用指針に分かれており、「公的部門特有の考慮事項」は全て適用指針として規定されている。「公的部門特有の考慮事項」の検討は、ISAの明瞭性プロジェクト開始当初から、並行して進められた。検討は、国際監査・保証基準審議会(IAASB)と最高会計検査機関国際組織(INTOSAI)の共同で進められた。INTOSAI は各国会計検査院の連合組織であり、各国会計検査院が参考とすべき政府検査の基準及び指針を公表している。改訂後のISAは、INTOSAI が公表する最高会計検査機関国際基準(ISSAI)の一部としてその全文が取り入れられている

監査基準書番号 監査基準書のタイトル 基礎とした
国際監査基準
ISA
日本公認
会計士協会
委員会報告
番号
2011年
12月22日
レベル1:創設原則
Level 1: Founding Principles  (リマ宣言 The Lima Declaration  )
・会計検査院(SAI) による政府会計検査の目的
・内部監査と外部監査
・SAI の検査対象機関からの独立性
・SAI と議会・政府との関係
・SAI の検査権限
・政府会計検査の方法・手続等を規定した25 条で構成され,INTOSAI 活動を支える理念となっている。
レベル2:会計検査院が機能するための必要条件
Level 2 :Prerequisites for the Functioning of Supreme Audit Institutions
ISSAI 20 透明性及び説明責任の原則
Principles of Transparency and Accountability
ISSAI 21 透明性の原則ーグッド・プラクティス
Principles of Transparency - Good Practices
ISSAI 30 倫理規定
Code of Ethics- Appendix
ISSAI 40 監査基準(SAIs)の品質管理
Quality Control for SAIs
レベル3:基本的監査原則
Level 3: Fundamental Auditing Principles
ISSAI 100 監査基準ー基本原則
INTOSAI Auditing Standards - Basic Principles  ーーAppendix
ISSAI 200 監査基準ー一般原則
INTOSAI Auditing Standards - General Standards  -  Appendix
ISSAI 300 監査基準ー監査実施原則
INTOSAI Auditing Standards - Field Standards - Appendix
ISSAI 400 監査基準ー報告基準
INTOSAI Auditing Standards - Reporting Standards -Appendix 
レベル4:監査ガイドライン
Level 4: Audit Guidline  
一般的監査ガイドライン General Audit Guidline  Financial Audit Guidlines
ISSAI 1000 INTOSAI財務監査ガイドラインに関する一般的イントロダクション
General Introduction to the INTOSAI Financial Audit Guidelines
ISSAI 1003 財務監査ガイドラインに関する語彙
Glossary to Financial Audit Guidelines 
ISSAI 1200 独立監査人の総括的目的及び国際監査基準に準拠した監査の実施
Overall Objectives of the Independent Auditor and the Conduct of an Audit in Accordance with International Standards of Auditing
ISA200 200
ISSAI 1210 監査契約の約定項目の合意
Agreeing the Terms of Audit Engagements
ISA210 210
ISSAI 1220 財務諸表監査の品質管理
Quality Control for an Audit of Financial Statements
ISA220 220
ISSAI 1230 監査の文書化
Audit Documentation
ISA230 230
ISSAI 1240 財務諸表監査における不正に関する監査人の責任
The Auditor's Responsibilities Relating to Fraud in an Audit of Financial Statements
ISA240 240
ISSAI 1250 財務諸表監査における法律および規則の検討
Considerations of Laws and Regulations in an Audit of Financial Statements
ISA250 250
ISSAI 1260 統治責任者とのコミュニケーション
Communication with Those Charged with Governance
ISA260 260
ISSAI 1265

統治責任者及び経営者との内部統制における意思疎通の欠如
Communicating Deficiencies in Internal Control to Those Charged with Governance and Management

ISA265 265
ISSAI1300

財務諸表の監査計画
Planning an Audit of Financial Statements

ISA300 300
ISSAI1315

事業体とその環境の理解及び重要な虚偽表示のリスク評価
Identifying and Assessing the Risks of Material Misstatement Through Understanding the Entity and its Environment

ISA315 315
ISSAI 1320

監査の実施及び計画における重要性
Materiality in Planning and Performing an Audit

ISA320 320
ISSAI 1330

評価されたリスクに対する監査人の対応
The Auditor’s Responses to Assessed Risks

ISA330 330
ISSAI 1402

受託会社を利用する事業体に関する監査上の考慮事項
Audit Considerations Relating to an Entity Using a Service Organization

ISA402 402
ISSAI 1450

監査によって特定された虚偽表示事項の評価
Evaluation of Misstatements Identified during the Audit

ISA450 450
ISSAI 1500

監査証拠
Audit Evidence

ISA500 500
ISSAI 1501

監査証拠--選択した項目の特別な検討
Audit Evidence - Specific Considerations for Selected Items

ISA501 501
ISSAI 1505

外部への確認書
External Confirmations

ISA505 505
ISSAI 1510 初度監査ー期首残高
Initial Audit Engagements-Opening Balances
ISA510 510
ISSAI 1520 分析的手続き
Analytical Procedures
ISA520 520
ISSAI 1530

サンプリング監査
Audit Sampling

ISA530 530
ISSAI 1540

会計上の見積の監査、公正価値会計の見積及び関連開示を含む
Auditing Accounting Estimates, Including Fair Value Accounting Estimates, and Related Disclosures

ISA540 540
ISSAI 1550 関連当事者
Related Parties
ISA550 550
ISSAI 1560

後発事象
Subsequent Events

ISA560 560
ISSAI 1570

継続企業の前提
Going Concern

ISA570 570
ISSAI 1580

書面による経営者の陳述
Written Representations

ISA580 580
ISSAI 1600

特別な検討--グループ財務諸表の監査(構成事業体等の監査人の監査の利用を含む)
Special Considerations-Audits of Group Financial Statements (Including the Work of Component Auditors)

ISA600 600
ISSAI 1610

内部監査人の業務の利用
Using the Work of Internal Auditors

ISA610 610
ISSAI 1620 専門家の業務の利用
Using the Work of an Auditor´s Expert
ISA620 620
ISSAI 1700

財務諸表の監査意見の形成及び報告書作成
Forming an Opinion and Reporting on Financial Statements

ISA700 700
ISSAI 1705

独立監査人の報告書の意見に対する修正
Modifications to the Opinion in the Independent Auditor's Report

ISA705 705
ISSAI 1706

独立監査人の報告書で強調するパラグラフ及びその他のパラグラフ
Emphasis of Matter Paragraphs and Other Matter Paragraphs in the Independent Auditor's report

ISA706 706
ISSAI 1710

比較財務情報--対応する数値及び比較財務諸表
Comparative Information-Corresponding Figures and Comparative Financial Statements

ISA710 710
ISSAI 1720

監査済み財務諸表に含まれる文書の中のその他の情報に関する監査人の責任
The Auditor's Responsibilities Relating to Other Information in Documents Containing Audited Financial Statements

ISA720 720
ISSAI 1800

特別な検討-特別目的のフレームワークに従ってされた財務諸表の監査
Special Considerations-Audits of Financial Statements Prepared in Accordance with Special Purpose Frameworks

ISA800
ISSAI 1805

特別な検討--単独財務諸表の監査、特定の要素の監査、財務諸表の項目、又は科目の監査(ISSAI1800の一部として承認)
Special Considerations-Audits of Single Financial Statements and Specific Elements, Accounts or Items of a Financial Statement (Endorsed as part of ISSAI 1800)

ISA805
ISSAI 1810

要約財務諸表の報告に関する契約(ISSAI1805として承認)
Engagements to Report on Summary Financial Statements (Endorsed as ISSAI 1805)

ISA810
業績監査の導入ガイドライン
Implementation Guidelines on Performance Audit
ISSAI3000 業績監査のための導入ガイドライン
Implementation Guidelines for Performance Auditing
ISSAI3100 業績監査ガイドライン:基本原則
Performance Audit Guidelines: Key Principles   
準拠性監査の導入ガイドライン
ISSAI4000 準拠性監査のガイドラインに対する一般的な序論
General Introduction to Guidelines on Compliance Audit
  
 
ISSAI4100 財務諸表監査から離れて実施された監査準拠性監査のガイドライン
Compliance Audit Guidelines for Audits Performed Separately from the Audit of Financial Statements  
 
ISSAI4200 財務諸表監査に関連しての準拠性監査ガイドライン
Compliance Audit Guidelines Related to Audit of Financial Statements
Level 4: Specific Auditing Guidelines・・ISSAI 5000-5099 Guidelines on International Institutions〜ISSAI 5600-5699 Guidelines on Peer Reviews
INTOSAI Guidance for Good Governance (INTOSAI GOV)・・INTOSAI GOV 9100-9199 - Internal Control

各国の専門家で構成される最高会計検査機関(Supreme Audit Institutions:SAI)国際組織専門的基準委員会(INTOSAI Professional Standards Committee)が監査基準やガイドラインを作成している。日本の会計検査院がINTOSAIに加盟しているが、主要国が参加している専門基準委員会(PSC)で作業してるケースは残念ながらない。日本も主要国が参加しているサブコミッティーに参加して世界の公監査基準の設定に貢献すべきだ。
The INTOSAI Financial Audit Subcommittee  財務監査サブコミッティー
Compliance Audit Subcommittee 準拠性監査サブコミッティー
Accounting and Reporting Subcommittee 会計・報告サブコミッティー
Performance Audit Subcommittee 業績監査サブコミッティー
Internal Control Standards Subcommittee 内部統制基準サブコミッティー
INTOSAI GOV 9100 パブリック・セクターの内部統制基準に関するガイドライン
Guidelines for Internal Control Standards for the Public Sector
INTOSAI GOV9130 事業所のリスク管理に関する更なる情報(草案)
Further Information on Entity Risk Management (draft)

この背景には,政府部門に発生主義会計を導入する国が増加してきたことに伴い,財務報告の適正性を保証するために実施される政府会計検査(財務検査)については,民間部門に適用される監査基準と同一の基準を基本的に適用できるという考え方が底流にある。

サーベイ結果によると,回答した100 カ国SAIのうち財務検査Financial Audit),準拠性検査Compliance Audit)又は業績検査Performance Audit)において「INTOSAI会計検査基準」を採用しているのは76 カ国SAIに上っており,「INTOSAI会計検査基準」は政府会計検査基準の主流となっている。

また,加盟国SAIによっては検査の内容に応じ「INTOSAI会計検査基準」以外の基準を採用する場合もあるが,このサーベイ結果によると,回答した100 カ国SAIのうち財務検査,準拠性検査又は業績検査において,@IAASBが開発した国際監査基準(ISA)を採用しているのは60 カ国SAI,A各国の基準設定主体が開発した政府会計検査基準を採用しているのは50 カ国SAI,B各地域機構が開発した政府会計検査基準を採用しているのは29 カ国SAI,C各国の基準設定主体が開発した民間部門に適用される監査基準を採用しているのは27 カ国SAIとなっている。(「INTOSAI における政府会計検査基準の体系化-国際的なコンバージェンスの流れの中で-」by東信男会計検査院事務総長官房調査課長2007年9月、 行政府の監査 INTOSAI 参照)

なお、2011年10月12日朝日新聞が掲載した、「(民主党)行政刷新会議の民間委員で構成する分科会が、財政支出の効率化に関する報告書づくりで、会計検査院の検査のあり方を批判し、見直しを求める記述をしたところ、会計検査院が、とりまとめ役の内閣府に文の削除や修正を繰り返し要求し、内容を変えさせていたことがわかった」として、行政刷新会議の会計検査に関する批判会計検査院の反論および内閣府は要求を一部のんで、最終報告では「事業仕分けは会計検査の限界を明らかにした」などの箇所を削除、表現も弱め、分量も半ページ強に減らした行政刷新会議の訂正後最終意見を掲載している。会計検査院の検査の内容が垣間見え貴重な資料となっている。内閣府の意見は中途半端に終わって腰折れしている。検査院の検査は国際基準に照らしても本格的な見直しが求められているのだ。

参考:
会計検査院の独立性をいかに強化するか」by明治大学教授西川伸一氏・・「この国の政治を変える会計検査院の潜在力」の著者
3人の検査官の検査官会議(意思決定機関)と検査実施機関として事務総局の関係、事務総局には事務総長をトップに,事務次長がおり,さらに事務総局官房と五つの局が配されている。約1300名の会計検査院職員はここに所属し,このうち,会計検査の中心となる調査官および調査官補は850名ほどである。ちなみに,事務総長も検査官会議に出席する。官僚出身の検査官、国家公務員の一般職である検査院職員に構造的に独立性があるとは思えない。また、検査院幹部が検査対象の機関に天下りしている状況にあり、独立性を阻害している。加えて、国会での決算審査の遅さ。「たしか決算委員会の審査があったのは閉会中だったような記憶がございます。しかも,九九年度と二〇〇〇年度分を一括して審議が行われでおりました。議員になって初めて,こんな昔のことを,しかも二年一遍にやって何になるのかなということを思ったのが率直な感想でございました」と民主党の発言がある、その審議の滅茶苦茶加減は驚きである。

2012年10月会計検査基準(試案)」が出されているが、例えば、独立性の規定などは、試案は曖昧で、米国の「政府監査基準」のように明瞭ではない。

米国の公会計制度の仕組みと我が国へのインプリケーション」by古市峰子日本銀行金融研究所・・会計・監査制度の仕組みが具体的で詳しい
-個別の年次報告書に対しては、上述のとおり、独立監査を受けることが要求されるが、かかる監査は「一般に受け入れられた政府監査基準」(generally accepted government auditing standards:GAGAS)に基づいて行うべきこととされている(31 USC 3521(e))。何がGAGAS に当たるのかについては、法文上、規定されていないが、GAO の設定した「政府監査基準」(“Government Auditing Standards”)がこれに相当すると考えられている。また、GAO は、独立監査の結果を独自にレビューすることが認められている(31USC 3521(g)) かかる「政府監査基準」は、営利企業の監査において適用されるAICPA 作成の「一般に受け入れられた監査基準」を基に、連邦政府への適用といった観点から独自の基準を追加して作成されている。
中央政府における究極の省庁別財務責任者である会計官、首席財務官等の役割に関する国際比較研究」by一橋大学 イノベーション研究センター 西口敏宏氏
米国連邦政府の9月決算の財務諸表は財務省が作成し、会計検査院(GAO)が監査報告書(日付は12月8日頃、決算日後約2カ月)を作成する。 
財務省サイトの連邦政府の年次報告書会計検査院(GAO)の監査報告書日本も国民にこの程度の開示は必要(財務省の予算決算)、日本は決算の公表が遅い。
政府監査基準には、「独立性(Independence)」が、「監査業務のすべての局面において、監査組織(Audite Organization)、個々の監査人(Individual Auditor)は、政府であろうと公共であろうと、個人、外部及び組織的欠陥から独立性が外観からも事実においても自由であるべきである」と規定する。
In all matters relating to the audit work, the audit organization and the individual auditor, whether government or public, should be free both in fact and appearance from personal, external, and organizational impairments to independence.

我が国地方自治体における監査制度のあり方」by隅田一豊横浜国立大学教授1996年・・イギリスとアメリカの自治体における監査制度を分析して日本に適しているのかを論説している。
米国会計検査院(GAO)は、83年間使用してきた名称”the General Accounting Office”を、the GAO Human Capital Reform Act of 2004の施行により、2004年7月7日から”the Government Accountability Office”に変更した。(「米国会計検査院(GAO) の80 年」by渡瀬義男氏 参照)

監査論の視点から見た会計検査と行政評価」by吉見宏北海道大学大学院経済学研究科助教授2001年3月・・公的部門の監査にあたって,諸外国では何らかの形で会計専門職がこれにあたっているのが普通である。会計専門職は,言うまでもなく我が国の場合は公認会計士がこれにあたる。

会計検査院による政府監査の基礎構造」by鈴木豊青山学院大学経営学部教授・・政府外部監査には,政府監査基準(国によっては公監査基準と呼ぶ)が不可欠である。わが国には,独立行政法人の会計監査人の監査基準のみであり,これらは,全体的,包括的な政府監査基準ではない。公監査または政府監査基準の早急な設定が必要である。そのためには,諸外国で行われている独立的な監査基準設定機関の構築が急務であると考える。

実務に使える⇒
Excel97版頒布中⇒
(Excel2002も可)
キャッシュ・フロー計算書の作り方 税効果会計の仕方 連結資料
内部統制のチェックリスト(質問書) 監査手続書 実地たな卸指示書


●「会計・税金・財務情報(ディスクロージャー)」へ
会計基準・財務情報開示の総合情報サイト
日本の会計 国際会計基準と日本の会計の相違点 日本の会計の国際的位置
国際会計基準 国際会計基準の基礎 合意された手続き
Agreed Upon Procedures

公認会計士・税理士 横山明
Tel 047-346-5214 Fax 047-346-9636
E-mail: yokoyama-a@hi-ho.ne.jp