『カンマを伴う分詞句について』(野島明 著)
第二章 個々の読解の在り方を吟味する

第5節 【読解  その5】について


〔注2−22〕

   カンマを伴う文頭の分詞句は「自由付加詞」と見なされるのである。ただし、"But hoisted against the pale horizon the five gibbets showed black and skeletal . . ."(KRUISINGA & ERADES, ibid, 39.2)(カンマの欠如は原文通り)の文頭の分詞句(斜体部分)をKruisinga & Eradesは自由付加詞とは見なさない。理由はカンマの欠如である([2−19]参照)。

   Kruisinga & Eradesは、文頭の分詞句については、カンマの有無を、「自由付加詞」と名詞修飾要素である「付加詞」とが分別されることになる契機と見なしている。しかしながら、なるほど文頭の分詞句に続けてカンマを打つことは現代英語の慣習的句読法であるが、アラビア語の"bin"(「〜の息子」の意)を文頭以外では小文字で書き出し、これに相当するヘブライ語は"Ben"と大文字表記することが一部の文章家の習慣である(On Language:Words of the War on Terror By WILLIAM SAFIRE, The New York Times Magazine, SEP 23, 2001)という程度の習慣かもしれないのである。《分詞構文》に伴うカンマについては[1−1]参照、修飾の在り方とカンマの関係については第一章第5節[1−18], [1−53]参照。 カンマについては更に[3−6], [6−7]参照。

(〔注2−22〕 了)

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