市場経済の選択(未定稿)

991010ー991123

<「社会の在り方についての選択肢の立て方に関する認識」の再編>

かつて、東西対立、即ち、社会の在り方として、「資本主義が良いか社会主義が良いか」とふたつの選択肢で考えた時代があった。概ねソビエト連邦の崩壊(1991年)までだろう。
(1) 資本主義では『賃労働と資本』[岩波文庫第1刷1935年(昭和10年)、カールマルクス]にある「労働の搾取」が人間として許せないことだった。否、今も許せないだろう。「人間は協力して生きるべきだ」。
(2) 一方、「資本主義の生産活動は無秩序に行われるから無駄が多く、必然的に好況と不況を繰り返し果ては恐慌に至る」とも考えられていた。これも今でも資本主義を放任すれば「好況と不況を繰り返す」から、公共事業で需要を作り出したり金利政策、為替政策でいつも修正しながら社会が破綻するのを回避している。結局、体制選択はソ連・東欧の崩壊で変わったが、経済学上は資本主義の捉え方は変わらず、修正資本主義としてしか存続し得ないことも明らかだ。
他方、「無秩序な生産が好況と不況を繰り返す原因」と考えた社会主義は、生産活動の在り方として「計画経済」を対置した。しかし、少数の「指導者」が考える計画は消費者の好みと合っていなくて、しかも作る従業員(労働者)は工夫をする手間を惜しんで終業時刻ばかり気にして仕事をしたから出来た物はろくな製品でなく、結局、資本主義よりも多くの無駄を作り出した。


さて、勝負はどうついたか?
(2) について「計画経済は人間の本性に合っていない」
(1)について 他方、「人間は協力して生きるべきだ」
「勝ち負けはない」と敢えて言おう。あったのは「社会の在り方についての選択肢の立て方に関する認識を再編した」ということだ。

<生産調整の方法としての市場経済>

(1) 社会主義国である中華人民共和国とベトナム民主共和国も、市場経済を取り入れている。これは「行き詰まりから脱却するまでの一時しのぎ」ではなく、「生産調整の方法として市場経済が優れている」ことを承認したものだ。
(2) 「需要と供給」或いは「供給によって引き起こされる需要」、これらによる生産の調整が優れているということだ。
(3) 個人の努力、創意工夫が生きる仕組みだ。

<「猛獣」ではない「人間」の社会>

(1) 「搾取は許さないこと」「労働(寄与度)に応じて受け取ること」「(一部は)能力に応じて働き、必要に応じて受け取ること(ハンディキャップがあるとき)」
(2) 上記(1)のために、市場経済に対する修正策として、所得の再分配、逆により多く受け取る刺激策もときに必要


<「猛獣型資本主義(米国)」と「社会的欧州」>

日本社会の変遷は、「米国の後を何年か遅れで追い掛けている」とよく言い、実際そういう傾向がある。その米国社会の病弊を否定する者はいないだろう。
他方、現在(1999)の欧州の政治の特徴は、(1)市場経済(2)多党制(3)複数の社会民主主義政権、にある。
かつてゴルバチョフ・ソ連大統領は、「人間の顔をした社会主義」をキーワードに、国家管理的社会主義の終焉を招いた。「人間の顔」への修正を標語にしながら、行き着く先が「猛獣型」資本主義であるならば、それも又、道を誤ることと言わざるを得ない。

<産業主義・労働義務・議会制度>

サン・シモン(主義)を取り上げると、その著作の捉えどころの無さから、議論を混乱させる恐れがある。しかし、米国型資本主義のうち、特に、株式投資のデイ・トレード(株価上下の日々の利ざや稼ぎ)に見られる様な、「虚業を容認する」傾向を批判する上で、対照し得るひとつの潮流として、意義を見い出し得ると考える。
例えば、土地取引と同じ様に、投機的な株式の短期取引には、税率を高くするという考え方も有り得るのだ。
また、サン・シモンから学ぶのはその理念、想いだ。その方法論は、時代の制約を受けた思い付きにすぎない。 (以下、準備中)


(未定稿の未定稿、つれづれなるままに)
資本主義を研究した「国富論」。そこには「他人を蹴落として自分だけ幸せになる」方法が書いてあるのか?「神の見えざる手」は、その様な社会へ人を導くのか?もちろん、そうではない。
他方、方法論としての純粋資本主義は(国家管理的社会主義が1991年に破綻したのと同じく)いち早く1929年(世界大恐慌)に破綻している。「神」は資本主義の修正(=修正資本主義)を人に命じたのだ。それは「他人を蹴落とす」ために命じたのではなく、「より多くの人が幸せになる(=諸国民の富)」ために命じたのだろう。

アンダ−グラウンドサン・シモン(主義)(準備中)

ここも見てね[夢幻]米を食う虫、美しい明日

ここも見てね[夢幻]認識/マルクス・レーニン主義の適否

ここも見てね[夢幻はじめに]

ここも見てね[引用]チャールズ・チャプリン『独裁者』

ホームに戻る

夢幻はじめに夢幻随想短歌連作音楽市民運動リスト・リンク集その他リンク集引用メール・マガジンブログ掲示板ソーシャルネットワーク