「50年単位の国益」相互互恵の「開かれた国益」
を目指すこと(イラク開戦の前)

(メールマガジン2003年7月から)

6年以上前の記事です。戦争は被害感情、怨念により、子や孫まで世代を継いで対立を残します。近視眼的な経済的国益は、長い目で見て国のためにならないでしょう。
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米国は、米国の経済安全保障と軍事産業維持のために、イラクを攻撃する。
日本は「50年単位の国益」 相互互恵の「開かれた国益」を目指すことが必要 (2003.4.14)。

近視眼的な国益ではなく、50年単位の国益を考えること、「富国有徳」、テロに震撼する米国を反面教師にして。

1 近視眼的な国益ではなく
米国は、「軍隊を出して占領した国が、占領行政を思いのままにして、石油利権を手に入れる」と言っている。 戦争の米国支持の単純な延長と「日本も石油が必要」ということを理由に、石油利権の分け前を得るのが国益だと主張する人が居る。
確かに、工業、先進的文明生活に石油は必要だが、入手先の分散や、エネルギーの多様化もある。イラク石油を入手するにしても、戦利品の分け前として得るに方法は限らない。イラクの石油生産が回復し、OPECのような価格維持調整機構を経た安定供給の道もある。世界第2位というイラク石油を米国の石油産業が支配する結果、石油の価格決定をも支配することになれば、価格低下から石油浪費から資源の早期枯渇、地球温暖化の早まりなどが起きる。米国支配下のイラク産石油が、他の産油国と対抗的な関係になれば、石油価格が乱高下して、産業、世界経済の安定を脅かす。

2 50年単位の国益を考えること
日本は、中東や西アジアで一定の信頼を得ているが、それはアジアの国として欧米に伍してきたことや、第二次大戦後に50余年にわたって他国を侵略していないこと、ODAなどの経済援助活動などが理由になる。 国際紛争、地域紛争では、世代を継いだ怨念が背景にある。こどものときの原体験から大人になるまでの少なくとも50年を単位に考える必要があるのが国益。
中東では旧約聖書の時代から、十字軍、第1次大戦の占領地分割、その後の繰り返す紛争がみな怨念になっている。
日本は「富国有徳」、相互互恵の「開かれた国益」を目指すべきだ。そのことが結果として安上がりの安全保障になる。
非対称の脅威、テロに震撼する某先進国を反面教師にして考える必要がある。
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■ 日本は、ダブルスタンダードは止めにしてくれ、知性が貶められるから (2003.2.26)(2003.4.8)

1 (イラク攻撃開始に際して、欧州を歴訪して)米国(米英西)の先触れを、外務大臣は務めていて、日本、日本人をそれに巻き込もうとしているが、些か、疑問がある。

2 イラクが決議に違反していて、国連をないがしろにすると言うが、イスラエルもそうだ。パレスチナの占領を、国連を無視して続けている。

3 イスラエルは国内のパレスチナ人を追放している。リクードや労働党の、あの選挙は、それを前提に、成り立っている。
(南部のシーア派や北部のクルド人などを押さえるために)中央集権で独裁と言われるイラクの選挙と、どちらが「民主的」か?シーア派やクルド人を国外追放して、選挙を行えば、イラクも民主的と評価されるのか?

4 イラク攻撃に突入したときに、死者数をどのくらいと見積もっているか?何も見積もっていないか?何を根拠に?その死者と遺族に、「これは止むを得ない死」と、外務大臣は何をもって説得できるか?自分の「人生の価値観を賭けて」の判断か?

5 難民についてはどうか?難民が砂漠のテントで暮らすときに、あなたは冷暖房の効いた部屋でくつろぐのか?

6 イラクの人が、身近な人を殺した米国と、それを支持した日本に怨念を燃やすとき、 あなたは、「在任中のこと」は忘れて、くつろぐのか?

7 欧米が生み出したイスラエル問題。中東問題。少なくとも欧州の対応には、何らかの解決をしようという面がある。

8 簡単に、「戦後復興での貢献」と言うが、シーア派やクルド人、スンニ派の混在で、 どんな戦後統治を計画しているか?何年間か?ひょっとして、何も考えていないのか?
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■ イラク攻撃の死者数の報道は多い順に。終結後、死因別に国連に報告すること (2003.4.8)。

1 イラク攻撃の死者数の報道は多い順に。
(1) 朝日新聞の4月7日に、死者数を報じているが、米英軍は開戦以来の累計108人で、イラク人は首都攻防戦だけの数字2〜3千人になっている。数字の扱い方が客観的でない。報じる順番も、事件報道であれば被害の多いものを先に報じるはず。だから、累計数字に揃えて、多い順にすると「イラク人5千人、米英軍108人」といった数字になるはず。米英軍の死は重大問題で、イラク人の死は些細なことなのか?命の価値が50分の1ぐらいなのか?

(2) 国連がイラク攻撃を承認しなかったのは、「9/11とイラクに直接の結びつきがないこと」「長年の査察の結果、大量破壊兵器の危険は切迫したものでないこと」「戦争が多大の犠牲をもたらすこと」などが理由にある。

(3) この5千人余りが死んだ原因は何か?死ぬ必要があったのか?検証する必要がある。

2 終結後、死因別に国連に報告すること。米英軍は、攻撃の終結後に、死者数を死因別に国連に報告する必要がある。それぞれの死の責任がどこに帰するのか?少なくとも戦端を開いたのはイラクではない。

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