<「朱鎔基」中国市場経済の行方>

2002.10.6

<「朱鎔基」中国市場経済の行方>(矢吹晋、小学館文庫、2000.5、@495)

1 どういう縁か、参議院議員の中村敦夫氏が解説を書いている。
「広大な領土、12億の民、異なる地域の個性」が、果たしてひとつの中央権力でコ ントロールできるか?ソ連、東欧の「一党独裁、官僚主義」は崩壊した。日本も明治 維新以来の中央集権から転換できないことで弊害が露呈している。
中国共産党が生き残っている理由の解答は?
(1)中国共産党が独特なのは、一度突き落とされても、復活可能なメカニズムが存 在すること。敗者復活の党内文化こそ、中国共産党が崩壊しない理由ではないか?
(2)朱鎔基(しゅ ようき、ヂュー・ロンチー)の人生と闘争は、壮絶の一語に尽きる。ケタ外れの有能なテクノクラー トであり、剛毅な性格を持った政治家であること。

2 中国は今、市場経済化(=資本主義化)しているところだ。市場開放は、上海など 南の沿海都市から始まり、既に北京に及んだ。大きなホテル、ショッピングセンター、 オフィスビルがたくさん建っている。
中国と日本の再開発で、違うのは、中国は土地、建物が国のものだから、再開発計画が 決定すれば古い建物を軒並み取り壊して、大きな建物群を建てる。日本は、私有権が細 分化しているので、地上げや、総合的な計画ではなくたまたま土地があったところに高 層ビルが建ったりする。その裏には、低層の木造家屋が密集していたりする。だから、 計画が適切であれば、中国の方がはるかに早く変革、発展が進む。

3 毛沢東は、「戦争と革命の時代」に生き、終生「計画経済」の中に居た。
とう小平(トウショウヘイ)は、「市場経済」を復活させた。朱鎔基は、この市場経済をマクロ経済の手法 でコントロールすることを目指し実現しつつある。

4 本書では、首相、朱鎔基の人生と政策を追跡しながら、中国が市場経済に移り、マ クロ経済の手法でコントロールする過程を描き出している。

5 アメリカ発のマネーゲームや、国際通貨基金で、アジア経済危機が起きたりする。 今後、アジア通貨基金やアジア経済協力圏が必要になる。「アセアン、プラス3」など で協議を進めるときに、中国の過大でもなく過小でもない理解が必要になる。
本書は、必読と言える。

ここも見てね[引用]友情とお金

ここも見てね[随想]韓国中国映画2題「反則王」「こころの湯」

ここも見てね[夢幻]市場経済の選択(未定稿)

ホームに戻る

夢幻はじめに夢幻随想短歌連作音楽市民運動リスト・リンク集その他リンク集引用メール・マガジンブログ掲示板ソーシャルネットワーク