比例代表中選挙区併用制の検討を!!
民意を反映する選挙制度を求める

2000.1.23

過日、新聞の国会議員アンケートでは、小選挙区制を支持する回答が多かった。
他方、その後の別の世論調査では、政治の現状に不満を持つ回答が多く、かつ「政党 支持が減り、支持政党無し」が増えた。
本来、政治の現状に不満があれば、有権者は投票行動で「現状に異議申し立てをして 現状の変更を決定」する。しかるに政治組織に世論を吸収する仕組みが機能していな い。


[1] あるべき基本原理

<政治活動の透明化>
誰が、誰の利益のために政治活動をしているのか、明らかにする必要がある。

<政治に民意を反映すること>
即ち、主権者の意志が、速やかに、正確に、選挙結果に反映すること。
現状は、所謂「死に票」によって、民意が歪められている。多数派が、実際以上に、 優位に多数の議席を得る。世の中の変化、民意の変化を正確に反映しない、遅れる。 政策が、後手に回る。

<少数意見を反映すること>
現状は、所謂「死に票」によって、民意が歪められている。多数派が、実際以上に、 優位に多数の議席を得る。結果として、少数派が、発言の場(議席)を得られない。


[2] 現行制度に至る経過

<以前の選挙制度>
もともと日本の衆議院選挙は中選挙区で、代表を選ぶ上ではそれなりに機能していた。 所謂55年体制という自民党と社会党の2大政党の時期が長かった。歴史的経緯や何 やらで、民社党、公明党、共産党といった第2、第3野党も存在することで、2つの 政党以外の有権者の意見も国会に反映する道があった。
特に、時代が左右の対立だけで動かない時期になると、既成政党の分派もあり、日本 新党やさきがけといった新党結成があった。中選挙区は有権者の投票行動を通して、 こういう時代の変遷にもそれなりに対応することが可能な制度だった。

<前回選挙制度変更を行った理由>
選挙運動に金がかかり「金権政治」という弊害を生じたために様々ある対策のひとつ として考えられた。
(1) 選挙運動に金がかからないようにするには、全部比例区で良かった。
しかし、「有権者と候補者個人との支持関係」、「政党名簿を作成するときの固定化」 など、いくつか論点があった。
(2) 特に、当時は相対多数を持ちながら議席減の傾向があった自民党が「得票が議席数 に正確に反映する制度」だと大幅に議席を減らすため、完全比例制には反対した。
(3) 諸外国の制度を比較する中で、「比例代表小選挙区併用制」と「比例代表小選挙区 並立制」が選択肢になったが、やはり「得票が議席数に正確に反映する制度」でなく 自民党が議席を減らさない方を選んだ。
(4) この場合も、「比例区小選挙区の配分割合」や「比例区の区割を広くするか狭くす るか」で、自民党が最後まで粘り、「少数の得票で多数の議席を得られる」配分割合、 区割にした。
(5) なお、単純小選挙区を「政権交代可能な制度」とする意見があるが、イギリス議会 の議席配置(左派、右派)に象徴される世の中の意見が2つに分けられた時代であれ ばともかく、政権交代と単純小選挙区は本質的に関係無い。
(6) 総括すると、「金権政治を改める、選挙運動に金がかからない」という有権者の支 持を背景にしながら、本来、別物である「少数の得票で多数の議席を得られる」制度 に誘導したことがある。


[3] 現状の問題点の諸相

<単純小選挙区はイギリスの様な保守党対労働党でなければ無意味な制度>
イギリスは産業革命が起こった国であり、その議会も、席の場所で左派(労働党=プ ロレタリアート)、右派(保守党=ブルジョアジー[資本家])と分かれて、対面し て意見を闘わせた。だから選挙も、選挙区ごとに1議席をめぐって2党が競う、単純 小選挙区が適していた。
日本も、自民党対社会党の所謂55年体制であれば、単純小選挙区も意味があったか もしれない。
しかし今は、有権者の意見を代弁する政党は2つではない。それぞれの政党の支持率 は50%を大きく下回っている。こういう社会情勢での1選挙区1議席の単純小選挙 区は不適切な制度だ。

<1票の格差、選択肢の無さ、選ぶ権利の侵害>
(1) 小選挙区では、結果に及ぼす効果から言って「1票の価値は0か1か」に2分され る。これこそ最大の「1票の格差」だ!!
(2) 有権者の動向を定期的に新聞が世論調査している。それによると最大の政治勢力は 「支持政党なし」だ。今ある政党の中では、積極的に支持できる政党が無いというこ とだ。投票したいと思える政党や候補者を待っている。
(イギリスの様な元々の「保守党対労働党」という2大政党の存在を時代の背景に持 たない)「小選挙区により人為的に作り出す2大政党制」は「選ぶ権利の侵害」だ。 食堂に入ってメニューが2つしかないなんてことがあるか!!憲法違反だ。
(3) 投票は結果につながってこそ意味がある。当選する可能性が現実に第1党、第2党 にしかないならば、その2党を支持できない有権者には選択肢が無い!!百貨店にも、 専門店街にも商品が溢れて選り取りみどりの時代に政治だけが何て遅れている!!

<民主主義の理解の違い、「相対多数による独裁」>
国会内で多数の議席を得て、思ったとおりに政策を実施するには多数の得票を得れば 可能だ。多数の有権者の支持を得れば可能だ。
(イギリスの場合、政党は保守党と労働党だから、小選挙区で1議席を得ることは、 50%の支持を受けたことになる。しかし、日本の場合、第1党も第2党も相対多数 でしかないから、小選挙区で1議席を得ることは、50%に満たない支持で議席を得 て理屈に合わない。「50%を得ない候補は全て落選」又は「誰かが50%を得るま で投票を繰り返す」ならまだしも。)
多数の有権者の支持を得ることをまともにやらず、「少数の得票で多数の議席を得て」 許し難いことに、なおかつ「思ったとおりに政策を実施しよう」とする勢力がある。
だから、前述した選挙制度の駆け引き、誘導がある。
現在の自由党党首を筆頭に、自民党もそうだろう。そして最近は民主党も。

<単純小選挙区は日本を不安定化する相対多数による独裁>
(1) 日本人観は様々あるが、有権者は投票行動を通して、時代の変遷にもそれなりに対 応してきた。
政党が暴走すれば「Uターンでなくブレーキをかけて」方向修正をした。
今の小選挙区を中心にする選挙制度は、投票行動による政策のコントロールが難しい。
投票行動による議席数の増減で、政策修正を促そうとした場合、「ブレーキをかけた つもりが、政治はUターンしてしまった」ということが起こる。
他方、第1党と第2党の政策に差が少ないならば、「いきなりのUターン」は起きえ ないが、それは「投票により政策を修正する選挙という制度が無意味になっている」 状態だ。
いずれにしても、「日本は有権者がコントロールできずに走り続ける車」である。
(2) 以前の中選挙区は、「既成政党の分派、合流による新党結成」が可能な制度だった。 ある程度の議員を集めれば国会に新勢力を作ることができた。これは国会の活力であ ったはずだし、有為の議員にとってはやりがいでもあったはずだ。
選挙制度の仕組みの中に、「既成政党の分派、合流による新党結成」「全くの新党結 成」「社会の少数派による政党」を可能にする仕掛けを、埋め込む必要がある。
それは中選挙区か、より適切なのは比例区である。
(3) 多党制の下での単純小選挙区は、50%に満たない支持で全ての議席を持つことも ある、「少数者による独裁を生む」制度だ。「単純小選挙区」は「少数得票による多 数議席」になり、「少数得票によって思ったとおりに政策を実施しよう」とする制度 であり、日本を不安定化する。
(4) なお、「単純小選挙区による(支持が50%に満たない)相対多数による独裁」は、 「連合政治」とは別物だ。
「連合政治」は、それぞれの政党がそれぞれに存在し得て、その主張を基盤に政策協 議を行うので、得票数と有権者の投票行動、意志を反映している。民主主義の1形態 である。

<小選挙区下の連立は政党の自殺行為、解党に至る道>
(1) 現実に「自民党対社会党」の2大政党であった55年体制は、その時代が左右対立 に世の中の意見が分かれていたときだから。その後、第3党、第4党と生まれたのは、 世の中の意見が分化したからだ。それにもかかわらず、人為的に2大政党に再編する ことを想定して、小選挙区を導入した。
「政権交代」が大義名分だが、政権交代は小選挙区に限ったことではない。
(2) この法案に賛成したのは、自党を小選挙区の下で「勝ち組」と思い込んだ政党だっ た。
反対したのは、他党と主張内容に差があり、2大政党への政党再編に乗れない(又は 外される)ため、小選挙区の下では「負け組」を予想した政党だった。
(3) 途中経過で、「負け組」は確かに負けたが、「勝ち組」は何処が「勝ち組」という はっきりした結果にはならなかった。政党再編を目指した組も、主張内容が「近い、似 ている」と言っても、やはり差があることがはっきりした。(新進党が、自由党と公 明党に分裂した)
(4) 特に自由党は、2大政党の一方になるつもりだったのが、小政党になってしまった。 「勝ち組」になる道具だったはずの小選挙区が、自党を「負け組」に追い込むことが 確実になった。
小選挙区が人為的に小政党を淘汰(スクラップ)していく機能を示したのだ。
しかし本質的には、そこ(議会の入口手前)で淘汰されたのは有権者の意志というこ とだ。
(5) 小選挙区の下で「負け組」になることは、政権を狙う政治勢力としての党の消滅を 意味する。
人為的に作り出す2大政党に入るために擦り寄る政党は、自党の主張を捨てる。次の 選挙でも、連立相手と違う主張を展開することはできない。政治的主張を持っていた はずの候補者は、無人格になる、「あんたである必要は無い」。選挙活動で主張を公 言することができないから、連立のどっちの政党所属でも関係無くなる、自党の支持 基盤が自壊する。
(6) 連立に受け入れた政党も同じ問題を抱える。もともと差があったはずなのに、主張 できず仕舞い込むからくすぶる。新しい政治家が、育たない。

<政策協議から見た問題点>
現状は、政策論争抜きの、数(政党)の組み合わせで、法案が決まる。小選挙区で連 立から外されると、次の選挙で議席を得ることが難しくなるから、連立相手と違う主 張を抑えることになる。一部修正があったとしても、多数を形成した者の内輪の修正 で、数を押さえれば勝敗が決まるので、対立する立場との真剣な論争が無い。
国会は、協議、政策調整する場だが、通過機関に堕する。つまり、「何でもあり」の 状態だ。これが基本的には4年間続く。

<政党の活性化から見た問題点>
単純小選挙区では、有権者に選択肢が無い。変化の時代なのに、政党(=政治家)が 固定し、政党は衰弱する。分派による小政党の誕生、存続を可能にする比例代表 制が必要。現行の比例区は細分化していて、死に票が多い。政党要件のハードルを高 くして、新規参入を阻害する仕組みを埋め込んでいる。

<小選挙区下の連立は国民の政治不信を増幅する>
(1) 昨日までは違いを強調していたのに、今日は主張せず、小選挙区での候補者調整 をする。投票、つまり候補者と有権者との関係で当選者が決まるのでなく、党間調整 によって内定する。
(2) 前回当選の現職を優先すると、今回の選挙では有権者に選択する機会が無い。も ちろん前回落選した候補者にとっても、今回、敗者復活して選ばれる機会が無い。
(3) 候補者調整の結果、党の支持者は、自分が支持しない候補者に投票することが起 こる。有権者にとって、自分の考えと合う選択肢(候補者)が無いことがある。
棄権を助長し、政治に意志を反映できない膨大な無関心層を生み、政治の活力を削ぎ、 長期的には政治を衰退させる。
(4) 政権交代に至らなくても、議席数や得票数の消長で、有権者は政策の成功や失敗 に対する自分の意見が表明できたと考え、自分の投票行動に納得し、満足を得る。ま だ政治も、或いは日本も、捨てたものではないと思う。そういうことが、不可能にな る。有権者が選挙から離れ、誰も政治をまともに考えなくなる。
しかし、問題が解決する訳ではないから、「閉塞感、無力感、徒労感、個への埋没」 といった社会観が浸透する。
(5) 現代の市民社会で国民が果たす政治的機能は、「選挙がある日に票を投じること」 だけではない。
選挙によっても、政党や政治家と個々の有権者の考えが、全ての分野で一致している 訳ではないから、本来は個別の政策選択、法案について、「国民投票により決する」 のが「国民主権の原点」である。
現実には、国民投票の集計、法案審議に必要な専門的知識、集中審議に割く時間など、 技術的制約があるので、代議制を取っている。
しかるに、「単純小選挙区で(50%に満たない支持の)第1党、第2党のいずれか に、4年間に生起する政策選択を包括的に委任する」のは、複雑な現代日本社会で、 あまりに「どんぶり勘定」なやり方だ。
しかも、実際には政権政党という特定組織の内部の少数の幹部に委任する結果になり、 しばしば「足して2で割る」様な、旧態依然な政策決定になる。
時々刻々、日本の進路を決める4年間は、非常に長い時間であり、その期間の政策決 定は、群雄割拠の各政党の切磋琢磨でこそ行うべきである。

<意見を2つに集約することは不可能>
(1) 2大政党制は、世の中の意見が「2つに集約される」ことを前提にしている。そ れは、イギリスの「保守党対労働党」の対立構図や、かつての日本の「自民党対社会 党」の55年体制であれば、制度に存在理由があった。しかし今は、意見が多様化す る時代だ。無理を通せば、大多数の国民の意見を切り捨てることになる。
無党派層、自民党、民主党、公明党、共産党、自由党、社会民主党、その他小政党。 机上の理屈でなく、実態を踏まえて、どうやって政治不信を増幅させずに、意見を2 つに分けられるか?有り得ないことだ。
(2) 前述した通り、基盤になる議席確保の上に立たない選挙前の候補者調整は、政党 内外の自壊現象、政治不信を引き起こす。つまりそこでは、主張に基づく政策調整は、 構造上、不可能。
繰り返すと、「うちは4議席、おたくは6議席。選挙協力をしなくてもこれ位は確保 できるけど、協力してそれぞれ5議席と7議席に増やして、政策については選挙後に も更に調整しましょう」と言うのが、従来の選挙協力。小選挙区の下では、こういう 選挙協力は不可能で、「擦り寄る側にも、受け入れる側にも、自党の主張を引っ込め ると言う意味で」解党になる。

<タナボタの政治>
「意見が多様化する時代」に、「何故、2大政党を人為的に作り出すか?」。それは 「タナボタの政治」に他ならない。1人しか当選しない単純小選挙区で、第2党に付 けて口を開けて待っていれば、相手が失敗したときに第3党、第4党の分も批判票を 集めて当選するつもりだ。
「政策への積極的な支持」で議席を増やすつもりなら、比例代表制でも良いはずだ。 実際には、批判票は自動的に第2党に集まるのではなく、棄権や白票になる。


[4] 改革の諸点

<分派、小政党の誕生、存続を可能に>
好みも主張も多様になっている。今日、大政党で利益を得ていても、明日は分かれる 必要があることもある。「いつでもどこでも自分は多数派に居る」と思っている政治 家がいたら「変」だ!!
経済で「競争促進」「起業促進」と言いながら、政治だけ「規制の下」に置く政治家 って、何なの!!

<国際標準である連合政治の手法を培うこと>
連合政治が世界の潮流であり、少数政権が国際標準だ。
結局、単純小選挙区制による2大政党制と言っても、形式上のことで、中身は、異な る思潮の連合であり、その組み合わせ、意見の叩き合いを野合した大政党の密室でや るよりも、公開して行う方が良い。
つまり、選挙のときは、中小政党に分かれて論争し、政権を作るときに連合する。
単独政権を目指すのは当然だが、そのために「政策を磨く」のでなく「新規参入の規 制」「護送船団的な規制」を要求する政治家って、あんたって何なの!!
(単純小選挙区を主張する政党は、この矛盾に答える必要がある。)
単純小選挙区は20世紀の遺物。
イギリスは社会福祉や教育なども小さい区域を単位に仕組みを作っている特異な例。
政権交代は、「比例代表制」の下で現に起こっている。「単純小選挙区制の専売 特許では全くない」「単純小選挙区は少数の得票で多数の議席を得て政治を思い通り にしようとする制度的独裁」だ!!
単純小選挙区は、政治における「競争の制限」「新規参入の規制」「寡占の人為的創 成」だ!!

<「金権政治(選挙運動、政治献金のあり方)」を改革する原点から議論をする>
(1) 改革のメニューをきちんと列挙する、「民意を反映する選挙制度」「その他の改革」
(2) 概ねのプログラムを示す
(3) 国会の正式な機関で議論する
「比例代表制」で、候補者の選挙活動に金の掛かる政治は改善する。
あとは「政治献金の改革」。

<比例代表制の徹底と選挙後の政策調整など>
(1) 政策は、政党ごとに主張しなければならない。有権者に選択肢を示さなければなら ず、投票結果は議席数に反映しなければならない。
(2) 政策調整は、選挙後に、閣外協力、連立を含め組閣作業で行う。


[5] その他の改革

<無所属でも比例区に出られること>
無所属でも衆議院に政党に頼らず当選できるよう、現行の立候補制約(「政党は○人 以上立候補、人数分の供託金を払う」など)を無くす

<党議拘束の禁止>
議決での、党議拘束を禁止する。
もともと政治は個人の意志の発露である。また 、政党は仮りの宿である。
実質的な議論を確保するためにも、党議拘束を禁止する。

<政治献金の口座振込の義務付け>
政治献金の口座振込、一定額以上の出費支払いの口座振込を義務づける。

<立候補者の休職、復職制度>
大正期の自由民権運動からあった様な「党人政治家」も少なくなり、「官僚出身」 「2世議員」が多くなる。社会党を一方の柱にした55年体制の終焉で、「労組出身」 も減る。
政治家になる人材を発掘する必要があり、「立候補者の休職、復職制度」を「産休、 育休制度における身分保証」の様なものとして実現する。

<選挙権を18歳に>
また例えば、中学生、高校生の世論調査では、けっこうまともに世の中を考えている 一方で、将来に希望の無さ、無力感が目立つ。また今後の少子高齢化社会では、人口 比で少数の若年層の発言の機会を確保する必要がある。
選挙権を18歳にすることも含めて、若年層が代表者を持てるようにするのが良い。


[6] 選挙制度改革を実現するために

選挙制度改革は、「国民の意思を、議会主義という枠の中で、いかに政策選択に反映 するか」という仕組み作りだ。
間違っても、特定政党に「少数得票で多数議席を与えるため」ではない。
従って、多少、政治的意志が異なっても、仕組み作りには協力すべきものだ。
例えば、
(1) 「民意を反映する選挙制度を求める連絡会(仮称)」を作る
(2) 基本的な考えを整理する
(3) 賛同人を募る
(4) 一致する政党、候補者を選挙で推奨する
こういう活動を幅広い参加を得て行うのはどうだろうか。


[7] 比例代表中選挙区併用制の検討を!!

具体的な案を提起してみたいが、経過の議論を他のWebサイトを引用しながら考えてみ る。なおこれらは、ヤフージャパンで「比例代表制」を検索すると出てくるサイト。
(1) いま、日本の衆議院は
[衆議院(国会の組織)http://www.shugiin.go.jp/syu/kokkai02.htm]
「衆議院議員の選挙権は満20歳以上の、被選挙権は満25歳以上の男女に、いずれ もひとしく与えられています。衆議院議員の定数は500人で、うち300人は小選 挙区制によって、200人は比例代表制により全国を11に分けた各選挙区から選出 されます。国会議員の任期は、憲法によって、衆議院議員については4年と定められ ています。」(=比例代表小選挙区並立制)

(2) 98年12月の公明党の検討状況
[公明党(見解、方針、行動)http://www.komei.or.jp/kenkai/981208kanzaki.htm]
「公明党の神崎武法代表は八日午前、国会内で記者会見し、衆院の選挙制度見直し問 題に関する記者団の質問に対し、「昨日(七日)の(超党派でつくる)国会改革研究 会の議論では併用制(比例代表小選挙区併用制)という意見も強くあったが、各党に 持ち帰って再び議論することになっている。私たちも党内に政治改革本部(仮称)を 設置し、早急に意見を集約したい」との考えを示した。
この中で神崎代表は、併用制について「行政改革をやるからには、国会改革として議 員定数の削減もやるべきだという国会議員の意思がある。併用制なら、現行の小選挙 区制は維持しつつ、制度の趣旨を変えるということであり、今の制度(比例 代表小選挙区並立制=並立制)をベースにしながら定数削減をする具体的な方法として、検討 の価値がある」との認識を示した。
併用制は、ドイツの下院議員選挙で採用されている制度で、有権者は二票持ち、第一 投票で小選挙区の候補者個人を選び、第二投票で政党を選ぶ。小選挙区当選者で議席 を決めた後、第二投票の集計結果に基づき、得票数に応じて各党に総定数が比例配分 され、小選挙区で獲得した議席数を差し引いた数の議席が、各党の候補者名簿の登載 順に従って決定される。」

(3) 99年2月の公明党の検討状況
[公明党(見解、方針、行動)http://www.komei.or.jp/kenkai/990221kanzaki.htm]
「公明党の神崎武法代表、浜四津敏子代表代行らは二十一日午後、大阪市の関西公明 会館で記者会見し、衆院の定数削減を含む選挙制度改革に関する記者団の質問に対し、 神崎代表は「党内には併用制(比例代表小選挙区併用制)と三人区の中選挙区制という 二つの考え方がある」と指摘した上で、「自民党も乗れる現実的な案としては、三人 区、百五十選挙区をつくることによって定数を四百五十にして、現在の定数を五十削 減する案ではないか」として、三人区百五十選挙区の中選挙区制を支持する考えを表 明。」

  (4) ドイツ下院は比例代表小選挙区併用制
[東京万華鏡(オピニオン、編集:高野孟)http://www.smn.co.jp/JPN/index.html]
「ドイツの下院の場合は比例代表小選挙区併用制で、656の議席の半分を小選挙区で、 半分は比例で選出する。その比例部分は、各党の得票率に従って議席を配分した上で、 その各党の枠内で小選挙区での当選者に優先的に議席を割り当て、残った議席を比例 名簿の順で決めていく。小選挙区での得票に下限が設けられているわけでなく、惨敗 した候補が比例で復活するケースもあるが、特に重複立候補に批判が出ていないのは、 1つには日本のようにブロック別でしかも名簿で同一順位の場合に惜敗率で決めると いうややこしい仕組みがなく、制度としてだいぶ分かりやすいのと、選挙区では弱く ても国にとって必要な優秀な人材は比例で上がれるようにして育てていこうというコ ンセンサスがあるためである。実際、コール首相は15年間に及ぶ在職中に選挙区で落 ちて比例で救われたこともあるし、長く外相をつとめた自由民主党首のゲンシャーな どは1度も選挙区で当選したことがない。」

(5) 第3案としての比例代表中選挙区併用制
第1案とは、併用制(比例代表小選挙区併用制)
第2案とは、中選挙区制(三人区、百五十選挙区、定数四百五十)
そこで第3案として、比例代表中選挙区併用制を提案する。
現行の定数500と仮に選挙区、比例の割り振りを基本に考えると、議席を中選挙区 で300、比例で200を選出する。二票制の併用制にする。即ち「有権者は二票持ち、第一投票 で中選挙区の候補者個人を選び、第二投票で政党を選ぶ。中選挙区当選者で議席を決 めた後、第二投票の集計結果に基づき、得票数に応じて各党に総定数が比例配分され、 中選挙区で獲得した議席数を差し引いた数の議席が、各党の候補者名簿の登載順に従 って決定される。」

この案の長所を列挙すると、
* 各党の総定数は、第二投票の集計結果に基づき、得票数に応じて比例配分されるの で、主権者の意志(=民意、政党支持)が正確に議席数に反映する。
* 比例の候補者名簿を出す政党の定義で、「政党は○人以上立候補、人数分の供託金 を払う」などの立候補制約を取り払えば、無所属や分派、小政党、新党でも、当選で きて存続が可能になる。
* 選挙区では弱くても国にとって必要な優秀な人材は比例で当選させ育てていくこと ができる。
逆に、最近自民党で出ている「加齢による定年の是非」では、「比例の候補者名簿だ けに定年年齢を決め、超えた者は中選挙区に立候補して自力で当選を目指す」という 使い方も各党で工夫できる。
* 「比例の候補者名簿の登載順は各党が作る」のに対して、選挙区の当選落選は有権 者の投票により決まるので「有権者が選ぶ」という別の意義がある。しかし選挙区が 小選挙区だと、この「選ぶ」意義も実際は第1党で機能するぐらいで第2党、第3党 は概ね候補者名簿からの選出になる。そこで中選挙区だと第2党、第3党でも「選ぶ」 意義が機能する。
* 選挙区が単純小選挙区だと、複数の政党が選挙協力する場合、選挙運動で連立相手 と違う主張をできない。「比例代表制」でかつ「中選挙区の併用制」であれば、選挙のとき は中小政党に分かれて論争し、政権を作るときに連合することで充分に主張できる。

さて、前記の「[6] 選挙制度改革を実現するために」の(4) で、
「一致する政党、候補者を選挙で推奨する」と書いたが、これは裏を返すと、本稿で 言う「民意を反映する選挙制度」に反対する政党、候補者には落選してもらうという ことだ。
これまでの発言から、落選してもらう政党を挙げると、自由党、自民党、民主党とい うことになる。そして意向を改めて確かめたうえで、公明党を加えるかということに なるが、どうだろう?

ここも見てね[随想]翌日開票で投票率アップを

2000.2.7

政党別「1票の格差」の是正を!!正々堂々と戦うには何が必要か?

今の国会は駆け引きで迷走して、本音で審議、決定ができない状態だ。
原因は実態が多党制であるのに、人為的に小選挙区を行っているからだ。
言うまでもなく、国会は審議、論争する場だ。対立する立場と真剣な論争をする。
問題点を明らかにして、必要な調整をした後に、多数決で決する。最初から多数決ではない、それでは全ての会議に意味が無くなる。
言論で戦い、多数決で決するには「双方が同じ武器」を持っていなければならない。一方が「銃弾を1000発持ち」、他方が「銃弾を100発持つ」では、正々堂々と戦うことは出来ないからだ。
以下、現行の選挙制度にある、政党別「1票の格差」をどんな実態か見てみる。


自治省のサイトから数字を取って、計算してみた。

政党別の「1議席あたり当選に必要な得票数」の比較を、 前回(平成8年10月実施)の衆議院選挙結果(小選挙区300、比例区200)について 見る。

<1>各党への支持が「比例代表の得票数」に表われていると仮定して、これを実際 の各党「当選議席数(小選挙区+比例区)」で割ってみて、「1議席あたり当選に必 要な得票数」及び倍率比較を計算する。

計算式は、(比例代表得票数)/(当選議席数)=(1議席あたり当選に必要な得票 数)[倍率比較]
自由民主党 (18,205,955)/(169+70)= 76,175.5439[1]
(旧)新進党 (15,580,053)/( 96+60)= 99,872.1346[1.3110]
民主党 ( 8,949,190)/( 17+35)=172,099.8076[2.2592]
日本共産党 ( 7,268,743)/( 2+24)=279,567.0384[3.6700]
社会民主党 ( 3,547,240)/( 4+11)=236,482.6666[3.1044]
新党さきがけ ( 582,093)/( 2+ 0)=291,046.5000[3.8207]
民主改革連合 ( 18,844)/( 1+ 0)= 18,844.0000[0.2473]
諸派、無所属 ( 1,417,077)/( 9+ 0)=157,453.0000[2.0669]
民主党、日本共産党、社会民主党で2から3倍以上の支持がないと自由民主党と同じ 1議席を獲得できない。たまたま小選挙区で著名な強い候補がいる(社会民主党)と、 議席獲得が効率的になり、倍率が下がる。


<2>完全比例代表制で議席を割り振った場合の当選議席見込み数を計算して、実際 の当選数と比較する。

計算式は、(比例代表得票率)×(衆議院議席定数500)=(完全比例代表当選議席 見込み)[実際の当選数、増減]
自由民主党 (32.76)×(500)=163.8 [239、減75.2]
(旧)新進党 (28.04)×(500)=140.2 [156、減15.8]
民主党 (16.10)×(500)= 80.5 [ 52、増28.5]
日本共産党 (13.08)×(500)= 65.4 [ 26、増39.4]
社会民主党 ( 6.38)×(500)= 31.9 [ 15、増16.9]
新党さきがけ ( 1.05)×(500)= 5.2 [ 2、増 3.2]
民主改革連合 ( 0.03)×(500)= 0.1 [ 1、減 0.8]
諸派 ( 2.55)×(500)= 12.7 [ 9、増 3.7]
自由民主党は大幅に議席数を減らすが、単独で過半数割れは現在と同じ。連立を組ん で「自自公(旧新進党)」にすれば、完全比例代表制でも過半数を確保する。
他の中小政党はどう組み合わせても、直ちに政権政党とは行かないが、委員会など国 会審議は活発になる。
また(旧)新進党が分裂した現在では、公明党、自由党ともに前回の小選挙区当選96 は望めないため、前回比例区60だけになるので、むしろ完全比例代表制に変えた方が 増えるし、党の基礎的議席数を確保できて、主体的に政局に臨むことができる。


さて過日(2000.2)、与党3党が衆議院の比例区定数削減を強行採決したが、
1 自民党が相当強気に出ている。野党は「いずれ腰砕けになる」という読みだ。
公明党は何らかの転換(支持者の離反など)が無い限り、選挙を通して自民党に吸収 されていく。公明党を捕まえているのは自民党であり民主党ではない。「ゆさぶり」 で民主党側に帰ってくることを期待しても見通しはない。
2 自民党の強気は、旧社会党的な万年野党に民主党を追い込む「成算ができた」た めだ。
公明党を捕まえた自民党にとって、民主党は将来にわたって交渉相手にする必要が無 くなった。何故なら、上表の「得票率、実際の当選数」に明らかな通り、「自自公」 で過半数が確保でき、他方、小選挙区制の下で民主党が単独で過半数を取ることは有 り得ないからだ。

ここも見てね[夢幻]米を食う虫、美しい明日(未定稿)

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