憲法第9条をなくすと自衛隊の派兵は
実態上、米国大統領が決定することになる

 2009年7月現在、「独裁やクルド人虐殺、核兵器疑い」を理由にイラクを攻撃占領する米国軍に襲撃が続く、一方で「パレスチナ人追い出し・占領、虐殺、核兵器保有が公然の秘密」のイスラエルを支援する米国の二重基準(ダブルスタンダード)、「イスラエル問題」は解決の見通しがない。
 自衛隊の派遣が始まった。現地の習慣、考え方を尊重し、守りを固めて、復興支援に活動の重きを置いて、無事に戻ることを祈るばかりだ。

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(メールマガジン2004年2月から)
憲法第9条をなくすと自衛隊の派兵は実態上、米国大統領が決定することになる(2004.2.18)

1 憲法第9条をなくすと自衛隊の派兵は実態上、米国大統領が決定することになる
このことを国際政治の現実を踏まえた上で、否定することができる人が居るだろうか?
(1)国連は第二次大戦の戦勝国が常任理事国で拒否権を持っている。駆け引きの中で「このカードを相手が使うかもしれない」また「自国は使うこともできる」から、常任理事国は互いに相手国に配慮する。日本にはこのカードがないし、これまでの国連での投票行動を見れば、米国の意に反する投票は有り得ない。
(2)イラク攻撃で、仏独は米国に最後まで反対したが、これは仏独にとってさえも極めて異例なことだった。仏独と米国の溝、亀裂は数年間は影響があるだろう。
(3)核兵器を持つことを追認されている国は、米仏中露だが、核兵器を持ちそれを搭載できる大陸間ミサイルを持つ国は、即ち米国を攻撃する能力を持つ国であるから、米国から配慮される。
(4)イラクに日本が自衛隊派遣したのは、「米国との資本主義を基本とする同盟的関係」「日米安保条約の実体的機能確保」「北朝鮮、朝鮮半島情勢」といったことから、「付いて行かざるを得なかった」からだろう。韓国にしても、東欧にしても同じような事情だ。これは「テロとの戦い」と建て前を言ったところで、テロをなくすには「イスラエル問題の解決」「貧困の解消」「信頼醸成」「外交交渉」など他の有効な方法があり、また中東、イラクの民族、宗教的構成にいささかでも知識があれば、戦後統治が米国の意に沿うことが難しいことは予想できたから、戦争が賢明な選択でないことは分かっていた。
(5)日本はバグダッド周辺の治安維持を打診されたが、「憲法第9条」を盾に、「非戦闘地域」「戦闘を伴わない輸送業務、復興支援」に役割を限定することができた。もし「憲法第9条」がなかったら、どのように米国からの要求と交渉するのだろうか?
 「戦争は賢明な選択ではない」「中東、イラクのことを知らないんじゃないか?」「フセインにあんな力を付けさせたのはイラン、イラク戦争のときの米国でしょ」「米国の石油支配のために血を流すわけにはいかないんだよ(石油は相互互恵の交渉で確保できる)」などと、正面から言えない。仏独は言った。日本は言えない。「常任理事国でない、核兵器を持っていない、EUのような後ろ楯はない」「日米安保条約の枠組みを維持する他ない」。だから、「いやあ、憲法第9条があるもんで、こんなことぐらいしかできないんですよ」「これでも国会で特別法を通したりしてなかなか大変なんですよ、いやあ大変、大変」などと、ぬらりくらりと米国の要求の圧力をかわしながら、ある程度は国民の意志を反映させることができる。

2 憲法第9条をなくすと、米国からの要求に、国民の意志を反映させる機会を失う
 上記のとおり、今は憲法第9条があるから、いちいち特別法を国会審議することで、ある程度は国民の意志を反映させることができる。もし憲法第9条がない状態で、内閣だけで「米国からの要求に、交渉したり対応できるか?」、いやできない。そんな政治家は日本にはいない。

3 戦闘行為をすると、大量の国債残高を抱える日本は破綻する
(1)今は、「憲法第9条」を盾に、「非戦闘地域」「戦闘を伴わない輸送業務、復興支援」に役割を限定しているから、「予算はいくらだから、実際に使うのはいくら」と言っていられる。「いったん戦闘行為を始めると、何らかの結果に辿り着くまで、予算がなくても国債を増発して戦費を賄わなければならない」。「物価が上がる、インフレ傾向になる、金利が上がる、国債金利負担が上がる」。そして日本は破綻する。
(2)今の時代から見れば、大平洋戦争に突入したことを、「当時の国力(経済力)からして、見通しのないこと」と誰でも言える。
 日本が戦闘行為に道を開くことは、極めて高い確度で、経済的な破綻を意味する。
(3)「憲法第9条をなくす」→「米国からの要求で戦闘行為に進む」→「日本は経済的に破綻する」。さあどうだ、それでもなくすか?

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