イラク危機、北朝鮮の先制攻撃問題

(メールマガジン2003年7月から)

6年以上前の記事です。この記事の後、賛成・反対の議論の中でイラク戦争は開戦し、しかし結局イラクに核兵器が無いことが明らかになり、その後、米国大統領が共和党から民主党に代わり(2009.1)、米国軍の撤退計画の中で2009年6月末から都市部からの撤退が始まります。
イラク戦争開戦から6年余りで、イラク市民10万人以上、米兵4千人以上が死亡しました。発端である「9.11」被害者の25倍以上の死者で、アフガニスタンを加えればもっと多くなっています。
他方、北朝鮮が核実験を行い(2009.5)、6者協議が中断しています。
=============================================================

イラク査察を永遠に続けることに、何の問題があるのか?多くの死者、難民を出すよりも永遠の査察継続の方が良いではないか?費用も少なくて済む。
K政権は誤った「現実認識」で、米英決議の先触れに走っている。

問題は、
1 イラク危機をどう捉えるか?
2 北朝鮮が先制攻撃をしてきた場合に日本の対応をどう想定するか、に分けられる。
それから、
3 拉致問題の対応策は米国頼みしかないか?という認識の問題。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1 イラク危機をどう捉えるか?
(1) イラク査察を永遠に続けることに、何の問題があるのか?多くの死者、難民を出すよりも永遠の査察継続の方が良いではないか?費用も少なくて済む。
(2) かつて、リビアを敵視したことがあったが、今のリビアを危険な国と見る見方はほとんどないだろう。
(3) 何と言っても、中東では、「イスラエル問題」を解決する方が先だ。クウェートに侵攻したイラクは叩かれたが、パレスチナを占領し、かつイスラエル国内からパレスチナ人を追い出したイスラエルは、米国の軍事支援を受けている。
(4) 中東や北部アフリカには、王制の国がいくつかあるが、変な王制よりは、中央集権とは言えイラクの方が政治体制としてはましではないか?
(5) イラクの現政権が無くなれば、不安定化する。イラク国内は、イランと同じシーア派が多い。クルド人は、トルコや周辺国の方に多く住んでいて、彼らが独立を目指せば、それらの国が不安定化する。米国のダブルスタンダードに対する反感は、長く深く中東、アラブ、イスラムに残るから、中東のみならず世界が不安定化する。
(6) 「9.11」とイラクは、「証明されていない」という意味で、無関係だ。
(7) イラクは世俗主義で、アルカイダとは依って立つ所が違う。アルカイダを支援したのは米国だ。だからと言って「米国は米国を攻撃するか?」
(8) 多くの死者、難民を出す「正当な理由」があるか?イラク国民は、近親者に犠牲が出たときに、どう理解するか?憎しみが代々受け継がれるだろう。「ボスニアへルツェゴビナ」のように。
(9) 永遠の査察継続の方が良いではないか?戦争より費用も少なくて済む。

2 北朝鮮が先制攻撃をしてきた場合に日本の対応をどう想定するか
(1) そもそも朝鮮半島に駐留しているのは、実態は米軍でも、形式的には国連軍だ。実際に、板門店には、他国の要員も居る。だから、先制攻撃は直ちに、米朝問題ではなく、国連の安全保障理事会の課題になる。
(2) 2国間条約で言えば、日米安保条約だけでなく、韓米安保条約もある。先制攻撃であれば、協同して対処することになる。
(3) 日本国憲法の解釈で、「自衛戦争は放棄していない」となっている。先制攻撃があれば、自衛隊が自衛戦争として応戦することになる。
(4) 上記のとおり、「北朝鮮の先制攻撃」に対しては多数国で対処する枠組みが既にある。問題は、危機に当たり機能するように、予め協議しておくことだ。
(5) もうひとつは、「多数国で対処する枠組み」が実際に動くには時間が掛かるので、予め、初動対応として「自衛隊が自衛戦争として応戦する」手順を決めておくこと。
また「それぞれの安保条約に基づく日米、韓米の協同対処」を決めておくこと。

3 米国による北朝鮮への先制攻撃は止めるよう説得する
(1) 東アジアで、朝鮮半島で、人が虫けらのように殺されるのは、韓国も、日本も望まない。
(2) 暴発をしないように、中国から北朝鮮に働き掛ける、という外交交渉をする。また、「米国が先制攻撃したとき」に、中国が北朝鮮を軍事支援するかは、(朝鮮戦争のときの血盟もあるので)定かではないが。少なくとも、制止にも拘らず「北朝鮮が先制攻撃したとき」は、参戦せず、静観するように言質を取っておく。
(3) 更に、「北朝鮮が先制攻撃したとき」は、上記の「多数国の枠組み」で応戦するにしても、北朝鮮の統治機構やインフラを壊滅するのでなく、中枢部を除いた上で、従前の統治機構による暫定政権を作らせ、当分の間、国際管理する。なぜなら、それが人的な犠牲を少なくし、大量の難民化を避け、韓国や国際機関の負担を少なくするから。
また更に、長い間、南北で対立していたから、北朝鮮の国民意識は一朝一夕には変わり得ず、時間を要するから。また韓国と暫定政権による国家連合を経て、統一する。
(4) 上記の、「当分の間、国際管理」には、中国も参画する。その方が、東アジア地域の力関係の急変を避け、安定した国際管理を可能にするから。むしろ、「北朝鮮が先制攻撃したとき」は、国際管理を視野に入れた治安維持のために、中国が参戦する場合も、想定することができる。
(5) 周辺国、日韓中露の意思疎通を緊密にする。

4 拉致問題の対応策は米国頼みしかないか?という認識の問題。
(1) 拉致問題の交渉を、米国に委ねるのでは、以前と同じだ。
(2) まず、EUが北朝鮮を訪問するが、北朝鮮と国交がある各国に駐在する日本大使館に指示して、拉致問題の経過説明をする。日朝交渉で合意した、「核問題を含む包括的解決」を支持し、北朝鮮にも働き掛けるよう依頼する。
(3) 国際機関の食料援助は、軍事等への流用を避けるために、北朝鮮政府を通さない直接配布にするように、主張する。日本は、国連に多大な拠出をしているのだから、それもテコに交渉する。
(4) 日本は、今、北朝鮮と国交が無いのだから、それなりの対応をする。具体的には、出入国管理、為替管理等を厳重に運用する。
(5) 出入国管理では、北朝鮮からの入国者は、移動地域を(米国のように)限定する。誰と会うかを申告させる。また、申し訳ないが、在日の北「朝鮮」籍の人が北朝鮮に渡航するときは、再入国を認めない(事実上、渡航できなくなる)。これは、拉致被害者や家族が自由に往来できないのだから、当たり前だ。
(ただし、以前、指紋押捺を拒否した韓国籍の人の再入国を拒否したことがあったが、そういうことと混同してはいけない。「朝鮮」籍の人でも、他国への渡航と再入国は自由であるべきだ。)
(6) 為替管理では、北朝鮮への送金は認めない。
(7) 北朝鮮船舶の入港、少なくとも上陸は認めない。
(8) 拉致問題を始め、核問題を含む包括的な日朝交渉を進めるように、更に中国から北朝鮮に働き掛ける、という外交交渉をする。

ここも見てね[随想]「現代イスラムの潮流」

ここも見てね[随想]「マンガでわかった北朝鮮問題」

ここも見てね[随想]「奪還 引き裂かれた二十四年」

ホームに戻る

夢幻はじめに夢幻随想短歌連作音楽市民運動リスト・リンク集その他リンク集引用メール・マガジンブログ掲示板ソーシャルネットワーク